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小人さんの妄想 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2010-08-26

天才ガロアの発想力

ガロア理論とは何か?

・200年ほど前、1人の天才少年が切り開いた数学の理論で、

・あまりの抽象性の高さに、当時は誰も理解できなかった。

・ところが時代を経るにつれて、その理論は次第に重要性を増してきて、

・今となっては科学を語る上で外せない基礎理論となった。

この難解なガロア理論を、何とか分からせてやるぜ、という意気込みの本が出ました。

天才ガロアの発想力 ?対称性と群が明かす方程式の秘密? (tanQブックス)

天才ガロアの発想力 ?対称性と群が明かす方程式の秘密? (tanQブックス)

ガロア理論について「お話だけで終わっている」わけでもなく、

さりとて「すごく難しい」わけでもない中間レベルの解説書。

たぶん、この本が初の試みなのではないかと思います。

* 『天才ガロアの発想力』出ました! >> id:hiroyukikojima:20100821

実は私、この本には少なからぬ興味と思い入れがあります。

というのは、私自身、何とかガロア理論を理解しようとあれこれ本を読み漁ったあげく、こんなサイトを作っていたからです。

* Gの夢 〜 解けない方程式の謎を解く >> http://galois.motion.ne.jp/

私は「高校生でもわかる 泥臭い群論入門」を目標にサイトを作りました。

しかし、この本は「意欲のある中学生なら読める」ことを目標に書かれています。

・・・なんか、負けたような気がする・・・(いや、最初から勝負になっていないのですが)

実際、この本に必要な予備知識は「二次方程式を理解していること」だけです。

なので、中学生でも読めるってことになる。。。現実的にはちょっと厳しいと思うけど。

とにかく予備知識が必要最小限、というアオリは間違いないと思います。


この本を読んで気付いたのは、発想の出所、参考文献が、私のサイトと大きく重なっているということでした。

それもそのはず、本の著者である小島先生のブログは、実は私のサイトのアイデアの源泉だったのです。

以前、私がガロア理論のことを知ろうとあちこち調べていたとき、偶然こんなページに引っかかりました。

* ガロアの定理をわかりたいならば >> id:hiroyukikojima:20080327

絶対お勧めなのが、この草場先生の本を読むことである。

これでわからなかったら、「ガロア理論は心底向かない」と諦めるべきかもしれないくらいだ。

(そりゃいいすぎかな)。たぶん、この本が、ガロアの定理までの最短距離なんじゃないか、と感じる。

ガロワと方程式 (すうがくぶっくす)

ガロワと方程式 (すうがくぶっくす)

そうか、これを読めばガロア理論が分かるのか! と思い立ち、さっそくこの本を入手。

で、一読してガロア理論が分かったのか。。。残念ながら、そう簡単ではありませんでした。

特に後半になるとかなりキツくて、ほとんど落ちこぼれそうになりましたよ。

でも、ブログには「これでわからなかったら諦めろ」と書いてある。

なので、これでダメなら他の何を読んでもダメだろうと腹をくくって、何度も見返しました。

結果的に、ガロア理論の理解に一番役に立ったのがこの本でした。

ブログに書かれていた言は、ウソではなかった。


もう1つ、同じく小島先生のブログに、ガロア理論を理解するための重大なヒントが書かれていました。

* 数学のフィロソフィー >> id:hiroyukikojima:20081104

複素数を考えるときにはしばしばー1の平方根を一つ決めて、それを虚数単位 i で表します。(中略)。むろん、はじめに決めたー1の平方根 i には選び方が二通りあり、しかも二つの平方根は区別がつかないので、私が決めますといった i とあなたが決めますといった i が一致するかどうか判断することもできません。しかし、 i を決めてしまえば、二つの平方根のうちどちらを i としていたかに関わらず同じ数学が展開されます。(中略)。i を決めずに議論を続けていくうちに、一方を i として決めた数学と他方を i として決めた数学が二重に重なって現れるということまで起こります。

このくだりに、ピンときた。

大げさに言えば、対称性について、何か悟りを開いたような気持ちになったのです。

 「対称性とは、区別がつかないことと見つけたり」

ここで悟った(?!)内容を、私なりの言葉で言い表してみたのが下のページです。

* Gとリンの数学夜話・第2回:複素数の形

 >> http://galois.motion.ne.jp/stories/G_Math_02.html

「天才ガロアの発想力」には、この「対称性の悟り」について、もっと平易な形で書かれています。

ここのところが読み取れれば、「わかった!」という気持ちになれると思います。


まだあります。私のサイトのタイトルは「Gの夢」です。

このタイトルは「ガロアの夢」という本から取っています。

ガロアの夢―群論と微分方程式

ガロアの夢―群論と微分方程式

ガロアの夢とは何か。それは、ガロア理論微分方程式への応用です。>> wikipedia:微分ガロア理論

「天才ガロアの発想力」の最後の章、「ガロア群論のその後の発展」は、このガロアの夢について費やされています。

本来であればとても新書のおまけに収まるような内容ではないのですが、それを最終章に持ってきた作者の意気込みを感じます。

この「ガロアの夢」について、私は半分も理解できていません。

いつか理解できるようになりたいなー、というのが生涯の目標です。


限られた予備知識の中で、できるだけ分かりやすくガロア理論をまとめるにはどうすれば良いか。

この「天才ガロアの発想力」では、とにかくキモであるガロア対応を最終目標に据えて、

そこに向けて必要最小限の道具立てを用意する、といった構成を採っています。

 ・体とは何かを説明し、

 ・群とは何かを説明し、

 ・部分群、ハッセ図

 ・複素数

 ・3次方程式が解けるからくり

そして最後に

 ・ガロアの定理、「それなり版」の証明

 ・ガロアの夢。

目標に不要なものはこの際バッサリ削って、何が必要なことなのか、注意深く考えられた章立てになっています。

ちなみに、私がサイトを作るにあたってどんな順番に項目を並べたかというと、

 ・二次方程式 -> 三次方程式 -> 四次方程式 ---> 五次方程式

ふつー、何も考えずに項目を並べていったら、こういう風になるんです。

この章立てを見ても、いかにこの本の構想が良く練られているかがわかるでしょう。


結局何が言いたかったのかといえば、

  まぁ、読めや

ってこと。

今の時点で、間違いなくこの本がガロア理論に至る最短ルートだと思います。

あと、せっかくここまで来たのなら、ついでにこっちも見ていってくれい。

* Gの夢 >> http://galois.motion.ne.jp/


271828271828 2010/08/29 04:13 rikunoraさん おはよう

ガロアの理論を深く理解しているかは別として、私もガロア好きなので本だけは沢山持っています。『アーベル ガロア 群と代数方程式』(共立出版)、『正20面体と5次方程式』(F.クライン、シュプリンガー)他です。
この記事がきっかけで山下純一さんの『ガロアへのレクイエム』(現代数学社、1986年)の最初の章を読み返しました。山下さんは『ガロア全集』からガロアのレポートやら最初の論文までその概要を紹介してくれます。
ガロアが17歳の時に書いた最初の論文は「循環連分数に関する一定理の証明」で生存中に出版されました。この定理は、2次の無理数が循環連分数で表されるときに、その共役解との関係を述べています。
次が「代数方程式の数値解法」で、解くべき方程式をφ(x)=xと変形して解く方法について述べてあります。

昔の私はこんなテーマには興味が沸かなかったでしょうが、「gb効果」もあって、今は面白いと思っています。暇があったら紹介したいですね。

T_NAKAT_NAKA 2010/08/29 14:51 ガロア理論は私も少なからず本を持っているのですが、よく解っていない状態です。
(「ガロアの群論 (中村 亨・ブルーバックス) 」も途中で積読になってしまっています)
rikunoraさんのこの記事を読んで、また挑戦したいと感じ始めました。本の紹介ありがとうございます。

さて「-1の平方根」の話はこんな記事を書いた記憶があります。
http://teenaka.at.webry.info/200701/article_16.html
しかし、この話は意外と理解されないようですね。

KETARUKETARU 2010/08/30 13:06  来年は生誕200年ですね。

 いまだにシュヴァリエへの手紙の半分も読めないのは情けないなと思っている所でした。

rikunorarikunora 2010/08/31 09:42 これほどまでガロアに興味が集まるとは、
やはり皆さん「いつかはガロア理論」と思われているのでしょうか(笑)
まじめに、ガロア理論の勉強会とか企画した方が良いのだろうか。

271828さん、
私も文献で「循環連分数に関する一定理」を見たことがあります。
これ以外に直接的な文献は見たことがありません。
いつもながら資料がたくさん出てきますね!

T_NAKAさん、
記事の方、拝見しました。そうなんですよ、つまり、こういうことが言いたかったのです。
言葉にすると「iと -iの区別が付かない」、
「どちらかをiに選ぶとき、実は選び手が恣意的に一方を選び取っている。」
このことはうまく言葉になりにくいというか、なかなか表現しずらいことだと思うのです。

KETARUさん、
手紙の後半は未だもって謎です。次のように書いている人がいます。
http://www.math.sci.osaka-u.ac.jp/~ohyama/frame/kougi/past/galois.html
Je n'ai pas le temps (僕には時間がない) ばかりが有名な一節ですが、
sur l'application a l'analyse transcendante de la theorie de l'ambiguite
(曖昧の理論を超越解析学へ応用することについて)が重要であると私は確信する。

KETARUKETARU 2010/09/12 02:51 手紙の後半(積分論)の日本語解説は、デュドネ編:「数学史―1700‐1900 (2)」がよくまとまっていました。

と書いておきますね。(新たな謎が増えちゃいますけど)

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