SABI−エンカウント

 砂の雨が降る。
 打ち上げ花火のように、しかし花火と呼ぶには程遠い錆色が弾け飛ぶ。
 散らばり落ちる砂の雨は徐々に黒い雨へ変化していく。
 その光景は、古いフィルムに残された人類の忌むべき行いを思い起こさせる。
 “ソレ”と戦う者であれば誰もが嫌悪するであろうその光景を、少年は何故だか「美しい」と表現した。



「これで、この周辺は片付きましたね。リクヤ」
 聞きなれた少女の声で少年、リクヤは現実へと引き戻された。
 少年、とは言うが実の所リクヤは少年と呼ぶにはかなり大人びた外見だった。鍛え抜かれた厚い筋肉、190cmはあろうかという巨躯、顔の中央に刻まれた傷が余計に年季を感じさせる。
「ナギ。油断はするな。お前はいつも自分の周囲4マスが見えてない」
 ナギと呼ばれた少女はリクヤの目線の先、自らの背後を振り返り、のそりと動く茶色い物体を捉えた。しかし、ナギが矢を番えるより早く、リクヤの担いでいたモーニングスターが錆色の塊を核ごとこなごなに粉砕する。
「ありがとう」
「俺には戦場に立つ立派な動機がない。だが、お前を守ることは出来る」
 長い黒髪を片手で払いながら、ナギは律儀に感謝を述べる。彼女もまた落ち着いた雰囲気の女性で、もう少し化粧っ気があればビルの受付嬢でもやっていそうな風貌である。
 しかし、いくら大人びて見えてもリクヤもナギもまだ15,6の少年少女だ。
 人工物、ひいては人類の発展した生活を蝕む「SABI」と日夜戦っているのは彼らのような10代の若者ばかりなのだ。
「それにしても、なんです?自分の周囲4マスって」
「俺も詳しくは知らん。タイガが言っていたから言葉を借りただけだ」
「タイガくん・・・・・・。どこまで行ってしまったんでしょう。途中まではフォロー出来ていたんですけど、見失ってしまいました」
 ナギがきょろきょろと辺りを見回すが、SABIによって崩壊した建物以外は何も見当たらない。
「何かあれば発煙筒を使うだろう。先に通信部隊と連絡を取った方が良い」
「・・・・・・そうですね。では、一度戻りましょうか」


 +++


「リクヤ。どうしてあなたは私に付いて来たんです?」
 合流を目指す道すがら、ナギはリクヤを見上げて何気なく問いかけた。
「だって、あなたまで前線の援護部隊に編入する必要は無かったはずです。リクヤはSABIに命を懸ける理由が見当たらないと、いつも言っていたじゃないですか」
 その言葉で、リクヤは訓練生時代の記憶を思い浮かべた。
 いつも怖がるばかりだったナギが、初めてあの言葉を口にした日のことを。
「俺は、出来る事を手の届く範囲でやっている。その延長線上にナギがいた」
 リクヤは考えていた事とは別の、彼女が喜びそうな言葉を選んで紡いだ。
「そう、ですか!ふふ、リクヤも“自分に出来る事”をしているんですね」
 ナギはまるで自分の事のように嬉しそうに笑った。跳ねるような歩調でリクヤの少し前を歩く。
 と、その時、建物の崩れるような大きな音と、視界の端にもうもうと立ち上る赤い煙が見えた。


「発煙筒の煙・・・・・・タイガくん!?」
「あの辺りは最初にSABIが発生した辺りか。残らず掃除したはずだが」
「リクヤ、行きましょう!」
「ああ」


 +++


 周囲には赤い煙が薄く残っていた。
 崩れた瓦礫から少し離れたアスファルトの上に小柄な少年が一人で立っている。長い斧のような、身の丈ほどもある得物を持った少年は、四方に神経を集中させいつでも動ける体勢で静止していた。
「タイガくん、何があったんです!?」
「やあ、ナギ。何が相手でも気を抜かないでくれると僕は嬉しいよ」
「SABIが再発生したんですね?援護体勢に入ります!」
 タイガは困ったように少し笑って、両手で掴んだ槍斧式・ハルバードを構えなおす。
「やっぱり、ナギには荷が重いかな」
 タイガが目をやった位置に小型の赤褐色の塊が出現した。
 そしてそのSABIを、片足で“踏みつけながら”二人の男が姿を現す。SABIと直に接しているにも関わらず、彼らの靴は一向に侵食される様子はない。
「え、どうして・・・・・・」
 戸惑うナギに、タイガは奥歯をギリと噛み締めた。顔つきを更に険しくして、ショットガンをこちらに向けたままの小柄な男を睨みつける。
「ナギ。何が相手でも気を抜かないでよ。じゃなきゃ、こっちがやられる」
「おらおら!仕事の時間だぜ、掃除屋さんよぉ!!」


――叫びながら引き金を引いた男の銃口からは、赤褐色の塊が生み出された。




 + + + + + +


続きは誰かが描いてくれるはず!←
折角だからエンカウントしちゃったぜー!!
あんたんの話の続きというわけではないですが、こういうこともあったら良いなということでv


リクヤにはリクヤなりの考え方があるんですが、今回はそこは書けなかったなー。
りっくんはナギナギがソラちゃんと何かあったことやソラが好きな事は大体察してます。
武器はモーニングスターって書いたけど、モルゲンステルンのほうが良いかな。
モーニングスターっていうとフレイル型のイメージがありますよね。
しまった。リクヤの年齢途中で変えたから片方間違ってる。
15歳です。
ナギ・16歳、リクヤ・15歳、タイガ・14歳。ナギナギがリーダー。
タイガが突っ込んで、ナギが核破壊して、リクヤがナギの周囲守る感じです。
でもタイガは某ゲームとか好んで遊んでたりするので、突っ込んではいるけど馬鹿ではないです。むしろ一番考えて行動してる。ルナティックモードでプレイするくらい(わし、無理やわ・・・w

サイズ小さめに表示してるので、詳しくはフォトライフへどぞー。
イラストの頭押したら云々は新喜劇参照(笑
カンサイチームに白線の内側まで下がったり連結とかされたらいいよ!!
なが〜〜〜いお付き合いの季節ですね。

機械とかゲームとかメカとかが好きな小生意気なチビガキです。とか言うと「僕ぐらいの年齢なら妥当な身長だと思うけど?」とかって下から見下します←
あと私の趣味で若干色んなゲームのセリフ引用します((
あとかめっちが半ズボンとか言ってたから半ズボンにしたで!(爆
バルディッシュかレイピアかいっそジャマダハル両手に!?とかも考えたけど、最終的に年少だけど武器の扱いが器用、というイメージで扱いの難しいハルバードにしました。あと自分の身の丈くらい長い武器振り回してるちっさいのはロマン。


かめっちが林・海・空なので(だよね?ね?)こっちもちょっと合わせたくて
陸・河・凪 です。