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小人さんの妄想 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2009-05-22

「ボク文系だから」は止めてくれ

止めてください。なんか、聞いていて悲しくなります。

私は人に会うとき、かなり高い確率でこの「文系だから」という言葉に出合います。

社交辞令なんでしょうか。

それとも、遠回しに文系はバカだとでも言いたいのでしょうか。

文系で賢い人はたくさんいるし、理系のバカもたくさんいます。

かく言う私は、理系に分類されるのだと思います。

でも、「ボク文系だから・・・」を聞かされても、ちっとも嬉しくありません。

だいたいこの「理系、文系」という区分が、人間の特性に合っているとも思いません。


私が悲しいと思うのは、何も「文系だから」という言葉を発した当人の為を思っているわけではありません。

自分のことをバカだと思って卑下するならそれも良し、謙遜しても一向に構わない。

(もちろん当人の為を思うなら、自分のことをあまりバカにしない方が良いと思う。)

問題は、この「文系発言」によって、理系の学問が必要以上に高尚で小難しいものにされてしまうことです。

私の言より、ここはひとつ引用を。

【迷信その1】 数学はむつかしく、数学のできる人は頭がよい

この迷信ほど、数学を誤解させているものは、ないだろう。

しかし、数学はやさしいということを、余り言うと、

「それは、おたくさまは、頭がおよろしいもの、けっこうでございますわね、オホホ」

とやられてしまう。・・・

 もし「頭がよい」の定義を「数学ができること」とするなら「数学のできる人は頭がよい」というのは、定義を述べただけで、何を言ったことにもならない。

しかし、少し視点を変えて、「頭がよい」の定義を「自分の置かれた立場に、すばやく的確に反応する」ことだとしたら、世の中に、数学者ほど、頭の悪い集団も少ないかもしれない。・・・

 頭がよいとか悪いとか、ワカッタから賢いとか、なかなか納得できないからアホウだとか、その身分差別のイヤラシイ「感情」が、一番人間を毒し、数学をむつかしい(いわゆる、むつかしい)ものにしてしまっている、ということが言いたかったのだが−−−。

      -- 数学の七つの迷信 {小針あき宏} より

そうなんですよ、みんながむずかしい、むずかしいと事ある度に唱えるので、すっかり「数学=難解」が定着してしまった。

そりゃ数学の中でも難しい部分はとことん難しいですが、数学に限らずどんな分野だって、難しい部分は、やっぱりとことん難しいでしょう。

さらに困ったことに、世間ではなぜか数学が頭の良し悪しを測るモノサシになっていて、

数学の話をする度に、頭がよいとか悪いとかいったイヤラシイ「感情」が邪魔をしにかかる。

すると、肝心の数学の内容を純粋に楽しむことができなくなってしまうのです。

よく言われるように、元はといえば数学をモノサシに採用した、学校だの社会だのがよろしくない。

であれば、その風潮に、さらに味方することは無いでしょう。


難しい方程式が解けるなんて能力は、言ってしまえば、難しいコンピューター・ゲームが解ける能力と大差ありません。

格ゲーで無敵を誇るとか、弾よけが神業の域に達しているとか、「ぷよぷよ」が鬼のように解けるとか・・・

ゲームが異常なまでに強いというのは、ある種特別な能力だし、きっと非凡な努力を傾けていることでしょう。

だからといって、ゲームの名人を「頭の良い人」だと言いますか?

むしろ、世間的には冷たい視線で見られているのでは。

アクロバティックな方程式が解ける人なんて、心情的にはゲームの名人と大差ありません。

下手に「頭がよい」だの「役に立つ」だの言われないゲームの方が、ある意味純粋で潔い。

本当は数学だって、ゲームのように純粋な方が、健全に発展するのではないかと思います。

上の著者だって言っているではないですか、数学者なんて、どちらかといえば「頭の悪い集団」なんですよ。

・・・数学者の皆さん、ごめんなさい。

でも「数学をモノサシにするな」ということについては、きっと賛同してくれると思う。

私自身は数学者ではないし、定義のよくわからない「頭がよい」にあてはまるかどうかも、わかりません。

(未定義だから、結論は出ない)

ただ、数学が好きだということについては間違いないので、こうして「モノサシにするな」と訴えているわけ。


話がいつの間にか数学限定になったけれど、数学が代表例というだけで、同じことが他の、いわゆる理系学問についても起こっています。

なので、これを読んで自分が文系だと思っている人は、今日から「ボク文系だから」という発言を止めましょう。

というより、本当は「理系、文系」という区分を廃止するのが、一番良いのでしょうけどね。


追記:

たとえば英語がよくわからなかったときは、

「英語はあまり得意じゃありません」とか「英語わかりません」って言うでしょう。

それが数学になったら、なぜか

「ボク文系なんで」とか「頭悪いんで」というセリフになっているんです。

この違いは何なのか?

もしわからなかったら、単に「数学わかりません」だけでいいじゃん。


さらなる追記(6/1):

その後ある人から、その「文系」ってところを「哲学」に変えてみたら、って言われました。

哲学ですかー。哲学などど言われたら、思わず「ボク理系だから」とか答えてしまいそう。

さらにこれを「法律学」「英文学」「社会科学」などといった、他の言葉に置き換えてみたら、、、

どうでしょう、どれも学問領域を表す以外の特別な意味合いは含まれていないでしょう。

してみれば「文系・理系」という言葉だけが特別手垢に汚れているのであって、本来の意味に良し悪しはないはずです。

で、何がそこまで「文系・理系」を手垢に汚したのかと言えば、

なんといっても高校のクラス分けがそうなっているからでしょうね。


ペカリペカリ 2009/05/22 22:00 ふーむ。
文系なので数学はわからないが、女を口説くのうまいんだから
とか
数学?!文系だからわからない、わかりたくもないよ。それよりかわいい娘を楽しませる方法を考えなよ。

ってことじゃないでしょうかねえ。

とねとね 2009/05/23 10:35 「ボク文系だから」っていうのは僕もときどき耳にしますよ。数ある「自己正当化」、「自己弁護」のひとつなんじゃないかなぁ。
自分のブログに書けないからこっそりここに書いてしまいますけど、「ワタシ数式全然わからない」と言っていた女の子に物理と数学の個人授業をかれこれ1年半続けています。とねさんの授業面白い!とか言われ続けけながら、最初は科学雑誌のニュートン別冊(相対論、量子論)、この半年は高校数学と大学レベルの物理数学、今は「よくわかる物理数学の基本としくみ」の複素関数論に差しかかっています。おかげで(?)彼女の数式アレルギーは完全にとれてしまいました。(笑)授業の理解度は90%くらいをキープできているみたいです。いつまで続くかわかりませんが物理数学が終わったらファインマン物理学の全集に入ろうと思っています。

rikunorarikunora 2009/05/23 20:34 ペカリさん
そういう「前向きな文系」だと、全く気にならないんですよ。
同じ言葉でも、後ろ向きな感じに言われると、あまり良いイメージを持てないんですよね。
つまるところ言葉通りの意味より、姿勢が大事なように思うんです。
もし「文系だから」と言われたときは、理数方面の話題は避けよう、
という意味なんでしょうけど、ついつい流れることもあるんですよ。

とねさん
それは、とねさんが良い先生だったからですね!
好き嫌いって、だいたい最初にあたった先生で8割方決まるように思うんです。
坊主憎けりゃ袈裟まで、ということで。
嫌なやつがやってることは嫌、好きな人がやっていることは好き。
* 以下は囲碁の話
>> http://d.hatena.ne.jp/rikunora/20090304
私も文句たれるヒマがあったら、せいぜい嫌われないようにしないと。

とねとね 2009/05/23 22:21 > それは、とねさんが良い先生だったからですね!
言葉どおりに受け取っておきます。ありがとうございます。
僕自身教えることが楽しめている日は相手の理解も深いように思います。

> 嫌なやつがやってることは嫌、好きな人がやっていることは好き。

あ、そういうことなんですね!言われてみると確かにそう思えます。

「囲碁」についての記事読ませていただきました。よい先生に巡り会えましたね。物理や数学以外のことで頭をつかうのもよいのかなと思いました。

Lucky MouseLucky Mouse 2009/05/28 23:59 コメントを書く前にまずはお礼を!!

「このブログの記事でフリップフロップ回路の記事を読ませて頂いたのですが、回路の仕組みがとても簡単に解説されていて、とても参考になりました。ありがとうございます。
これで、いい実験レポートが書けそうです!!」

rikunoraさんの意見に同感です!!
文系・理系というのは単に学問領域の大まかな区別に過ぎないですし、ましてや頭の良し悪しの定義も不明確(とより、そんなものあるのか?)ですからね…。

ちなみに僕も理系学部の学生ということもあってか、数学は好きな学問の上位の方に入りますね。
何といっても、定理に辿り着くまでの思考過程や工夫を知ると、多種多彩な思考や発想が出来るようになる(恐らく、なっているはず…笑)ところが数学の面白さであり、醍醐味である気がします。

まぁ、後ろ向きな考えを持っている人には「とりあえず、突き詰めてみよ!!」の一言につきますね!!

rikunorarikunora 2009/05/29 13:08 こちらこそ、お役に立ててうれしいです。
フリップフロップの記事は、私自身、昔に雑誌か何かで読んだものです。
つまりオリジナルではないのですが、出典元を忘れてしまったので、こんな形でページに載せました。
もし役立つなら、他の人にも伝えてあげてください。

(とより、そんなものあるのか?)、には全く同感です。
かく言う私も現代社会に生きる人間ですから、
俺は頭が良いとか、悪いとかいったことでずいぶんくよくよと悩んだりしたものです。
でも、よく考えてみると、そもそも頭の良し悪しという概念自体が存在しない。
そう気付いてからは楽になりました。

頭の良し悪しといったイヤラシイ感情を捨ててしまえば、きっと数学を始め、実はどんな学問であっても面白いのではないかと思うのです。
突き詰めてみるのは簡単ではないけど、奥が深くて、その先には(きっと)すごい世界が広がっているんですよ。

ナマエナマエ 2010/09/30 02:33 数学は他の学問に無い断絶、敷居、がある。例えるなら「絶対音感」的なものが。
数学ができない人間は、この絶対音感的なものが備わっていないことが実感できるので、
謙虚にへりくだることが出来る。

しかし数学のできる人間はそれが理解できないので、
「パンが無ければケーキを食べればいいんじゃない?」的な、
「悪気の無い傲慢さ」を発揮してしまうんじゃないかな、例えばこの記事のような。

rikunorarikunora 2010/10/01 09:44 実はその後、この話題についての反応が2つに分かれることに気付きました。
「その通りだ」という人と、「全く傲慢だ」という人です。
私が言いたかったのは、「何かが理解出来たからといって威張ることもないし、
出来なかったからといって落ち込む必要もない」ということだったのですが・・・

かつて、私は極度の機械オンチという人に会ったことがあります。
パソコンを見るのもイヤ、キーボードを触るのもイヤ、というレベル。
他人から見ればどうってことはないのですが、
本人にとってみれば大変な不利を被っていることでしょう。
それを「えっ、パソコンなんて誰でも普通にできるよ」なんて言うと、
ものすごく傲慢に聞こえると思います。
たぶん、そういうことなのだろうと思っています。

ナマエナマエ 2010/10/01 16:46 「逆にこの本文そのものも、メタメッセージを深読みすると嫌味に見えるよ?」という
切り返しジョーク的なコメントなので、本気で不快感を感じた訳ではないです、スミマセン…

しかし「おしなべて人間は全てのスキルのある程度の能力を有する」みたいな幻想は早く社会から抹殺すべき。

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