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小人さんの妄想 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2010-04-29

虚数の虚数乗

1.虚数単位 i = √-1 の虚数単位乗、i ^ i はいくつになるか?

2.虚数単位の虚数単位乗 i ^ i ^ i ^ i ・・・ をどこまでも続けていったら、どうなるか?

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先に答を言っちゃいます。

 1.e^(-π/2) という実数になります。

 2.どうやら、とある複素数に収束するらしいのです。

数式処理サイト、Wolfram|Alphaで確認してみましょう >> http://www.wolframalpha.com/


1.Wolfram|Alphaで「 ComplexExpand[I^I] 」と入力してみます。

虚数単位は大文字 I、ComplexExpand は複素数の形式で表示する、ということ)

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答は e^(-π/2)、約 0.20788... という数になりました。


2.x = i^i^i^i^・・・だとすると、i^x = x となっていることでしょう。

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そこで、Wolfram|Alphaで「 Solve[I^x == x, x] 」と入力してみます。

(Solve[*, x]は方程式 * を x について解け、ということ)

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すると、上のような答が得られました。

Wnとあるところは、ランベルトのW関数というものです >> wikipedia:ランベルトのW関数


なぜ上のような答になるのか。

1.の解説は下のブログを見ましょう(他力本願)。

* 数学って面白い!? --「無理数乗」と「虚数乗」

>> http://blog.livedoor.jp/enjoy_math/archives/50662295.html

「一瞬で求まります」と書いてありますが、私は大いに悩んだよ。

さて、確かにこれで i^i = e^(-π/2) ということが分かったのですが、

いまひとつイメージというか、全体の形のようなものが見えてきません。

そこで、さらに Wolfram|Alphaを駆使して f(z) = i^z (z = x+iy) という複素関数のグラフを描いてみました。

Wolfram|Alpha で「 plot Re[I ^ (x + I y)] 」と入力してみます。

すると、こんなグラフが得られます。なんと3D。

Re は実数部分という意味です。つまりこれは、i^z の実数部だけを表示したものです。

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虚数部を表示するには、Wolfram|Alpha で「 plot Im[I ^ (x + I y)] 」と入力してみます。

Im は虚数部分という意味です。つまりこれが、i^z の虚数部です。

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f(z) = i^z の全容は、上の2枚の3Dグラフを合わせたものになります。

複素関数は、定義域が実数と虚数で2つの数字、値域が実数と虚数で2つの数字、

合わせて4つの数字なので4Dとなります。

4Dということは1枚の絵には収まらなくて、上の2枚の3Dグラフを脳内で合成することになるのですが

・・・想像が付くでしょうか。

例えば、上の3Dグラフの中から i ^ (i x) (xは実数) という部分を取り出すと、次のようになります。

f:id:rikunora:20100429185505g:image

つまり、3Dグラフをこの断面で切ると、指数関数になっているのです。

この指数関数のグラフ上で、x=1 のところが e^(-π/2) となっているわけです。

実はこのとき(肩に掛かっている数が純虚数のとき)、 i ^ (i x) の値は実数となります。

そのことは「 plot Im[I^(I x)] 」として虚数部のグラフを描こうとすると、値が0となることで確認できます。

あるいは、上の3Dグラフの中から i ^ (y) (yは実数) という部分だけを取り出すと、次のようになります。

f:id:rikunora:20100429185540g:image

この切り口から見ると、ちょうど Cos(y * π/2) といった形になっています。

全体として見ると f(z) = i^z という複素関数は、指数関数三角関数が組み合わさったような形をしているのです。

参考: e^z という複素関数の形は、こんな風になっています。

* 複素数の指数関数 >> id:rikunora:20090607


続いて、問題の2.を見てみましょう。

i ^ i ^ i ^ i ^ ・・・は、どうなるか。

下から順番にやってみましょう。

i ^ i のことは分かったので、次は、i ^ i ^ i (iが3個)。

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それでは、i ^ i ^ i ^ i(iが4個)は、どうなるか。

f:id:rikunora:20100429185702g:image

ならば、i ^ i ^ i ^ i ^ i (iが5個)は、どうだ。

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試したところ、i ^ i ^ i ^ i ^ i ^ i (iが6個)までは答えてくれました。

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以上を眺めてみると、なんとなく規則性が見えてきませんか。

つまり、こういうことなんです。

f:id:rikunora:20100429185911g:image

この規則性に基づいて、i^i^i^i... の値を計算してグラフを描いてみると、こんな風になりました。

f:id:rikunora:20100429185940g:image

なんと、複素平面上で渦を巻くようにして1点に収束していました。

100個目まで計算したところ、収束点はおよそ 0.438 + 0.360 i といった値でした。

たぶん、これが冒頭に示した答になっているのだと思います。

「たぶん」と付けたのは、実は冒頭の答には、ちょっと不確かなところがあるのです。

冒頭では、最初からあたかも i^i^i^i... の答が存在しているかのように式を入力していますが、

本当に i^i^i^i... の答が存在するのかどうか(収束するのかどうか)確かめていません。

ここでは実際に計算してみて、答が1点に集まりそうだということで、とりあえず良しとしちゃいます。

(だから「たぶん」なんです。。。)


ここで1つ、問題を思い付いてしまった。

 問題: z^z^z^z^... という式の値が収束する複素数 z の範囲を求めよ。

うーむ、どこから手をつけたものか。。。

とりあえずパソコンの計算力にものを言わせて、複素平面を絨毯爆撃するプログラムなら作れるけど。

# そこで作ってみたのが次の記事です >> id:rikunora:20100504


ちなみに実数の範囲で、√x^√x^√x^√x ... という計算は、x < e^(2/e) で収束するようです。

* 参考:WolframAlphaで√2^√2^√2・・・ >> id:rikunora:20090531

この√の√乗の連なり、上で紹介した「数学って面白い!?」ブログでも取り上げられていました。

>> http://blog.livedoor.jp/enjoy_math/archives/50662295.html


※おまけ: とある画像を作ってみた。いい感じ。

f:id:rikunora:20100429200612p:image

* とある櫻花の画像生成(ジェネレーター)>> http://to-a.ru/


俄僅俄僅 2010/04/30 15:38 i^i^i^… の図に出てくる点が、ヒマワリの種とフィボナッチ数列との関係を連想させました。
しかしこの手の問題は難しいですねー。a_{n+1}=z^(a_n)として|a_{n+1}|を評価するだけでも困難という。

rikunorarikunora 2010/05/01 07:44 このグラフが描けたときには、おおっ!と思いましたよ。
確かに、フィボナッチ数列の美しさに相通じるものがありますね。
最近はパソコンとネットの力がすごくて、こんなグラフもわりと手軽に作れます。
手計算でやっていたら、とてもできない。

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