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りきおの雑記・ブログ このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter


夏コミ(C90)の当サークルは落選しましたが、
他のサークルさんにいくつか寄稿しています。
寄稿先はこの記事を参照してください。

2015-06-26

「響け!ユーフォニアム」の主人公 黄前久美子はこんなにも面白い主人公だ

 一般的にはどうなのかわかりませんが、Twitterなどでフォローしてる関係の人たちには非常に好評なのが「響け!ユーフォニアム」です。個人的には前半部分のゆっくりさとかがあってハマりきらないところがあるのですが、8話の夏祭り回以降の面白さがうなぎのぼりであっという間に今期アニメNo.1の座を奪ったような印象です。

 で、その面白さの大部分を占めているように感じるのが、主人公である黄前久美子の描かれ方だと思ってます。アニメ開始当初は、何て主体性の無い子なんだ、とか、物語の中心にいるわけではないのか、って感じで非常に物足りなく感じていたんですが、後半を観ている方ならわかると思いますがあれよあれよという間に話の中心近くに入ってきてるんですよね。アニメとかで主人公ってのは基本的に作品の中心に位置づけられていて、まともなら最初からその物語の真ん中にいなきゃいけない存在だと思いますし、そこから話を作り上げていくものなんじゃないかとも思うわけです。同じように多人数でチームを組んで1つのことにぶつかっていく、という意味では「ガールズ&パンツアー」とか「SHIROBAKO」とかも近い構造なんじゃないかと思うわけですが、それらはあくまでも主人公が中心だったり、主人公が主体的にどうにかしようとする立場だったりするわけです。が、このユーフォでは最初からそういう作りにはなってないように感じます。そこが引っかかる部分でもあり、かつこの作品の唯一性を高めているのだろうとも思うわけですが、そこに関連した気になったところを紹介してみたいと思います。

  • 前向きさも主体性もないというキャラ設定

 最初にビックリしたのが、中学生時代の回想シーンであった、久美子が高坂さんに「本気で全国大会に行けると思ってたの?」って言ったところです。ここは高坂さんが北宇治高校に進学した理由の1つにもなりましたし、彼女の生き方に対しても多大な影響を与えたところでもありましたが、久美子自身はそれなりにいい演奏をしたって自覚までしかなく、むしろ全国に行けるほどの自信というものが感じられないような描写にも映りました。対する高坂さんはすごく自信たっぷりだったところからの全国大会を逃してのショックでしたし久美子のこの言葉でも追い打ちを受けたわけですが、正反対な反応だったとも言えると思います。実際のところ、久美子は高校に入って1年で大会に選抜されるあたりや名門校の出身であることなど当時から技術としては高いものがあるのだろうと思うわけですが、そういった自覚がないわけです。で、そこで高坂さんに言った言葉に対しても、アホな事を言った的な後ろ向きさを感じているわけです。

 最近のアニメである「俺TUEEEE」系な作品がありますが、あれは主人公が自身の強さや才能に自信があるとかそういう設定だからこそ主人公の強さを描けるのだろうと思うわけですが、ユーフォはそうじゃないですよね。久美子の演奏がすごいと言ってるのは同級生のあの2人だけですし、演奏が上手いのかどうかもあすか先輩がそれなりには認めていますけど、12話で壁にぶち当たっていたように1年生なりの腕前なのかなという描写でした。その12話でユーフォが好きだから上手くなりたいのだとようやくなってましたが、入学当初は吹奏楽続ける意志もなくそもそもだからこそ吹奏楽部がパッとしない北宇治高校を選んでいたわけですし、全国を目指すなどという目標もありませんでしたし、徐々に高坂さんに感化されていきますが、自発的な向上心が芽生えたのはこの12話が最初ではなかったかと思います。

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 主体性に関しても同じです。特に皆を引っ張っていこうという立場でもないですし、そうしようという意志も感じません。何より、流されての行動や思考じゃないところが殆ど無かったようにさえ感じられます。吹奏楽部の1年生という設定というかポジションや、天才的な演奏ができるわけではないあたり、更には皆を引っ張っていくカリスマ性みたいなものも無い久美子では無理な話です。ただ、そういう立場になりたいとも思っていないし、かつそうしようともしていないのが黄前久美子という主人公でもあると思います。

  • 主人公視点ばかりで描くことで自身の内面を掘り下げた描写が少ない

 この作品を観ていて特徴的だなと思ったのが、主人公のモノローグでした。喋り方に若干たどたどしさがあるのがまず気になったところだったんですが、だんだんと現在進行形で語っているのだと感じ、更にはそこに自身を客観視するような視点も感じられないあたりからも興味深くなっていきました。

 この作品は基本的に黄前久美子という主人公の視点で描かれていて、その他のキャラの内面(心情など)は極力掘り下げないようにしている、と感じています。なので、他のキャラを観る目も久美子のフィルターを通した姿が主に描かれていると考えています。では久美子自身を観る目はどうでしょうか? これも、久美子自身が自分で自分をどう観ているのかっていう視点……なんですが、ここがほとんど描かれていないように感じています。同級生たちに久美子は「どこか冷めたようなところがある」と言われていましたが、自分自身を全く評価していないんですよね。演奏の腕前については自他ともに「そこそこ〜まあまあ」くらいなのかもしれませんが、滝先生やあすか先輩には現時点での腕以上に伸びしろやセンスみたいなものを感じているのではないかと思います。が、久美子本人は12話を迎えるまでそういう視点があまり無かったように感じます。要はすごく向上心があるわけでもなく、でも演奏自体に対する後ろ向きさもない。要はあまり自身を見つめることをしていなかったのだろうと考えられます。

 人間関係に関してはただただ後ろ向きなだけですよね。高坂さんに対しても夏祭り回まではずっと後ろめたさみたいなものを感じて避け続けていましたし、夏紀センパイに対してもオーディション後はそんな感じでした。どうも自身に自信がないというか、簡単には嫌われないくらいには好感を持たれているとかそういう自覚が全くないんですよね。なのではっきりとその対象のキャラの久美子評を聴かないと、久美子自身がどんな風に観られているのかがわからないというのも特徴的かなと思います。

 それ故に、久美子自身がどんなキャラクターなのかが序盤は描かれず、主人公なのにすごくつかみどころがないキャラのように見えたのですが、12話までで周りのキャラからの久美子評が少しずつ積み上げられていってのあの爆発だったわけで、余計にこの黄前久美子というキャラが面白く感じられた、となったわけです。

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 とまあ大きく2つに分けて見ていきましたが、面白いと思いませんか? 自信や自覚が無いだけなら他アニメの色んな主人公でも持っているものですけど、それをカリスマ性とか飛び抜けた才能みたいなものを持ち合わせていないキャラでやっているというのがこの作品と久美子の面白さだと思います。「俺の嫁!」的なものではありませんが、このジワジワと興味が湧いてきて、人間臭さもあって面白いし好感を持てるキャラになってきた感じでいえば、歴代で観てきたアニメの中でもトップクラスかもしれない、とさえ思いました。

 これを書いている時点で残り1話ですが、どんな結末を迎えて、また2期等で違った黄前久美子を観られるのかどうかも含めて楽しみに待ちたいと思います。

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