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りきおの雑記・ブログ このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter


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2013-12-27

水島努監督作品における「ブスキャラ」キャスティングの妙

 水島監督の声優起用法については、監督作品への起用をキッカケにしてメジャーになった声優さんが数多くいることで非常に優れているのは既に明らかですが、個人的にはその中でも「ブスキャラ」に起用する声優さんについてのこだわりが凄いと思っています。ちなみになぜ「ブスキャラ」と敢えて蔑視するかのような表現を用いたかといえば、もちろん蔑視したいわけではなく、昨今では主流の美少女アニメとの差異を強調したいという意図があります。美少女アニメというのは作中に出てくるキャラクターは基本的には容姿が並以上で一般的にみんな可愛いキャラしか出てこないようなアニメのことを指します(芳文社原作アニメとかはまさに基本的には美少女アニメですよね)。監督の作品はそうではなく、明らかに容姿に差があるような作品がいくつかあるということを先に書いておきます。そうした作品におけるブスキャラへのキャスティングに対して非常にこだわっているというか効果的な起用法が観られるということです。

 一番新しく、かつ印象的な起用だったと感じたのが「げんしけん二代目」の矢島役に起用した内山夕実さんでした。この矢島というキャラは根っからのオタク女子というか腐女子でかつかなり太っていて美少女からは遠くかけ離れていました。若干男気あるようなところと、妙にうぶなところがあってブスキャラとはいえ非常に可愛いところもあったりしたのですが、それを内山夕実さんが非常に好演していたというか、もはや矢島っちそのものだったといっても過言ではないくらいには綺麗にハマっていたように感じました。内山夕実さんはこれまで主要キャラでの水島監督作品への起用は無かったので意外に感じたのですが、声優再デビュー(一度声優を諦めて就職したが諦めきれず戻ってきたとか)のイカ娘1期からモブキャラで起用されていて、BLOOD-Cやじょしらくなどでもモブとして起用はされていたのでその流れでの起用だったのだろうとは思います。が、年齢的にはともかくキャリア的には若手も若手な彼女をこういうキャラに起用してハマるだろうと確信していたあたりはさすがの起用だったと思ってます。内山さんといえばきんモザやAチャンネルのほうが有名かもしれませんが、個人的には「貧乏神が!」の紅葉役のほうが印象的でした。この紅葉も、タイトルにあるように貧乏神という設定ですし、主人公の市子とは正反対のまな板のような貧乳キャラで、ブスキャラというには少々可愛すぎるとは思いましたけどそれでも一般的な美少女キャラとは正反対のキャラだったように思います。そういうキャラも演じてきていたこともあったのでしょうが、それでもなかなか思い切った起用だったのではないかとも思います。内山さんは「ドキドキプリキュア」でダビィという妖精役を演じていますが、このダビィは妖精の姿と人間のマネージャー姿と2種類の声色や喋り方があり、他にもおばあさん役などモブキャラも兼任しているなど、若手に任せるには異例の幅広い役どころを演じさせてもらっているようです。そうした適性を水島監督も早い段階で見出していたとも思いますし、内山夕実という声優さんはこれから年齢を重ねていっても全く役どころには困らないようにも思いますので、長く声優として活躍できるのではないかと思っています。

 水島監督がブスキャラに多く起用している声優さんと言えば間違いなく斎藤千和さんが挙がるでしょう。現在では「黒子のバスケ」や「物語シリーズ」などでヒロイン的な役どころを演じているなど「魔法少女まどか☆マギカ」のほむら役のイメージも強く美少女キャラの声優として再び脚光を浴びているようにも思いますが、元々は幅広い役どころを演じられる声優さんとして知られていましたし、水島監督作品では一貫してキワモノキャラへの起用が続いています。「ケメコデラックス!」のケメコ役ではエンディングで「プリっぷりん体操」というかなりキチってる歌を歌わされていましたし(監督作詞)、OVAの「大魔法峠」ではマスコットながら刺客という役どころ、同じくOVAの「プラスチック姉さん」では美しさの人というキャラ名のブスキャラなのに自身の美しさについて語りだすようなキャラや発情した動物役をやらせたり、「よんでますよ、アザゼルさん。Z」ではやはりブスキャラながら合コンでやたら自信満々にアピールしてくるようなキャラを演じさせたりと、起用はそれなりに多い割には全く美少女キャラ役への起用がないといった状況です。のら犬兄弟のギョーカイ時事放談にゲスト出演した際には「まどマギ観たんですけど、斎藤千和さんって普通のキャラも凄いんですねえ」などと言ってみたり、アザゼルさんZではやはりキワモノキャラ役の小林ゆうさんと斎藤千和さんの「夢の競演ですよ」とか「斎藤千和が帰り際に『私、普通の役も出来るんですよ』」と言われたことを明かしたり、その後の千和さんの誕生日に対するツイートでは「これからも普通の役では起用しないのでよろしくお願いします!」という感じのコメントをしていたりと完全にキワモノキャラ専用の声優さんとしてしか観ていないようです。ただ、どれも非常に印象的なキャラなんですよね。アザゼルさんZのマキちゃん役なんて1話限定でしかありませんからね。それでも非常に効果的な起用だったと思いますし、監督からは相当信頼されてるのだろうと思っています。

 前述した、小林ゆうさんのアザゼルさんでのアンダイン恵役も強烈だったかと思います。悪魔ながら婚期を逃し気味のブスキャラという役どころでしたが、1期ではもはや聞き取れないくらいのハイテンションかつ早口な演技で唖然とさせられましたし、2期も2期でやはり凄く面白かったのでここも効果的だったと思うんですよね。小林ゆうさんは元々どこかネジが飛んだような役柄が得意なのは周知の事実ではありましたけど、リミッター振り切ったらこうなるのかと、潜在能力を最大限引き出したかのような、またキャラクターにもこの声優さん以外選択肢なんて無い、と感じさせてくれるかのような起用だったと思いますので本当に素晴らしい起用だったと思っています。

 Anotherではツインヒロインの片方でかなり人気を博した美少女キャラで起用された米澤円さんを、げんしけん二代目では漫研部長かつやはり太ったオタク女子役で起用していましたがこれもハマってましたよね。米澤さんといえば「けいおん!」での憂ちゃん役が有名ですがそれからあまり起用が無かったのをAnotherで赤沢さん役として起用したのをキッカケになのかかなり起用が増えてきたような声優さんです。そんな米澤さんにこういうブスキャラを演じさせるのもなかなか無かった発想なのですが、ご存知の通り非常に役幅が広く何でも出来るような声優さんでもありますので、その辺に適性を見出して起用したのだろうと思います。やはりハマってましたからね。

 げんしけん二代目では水島監督自身が音響監督も兼任しているということでキャスティングの権限をほぼ握っていましたし、アザゼルさんは違いますがただ水島監督自身が思いついたキャストが多く起用されていることを音響監督の若林和弘さんもインタビューで明かしていますし、監督のインスピレーションとか過去の作品での演技などから適性を見出しているのだろうと思います。

 水島監督作品ではブスキャラが出てくるアニメも珍しくありませんが、深夜アニメだと基本的に美少女キャラしか出てこないようなアニメがかなりの割合を占めているように思います。中でも萌えアニメというのはキャラにフレッシュな印象を与えたい思惑もあってか、メインキャラ役はほとんど無かったり本当に新人を起用したりというケースが少なくありません。そういった若い声優さんだと美少女キャラしか演じないまま人気が出てしまい、今さらブスキャラ役を回すことが出来なくなってしまっているようなケースも多いように思います。そうなってしまうと役幅が広がらない恐れもありますし、数年後にはまた下の世代の若い声優さんに取って代わられることになるようにも思います。そういう意味では、水島監督作品でブスキャラに起用されるような声優さんというのは役幅の広さを見出されているのではないかとも思うわけです。既にそれなりにキャリアを重ねていたり実績のある人でも新味を、内山夕実さんみたいなキャリアの浅い声優さんだとまた違った意味を持ってくると思います。これからは監督作品でまた内山夕実さんをブスキャラで起用するのかもしれませんし、げんしけん二代目での演技から先々の仕事に繋がっていくようにも思っています。

 また水島監督自身も、美少女ばかりしか出てこないアニメ以外での作り方を知っている強みもありますし、キワモノキャラが出てくるような作品をアニメ化する際にもかなり引き出しを持っているようにも思いますから、またそういうアニメも観てみたいし作って欲しいと思います。

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 ご覧のテキストも掲載している「季刊ふく彦 水島努監督本準備号アペンド」は、冬コミ3日目西れ-39a「ふく彦」にて頒布予定です。興味がおありの方はお越しください。

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