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九大林政・フィールド日記2

森林政策学研究室スケジュール・Forest Policy Lab. Schedule

2011-02-14

南の国から・・・3(FGDその2 in グヌンキドル県)

前回に引き続き、別の村でFGDです。

本当は、前回のように先生の旦那さんが車で送ってくれることになっていましたが、急遽朝、子供が熱を出して子供も病院へ連れて行くことになり、先生と二人バイクで集落に向かうことに・・・

ジョグジャ市内から約50キロ(先生は市内まで40キロ離れているので90キロですが・・・)。前回は私有林の集落でしたが、今日の集落はHKm(Hutan Kemasyarakatan)という国有林での森林管理プログラムが実施されている集落です。自分は初めての訪問で、グヌンキドル県の県庁所在地であるウォノサリを通過して未知の地域でした。

今回は、床にござをひいての集会。

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前回と同じように、まずグループ分けをして、

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住民同士が話し合い、

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各グループごとに問題点を発表。

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最後に、ティティ先生が問題点を取りまとめ、今後の解決策(問題解決のために努力していくこと)について総括。

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ティティ先生の方からも今回の調査が九大との共同研究でP&Pの一環であることは住民に対して説明があっていますが、最後に前回と同じように先生より話をふられ、自己紹介とP&Pの趣旨説明をしました。住民にとっては、果たして彼は自分達とコミュニケーションができるのかというのが最大の心配事のようです。その心配事を取り除き、信頼関係を築くためにも自分の言葉でちゃんと伝えることは重要であるということは自分も理解しています。来月、ワークショップがあり、その時に多くの日本人教員・学生が訪問することもお願いしました。

ワークショップ時に来られる人には、本日の国有林(HKm)、前回の私有林、大学演習林のことなる3つの管理を案内できそうです。

FGDの合間の風景。

個別に聞き取り調査中(日本と同じですね)。

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本日の昼ご飯(バナナ付)

自分はこの魚(Lele)(ナマズ)が大好きです。

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FGD終了後、せっかくなので、近くでHKmが実施されている森林を見に行きました。チークが大分大きく成長しているので、樹間には日陰でも育つキャッサバが植えられています。15年前は全て荒廃地(森林がない状態)であったとのこと。

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散策中、関係者以外立ち入り禁止の看板がある謎の施設を発見しました。

先生が近くにいた農民のおじさん・おばさんに尋ねると入ってもかまわないとのことで、4人で潜入開始。

中にいた職員の方に先生が「大学から来た」ということを伝えると、見学を快諾してくれ、案内してくれることになりました。

謎の扉を開けると、

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リフトがありました。

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リフトに乗り、100メートル降下開始・・・

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地上がどんどん遠くなっていきます。

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あまり乗り気でない2人(T先生とHさん)と、その後ろで満面の笑みを浮かべる1人(Rさん)。

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リフトが着いても、リフトから降りてこない2人と

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1人でどんどん進んでいくRさん。

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この施設は国際援助によって作られた地下水の集水施設でした。

グヌンキドル県の南部カルスト台地の上にあって、特に乾期は深刻な水不足です。ただ地下には多くの地下水(地下川)が流れているのは自分も文献・資料で知っていました。

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実際に轟音を立てて、ものすごい水量の川が流れていました。

地上の森林(HKm実施地域)の下にはこれだけの水が流れているんですね。

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現時点では、技術的な問題でこの地下水を利用することがまだできませんが、将来国の発展とともに技術が発展した時には、この地下水で灌漑したり、飲料水や生活用水を確保したり時代がいずれ来ると思います。

最後は、チリの鉱山の話をしながら、4名無事に生還しました!!

(藤原)

2011-02-12

南の国から・・・2(FGD)

P&P研究の一環で、一昨日よりこちらの研究室が前回の自分の調査地であるグヌンキドル県で調査に入っています。本日、FGD (Forum Group Discussion)をやるとのことで、朝から行ってきました。

今日は朝9時からFGDを集落でやるとのことで、准教授の先生が車で朝8時に寮でピックアップして出発とのことでしたが・・・9時に寮を出発・・・(どうも道に迷ったらしい・・・)。

准教授の旦那さんは、実は空軍パイロットです。近くの空港が軍併用で普段はそこで飛行機に乗っています。以前、断食明けの食事に招待してもらった時、飛行機を操縦できるなんてすごいですねと質問したら、慣れてしまえば、車も飛行機も変わらないらしい。そんな空軍仕込みのドラテクで、山道を走り、9時50分に現地に到着。すでに泊まり込んでいる研究室の友人に何時に出たの?と聞かれて9時と答えるとおどろいておりました・・・。

そんな感じで、9時開始が10時開始になり、FGDが何事もなく開幕(ちなみに日本のJRは1分以上を遅れというらしいです。インドネシアの人に日本ってどんな国って聞かれた時に、最近よくこの話をしています)

もう約2年半、こちらの研究室でお世話になっていますが、これまでに自分の調査で個別に手助けしてもらうことはあったものの、こちらの研究室主導の調査に自分がついていくのは初めてです。FGDも、研究室で口頭で説明してもらって、何となく内容は理解していたものの、実際に体験するのは初めてでかなり興味がありました。

自分にとっては、前回の調査終了後、約1年ぶりに調査地のおじさん達の皆さんとの再会です。

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第1ステップとして、村内にある森林管理に関する組織・グループを洗い出していきます。そして、本日の参加者を、そのグループに沿っておおまかにグループ分け(本日は3グループに分けました)。この時、調査者は存在する組織を住民に尋ねながら分類する手助けをします。

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第2ステップとして、そのグループの中で、住民同士が話し合い(ディスカッション)をしながら、組織が設立された背景・活動目的・森林管理の中での組織の役割・現時点での問題点を洗い出していきます。この時、調査者はあくまでもディスカッションファシリテーターで、主役は住民です。

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第3ステップとして、ディスカッションの結果をグループごとに発表します。この時、足りない情報があれば、他の参加者や調査者も不足情報を提供します。

本日プレゼンをされた皆様。学会発表っぽい・・・

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最後に第4ステップとして、グループごとの発表の結果、浮かび上がった問題点をどのように解決していくのか話し合います。調査者も解決のアイデアを出しながらも、あくまでも住民に尋ねながら、調査者が一方的に解決策を提示するのではなく、住民の自己解決を手助けするといった感じです。

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自分はこれまでの調査手法として対面調査(1対1のインタビュー)やアンケート調査はしたことがありますが、本日FGDを実際に体験して、研究と実践を同時に行うすごい調査技術だなぁと勉強になりました。調査者としては、研究に必要なある種確実な調査結果(複数の住民の証言による結果)を得ると同時に、住民側としても調査者がファシリテーターとなり、住民同士が話し合う機会や問題点について一緒に考え解決策を模索するというエンパワーメントやキャパシティビルディングが行われ、良い手法だと思います。

ただディスカッションを正しい方向に導く能力、住民から意見を引き出す能力、そして何より住民からの信頼がなければFGDはできないので、その信頼関係を築く能力等様々な能力が必要で、調査者に求められる能力は多岐に渡り、難易度はかなり高そうでですが、いずれ身に着けたい調査能力です。

また久しぶりに集落を訪れて、以前はなかった木材乾燥機を発見!!

本集落は森林認証を取得していますが、住民が望むプレミアムプライスとしての木材価格の上昇は未だにありません。

付加価値をつけるため認証材を使った木工品を作るなどの活動は昨年始まっていましたが、それに加え今後、認証材の乾燥材に取り組んでいくようです。木材価格を少しでも上げたい。その思いはどの国の生産者も同じです。訪れる度に何か新しい活動が始まっているので、調査がおもしろい集落です。

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(藤原)

2010-06-22

ベストショット

 今年度から2年間、D3藤原君の留学先インドネシア・ガジャマダ大学を中心としてアジアの森林管理条件をテーマとして共同研究を開始することになりました。6月11〜15日までその研究打ち合わせを行ってきました。

 調査に入るグルンキドルはインドネシアでは珍しい小規模私有林地域で、今回、訪ねる機会がありました。13日の日曜日、賑やかなムラの祭りの真っ最中でした。多くの若者が参加し、ハレの舞台で輝いていて、日本の1950年代の山村を彷彿とさせるような熱気に包まれていました。その中でベストショットを紹介します。

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 また、2年間お世話になるアワン教授以下、社会林業研究所のメンバーです。フィールド調査には3人の女性研究者が活躍してくれることになりそうです。

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(久しぶりに:佐藤)

2009-05-31

オープンフォーラムの様子

The 8th Meeting of the Asia Forest Partnership & Dialogue

2009年5月27日(水)〜29日(金)にかけて、インドネシア(バリ)で、The 8th Meeting of the Asia Forest Partnership & AFP Dialogue: REDD and Combating Illegal Loggingが開催されました。今回の記事は、その会議内容の速報です。

Asia Forest Partnership(AFP)は、2002年のヨハネスブルグサミットにおいて、これまでの国際交渉の形態とは異なり、タイプ2と呼ばれる新しい国際交渉の形態として、5年間の期限付きのパートナーシップとして発足に至りました。フェーズI(2002〜2007年)では、日本とインドネシアの両国において、7回の実施促進会合が開催され、2007年に横浜で開催された第7回実施促進会合(AFP7)では、フェーズIのAFPの活動の評価された後、Announcement on Renewal and Revision of the Mandate, Focus and Operational Modalities of the Asia Forest Partnership for 2008-2015がパートナーの合意によって採択され、2008〜2015年の8年間をフェーズIIとして、AFPを主にパートナー間の情報交換の場として引き続き継続していくことが決定されました。

そのため、今回の第8回実施促進会合は、フェーズIIにおける第1回目のAFP会合にもあたります。

今回の会議には事前登録として、44か国から約320名の参加登録があり、実際の参加者数(パートナーフォーラムとオープンフォーラムの合計・当日参加者を含む)は279名でした(正確な当日参加者数、パートナーと非パートナー・国別・組織別等の詳細については現在集計中です)。前回の第7回実施促進会合は、約32か国・130名の参加者でしたので、参加者数だけで言えば、前回より2倍以上の参加者があったことになります。

初日の27日は、パートナーフォーラム(一般非公開)があり、前回と同じようにオブザーバーの資格で参加しました。パートナーフォーラムでは、パートナーやAFP事務局から最新の活動についての報告があり、また中国からは2007年のAPECで中国政府を主導とし発足に至ったAPF Netの活動紹介がなされました。

28日・29日にかけて行われたオープンフォーラムでは、インドネシア林業省大臣の歓迎の挨拶に始まり、IPCCの議長によるビデオメッセージやREDDと違法伐採に関する合計17本報告が、UNFF、CIFOR、インドネシア林業省、WWF等からありました。また最終日の29日には、1)Governance and regional initiatives2)REDD, illegal logging and forest-dependent communities3)Economic and international implicationsの3つのワーキンググループによって更なる議論の深化が図られ、各ワーキンググループの議論結果は、Closing Plenaryの場において、各々のワーキンググループの議長より報告がなされました。

3日間の会議に参加して、フェーズIの会合と大きく異なる点は、今回の会議より法的拘束力は持たないものの、会議の成果とAFPパートナーの意向をまとめたものであり、UNFF等の他の持続可能な森林経営のプロセスに対するAFPからの提案でもある「AFPアナウンスメント」が採択されなかったことがあります。これは、前回の第7回実施促進会合において、フェーズIIではAFPはパートナーの情報交換の場として活用していくことへのパートナー間の合意がなされたことが大きいと考えられます。3日間の会議を通じて、一参加者である自分が感じたのは、国際交渉というより「学会」の雰囲気でした。

しかし一方では、会議場の外では、同じ興味を持つパートナー同士での話し合いやロビー活動も見られました。また今回の会議の参加者は、UNFF、FAO、ITTO、気候変動枠組み条約や生物多様性条約の締結国会議(COP)の参加者と同じことが分かりました。

今後、森林に関する大きな国際会議として、「世界森林会議」(アルゼンチン・ブエノスアイレス・2009年10月)、「気候変動枠組み条約COP15におけるForest DAY3」(デンマーク・コペンハーゲン・2009年12月)、「第13回IUFRO」(韓国・ソウル・2010年8月)」、「生物多様性条約第10回締結国会議」(日本・名古屋・2010年10月)と続き、2011年は「国際森林年」に当たります。

このような国際情勢の中、法的拘束力を持たない緩やかなパートナーシップがどのようにこれらの国際交渉に寄与していくのか、またUNFFやFAO、ITTO等でAFPにも参加している参加者が、AFPで図られた緩やかな共通認識によって他の国際会議ではどのような交渉をしていくのか、今後も見守っていきたいと思います。

今回の発表者のプレゼンテーションファイルも最終日にCD-Rとして、AFP事務局より参加者に配布されました。AFPの事務局が「一度も開かないことがないようにして下さい・・・」と冗談で言っていました通り、多くの人で情報を共有していくことが現在のAFPの目的です。そのため、もし発表資料(パワーポイント)が必要な方がおられましたら、藤原まで直接メールを下さい。パワーポイントファイルをお送りします。

また今回の会議でCIFORより配布されたREDDに関する文献資料は、以下のURLよりもダウンロードできます。興味がある方は、ぜひ読んでみて下さい。

Do trees grow on money?: the implications of deforestation research for policies to promote REDD

English

Japanese

Moving Ahead with REDD: issues, options and implications

English

Facing an uncertain future: how forest and people can adapt to climate change

English

What is the right scale for REDD?: The implications of national, subnational and nested approaches

English

Measuring and monitoring forest degradation for REDD: Implications of country circumstances

English

Financing REDD: Linking country needs and financing sources

English

The role of REDD in stabilising greenhouse gas concentrations: Lessons from economic models

English

文責:藤原(博士2年)