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小人さんの妄想 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2009-01-11

宇宙・肉体・悪魔(2)

SF世界の舞台は、ある時期(80年代くらい)を境に、宇宙から電脳世界へと大きく変貌を遂げました。

サイバースペース

・人間改造、進化コントロール

・統合思念体

こうしたアイデアは、今やあちこちで見かけますが、世に出た当初はやはり衝撃的であったろうと思います。

では、「内なる世界」の原点はどこにあるのか?

それは多発的だし、いろんな意見があるでしょうが、私はその中の1つとして

J・D・バナール「宇宙・肉体・悪魔 理性的精神の敵について」という小冊子を挙げたいと思います。


今回は、その中の第三章を読んでみました。

 訳文 >> III The Flesh -- 肉体 --

原文はこちら。>> The World, the Flesh & the Devil (JD Bernal, 1929)

第一章、第二章はこちらからから。>> id:rikunora:20081003

※ 訳文は、英語の苦手な私が苦労して直訳した、ひどいできばえです。

※ 間違いの指摘や、もっと上手い訳などありましたらお教え下さい。


バナールの想像する、最終的な肉体の到達地点は、こういったものです。


Finally, consciousness itself may end or vanish in a humanity that has become completely etherealized,

最終的に、意識それ自体は人間性の中で終わるか消え去るかして、完全に永続化される、

losing the close-knit organism, becoming masses of atoms in space communicating by radiation,

近接網状組織を失って、宇宙の原子の質量となる、放射によってコミュニケーションし、

and ultimately perhaps resolving itself entirely into light.

そして最後にはおそらく完全に光に溶け込む。


・・・いったい何の宗教ですか?

しかしバナールによれば、これはれっきとした科学的予測なのです。

バナールはまず、人間の肉体改造を自然な進化に委ねるのではなく、積極的に人の手によって行うべきだと説きます。


But with the development of surgery on the one hand and physiological chemistry on the other,

しかし外科手術の発展が一方にあって、生理的な化学もあるので、

the possibility of radical alteration of the body appears for the first time.

急進的な人体改変の可能性が最初に出現するだろう。

Here we may proceed, not by allowing evolution to work the changes, but by copying and short-circuiting its methods.

ここで我々は前進するだろう、進化が変化に働きかけることを待つのではなく、進化の方法を真似て、短絡させることによって。


そして、つまるところ人間に残るのは頭脳であり、それ以外の器官は人の作った機械に置き換えられてゆくことを主張します。


In a civilized worker the limbs are mere parasites,

文明化した労働者にとって、手足は単なる寄生物だ、

demanding nine-tenths of the energy of the food and even a kind of blackmail in the exercise they need to prevent disease,

食物の 9/10 のエネルギー、そしてなお、病気を防ぐために必要とする運動というある種の脅迫状という要求がある、

while the bodily organs wear themselves out in supplying their requirements.

その一方で、体の器官は自らをすり減らしている、自らの要求に応えるために。


After all it is brain that counts,

結局問題となるのは頭脳なのだ、

and to have a brain suffused by fresh and correctly prescribed blood is to be alive - to think.

そして肉体によって頭脳を満たすため、正しく処方された血液が生き残る - 考えるために。


人生における、最初の60〜120年の間を「幼生期」として普通に(現在の人間と同じように)過ごし、

その後に、人は肉体を離れ、新しい感覚器官や運動器官に接続する。。。そのようにバナールの予測は続きます。

そして最終的に、人間の姿は脳をシリンダーに保存し、そこに神経がつながっている、といったものになります。


Instead of the present body structure we should have the whole framework of some very rigid material,

既存の体の構造に代わって、我々は何らかの剛体の全身骨格を持つことになる、

probably not metal but one of the new fibrous substances.

おそらく金属ではなく、新しい繊維質の一種であろう。

In shape it might well be rather a short cylinder.

その姿は、むしろ短いシリンダーとなるであろう。

Inside the cylinder, and supported very carefully to prevent shock, is the brain with its nerve connections,

シリンダーの中は、注意深くショックから守られるように支えられている、脳とそこにつながる神経だ、

immersed in a liquid of the nature of cerebro-spinal fluid, kept circulating over it at a uniform temperature.

大脳皮質-脊髄の性質の液体の中に浸っており、一定温度で循環し続けている。


この脳シリンダーには、神経ネットワークを通じて、センサーや外部の運動器官が取り付けられています。

センサーや運動器官は、共有することができて、みんなで操作することができます。


These extended organs would only belong in a loose sense to any particular person,

これら拡張された器官は、どの特定の個人にも緩く属している、

or rather, they would belong only temporarily to the person who was using them and could equivalently be operated by other people.

というより、これらは一時的に使用している人に属し、等しく他の人々が操作することもできるのだ。


The new man must appear to those who have not contemplated him before as a strange, monstrous and inhuman creature,

新人類」はこうなるはずだ、沈思黙考しているというよりも、奇妙な、怪物のような、非人間的な造形、

but he is only the logical outcome of the type of humanity that exists at present.

しかしそれは、現在の人間性の形から来る論理的な結果なのだ。


さらに頭脳同士は接続し合って、思考を共有するようになります。


Connections between two or more minds would tend to become a more and more permanent condition

2つ以上の人格の結合は、よりいっそう恒常的な環境となってゆくだろう、

until they functioned as a dual or multiple organism.

それらは、2重、あるいは多重の有機体として機能するに至る。


そして、このように思考を共有し合った全体は、もはや不死の存在なのです。


But the multiple individual would be, barring cataclysmic accidents, immortal,

しかし多重の個人の世界は、突発的な一大事がなければ、不死なのである、

the older component as they died being replaced by newer ones without losing the continuity of the self,

古い部品は死ぬに従って新しいものに入れ替わってゆく、自己の連続性を失うことなく、

the memories and feelings of the older member transferring themselves almost completely to the common stock before its death.

古いメンバーの記憶と感覚は、公共のストックにほぼ完全に移される、死んでしまう前に。


こうして不死となった人格の複合体は、さらなる高みを目指します。

そしてついには、生命そのものを作り出すところまで至るでしょう。


Instead, artificial life would undoubtedly be used as ancillary to human activity

代わりに、人工生命が疑いなく人間の活動の補助的なものとして用いられるようになる、

and not allowed to evolve freely except for experimental purposes.

そして自由な進化は許されない、実験的な目的を除いては。


こうして冒頭に掲げた、最終的な肉体の到達地点へと至ります。

「そして最後にはおそらく完全に光に溶け込む。」

・・・すごい世界だ。


rikunorarikunora 2009/01/15 02:00 世の中つらいときはつらいですね。
白状すると、私もちょっぴり薬のお世話になったことがあるのだよ。
とりあえず生きていれば、何とかなるのだと思う。現に今、何とかなってるし。

機械と一緒に宇宙海賊っていいなー。男なら一度はあこがれる生き方だ。
生きている内にうんと科学が進んで、機械の体くらいまでたどり付いたらいいなと思ってます。
もっともっと科学が進んだら、そのうち自分と他人の区別なんか無くなってきて、
現在の人間が抱えている悩みとかは消滅するのだと思う。
その頃には・・・脳の集合体は、現在の人間では想像もできないような、すごいことを考えているのでしょうね。

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