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小人さんの妄想 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2011-10-27

バタートーストの法則を検証する

「食パンを落とすと必ずバターが付いているほうが下になる」

有名なマーフィーの法則の中の1つです。

(選択重力の法則、とも呼ばれています。他に、

「落としたトーストがバターを塗った面を下にして着地する確率は、カーペットの値段に比例する」

という法則もあるようです >> wikipedia:マーフィーの法則

果たしてこの、バタートーストの法則は本当なのか?

ひょっとすると、トーストの重たい面の方が落ちやすいのかもしれませんし、

何か超心理的な力(?!)が働くのかもしれません。

そこで、とにかく試してみることにしました。

f:id:rikunora:20111023104157j:image

トーストにバターを塗ったものを、50回ずつ、2セット落としてみました。

落下の方法は、立った状態で、トーストを食べようとする姿勢からポロッと取りこぼす感じで。

偏りを防ぐため、左右の手で同数ずつ試しました。

f:id:rikunora:20111023104446j:image

本当はもう少し回数を増やしたかったのですが、50回も落とすとトーストがボロボロになるので、この辺が限界。

2セットというのは、2枚食べたらおなかいっぱいになったということです。

■結果 バターが下:バターが上

1セット目 18回:32回

2セット目 30回:20回

1セット目と2セット目ではずいぶん結果にばらつきがありますが、

それでも全体として見れば、やはり表と裏の回数は5分5分でした。

# 50回中 18回(以下)が下になる確率は、たった3%程度なんです。

# かなり珍しいことが起こったものです。

# EXCELで「=BINOMDIST(18,50,1/2,TRUE)」として計算。

しかし、実はここに数字には表れていない一つの事実があったのです。

それは、1セット目の最初に落としたときに、ものの見事にバター面が下になったということと、

2セット目の最初にも、やはりバター面が下になったということです。

つまりバタートーストは、たとえ確率的に5分5分であっても、

ここぞという正念場ではバター面を下に向けてくるのです!

そもそも確率とは大数の向かう先の収束値であって、ただ1度についての言明ではありません。

たった1度の勝負どころでは、確率を無視した別の法則が働く・・・

これこそが真のマーフィーの法則なのではないかと思うわけです。


ところで、1枚の板の裏表に重さの違いがあったなら、やはり重い方が下になって落ちるのでしょうか。

一見当然に思えるこの予想にも、疑わしい点があります。

1.重いものと軽いものを同時に落下させたら、物体の重さによらず、同時に落ちるはずではなかったのか?

2.1枚の鉄板の片面に厚くペンキを塗ったら、ペンキの面の方が上を向くと思う?

実は物体の重さの偏りは、落ち方に無関係なのではないでしょうか?

次に、バタートーストよりも重さの違いがはっきりわかるような物体で試してみました。

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木片ブロックの片面に、おもりとして手頃な磁石を張り付けたものを用意しました。

木片ブロックの大きさは、3x3x1cm です。

これを50回x4セット投げてみました。

■結果 おもりが下:おもりが上:横になって立った

1セット目 34 : 13 : 3

2セット目 22 : 20 : 8

3セット目 29 : 18 : 3

4セット目 33 : 12 : 5

意外と横になって立つ回数が多かった。

横になって立った回数は上と下に半分ずつ振り分けて、4セットを合計した回数で調べると、

おもりが下:おもりが上

 127.5 : 72.5

仮に上下に差がないとすると、これだけの違いが生じる確率はわずか0.004%、

つまり、確かにおもりが下になる方が多い、という結果になりました。

# EXCELで「=BINOMDIST(72.5,200,1/2,TRUE)」として計算。

だとすると、あの「物体は重さによらず、同時に落下する」という知識はウソなのか?


ここで改めて落下した木片ブロックを見直してみました。

実際にブロックを転がしてみると、ある程度の傾きがあっても、

起きあがりこぼしのようにおもりが下になって倒れる傾向があります。

こんな風にして角度を測ると、ブロックを35度まで傾けてもおもりが下になりました。

f:id:rikunora:20111023134903j:image

ということは、たとえブロックが空中で全くランダムな向きだったとしても、

着地の瞬間に35度の分だけおもりが下になる範囲が広いので、

結果としておもりが下になる率が上がるのではないでしょうか。

そこで、おもりが下になる範囲の割合を見積ってみました。

f:id:rikunora:20111027124859p:image

木片ブロックの形状と角度から考えて、ざっと、

・50%はおもりが下、

・25%はおもりが上、

・残る25%は、上下が半分ずつ

となります。

# おもりが上の範囲は、ブロック辺で傾けた角度が 35度ということから、

# ブロックの角で傾けた角度は 24度、平均的な立体角は約30度、ということで約25%としました。

この予想からすると、おもりが下になる回数は

  200回 x (50% + 25%/2) = 125回

実際におもりが下になったのは 127.5回 ですから、ほとんど一致しています!

いやー、ここまでぴったり合うとは思わなかった。


結論その1: 重さの偏った物体は、空中ではランダムな向きを向いているが、着地の瞬間に向きを決める。

結論その2: マーフィー大尉は、ものすごくたくさんバターを塗っていたものと考えられる。


その後、詳しく計算しているホームページを見つけました。# 10/28追記

* 重心のずれたサイコロの目の出る確率 >> http://www1.odn.ne.jp/sugihara/geotemple/dice.html

計算上必要となる球面三角形の面積はこちら。これは見事な考え方だ!

* 球面過剰 >> http://www.irf.se/~futaana/Kiruna/50_Kyumen.html

バタートーストの法則は、実は1996年度イグ・ノーベル物理学賞の研究対象でした。# 11/02追記

『落下するトースト力学的分析』>> http://roverandom.blog52.fc2.com/blog-entry-506.html

論文(英語.有料)はこちら >> http://iopscience.iop.org/0143-0807/16/4/005

 水谷さん、コメントThanks!

過去記事:

* ガリレオによろしく >> id:rikunora:20100329

* 歪んだサイコロ >> id:rikunora:20100308

俄僅俄僅 2011/10/28 04:46 相変わらずすごい実験してますねwww

rikunorarikunora 2011/10/28 10:15 実験楽しいですよ。何か落っこどしているだけですしwww

とねとね 2011/10/29 20:51 毎回楽しませてもらっています。
50回くらいの実験でパンはぼろぼろになるほど崩れてしまうのですね!

今回の記事も「確率」がテーマということで、僕のほうの記事とかぶりましたね。これも何かの法則??(笑)

rikunorarikunora 2011/11/01 19:06 それと、実験後は周囲がベトベトになったという惨事がありました。

世の中には確率を超えたシンクロ?みたいなものがあるんですかねぇ。
でも、あまりつっこむと科学的ではない領域に入ってしまうので、ほどほどにしておきます。

水谷水谷 2011/11/02 07:21 イグノーベルの物理学賞で同じ実験がありましたね。
その後2万1000回のトースト落下実験で、60%ほどの確率でバターを塗った面が下になったとか。

rikunorarikunora 2011/11/02 13:06 しまった、イグノーベル賞を取り損なったwww
でも、この圧倒的な実験回数の違いに、天才と凡人の差を感じます。

 2012/04/08 00:49 カーペットの値段がファクターに入っていないんだが・・

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