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小人さんの妄想 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2013-08-14

なぜ中間管理職が多数を占めるのか

まずはこの図を見てください。

f:id:rikunora:20130814125200p:image

多くの会社組織は、いわゆるピラミッド型になっています。

一握りのトップ、現場を支える生産者、そして、トップと現場を結ぶ中間管理職。

組織の形からすると、大ざっぱに言って、

 ・トップは点

 ・現場は線

 ・中間管理職は面

となっています。

仮に、現場の規模=底辺の長さ=Lとすると、

 ・中間管理職の面積はLの2乗に比例する

ということになるでしょう。

これが、組織が大きくなるほど中間管理職の占める比率が増大する本質的な理由です。

組織が巨大になればなるほど、内部調整に多くを割くようになる。

ある大会社に勤めている人が、こんなことをぼやいていました。

「仕事のほとんどは、会議と、報告書と、内部調整。実際に何かを生産している時間は1割にも満たない」と。


大きくなるほど内部調整に多くを割く、という構造は、会社組織以外にも広くあてはまると思います。

1例を挙げるとすれば、私たちの体。

血管も神経も、言うなれば内部調整のための組織です。

もっと小さな、原始的な生き物であれば、そこまで複雑な調整組織は要らない。

本格的なオーディオシステムでは、電気回路のかなり多くの部分がシステム間のインターフェースに占められています。

これを一体型コンポにすると、相当のコストダウンが図れます。

電気回路を1チップに集積すると無駄が省けるのも、同様の理由です。


もっとはっきりわかる、巨大システムの代表例と言えば、コンピュータソフトウェアでしょう。

ソフトウェアシステムの複雑さは、システムの規模に比例するのではなく、さらに大きなオーダーで増大します。

ということは、ソフトウェアの規模と複雑さの関係を調べれば、

「組織における内部調整の占める割合」について、定量的な目星が付けられるのではないでしょうか。

そう考えて、実際のコンピュータシステムを調べてみました。


以下では、私が実際に調べることのできたWEBシステムを取り上げます。

各システムの詳細を明かすことはできませんが、いずでもインターネット上で公開されていて、

パソコンのWEBブラウザによってアクセスするようなシステムです。

「組織の複雑さ」を測る目安として、ここではファイル数を取り上げました。

f:id:rikunora:20130814125249p:image

この表は小規模から大規模まで、4つのWEBシステムのファイル数を数え上げたものです。

表中の数字の意味は、次の通り。

「Viewファイル数」= 直接ブラウザから見ることのできるファイル数。

   画像、スタイルシート等デザイン要素は含まない。

   これが「底辺=現場の生産者」に対応する数字です。

「裏方ファイル数」= 直接ブラウザから見ることのできないファイル数。

   これが「中間管理職」に対応します。(トップにあたる部分は無視しています。)

「全ファイル数」= Viewファイル数+裏方ファイル数。

比率」= Viewファイル数 / 全ファイル数。

Viewファイル数と、裏方ファイル数を積み上げグラフにすると、こうなります。

f:id:rikunora:20130814125320p:image

Viewファイル数が青、裏方ファイル数が赤。

このグラフでは小規模の方が潰れてよく見えないので、全体を100%とした割合に書き直してみると、

f:id:rikunora:20130814125351p:image

確かに、大規模になるほど「全体に対する生産者比率」が低下しています。

たった4つのサンプルなのに、見事なほど直線になったのには我ながら驚きました。

(決して意図的に選んだわけではない。)

組織の規模=全ファイル数だと考えると、より正確には、グラフの横軸を全ファイル数にすべきです。

f:id:rikunora:20130814125419p:image

たった4つなのではっきりとは言えませんが、なんとなく、一定のカーブを描いて減少しているのかなぁ、といった感じです。

このカーブの曲り具合は、いわば「生産者の低下率」、あるいは「中間管理職の増加率」と言えそうです。

そこで、このカーブをべき乗 〜 1/N乗であると見て、R言語を使って低下率(あるいは増加率)を調べてみました。

# R言語上での操作

> N_File <- c(12, 80, 370, 5929)

> N_View <- c(8, 39, 127, 1586)

> plot( N_File, N_View )

> result = nls( N_View ~ N_File ^ A, start=c(A=1), trace=T)

18922395 : 1

1604648 : 0.9156347

59974.67 : 0.8645432

810.7571 : 0.8492257

568.4242 : 0.8481084

568.4177 : 0.8481026

> result

Nonlinear regression model

model: N_View ~ N_File^A

data: parent.frame()

A

0.8481

residual sum-of-squares: 568.4

Number of iterations to convergence: 5

Achieved convergence tolerance: 1.148e-06

> lines( N_File, fitted(result), col="red")

f:id:rikunora:20130814125452p:image

その結果、べき乗の指数として 1/0.8481 を得ました。

冒頭の説明で、

 ・中間管理職の面積はLの2乗に比例する

と書きましたが、WEBシステムのファイル数で見た限り、これは少々大げさだったようです。

冒頭では組織を平面=2次元の三角形で書き表したから「2乗」という数字が出てきたのですが、

WEBシステムの数字を当てはめれば、組織図はさしずめ 1/0.8481 = 1.18次元 で表現すべき、

ということになります。

2乗で想像するほど、強烈に中間管理職が増えるわけでもなかったようですね。


WEBシステムでやったのと同じことを、会社組織にあてはめれば、「会社組織の次元」が決定できるわけです。

残念ながら私の属する組織は小規模で、ほぼ全員が生産者兼管理職となっています。

どこか大きな組織に属している方、試しに数えてみてはいかがでしょうか。


少し細かいことですが、上の「中規模システムB」では既製のフレームワークというものを用いています。

フレームワークとは何かというと、システムの枠組みを規格化するための土台のようなものです。

会社組織の例えで言えば、社内ルールを明確化するため、外部コンサルティングを導入する、といったイメージです。

このフレームワークの部分だけで1000を超えるファイル数となるので、

裏方ファイルに含めて数えると、突出して異様な数値となります。

なのでフレームワークのファイル数はカウントに含めませんでした。

着目すべきは、フレームワークを除いて数えたとしてもファイル数の傾向に変化は見られない、

裏方ファイル数が減っているわけではない、という点です。

これはつまり、「フレームワークを導入したからといって楽にはならない」ことを意味します。

会社組織に例えるならば、コンサルを入れても余計な裏方作業が増えるばかりで、

実質的な生産増加にはつながらない、ってなことになるでしょう。

・・・これ以上突っ込むと藪から蛇が出そうなので、やめておきます(^^;)


T_NAKAT_NAKA 2013/08/15 18:49 コンサルとは少し違いますが、一時 ISO9000 導入ということが流行りました。これを取得してないと事実上ユーロ諸国へ製品を輸出できないので、製造業はかなりの企業が導入していますね。しかし、私の知る限りでは ISO9000 で設計・製造品質が向上したとか生産性が上がったなんて話は聞いたことがありません。このために、内部管理体制の締め付けがキツくなり要らない仕事が増えたような気がします。この記事を読んで、ISO はグローバル化などと言って枷を嵌めて日本を押さえつけるためのものではないか?なんて穿ったことを考えたりしてしまいました。

rikunorarikunora 2013/08/16 11:25 どうもこうした形式的な枠組みで、苦労の絶えない現場が増えている気がしますね。
私の身近でもISMSを取得された会社さんがありましたが、やはり現場の仕事は増えていたし。
このブログ記事は単なる興味だったのですが、何らかの方法で無駄作業が数字で示せれば、案外役に立つのかもしれません。

msms 2013/10/12 14:49 ブラボー! あなたは天才かも。
インタネットはくだらない書き込みばかりと思っていましたが、初めて素晴らしい知性に出会いました。

ISO9000については、私のいたところも同様で、多分どこでも同様で、その隠れた意図も,その通りだと思っていました。
その目的は、完璧に達成されたようですね。日本壊滅。

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