刺激的な園地視察

 早いものでもう7月。6月は日照時間が平年並みでありながら、雨量は平


年より多く、りんごの肥大はとても順調に進んでいます。昨日でりんごの袋


かけ作業が終わり、仕上げ摘果へと移りました。


 さて、先日のりんご剪定士研修では、2日目は園地視察を行いました。バ


スで青森市藤崎町平川市と回ったのですが、県内各地の篤農家さんのり


んご園を見て回る機会はとても貴重で、色々な気づきがありワクワクしま


す。


最初は青森市浪岡吉内の、津川昭寛さんのりんご園へ。



(交信攪乱材)

こちらでは、地区でまとまってコンフューザーRという交信攪乱材を設置し


殺虫剤の削減に取り組んでいるそうです。交信攪乱材とは、害虫のメスがオ


スを呼ぶために出す性フェロモンを化学合成し製剤化したものです。これを


設置した園地では性フェロモンが充満しているので、オスはメスの居所が分


からず交尾できず、次世代の個体数が激減するという仕組みです。慣行栽培


ではおよそ殺虫剤を約10回使用しますが、津川さんは年間で3回ほどとの


事でした。ただ、10アール当たりのコストが約8,000円と高価です


し、100アール以上の面積に設置しないと、隣りの園地で交尾したメスが


飛び込んできて産卵するので効果が劣る、などといった面もあります。



こちらは園地内に設置された、立派すぎるハチ小屋。半分ずつ2ヶ所に設置


した方が、ハチによる交配効果が高いのかなとも感じました。


 続いては、藤崎町三浦良一さんの園地へ。

三浦さんは、青森県りんご剪定士第1期生で、現在りんご剪定士研修では


我々4班を担当してくださっています。1か所に250アールとまとまって


園地があり、樹間も広めで採光性や風通りも良く、心地良い園地です。藤崎


町周辺は肥沃な土壌のため、肥料は主に春先の堆肥のみだそうで、40年間


続けているそうです。園地内を歩いていても、土がフカフカしていました。


こちらは、園地内に積まれていた薪です。薪は軒下などに積んで乾かし、屋


内へ移動させるのですが、上記写真の様にカゴに放り込むだけですと、積む


手間がかからず、通気性も良く、移動も楽々です。もちろんフォークリフト


があるという前提です。因みにりんご栽培においては、1箱20キロ前後の


りんご箱を平均で2000箱ほどトラックへ積み込みます。高齢化や労働力


不足を考慮すると、りんご栽培において使用する農業機械の中では、フォー


クリフトは投資する優先順位が高い気がします。三浦さんの効率化のアイデ


ィアの様に、園地視察はちょっとした気づきが刺激的でおもしろいです。


 最後は平川市へ移動し、我々が剪定させていただいている園地へ。

丸葉樹の園地は、霜やカラマツの被害で、りんごがあまり実っていませんで


した。剪定技術におごれるなという自然の戒めでしょうか。人工授粉なども


行う必要がありそうです。自分が担当している樹は、ジョナゴールドという


品種です。こちらは比較的豊産性でそこそこ実っていましたが、思っていた


より枝量が多く感じました。3年目最後の剪定は、もう少し大胆な剪定を心


掛けたいです。