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Macネタが主のIT記事と、興味ある展覧会リストや観覧感想などを書いてますよ。自転車ロードレースも好き。

福田平八郎が鯉の写生に訪れた並河靖之の山科の別荘「恋鯉荘」はどこにあったか

結論

こちらです。いまは残念ながら池が無くなりマンションになっています。

検索のきっかけ

現在、大阪中之島美術館にて「没後50年 福田平八郎」展が開催されています。第3回帝展特選作品で皇室お買い上げとなった大作「鯉*1」(国所有、皇居三の丸尚蔵館収蔵)が展示されている右側展示ケースに、やはり鯉が描かれた幅広の掛け軸を見掛けました。ジッとしている大きな真鯉。画面上部を大きく占める余白により池の底に居る気配が強くなります。

題は「鯉(恋鯉荘にて)」。大正12(1923)年頃の作品で並河靖之七宝記念館を運営する並河靖之有線七宝記念財団の所蔵です。大きさは縦159.5cm 横114.7cm。図は展覧会図録から引用しました。
この絵を見てとても印象深かったこと、そして岡崎に記念館がありよく知った名である並河靖之に関連すること、さらには「恋鯉れんり荘」なる面白い名前に興味を惹かれて調べようと思い立ちました。

まずは並河靖之と恋鯉荘の関係を調べる

ググっても当たらなかったので、続いて国立国会図書館デジタルコレクションで「恋鯉荘」を検索したところ、雑誌陶説447号の「近代の七宝師たち(5)」(佐藤節夫著)に恋鯉荘に関する記述を確認しました。

なお「山科駅の北に千坪余の土地を購入し、百坪の池を造って三尺幅の水路でかんがい用水を引き入れた。そして大小三百尾の鯉を放った。大正7年のことである。」とありますが、山科駅つまり東海道線が現在の位置を通るようになったのは大正10(1921)年のことです。
福田平八郎のことも取り上げられています。「この別荘は一般に開放されていたので、よく京都から画家がやってきて写生していた。その一人に福田平八郎がいる。…並河は最も気に入っている三尺大の真鯉を一匹だけ福田に描いてもらった」。この絵がまさに「鯉(恋鯉荘にて)」なのだと思われます。描かれた鯉の大きさと絵の大きさも合っているので実物大なのでしょう。
デジコレの他の検索結果には俳句雑誌の懸葵の昭和11年6月号の句会も含まれていました*2。ここには「恋鯉荘は毘沙門堂の傍に在る京の七宝屋並河家の別業*3で、鯉をもつて聞えた山科名所の一つである」と書かれています。確かに毘沙門堂は「山科駅の北」にありますが少し距離があります。本当に「毘沙門堂の傍」なのだろうかと首を傾げました。

山科駅の北」からもう少し位置を絞りたい

大正のころの山科の地図があれば…と思い検索すると近代京都オーバーレイマップを見つけました。以前にも近代の京都市内の地図を見たいと思った時に使いました。ただし大正の頃の山科はまだ京都市では無かった*4のでどうかなあと思いましたが、ありがたいことに山科駅北側も閲覧できる地図でした。
では地図を比較していきます。

京都市都市計画基本図(縮尺1/3,000)(大正11年)(京都大学文学研究科所蔵)

京都市都市計画基本図(縮尺1/3,000)(昭和10年)(京都市都市計画局)

京都市都市計画基本図(縮尺1/3,000)(昭和28年)(京都市都市計画局)

Googleマップ(2024/3/24参照)

南北に真っ直ぐ延びる「安朱馬場ノ西町」「安朱馬場ノ東町」の間を通る道が毘沙門堂への参道です。参道も含めて「毘沙門堂の傍」と考えれば、この辺りに鯉を飼えるような池のある大きな家が恋鯉荘かな…ありますね、馬場ノ西町にも馬場ノ東町にも。大正11年の地図でみた時のこの辺りの家なんだろうなと思われます。

現地へ行って確認するしかないかなあ、とも思いました(もちろん現地へ行っても分からない可能性の方が高いのですが)。

意外なところから恋鯉荘の番地まで特定

今日、改めてデジコレを「並河靖之」で図書・雑誌・新聞に限定して検索してみたところ、不動産判例集成 総論(菅生浩三 編著)なる本が含まれていました。

「…によれば、本件鯉は、並河靖之が飼育放流を始めた当初から、もつぱら庭園風致の維…」
これは!
と思って確認すると、並河靖之と鯉の話に関するもの。

〔1068〕従物の意義と庭園の池の鯉の従物性
(東京地判昭35・3・19・昭和30年(ワ)9878号・判時220号31頁)
 しかして、従属物すなわち、法律上、いわゆる従物であるためには、主物の所有者において、その主物の常用に供するためこれに附属させた自己の所有にかかるものであることを要するものと解せられるところ、魚類、ことに鯉等の淡水魚は、古来食用魚として飼育されるものを除き、概して庭園池中に放流されることによつて世人に親しまれ、池中に棲息游泳することによつて、観賞の用に供されるのが常であり、社会通念上、ここに、この種の鯉の大半の存在価値と意義があるものと認められるが、前認定の事実によれば、本件鯉は、並河靖之が飼育放流を始めた当初から、もつぱら庭園風致の維持充実をはかる意思のもとに棲息游泳させ、池の構造にも特別の設備と工夫を加え客観的に、継続して、しかも、その池には、欠くことのできない観賞用の鯉として、飼育してきたことが肯認されるから、本件鯉は、法律上これを見れば、右の土地の従物と認めるを相当とする。しかして、また、従物は、主物の法律的運命に従うものであるから、主物である本件土地について、賃貸借契約が締結された以上、特別の意思表示が認められない本件においては、二百五十八尾の本件鯉をも含めて前記賃貸借契約が成立したものというべきである。

これは恋鯉荘に関する話だろうと目星を付け、この判決文を確認したいと思いました。裁判例検索に事件番号を入れて検索すれば見つかるだろうと思いましたが残念ながらこのデータベースには含まれず。仕方ないので事件番号でググったところ、ありがたいことに載せているサイトがありました。

この判決文の末尾の物件目録に「京都市東山区山科安朱馬場西町拾四番地」とありました。この住所で検索すると、本記事冒頭の地図に示されるマンション「アンシュひのき」に対応すると判明しました。
大正11年の地図で再確認すると赤で囲った敷地に相当します。

他のサイトの情報からも目星をつけていた

こちらのサイトを見ていた時にも上記のマンション名が出てきており、鯉の話も載っていたので恋鯉荘はコチラなのかもと思っていました。

ページ:
p10~11


梨木香歩『家守綺譚』本文:
家の北側は山になっている。山の裾には湖から引いた疏水が走っている。家の南は田圃だ。その田圃に疏水から用水路が引かれている。その水路の途中が、この家の池になっている。ふたま続きの座敷にL字を描くように縁側が付いていて、そのL字の角にあたる所の柱が、池の中の石の上に据えられている。縁側から池を挟んだ向こうに、サルスベリがこちらに幹を差し掛けるようにして立っている。
鏡山次郎のコメント:
 主人公(綿貫征四郎)が「家守」していたという候補ですが、私の推測として、3つぐらい候補が考えられます。
 1つは「ひのき」(安朱馬場ノ西町)で、今はマンションになっていますが、元は和風の屋敷で、その後料亭になったのですが、琵琶湖疏水山科駅との中間点にあり、庭に大きな池があり鯉が泳ぎ、サルスベリがあったかどうか記憶はありませんが木々も多くありました。作品の「L字の角にあたる所の柱が、池の中の石の上に据えられている」という表現から思い当たりました。(以下略)

結局はその見積が正しかったことになります。

感想

恋鯉荘がいまも「鯉で有名な料亭」として続いていれば良いなあと思っていましたが、残念ながらそうはいきませんでした。
また判決文についての詳細は控えましたが、戦後の接収での混乱でこんなことが…と思いましたので、もし時間的余裕がある方は一読されると良いかと。

*1:展示は今日3/24まで

*2:ちなみに「懸葵」の主宰は「恋鯉荘」命名者の大谷句仏です。参考→ https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/545021

*3:別荘の意

*4:昭和6年4月に宇治郡山科町から京都市東山区編入」← https://www.city.kyoto.lg.jp/yamasina/page/0000013271.html

「京の河川絵図~水とくらし~」@ 京都産業大学ギャラリー 出品作品リンク集

タイトルの展覧会が気になっていながら前期終了の週にようやく観に行けた @riocampos です。

観に行ったのが夕方だったので1時間ちょっとしか居られず少し残念でしたが、おもしろい地図資料がたくさんあって僅かな時間であっても興奮しました。しかも展覧会図録も無料配布!とてもありがたい。

京産大図書館所蔵品はWeb閲覧できる?

展覧会サイトにこのような記載があります。

京都産業大学図書館貴重書電子展示室 淀川水系河川絵図デジタルギャラリー から図書館所蔵の河川絵図を閲覧いただけます。

展覧会図録に載せられた図版は小さめのため、実見では分かったことが図版からは読み取れない。しかしデジタルギャラリーであればよく見えるかも!

展示されていた作品へのリンク集

作品は巻物が多く、デジタルギャラリーはそのまま横長の図をWebに貼り付けた体裁です。下部に作品解説があるのもありがたいです。解像度はさほど高くないものが多いですが、そこは仕方ないでしょうか。
では、展覧会の展示番号と作品名を挙げていきます。なお図録の図版番号と展覧会の展示番号はNo.11およびNo.14のみ入れ替わっていました。

No.4 *1 賀茂川筋名細絵図
No.7 高瀬川筋明細絵図
No.9 西高瀬川絵図面控
No.11 桂川筋兼絵図
No.13 木津川筋絵図
No.15 伏見川之図
No.16 *2 大坂川口より淀川筋城州伏見近辺迄 川筋之絵図
No.17 *3 大川便覧
No.18 *4 伏見宇治川筋絵図
No.19 丹波保津川より嵯峨大井川迄之図
No.22 此度五畿内近国大水

また、一点だけは賀茂絵画資料デジタルギャラリーに掲載されています。

No.3 *5 加茂川絵図

版画などは京産大以外の公開サイトで見れる?

花洛一覧図

展示作品のうち、版画などは残念ながら京産大図書館のデジタルギャラリーで公開されていませんでした。個人的にはNo.14(図録番号No.11)の「花洛一覧図」が気になったのです。図版作成は横山崋山!
ということで検索をかけました。結果を先に言えば、わりとみつかりました。

使いやすく高精細なサイトとしては

の2サイト。かなり詳細に見れるのがうれしい。

上の2サイトはググって見つけました。次に思いついた検索方法としては、やはりジャパンサーチ。検索結果から画像が公開されているサイトのみに限定したり、またパブリックドメインのみやCreative Commons CC BYに限定することも出来るのがポイント。

ということでパブリックドメインのものが国立国会図書館デジタルコレクションにありましたので貼り付けておきます。なお今回展示されていた作品では左側の注釈のような用紙は付いていませんでした。


黄華山 畫『花洛一覧圖』,橘枝堂 [ほか2名],[1---]. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/9369891 (参照 2023-06-08)

京都図絵

他には、みんな大好き吉田初三郎の鳥瞰図を使った「京都図絵」(No.12)も展示されていました。昭和天皇御大礼記念博覧会の際に作成された観光マップです。吉田初三郎の図のデータベースといえば日文研。探してみるとやはり見つかりました。なお図はトリミングしました。

京都一覧図画

6枚続きの横長大画面の浮世絵「京都一覧図画」(No.20)というものも展示されていました。絵師は五雲亭貞秀(すみません浮世絵画家はよく知らなくて)。これもジャパンサーチで検索。

歴彩館の画像は使っても良さそうなのですが、一枚ずつの図しか公開されていないので分かりづらい。ジャパンサーチ結果から

を見て頂くのが分かりやすいようです。拡大図版は歴彩館がかなり詳細。

てなところで

博物館よりも図書館所蔵の図版資料の方が公開されているんだなあと改めて感じました。
来週木曜日6/15から後期展示なので、また観に行きたいと思っています。前日6/14は展示替え休館なので注意。

*1:後期展示

*2:前期展示

*3:後期展示

*4:前期Ⅰ・Ⅱ、後期Ⅲ・Ⅳ展示

*5:前期展示

都路華香に対する山元春挙の追悼文(髙島屋史料館「山元春挙と高島屋」関連)

生誕150年の山元春挙イヤーなので各所で山元春挙関係の展示が行われています。大津市歴史博物館では「蘆花浅水荘と山元春挙画塾」が開催されていました。また先日まで滋賀県立美術館で開催されていた山元春挙展はいま笠岡市立竹喬美術館へ巡回してますね。その後は富山県水墨美術館へ巡回するようです。
さて、いま大阪堺筋の髙島屋東別館にある髙島屋史料館でも企画展「山元春挙と高島屋」が開催されています(8/15まで)。

この展示の一番の推しは、最近修復し直した「世界三景 雪月花*1」三点揃い踏み展示なのだと思いますが、会場内各所に示してある春挙と髙島屋との関連を示した文がなかなか面白い。
その中でも、都路華香追悼画集である「蕐香墨蹤*2」に寄稿した山元春挙の文が気に入ったので、元の画集の所蔵館*3に行って複写してもらい、それを書き起こしました。会場では「高島屋の馬部屋」との見出しで展示されてました。パーティションで区切った小空間を馬房に見立てて「馬部屋」としたのはなかなか粋な見方だと感じました。
会場に展示してあったのは前半部分でしたが、いちおう全文を示します。

靑年時代の交友 山元春擧

 その頃はまだ私達が若い時分であつた。東京の川合玉堂氏と都路君や私たちで君だの僕だのと云つて同年配で親しい友であつた。
 三人はよく打ち連れだつて、京都近郊の自然を探り、牛尾山、叡山、鞍馬山などを大抵一緖に出掛けたこともある。
 その時分の都路君をいま思ひ出してみると、至極綿密な、そして非常に神經の銳い人で、少しからだが惡くても、すぐ海岸へ保養に出かけたりした。それだけ幾分體質は弱い人だつたのである。
 都路さんは新町の、前の三井銀行の近くに居られて、どこかの出品でもすると云ふやうな時には、お互に、下繪の見せ合ひをしたり、またその批評なども仕合つたものだつた。當時の友人としては、尙外に田畑龜堂君などがゐた。中でも都路君は一番兄分で、その次が私、次いで川合君、田畑君と云ふ風に、年配順で、何處へでも出かけて行つたものだつた。
 これより先、當時私が十八歲位、多分明治二十年か二十一年頃で、鴨の競馬を見に行つて、それを寫生してゐた。するとすぐ私の橫へ來て、また同じやうにそれを寫生してゐる人がある。そこで互に寫生をしながら「自分は都路華香だ」と云つたのが、そもそも私達が互に知り合ひとなる最初の機會だつたのである。
 その時代の都路さんは、細いやさ男でいかにもきれいな人だつた。だんだんそれから後になつては、よく高島屋の下繪などを描くやうになり、お互に顏を合す時がおおくなつたが、親しい上記の友人たちが揃ふて硏究するやうになつてからは硏究寫生が多く、又行き來も繁くなつた。
 この高島屋の馬部屋——とその時分云つたこの店の貿易物の繪を描く場所があつて大きな部屋に幾つも厩舍のやうな仕切りがあり、この仕切の一つ一つが誰の部屋誰の部屋ときめてあつた。そこへ皆が通ふて仕事をして硏究の學資を稼ぎ出したものである。——そこへ上田萬秋君、池田桂仙君、それにまた栖鳳さんなども居られて、米國の博覽會へ出品されたとおもふが「群猿」などゝ云ふ作品の出來た時分の事であつた。
 この高島屋時代は恐らく明治二十二三年頃で、私はまだ十九か二十歲位で、高島屋から西洋の博覽會などに出た美術的な寫眞や油繪や圖案の複製版の參考品を借りて來て、それを複寫して分け合つたりして共に硏究した事もある。しかしその參考品と云ふのは、天然の風景、例へば瑞西の景色とか、西洋の博覽會に出た油繪の寫眞などで實際今日でみればお話にならないやうな、何でもないものだつたが、當時としては、それが珍らしく有難いものだつた。今日のやうに外國の美術雜誌などを自分で取つてみると云ふ事も出來ず、新しい智識を求めやうとすれば高島屋より外になかつたのであつた。だから當時のわれわれは、それ位に新しいものを求める心は强かつたのだつた。
 今日とちがつて、その時代、この明治二十年頃の畵家の生活狀態と云ふものは、至つてさもしい微々たるもので、さうした中から、さう云う硏究をつづけてゐたので、その眞劍味と云ふものは、今からおもふといかにも子供らしいやうにおもはれるが、それだけになかなか熱意に富んだものだつたのである。
 都路君は前からあゝ云ふ特色のある人だつた。なかなか勉强家で、高島屋の下繪などの中にも大變面白いとおもふものがなかなか澤山あつた。皆その頃は今日とちがつて、至つて無邪氣なものだつた。いろいろ當時、われわれの同時代作家も多かつたし栖鳳さんなどゝ君とは同門の友であつたが、君の家と私の家とは近かつたし、年配が等しかつた(私の方が一つ下だつた)關係から、どちらかと云ふと二人は行き來をする事は一番近かつた。
 その頃、自分は室町二條下るところに住んでゐた。この家と云ふのが、九尺二間——と云ふ至つてせまい小さなものだつたが、私がはじめて、さゝやかながらも家を持つたと云ふので、そのころ恩師森寬齋翁が、あだかも八十一歲の老齡で、多分死なれる一年前の事だつたとおもふが、その老軀をひつさげて、杖に倚り、自から旭下來鶴の圖を描かれて、わざわざ持つて來てくれられたのをいまだに覺えてゐる。これは半折でいまだに宅にある。當時私はよろこびに堪へず、揉銀の紙をもつて、粗末な表裝をしてこの新居の床にかけたものだつた。
 都路君は恩師楳嶺翁を慕ふ念の厚い人だつた。良景院華香一枝居士と云ふ戒名も、楳嶺翁から貰つた號よりなるものださうであるが、今の世の中は師を思ふのを恥のやうにおもふ傾向がある。都路君が恩師を慕ふ心の厚かつた事などは、洵に聞いてもゆかしい感がする。道義人情千古不磨であるとおもふ。
(====会場展示はここまでだったと思います===)

 明治二十四年であつたとおもふが、靑年繪畵協進會に、都路君は「鷄」を描いて出された。栖鳳さんは空也の瀧と云ふのでもないが兎に角瀧の山水、芳文さんが木曾山中私は人物畵で、黃𧘑*4平を描いた。都路君の鷄圖はごく克明に寫生の出來た固い眞面目な作品で、公開の展覽會で見た君の作品に對する最初の記憶だつたとおもふ。
 如雲社時代に及んで、君の個性と云ふものがはつきりして來た。その時代に專心藝術を磨いたのだつた。腕の完成に努力した時代だつた。だから本格的な修行をしたのだつた。寫生そのものにも懸命の努力があり、古人の筆蹟に對する硏究も怠りなく、みつちりと腕を磨いたのである。その努力のあとは、狩野風もあり、南畵風もあり、西洋風のものもあり、又光琳風の作風もあつて、その時代に本當の勉强をしておいた人は中途で崩れずにながくその聲譽を持續してゐる。
 さうして硏究してゐた三人のうち、いまは川合君と私だけになつてしまつて、何だか淋しいやうな氣がする。
 私が都路君の病氣を見舞つたときは、もう既に病重く、面會謝絕になつてゐて、子息の宇佐雄君が、床ずれがして困ると云ふてゐたが、床ずれがするやうになつてはよほど衰弱がはなはだしいと私もおもつてゐた。
 君は早くより禪學に入り、何等か心の安定を求めてゐられた。今度の死でも、その意味に於て、堂々天下に恥ざる死に方であるとおもふ。

追悼文で出てきた画家たちを生年で並べてみると

となります。
「蕐香墨蹤」には他にも多数の都路華香と(もちろん山元春挙とも)同世代及び一世代下の画家たちや美術記者などの追悼文が掲載されていました。時間の関係でちゃんとは読めませんでしたが、通しで読んでみたいとも感じました。

誤字は無いように注意しましたが、あった場合にはご容赦くださいませ、またご指摘頂ければ幸いです。

*1:山元春挙《ロッキーの雪》竹内栖鳳《ベニスの月》都路華香《吉野の桜》なお別室で「吉野の桜」の修復の様子を写したビデオが毎時30分から20分ほど放映されていました。

*2:昭和7年(1932) 編纂兼発行者 富田渓仙

*3:京都府立京都学・歴彩館

*4:「⿰衤勺」

仁和寺「三十帖冊子」、元所蔵の東寺から携帯逃亡さる(オチなし

今日「京の国宝」展へ(何度目か分かりませんが)京博まで観に行きました。今週一週間だけ展示の3作品のためです。今週を終えると京博はしばらく休館して10/9から「畠山記念館の名品展」です。今日から前売り開始です。なので平常展は来年までありません。寂しい…。



きっかけツイート

先日「京の国宝」で検索していたときに、このようなツイートを見掛けました。

出品一覧に載っている「12:京都府古社寺什宝調査録」は後期のみの出品でした。見開き展示の左ページに「名稱 聖教三十冊及筥」とあり「あ、仁和寺の三十帖冊子のことだな」と思って内容を読まずにザッと通り過ぎていました。
でも内容が面白いと書いてあればやはり気になります。ということで今回改めて読み直したところ、かなり面白かったので書き写しましたw 話は途中までしか書かれていないので続きが気になりますが、いずれ調べてみたいと思います。

翻刻

改行位置も記録したのでそのまま記します。

名稱
聖教三十冊及筥
所有者所有地
京都府葛野郡花園村大字御室 仁和寺
作者傳来
寺傳云弘法大師入唐將来品ナリシ又云此聖教丗冊其先ハ教王護
國寺の什寶ナリシカ髙野山金剛峰寺ハ大師終焉ノ地ニシテ大師將
来品手澤品*1等モ多クアレハ此聖教モ亦同寺ニ傳クヘキモノナリ
ト其譲與ヲ教王護國寺ニ迫リシモ教王護國寺ニテハ由緒ヲ述ヘ
其請ヒヲ容レサリシニ髙野山ノ某僧深ク之ヲ恨ミ教王護國寺ヲ欺
キテ借リ出シ携帯逃亡シタレハ教王護國寺ニテハ大ニ驚キ官ニ訴
ヘテ其裁断ヲ仰シニ官ニ於テハ金剛峯寺ニ對テ速ニ返戾スヘキ
*2ヲ令シ一方ニハ逃亡セシ髙野山ノ僧ノ所在ヲ穿鑿*3セシメラレシ河内

感想など

それにしても高野山の僧の論理が強引ですね。「ウチは弘法大師の終焉の地、大師由来の品も多くあるのだ。この三十帖冊子も高野山にあるべきだ!ウチに譲れ!」そりゃ東寺も嫌がりますよw しかもそのあとそれを逆恨みして「東寺を欺して借り出し、携帯して逃亡」…。
ページ終わりが「河内」になってますけど、このあと河内で何があったんでしょうね…知りたいですw

なお「京の国宝」展の図録の「23:三十帖冊子」の解説には以下のようにあります。

伝来は、附属文書である左弁官下文の写し、ならびに「三十帖策子々細」、行遍僧正の消息などに詳しい。これらによると、空海入定の際に高弟の実恵、真雅の両人に託して東寺経蔵に納めさせたが、高野山第二世座主真然が貞観十八年(876)に高野山へ持ち帰り、東寺からの再三の返却催促にも応じなかった。その後、諸処に分散して散逸したが、右大臣藤原忠平はこれを惜しみ、勅命により大僧都観賢に収集させ、その大部分をまとめることができて、延喜十九年(919)十一月、東寺の経蔵に安置して長者に守護させることとした。その後、文治二年(1186)仁和寺守覚法親王(1150〜1202)が東寺より借用して、それ以降仁和寺に伝来している。

高野山の僧(しかも座主の指示!)が借りパクした上に散逸させ、その後は仁和寺のエラい人が箱ごと借りパクしてそのまま現代まで…。昔の人は何かと乱暴ですね。

また三十帖冊子を納める箱である「24:宝相華迦陵頻伽蒔絵冊子箱」の解説には

東宝記」には文治二年(1186)に仁和寺守覚法親王(1150〜1202)に貸し出されたまま返納されないともあり

と書いてあります。もしや「京の国宝」展の別室に「55:東宝記」が展示してあったのはこのこともあったのかしら(ちゃんと読んでない…)。

いろいろと面白かったです。ハイ。

*1:手沢:手あかで出たつや。転じて、身近に置いて愛用した物。(大辞林第四版)

*2:「旨」の俗字

*3:せんさく:細かい点までうるさく尋ねて知ろうとすること。/細かいところまで十分調べること。(大辞林第四版)

三の丸尚蔵館の展覧会図録リスト

昨日、Twitter 鍵垢のツイートで、三の丸尚蔵館の展覧会図録が pdf で公開されている、という情報を知りました。なんと所蔵品展の大半の図録が公開されている*1じゃないですか!ありがたいありがたい。

しかし、展覧会図録の pdf は一部の図版が省かれていることに気付きました(でも文章が省かれていないのはありがたい)。そこで、どのくらい図版が省かれているか確認作業してみました。近代の作家の作品は没後50/70年まで影響する著作権法に従い省かれているのでしょう。しかし著作権が関係しない作品も図版が掲載されていない場合もあります。なんとなくですが、天皇や皇族の肖像画、宸翰や皇族の書、皇族の装束など、そして御物が掲載されていないような印象を受けました。

ということで、以下に三の丸尚蔵館で開催された展覧会サイトへのリンクと、図録pdfファイルへのリンクを張りました(もちろん、このはてなブログを書いた2021/9/8時点のものです)。また図版の有無についても(規準あいまいに)コメントつけてみました。参考になれば幸いです。なお、頁数は pdf 上のページです。見開きも1ページになっている場合があります。そのため冊子の頁数とは異なります。

なお個人的なオススメ図録は

です。悪いこと言わんから、この三つはダウンロードしとけ。

第1回 宮廷文化の華 平成5年11月3日~
12月19日
pdf
65頁
70.5MB
全ての図版あり
第2回 慶賀によせて 平成6年1月4日~
2月20日
pdf
66頁
57.4MB
横山大観・山口蓬春・堂本印象作品の図版なし
第3回 花鳥の美―若冲から近代まで 平成6年3月8日~
6月12日
pdf
98頁
80.3MB
全ての図版あり
第4回 古記録にみる王朝儀礼 平成6年7月5日~
8月28日
pdf
55頁
33.5MB
公事録附図のみ図版あり
第5回 絵巻―蒙古襲来絵詞、絵師草紙、北野天神縁起 平成6年10月8日~
12月11日
pdf
64頁
88.7MB
全ての図版あり
第6回 明治美術再見Ⅰ―明治美術会と日本金工協会の時代 平成7年1月4日~
3月5日
pdf
75頁
53.4MB
全ての図版あり
第7回 日本と中国の美術―16世紀までの名品から― 平成7年3月25日~
6月18日
pdf
74頁
66.6MB
全ての図版あり
第8回 をくり―伝岩佐又兵衛の小栗判官絵巻― 平成7年7月8日~
9月10日
pdf
62頁
71.1MB
全ての図版あり
第9回 明治美術再見Ⅱ―[日本画]の黎明 明治十年代~
二十年代
平成7年9月23日~
12月14日
pdf
88頁
69.6MB
狩野永悳作品の図版なし
第10回 海を渡ってきた贈り物―金銀の輝き 平成8年1月6日~
3月10日
pdf
36頁
69.6MB*2
全ての図版あり
第11回 明治美術再見Ⅲ―近代日本画への途 明治三十年代~
大正初期
平成8年3月26日~
6月16日
pdf
83頁
61.6MB
全ての図版あり
第12回 近代日本彫刻の一潮流―保守伝統派の栄光 平成8年7月6日~
9月8日
pdf
83頁
60.0MB
斎藤素巌作品の図版なし
第13回 旧桂宮家伝来の美術-雅と華麗 平成8年9月21日~
12月8日
pdf
78頁
59.2MB
八条宮智仁親王八条宮智忠親王・京極宮家仁親王の肖像、八条宮智仁親王八条宮智忠親王・京極宮家仁親王・京極宮公仁親王の書、その他一部の書、参考図面のうち他館所蔵作品の図版なし
第14回 ヨ―ロッパの近代美術-歴史の忘れ形見 平成9年1月7日~
3月9日
pdf
44頁
29.4MB
一部の作品の図版なし
第15回 横山大観の時代 1920s-40s 平成9年3月25日~
6月15日
pdf
54頁
38.8MB
一部の作品の図版なし
第16回 近世絵巻の興起―<物語り>絵の諸相 平成9年7月5日~
9月7日
pdf
41頁
43.8MB
竹取物語絵巻、御伽草子の図版なし
第17回 近代日本の陶磁 技巧主義から個性の発露へ 平成9年9月20日
12月7日
pdf
60頁
37.8MB
田村耕一、加藤土師萌、楠部彌弌作品の図版なし
第18回 志士たちの書画 平成10年1月10日~
3月8日
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48頁
33.2MB
全ての図版あり
第19回 開館5周年記念 雅・美・巧―収蔵の名品 平成10年3月21日~
12月13日
第20回 民族のこころと形 平成11年1月9日~
3月14日
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42頁
24.2MB
タンザニアコンゴー、中央アフリカ(一部)、ガボンセネガルパナマブルガリアの作品の図版なし
御即位10年記念特別展 第1回展 慶祝の風景けしき 平成11年3月27日~
5月16日
御即位10年記念特別展 第2回展 宸翰と日本文化の伝統 平成11年6月5日~
7月25日
御即位10年記念特別展 第3回展 御慶事のかたち 平成11年8月7日~
10月17日
御即位10年記念特別展 第4回展 饗宴―伝統の美 平成11年11月14日~
11月28日
御即位10年記念特別展 第5回展 伝統の継承―今日の皇室 平成11年12月4日~
12月23日
御即位10年記念特別展 第6回展 饗宴-近代のテ―ブル・ア―ト 平成12年1月15日~
2月6日
日蘭交流400年記念特別展 オランダ王室コレクションによる
ウィレム5世の時代―18世紀後期のオランダ宮廷美
平成12年2月27日~
4月9日
第21回 よろこびの小箱―ボンボニエ-ルの意匠美 平成12年4月29日~
8月6日
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78頁
44.2MB
全ての図版あり
第22回 宮廷装束の美―江戸から明治へ― 平成12年9月23日~
12月10日
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64頁
24.0MB
天皇東宮御装束図のみ図版あり
第23回 明治美術再見Ⅳ 記録の芸術―山本芳翠とその時代 平成13年1月13日~
3月4日
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84頁
50.6MB
五姓田義松、山本芳翠(一部)の図版なし
第24回 明治美術再見Ⅴ 日本画―江戸の名残・京の薫 平成13年3月31日~
6月17日
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67頁
49.0MB
全ての図版あり
第25回 近衛家熈-風雅の探求 平成13年7月7日~
9月9日
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63頁
41.7MB
参考作品の図版なし
第26回 宮中の調度-棚と棚飾り 平成13年9月29日~
12月9日
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91頁
66.9MB
参考作品と「鳳凰菊蒔絵螺鈿飾棚・鶴桐蒔絵螺鈿飾棚 付属棚飾り」の一部の図版なし
第27回 工芸風土記・壱 ―諸国やきものめぐり 平成14年1月12日~
3月10日
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75頁
41.0MB
約半分の作品の図版なし
第28回 江戸の美意識-絵画意匠の伝統と展開 平成14年3月26日~
6月9日
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78頁
73.8MB
「貴重冊子本の表紙意匠」と論文挿図の図版なし
第29回 細工・置物・つくりもの-自然と造型 平成14年7月6日~
9月8日
pdf
66頁
36.6MB
一部の作品の図版なし
第30回 どうぶつ美術園―描かれ,刻まれた動物たち 平成15年3月29日~
6月15日
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91頁
73.6MB
タンザニア壺作品と香取正彦作品の図版なし
第31回 工芸風土記 弐 ―木・竹・漆工の世界 平成15年7月5日~
9月7日
pdf
65頁
33.5MB
約半分の作品の図版なし
第32回 明治の宮中デザイン―和中洋の融和の美を求めて 平成15年9月27日~
12月14日
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106頁
72.2MB
一部の作品の図版なし
第33回 若松と菊―旧秩父宮家いつくしみの品々― 平成16年1月6日~
3月7日
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115頁
64.2MB
一部の作品、参考作品、風景写真の図版なし
第34回 近代日本の置物と彫刻と人形と―豊饒なる立体像の世界 平成16年3月27日~
6月13日
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84頁
51.8MB
一部の作品の図版なし
第35回 七宝工芸の近代 平成16年7月3日~
9月5日
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84頁
57.4MB
一部の作品の図版なし
特別展 デンマーク王室の陶磁コレクション―ロイヤル・コペンハーゲン 平成16年9月30日~
12月12日
第36回 贈るこころ・受けとられた美―世界の国々との交流のなかで 平成17年1月8日~
2月27日
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48頁
27.2MB
一部の作品、挿図の図版なし
皇后陛下古希記念特別展 皇后陛下のご養蚕と正倉院裂の復元 平成17年3月12日~
4月3日
第37回 雅楽―伝統とその意匠美 平成17年4月16日~
7月10日
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105頁
55.8MB
一部の作品(楽譜・楽書類、装束の全て)の図版なし
第38回 官展を彩った名品・話題作―大正~昭和初期の絵画と工芸 平成17年7月23日~
9月25日
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61頁
45.7MB
福田平八郎、山口蓬春・宇田荻邨、中川哲哉・加藤土師萌・前大峰・楠部彌弌の図版なし
第39回 やまとうた―美のこころ 平成17年10月8日~
12月11日
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103頁
72.6MB
一部の作品の図版なし
第40回 花鳥―愛でる心,彩る技<若冲を中心に> 平成18年3月25日~
9月10日
pdf
114頁
97.6MB
博物誌の全ての図版なし
第41回 明治の彫金―海野勝珉とその周辺 平成18年9月23日~
12月10日
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96頁
74.9MB
加納夏雄・香取勝廣《沃懸地御紋蒔絵螺鈿太刀拵》の図版なし
第42回 福やござれ―寿ことほぎの美・新春に集う 平成19年1月6日~
3月11日
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63頁
43.3MB
正封勲造「伊勢海老」の図版なし
第43回 香淳皇后の御絵と画伯たち 平成19年3月27日~
6月17日
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109頁
44.9MB
香淳皇后の御写真、御絵の図版なし(下絵は図版あり)
前田青邨・山口蓬春・奥村土牛・堂本印象・中村岳陵・安田靫彦小倉遊亀・田中青坪・北澤映月の作品の図版なし
第44回 京焼多彩なり―明治から昭和へ 平成19年7月7日~
9月9日
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75頁
43.1MB
約半分の作品の図版なし
第45回 祝美いわいのび―大正期皇室御慶事の品々 平成19年9月29日~
平成20年3月9日
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148頁
96.9MB
御飾棚・御飾品の一部の作品、金装螺鈿御飾太刀拵、ゴブラン織暖炉前衝立の図版なし
第46回 富士―山を写し,山に想う― 平成20年3月22日~
6月29日
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78頁
57.7MB
堂本印象・岡田紅陽・児玉希望・前田青邨・林武・山元桜月・奥村土牛片岡球子の図版なし
第47回 帝室技芸員と一九〇〇年パリ万国博覧会 平成20年7月19日~
12月14日
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105頁
86.5MB
清風與平・紹美栄祐の図版なし、参考図版の大半なし
第48回 三峰窯の思い出―宮様とやきもの 平成21年1月6日~
3月8日
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76頁
41.6MB
秩父宮妃勢津子殿下の御作、写真の図版なし、加藤土師萌の図版なし
第49回 国の花,華やぐ 平成21年3月28日~
6月14日
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96頁
75.9MB
一部の作品の図版なし
御成婚50年・御即位20年記念特別展 両陛下―想い出と絆の品々Ⅰ 第1期~第3期
平成21年7月11日~
12月13日
御成婚50年・御即位20年記念特別展 両陛下―想い出と絆の品々Ⅱ 第4期・第5期
平成21年12月19日~
平成22年3月22日
第50回 花ひらく個性,作家の時代-大正・昭和初期の美術工芸 平成22年3月30日~
7月4日
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69頁
46.4MB
一部の作品の図版なし
第51回 虎・獅子・ライオン-日本美術に見る勇猛美のイメージ 平成22年7月17日~
9月5日
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64頁
50.3MB
山鹿清華・前田青邨・香取正彦の図版なし、一部の挿図の図版なし
特別展 皇室の文庫ふみくら 書陵部の名品 平成22年9月18日~
10月17日
第52回 近代の洋画家,創作の眼差し 平成22年10月30日~
平成23年1月10日
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71頁
59.5MB
有島生馬・荻須高徳の図版なし、五姓田義松・山本芳翠の参考図版なし
第53回 外国とつくにからのごあいさつ-贈られた異国の美 平成23年1月22日~
3月13日
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52頁
33.7MB
一部の作品の図版なし
第54回 美術染織の精華-織・染・繍による明治の室内装飾 平成23年4月16日~
7月10日
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89頁
81.5MB
明治宮殿装飾織物の図版なし、一部の参考図版なし
第55回 ひろげる,たのしむ,小粋な日本画-近代画帖がじょうの美 平成23年7月23日~
9月11日
pdf
67頁
47.6MB
一部の作品の図版なし
第56回 幻の室内装飾-明治宮殿の再現を試みる 平成23年9月23日~
12月25日
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104頁
58.5MB
明治宮殿装飾織物の図版なし、一部の参考図版なし
皇后陛下喜寿記念特別展 紅葉山もみじやま御養蚕所と正倉院ぎれ復元のその後 平成24年3月3日~
4月8日
第57回 内国勧業博覧会-明治美術の幕開け 平成24年4月21日~
7月8日
pdf
91頁
63.5MB
参考図版・参考出品の図版なし
第58回 珍品ものがたり 平成24年7月21日~
9月2日
pdf
54頁
46.5MB
全ての図版あり
第59回 描き継ぐ日本美-円山派の伝統と発展 平成24年9月15日~
11月11日
pdf
72頁
57.2MB
全ての図版あり
第60回 鎌倉期の宸筆と名筆-皇室の文庫ふみくらから 平成24年11月23日~
12月22日
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61頁
35.0MB
大半の作品の図版なし、天子摂関御影の図版あり
第61回 明治十二年明治天皇御下命「人物写真帖」-四五〇〇余名の肖像 平成25年1月12日~
3月10日
pdf
122頁
98.4MB
全ての図版あり
第62回 若梅に撫子-旧高松宮家と伝来の品々 平成25年3月26日~
7月15日
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117頁
71.2MB
一部の肖像写真の図版なし、中川紀元・野口光彦の作品の図版なし
第63回 三笠宮家ゆかりの染織美-貞明皇后,いつくしみの御心 平成25年7月27日~
9月29日
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68頁
49.8MB
全ての図版あり
第64回 開館20周年記念 美を伝えゆく-名品にみる20年の歩み- 平成25年10月12日~
11月24日
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80頁
64.6MB
動植綵絵の修理写真の図版なし、一部の参考図版なし
第65回 佳麗なる近代京焼-有栖川宮家伝来,幹山伝七の逸品 平成26年3月21日~
6月22日
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66頁
49.2MB
参考図版なし
第66回 明治天皇を支えた二人 三条実美と岩倉具視 - 一代絵巻が物語る幕末維新 平成26年7月19日~
9月28日
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70頁
101.0MB
田中有美「明治天皇大喪儀絵巻」などの参考図版なし
天皇陛下傘寿記念特別展
天皇陛下 昭和28年欧米14か国の旅~
新たな感動と出会い~
平成26年10月18日~
12月23日
第67回 明治天皇 邦を知り国を治める - 近代の国見と天皇のまなざし 平成27年1月10日~
3月8日
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98頁
55.9MB
大半の写真の図版なし
第68回 鳥の楽園-多彩,多様な美の表現 平成27年3月21日~
6月21日
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86頁
60.6MB
堂本印象・瀬尾南海・串田光信・浅倉五十吉(二代)の作品の図版なし、香淳皇后の御絵の図版なし
第69回 絵巻を愉しむ―《をくり》絵巻を中心に 平成27年7月4日~
8月30日
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42頁
63.2MB
全ての図版あり
第70回 1920s-30s モダン・エイジ-光と影の造型美 平成27年9月12日~
12月9日
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81頁
53.2MB
一部の参考図版なし、西洋画、川崎小虎・真道黎明・堂本印象・岩田正巳・遠藤教三・穴山義平・山田秋衛・山口蓬春・鏑木清方・新海竹蔵・寺畑助之丞・木村雨山・根箭中緑・鴨政雄・溝口安太良・加藤土師萌・楠部彌弌・濱田庄司の作品の図版なし
第71回 北欧の工芸―自然ナチュラルが生み出す 平成28年1月9日~
3月6日
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60頁
31.2MB
大半の作品の図版なし
第72回 古典再生―作家たちの挑戦 平成28年3月25日~
6月19日
pdf
71頁
53.9MB
宇田荻邨・山口蓬春・安田靫彦前田青邨・堂本印象の作品の図版なし
第73回 駒競こまくらべ―馬の晴れ姿 平成28年7月9日~
9月4日
pdf
66頁
54.6MB
一部の参考図版なし、一部の作品の図版なし
第74回 書の美、文字の巧 平成28年9月17日~
12月4日
pdf
123頁
84.5MB
大半の作品の図版なし
第75回 寿ぎの品々を読み解く 平成29年1月7日~
3月12日
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59頁
45.3MB
菅原安男・吉向松月(七代)・永楽善五郎(十六代)・三輪休雪(十代)・森田清一の作品の図版なし
第76回 名所絵から風景画へ―情景との対話 平成29年3月25日~
6月25日
pdf
72頁
63.8MB
木下静涯・野口小蘋の作品の図版なし
第77回 皇室とボンボニエール―その歴史をたどる 平成29年7月15日~
9月10日
pdf
72頁
46.0MB
一部の挿図の図版なし
第78回 古代の造形―モノづくり日本の原点 平成29年9月23日~
12月10日
pdf
102頁
44.5MB
大半の作品の図版なし
第79回 世界を巡る―古今東西の品々を集めて 平成30年1月13日~
4月8日
pdf
56頁
37.9MB
一部の作品の図版なし
第80回 明治の御慶事―皇室の近代事始めとその歩み 平成30年4月28日~
8月5日
pdf
115頁
69.8MB
大半の作品の図版なし
第81回 春日権現験記絵-甦った鎌倉絵巻の名品(修理完成記念) 平成30年8月18日~
10月21日
pdf
115頁
146.0MB
全ての図版あり
第82回 明治美術の一断面-研ぎ澄まされた技と美 平成30年11月3日~
12月24日
pdf
79頁
63.6MB
一部の作品の図版なし
第83回 慶びの花々 令和元年5月3日~
6月30日
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56頁
56.7MB
全ての図版あり
第84回 正倉院宝物を伝える-復元模造の製作事業と保存継承 令和元年7月13日~
9月1日
第85回 大礼―慶祝のかたち 令和元年9月21日~
令和2年1月19日
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81頁
64.2MB
一部の作品の図版なし
御即位記念特別展 令和の御代を迎えて 令和2年2月8日~
4月12日
第86回 海と山のあいだ-近代日本の風景描写 令和2年7月23日~
令和2年9月27日
pdf
62頁
57.4MB
全ての図版あり
第87回 名作を伝える-明治天皇と美術 令和2年10月10日~
12月13日

余談ですが、三の丸尚蔵館の展覧会図録は通販での入手が可能です。現金書留などという面倒な方法ではなく郵便振替。しかも送料はいくら買っても800円固定。さらに一部の図録は割引販売*3されています
図録の在庫はこちらのサイトで確認してください。

*1:特別展の図録は公開されてない。少し残念。

*2:第9回のファイルサイズを誤ってコピペしてしまったと思われる。実際は30MB程度。

*3:特別頒布

2021年度気になる展覧会その1(春編)

近畿圏中心にざざっと書いてみました。全てへ行くことが出来ないのは分かってますw
しかし残念なことに、4/25から5/11まで京阪神の2府1県に緊急事態宣言が出ているため、公立館や1000㎡*1を超える大型館では休止要請を受けて臨時休館しているところが発生しています。とても残念です。
終了日順に並べています(随時更新)。
なお展覧会名が青いものは残り一週間以内、赤いものは開始後一週間以内、赤茶色のものは開始直前3日以内の展覧会であることを意味します。

展覧会名 期間 会場 リンク 魚拓 目録
総合展示 雛人形名品展 2/2-4/4 京都文化博物館 雛人形名品展 | 京都府京都文化博物館 魚拓 目録
特別企画展 中国青花と染付磁器 —京都の鹿背山焼— 2/19-4/4 和文華館 特別企画展 中国青花(せいか)と染付磁器 ―京都の鹿背山(かせやま)焼―|展覧会|大和文華館 魚拓 目録
うたかたと瓦礫デブリ:平成の美術1989–2019 1/23-4/11 京都市美術館 新館 東山キューブ 平成美術:うたかたと瓦礫デブリ 1989–2019|京都市京セラ美術館 公式ウェブサイト 魚拓 目録
芭蕉翁絵詞伝と義仲寺 2/27-4/11 大津市歴史博物館 企画展 芭蕉翁絵詞伝と義仲寺|お知らせ|大津市歴史博物館 魚拓 目録
相国寺金閣銀閣 宝物展-梅の余薫 / 相国寺の歴史と寺宝 1/31-4/18
無休
相国寺承天閣美術館 宝物展|承天閣美術館|臨済宗相国寺派 魚拓 目録
企画展 きのくにの物語絵 3/13-4/18 和歌山県立博物館 企画展「きのくにの物語絵―絵解きの聖地・和歌山―」:和歌山県立博物館 魚拓 目録
鑑真和上と戒律のあゆみ
(前期)
3/27-4/18 京都国立博物館 凝然国師没後700年 特別展 鑑真和上と戒律のあゆみ|京都国立博物館|Kyoto National Museum 魚拓 目録
豊臣の美術
(前期)
4/3-4/25 大阪市立美術館 豊臣の美術 │ 大阪市立美術館 魚拓 目録
よみがえる承久の乱後鳥羽上皇vs鎌倉北条氏-
(前期)
4/6-4/25 京都文化博物館 よみがえる承久の乱―後鳥羽上皇 vs 鎌倉北条氏― | 京都府京都文化博物館 魚拓 目録
第61回 日本南画院展 4/20-4/25 京都市美術館 第61回日本南画院展 京都展|京都市京セラ美術館 公式ウェブサイト 魚拓 目録
特別企画 動物絵画はお家芸
(前期)
4/3-4/26
火休
大阪歴史博物館 大阪歴史博物館:特別企画展:動物絵画はお家芸 -大坂・森派の絵描きたち- 魚拓 目録
日本の色 ―吉岡幸雄の仕事―
(後期)
2/23-5/9
2021/2/23-2021/4/11
2021/1/5-2021/3/7
細見美術館 特別展 日本の色-吉岡幸雄の仕事と蒐集-|開催中の展覧会 - 京都 細見美術館 魚拓 目録
特別展 海を越えたつながり―倭の五王と東アジア― 3/13-5/9
大阪府への緊急事態宣言の発出をうけた堺市博物館の閉館にともない、4/24で閉幕
堺市博物館 特別展「海を越えたつながり-倭の五王と東アジア-」<令和3年3月13日から5月9日まで> 堺市 魚拓 目録
わび茶の継承と普及
− 利休のわび茶を深化させた千宗旦茶の湯を通じて交わった人々 −
(前期)
4/1-5/9 湯木美術館 展覧会|湯木美術館 魚拓 目録
遠州・不昧と大名家の茶
(前期)
4/3-5/9 中之島香雪美術館 企画展「遠州・不昧と大名家の茶」|中之島香雪美術館 魚拓 目録
村山コレクション受贈記念展「絵画」~村山家ゆかりの画家たち~ 3/20-5/9 香雪美術館 展覧会|香雪美術館 魚拓 目録
誕生65周年記念 ミッフィー 4/28-5/10 大丸ミュージアム〈梅田〉 誕生65周年記念 ミッフィー展|大丸・松坂屋の展覧会
誕生65周年記念 ミッフィー展
魚拓 目録
伝える-災害の記憶展 3/20-5/16 京都文化博物館 伝える-災害の記憶展 あいおいニッセイ同和損保所蔵災害資料 | 京都府京都文化博物館 魚拓 目録
須田国太郎展~油彩と能・狂言デッサン~ 4/7-5/16 中信美術館 展覧会予定|中信美術館|京都中央信用金庫 魚拓 目録
桃山・江戸文化の輝き 4/9-5/16 和文華館 桃山・江戸文化の輝き|展覧会|大和文華館 魚拓 目録
鑑真和上と戒律のあゆみ
(後期)
4/20-5/16 京都国立博物館 凝然国師没後700年 特別展 鑑真和上と戒律のあゆみ|京都国立博物館|Kyoto National Museum 魚拓 目録
豊臣の美術
(後期)
4/27-5/16 大阪市立美術館 豊臣の美術 │ 大阪市立美術館 魚拓 目録
特集展示 大阪市の指定文化財展―平成28年度から令和2年度まで― 3/24-5/17
火休
大阪歴史博物館 大阪歴史博物館:第135回特集展示「大阪市の新指定文化財 ―平成28年度から令和2年度まで―」 魚拓 目録
特別企画 動物絵画はお家芸
(後期)
4/28-5/17
火休
大阪歴史博物館 大阪歴史博物館:特別企画展:動物絵画はお家芸 -大坂・森派の絵描きたち- 魚拓 目録
椿、咲き誇る-椿を描いた名品たち- 4/3-5/23
2020/4/4-2020/5/17
京都府立堂本印象美術館 堂本印象美術館 企画展 魚拓 目録
よみがえる承久の乱後鳥羽上皇vs鎌倉北条氏-
(後期)
4/27-5/23 京都文化博物館 よみがえる承久の乱―後鳥羽上皇 vs 鎌倉北条氏― | 京都府京都文化博物館 魚拓 目録
聖徳太子1400年遠忌記念 特別展 聖徳太子法隆寺
(前期)
4/27-5/23 奈良国立博物館 聖徳太子1400年遠忌記念 特別展 聖徳太子と法隆寺|奈良国立博物館 魚拓 目録
ミケル・バルセロ展 3/20-5/30 国立国際美術館 ミケル・バルセロ展 - イベント|国立国際美術館 魚拓 目録
生誕130年記念 髙島野十郎展 4/17-5/30 奈良県立美術館 奈良県立美術館/奈良県公式ホームページ 魚拓 目録
田中一村奄美へとつづく道 5/8-6/6 美術館「えき」KYOTO 美術館「えき」KYOTO 魚拓 目録
朝鮮の仏さま
(前期)
4/1-6/8
水休
麗美術館 高麗美術館 魚拓 目録
ピピロッティ・リスト:Your Eye is My Island -あなたの眼はわたしの島- 4/6-6/13 京都国立近代美術館 ピピロッティ・リスト:Your Eye is My Island -あなたの眼はわたしの島-|京都国立近代美術館|The National Museum of Modern Art, Kyoto 魚拓 目録
遠州・不昧と大名家の茶
(後期)
5/11-6/13 中之島香雪美術館 企画展「遠州・不昧と大名家の茶」|中之島香雪美術館 魚拓 目録
聖徳太子1400年遠忌記念 特別展 聖徳太子法隆寺
(後期)
5/25-6/20 奈良国立博物館 聖徳太子1400年遠忌記念 特別展 聖徳太子と法隆寺|奈良国立博物館 魚拓 目録
大阪アンダーグラウンド 4/24-6/27
4/24-6/20
大阪市立自然史博物館 第51回特別展「大阪アンダーグラウンド -掘ってわかった大地のひみつ-」|大阪市立自然史博物館 魚拓 目録
わび茶の継承と普及
− 利休のわび茶を深化させた千宗旦茶の湯を通じて交わった人々 −
(後期)
5/12-6/27 湯木美術館 展覧会|湯木美術館 魚拓 目録
ゆかた 浴衣 YUKATA
(前期)
6/5-6/27
2020/6/6-2020/6/14
泉屋博古館 京都:企画展スケジュール|泉屋博古館 住友コレクション 魚拓 目録
富岡鉄斎と近代の日本画 5/21-7/4 和文華館 展覧会|大和文華館 魚拓 目録
村山コレクション受贈記念展「佛(ほとけ)」~祈りのかたち~ 5/22-7/4 香雪美術館 展覧会|香雪美術館 魚拓 目録
香りの器~高砂コレクション~ 6/12-7/4 美術館「えき」KYOTO 美術館「えき」KYOTO 魚拓 目録
絵巻と勧進 4/24-7/11
4/24-6/27
ふるさとミュージアム山城 京都府立山城郷土資料館 魚拓 チラシ
豊臣秀吉と堺 5/29-7/11 堺市博物館 企画展「豊臣秀吉と堺」  <令和3年5月29日(土曜)から7月11日(日曜)まで> 堺市 魚拓 目録
揚州八怪
(前期)
6/12-7/11
2020/8/29-2020/10/18
大阪市立美術館 揚州八怪 │ 大阪市立美術館 魚拓 目録
ゆかた 浴衣 YUKATA
(後期)
6/29-7/19
2020/6/16-2020/7/12
泉屋博古館 京都:企画展スケジュール|泉屋博古館 住友コレクション 魚拓 目録
黒田泰蔵 2020/11/21-7/25
2020/11/21-2021/5/9
2020/8/29-2020/11/23
大阪市立東洋陶磁美術館 展覧会スケジュール|展覧会情報|大阪市立東洋陶磁美術館 魚拓 目録
若冲と近世絵画
(Ⅰ期)
4/29-7/25
2020/8/2-2020/10/11
相国寺承天閣美術館 年間スケジュール|承天閣美術館|臨済宗相国寺派 魚拓 目録
上方界隈、絵師済々 Ⅱ
(前期)
7/3-7/25
2021年前半に延期
2020/9/5-2020/10/18
中之島香雪美術館 企画展「上方界隈、絵師済々Ⅱ」|中之島香雪美術館 魚拓 目録
京都・開化の風景 4/24-7/27 京都市学校歴史博物館 企画展「京都・開化の風景」|当時の写真や京都を描いた絵画等約50点を一堂に展示し,開化の様子を振り返ります |京都市学校歴史博物館 魚拓 目録
特別展 あやしい絵展 7/3-8/15
火休
大阪歴史博物館 大阪歴史博物館:展示・イベント:特別展
あやしい絵展 公式ホームページ
魚拓 目録
揚州八怪
(後期)
7/13-8/15
2020/8/29-2020/10/18
大阪市立美術館 揚州八怪 │ 大阪市立美術館 魚拓 目録
奈良博三昧-至高の仏教美術コレクション-
(前期)
奈良国立博物館仏教美術名宝展
7/17-8/15
2020/7/18-2020/9/22
奈良国立博物館 奈良博三昧|奈良国立博物館 魚拓 目録
朝鮮の仏さま
(後期)
6/10-8/17
水休
麗美術館 高麗美術館 魚拓 目録
旅の美術 7/9-8/22 和文華館 展覧会|大和文華館 魚拓 目録
上方界隈、絵師済々 Ⅱ
(後期)
7/27-8/22
2021年前半に延期
2020/9/5-2020/10/18
中之島香雪美術館 企画展「上方界隈、絵師済々Ⅱ」|中之島香雪美術館 魚拓 目録
大津のどうぶつ博物館 7/17-8/29 大津市歴史博物館 企画展案内|企画展示|大津市歴史博物館 魚拓 目録
繁栄の池上曽根遺跡~拠点集落としての姿~ 4/27-9/12 大阪府弥生文化博物館 大阪府立弥生文化博物館 魚拓 目録
奈良博三昧-至高の仏教美術コレクション-
(後期)
奈良国立博物館仏教美術名宝展
8/17-9/12
2020/7/18-2020/9/22
奈良国立博物館 奈良博三昧|奈良国立博物館 魚拓 目録
鷹野隆大写真展(仮称) 6/29-9/23 国立国際美術館 |展覧会|NMAO:国立国際美術館 魚拓 目録
祈りと救いの仏教美術 8/27-10/3 和文華館 展覧会|大和文華館 魚拓 目録
若冲と近世絵画
(Ⅱ期)
8/1-10/24
2020/10/18-2020/12/20
相国寺承天閣美術館 年間スケジュール|承天閣美術館|臨済宗相国寺派 魚拓 目録
聖徳太子 9/4-10/24 大阪市立美術館 特展 │ 大阪市立美術館 魚拓 目録
村山コレクション受贈記念展「刀」~刀剣を愛でる~ 9/4-11/3 香雪美術館 展覧会|香雪美術館 魚拓 目録
特別展 土佐派と住吉派 其の二―やまと絵の展開と流派の個性― 9/12-11/7
開催を次年度以降に延期
2020/10/3-2020/11/29
和泉市久保惣記念美術館 展覧会案内|土佐派と住吉派 其の二―やまと絵の展開と流派の個性―|和泉市久保惣記念美術館 魚拓 目録
生誕200周年記念 森川杜園展 9/23-11/14 奈良県立美術館 展覧会予定 2021年4月~2022年3月/奈良県公式ホームページ 魚拓 目録
特別展 てん美禄びろく 酒の美術 10/9-11/14 和文華館 展覧会|大和文華館 魚拓 目録
西教寺 ―大津の天台真盛宗の至宝― 10/9-11/23 大津市歴史博物館 企画展案内|企画展示|大津市歴史博物館 魚拓 目録
海幸山幸 - 祈りと恵みの風景 - 10/9-12/5
2020/7/21-2020/9/13
九州国立博物館 九州国立博物館|展示案内:展示室の年間予定 魚拓 目録
幻の天才画家 鈴木華邨展 ―雪花風月の宴― 10/9-12/12
2020/10/10-2020/11/29
逸翁美術館 幻の天才画家 鈴木華邨展 ―雪花風月の宴―(仮)|逸翁美術館|阪急文化財団 魚拓 目録
村山コレクション受贈記念展「茶」~茶の湯と工芸~ 11/13-12/19 香雪美術館 展覧会|香雪美術館 魚拓 目録
特別企画展 雪村とその時代 11/19-12/26 和文華館 展覧会|大和文華館 魚拓 目録
ボイス+パレルモ 10/12-2022/1/16
2021/1/16-2021/3/7
国立国際美術館 ボイス+パレルモ - イベント|国立国際美術館 魚拓 目録
コレクター福富太郎の眼 11/20-2022/1/16 あべのハルカス美術館 コレクター福富太郎の眼|あべのハルカス美術館
コレクター福富太郎の眼|イベント|関西テレビ放送 カンテレ
魚拓
魚拓
目録
希薀廬コレクション 清朝陶磁の精華(仮称) 8/11-2022/2/6
2020/12/5-2021/3/28
大阪市立東洋陶磁美術館 展覧会情報|展覧会情報|大阪市立東洋陶磁美術館 魚拓 目録
特別企画展 日本のやきもの―縄文土器から近代京焼まで― 2022/1/5-2022/2/13 和文華館 展覧会|大和文華館 魚拓 目録
奈良県立美術館所蔵名品展 2022/2/5-2022/3/27 奈良県立美術館 展覧会予定 2021年4月~2022年3月/奈良県公式ホームページ 魚拓 目録
国宝 聖林寺十一面観音―三輪山信仰のみほとけ 2022/2/5-2022/3/27
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い会期を変更、1年ほどの延期を予定
奈良国立博物館 国宝 聖林寺十一面観音|奈良国立博物館
特別展「国宝 聖林寺十一面観音 ― 三輪山信仰のみほとけ」:東京国立博物館・奈良国立博物館
魚拓 目録
特別企画展 東アジア文人の肖像―書画と文房具― 2022/2/18-2022/4/3 和文華館 展覧会|大和文華館 魚拓 目録
蘆花浅水荘山元春挙画塾 2022/3/12-2022/4/17 大津市歴史博物館 企画展案内|企画展示|大津市歴史博物館 魚拓 目録
王朝文化への憧れ-雅の系譜 Ⅰ期 2022/3/20-2022/5/15
2021/4/11-2021/7/11
相国寺承天閣美術館 年間スケジュール|承天閣美術館|臨済宗相国寺派 魚拓 目録
伝教大師一二〇〇年大遠忌記念 特別展最澄天台宗のすべて 2022/4/12-2022/5/22 京都国立博物館 これからの特別展|京都国立博物館|Kyoto National Museum
伝教大師1200年大遠忌記念 特別展「最澄と天台宗のすべて」
魚拓 目録
王朝文化への憧れ-雅の系譜 Ⅱ期 2022/5/22-2022/7/18
2021/4/11-2021/7/11
相国寺承天閣美術館 年間スケジュール|承天閣美術館|臨済宗相国寺派 魚拓 目録
琳派の扇絵と涼の美
2021年度以降に延期
2020/6/30-2020/8/00 細見美術館 これからの展覧会 - 京都 細見美術館 魚拓 目録
虫めづる日本の美 ―養老孟司×細見コレクション―
2021年度以降に開催延期
2020/9/11-2020/12/00 細見美術館 これからの展覧会 - 京都 細見美術館 魚拓 目録
高麗茶碗の不思議(仮称) 延期? 2020/10/24-2020/12/00
10/24-12/13
野村美術館 展覧会情報|野村美術館 魚拓 目録
武家政権の軌跡-権力者と寺
開催未定
2021/1/10-2021/3/00
2021/1/10-2021/3/28
相国寺承天閣美術館 年間スケジュール|承天閣美術館|臨済宗相国寺派 魚拓 目録
生誕600年記念 雪舟狩野派 2021年度以降に延期 2020/9/15-2020/10/00
9/15-10/18
山口県立美術館 展覧会|山口県立美術館 魚拓 目録
加耶
開催延期
2020/10/13-2020/12/00
10/13-12/6
九州国立博物館 九州国立博物館|展示案内:展示室の年間予定 魚拓 目録
ANDY WARHOL KYOTO
延期調整中
2020/9/19-2021/1/3 京都市美術館 新館 東山キューブ ANDY WARHOL KYOTO/アンディ・ウォーホル・キョウト|京都市京セラ美術館 公式ウェブサイト
ANDY WARHOL KYOTO|アンディ・ウォーホル・キョウト
魚拓
魚拓
目録

*1:展示室面積なのか何なのか不明なんだが…

小栗判官と説経節の本

発端

昨秋にこのような展覧会がありました。

そのなかで「皇室につどう書画 三の丸尚蔵館の名宝」の一つとして、岩佐又兵衛小栗判官絵巻」が出品されていました。又兵衛のこの絵巻は今までにも他の美術館などで観ているのですが、今回はなぜか物語の筋が気になりました。ということで小栗判官について調べてみると、どうやら「説経節」という単語が関係してくる。この説経節というものはなにかといえば中世の語り芸能の一種。

 説経節せっきょうぶしは、近世初期に操り芝居と結びついて流行した。説経節そのものは中世からおこなわれていた語り物であり芸能であったが、それが一躍脚光を浴びるようになったのは、三都の操り芝居の舞台にかけられるようになってからである。…素朴未発達な段階にあって、豊かな物語性と人情味を備えた説経節の語り物は、じゅうぶん人の心をとらえたのである。しかし、浄瑠璃にすぐれた太夫があらわれて音楽的にくふうを重ね、近松のような作者が趣向に富んだ新作をつぎつぎと書き出すと、いつもきまった語り物だけを語っていた説経節は、古くさい者として飽きられていった。…だが、説経節の語り物の生命はそれで断たれてしまったわけではない。第一に、それは浄瑠璃に多くの素材を提供した。…第二に、絵双紙や読本よみほんの類に素材を提供した。第三に地方の芸能として残った。瞽女歌として、盲僧琵琶として、大黒舞いの歌として。また、佐渡の説経人形、秩父横瀬袱紗人形、八王子の車人形などの演目として、現在も残っている。…少なくとも明治時代までは、小栗判官とか石童丸とか山椒大夫とか言えば、だれでも「あああの話か」と、知らない人はいなかった。
(「説経節東洋文庫243 平凡社)」まえがき冒頭)

確かに小栗判官山椒大夫も、他に刈萱も信太妻も、名前は聞いたことがあるのだけど、その筋までは知らない。ということで、小栗判官を中心として、説経節に関する本をちょこちょこ読んできたので、なんとなく列挙してみます。

注意事項

なお「説経節」であって「説教節」ではありません。念の為。

 説経とは、もともと経典を講じ教義を説くことであって、それ自体は文学でも芸能でもない。しかし教化の対象が知識教養の無い庶民のばあいには、仏典講説のさい、おのずから譬喩ひゆ・因縁など説話の部分が耳にはいりやすいので、そこから文学的なものが成長していった。これを唱導文学と言う。(中略)唱導文学の担い手たちは、高野聖こうやひじりやその他の廻国聖、山伏、御師おし、盲僧、絵解えとき法師、熊野比丘尼をはじめとする巫女の類、といった下級宗教家である。
(「説経節東洋文庫243 平凡社)」解説・解題 p.314)

本の列挙

説経節 山椒大夫小栗判官他(東洋文庫243 平凡社 1973年)

説経節 (東洋文庫)

説経節 (東洋文庫)

  • 作者:荒木 繁
  • 発売日: 1973/11/01
  • メディア: オンデマンド (ペーパーバック)
現代において、説経節の原文を読みたい、と思ったときに真っ先に手に取るべき本かと思われます。註釈もついているので、古文の知識がちょっとあればなんとか読めます。そして何よりも大事なところ(と私が思うの)が、原文でのリズムの良さ。語りであり謡いでもある物語なので、現代語訳では分からないリズムの気持ちよさが原文では楽しめます。
掲載の物語は「山椒太夫」「苅萱」「信徳丸」「愛護若」「小栗判官」と浄瑠璃の「信太妻」。前の5つはいわゆる「五説経」とも呼ばれるほどの代表作であること、そして「信太妻」は五説経に入ることもあるのだが説経節としての原文が見つからなかったので追加分として入れてある、とのことでした。なお「小栗判官」の文は、上に書いた岩佐又兵衛小栗判官絵巻」の文を用いているとのことです。
今となっての問題点は、字が小さすぎて註釈番号が読めないこと*1

ラクル絵巻で楽しむ「小栗判官と照手姫」(太田彩 監修/東京美術 2011年)

岩佐又兵衛小栗判官絵巻」を所蔵する三の丸尚蔵館学芸員である太田彩氏の監修。岩佐又兵衛小栗判官絵巻」の全場面を載せているのがこの本のポイント。ただし全15巻324m(!?)もある絵巻なので、大半の図版は非常に小さい。しかし推しの場面は折り畳み見開き形式でバーンと見れるので、意外と楽しめる。ただし絵がメインで詞書き部分は載っていない。解説もまあまあしっかりしていた(はず)。

説経 小栗判官近藤ようこ/白泉社ジェッツコミックス 1990年 → ちくま文庫 2003年 → KADOKAWAビームコミックス 2014年)

そういえば試し読み部分しか読んでないや…^^;;

新訳 説経節伊藤比呂美/平凡社 2015年)

新訳 説経節

新訳 説経節

いちおう日本語訳。なので当然ながら原文よりは読みやすい。読みやすいのだが…原文のリズムの気持ちよさが全く消えているのがとても悲しい。著者は詩人なのだから、口調を考えた翻訳にしてほしかった*2
掲載されているのは「小栗判官」「しんとく丸」「山椒太夫」。
ちなみにこの本はWeb連載をまとめたものなので、そちらのバックナンバーがいちおう残っている。小栗判官だけは一部リンクのみ残存…だがリンク先は消えていないので結局全部残ってる(ありがたやありがたや。

なお私はこの「しんとく丸」を読んで「信徳丸(俊徳丸/身毒丸)=弱法師」であることに気付きました。(参考:東京国立博物館 - コレクション 名品ギャラリー 館蔵品一覧 弱法師(よろぼし) 

説経節を読む(水上勉/新潮社 1999年 → 岩波現代文庫 2007年)

説経節を読む (岩波現代文庫)

説経節を読む (岩波現代文庫)

  • 作者:水上 勉
  • 発売日: 2007/06/15
  • メディア: 文庫
現代語訳ではなく「原文+筋+思い出語り」という形式。原文引用が長めの部分もあるがその直後に要約が入っているので意外と読みやすい。全文訳よりもこのほうが良いのではないかと感じる。ただし思い出語りの部分もほどほどに目立つので、水上勉が好きな人に限られるかもしれません。
掲載されているのは「さんせう太夫」「かるかや」「信徳丸」「信太妻」「をぐり」。

中世の貧民 説経師と廻国芸人(塩見鮮一郎/文春新書890 2012年)

中世の貧民 説経師と廻国芸人 (文春新書)

中世の貧民 説経師と廻国芸人 (文春新書)

文藝春秋サイトでの塩見鮮一郎の検索結果をみるとこの本は「貧民シリーズ」とやらの第2弾に相当するらしい。シリーズの他の本は未見。
小栗判官の道行きを中心にして、現代での現地状況なども補いつつ、さらには他の説経節の物語や中世文学、そしてそれらを語った貧民層のことなどを織り込みながら書かれている、ガイドブックのような本。小栗判官の物語自体を読むと言うよりは、タイトル通り中世を中心とした世界を現代から覗き見る感じが主となる。
説経節を読むと言っても、現代人からすれば読み返すわけだし、物語で描かれた場所の現状を知りたくなることもある。その点では良いガイドブックだと思います。

おまけ:山椒大夫森鴎外

こちらは山椒大夫の口語訳、というか翻案。原文の筋とだいたい合ってるのだけど、いろいろな省略を入れている。丹後から京へ上るところがそっけなく略されて、その他も「中世のどろどろした部分が消されて無味無臭になっている」として塩見鮮一郎「中世の貧民」では否定的な評価になっている。
もちろん追加のある箇所もあり、水上勉説経節を読む」では自然描写を付け足して物語を豊かにしていると評価している。
個人的には、説経節の代表格への導入作品として優れていると思います。

その他

原文だと以下の2冊もあるのだが未読。

古浄瑠璃 説経集 - 岩波書店

古浄瑠璃 説経集 (新日本古典文学大系 90)

古浄瑠璃 説経集 (新日本古典文学大系 90)

掲載されている作品はこれららしい。「浄瑠璃御前物語」とか「ほり江巻双紙」とかあるので、岩佐又兵衛の他の絵巻に関係しているかも。
オンデマンド版も→ 古浄瑠璃 説経集 - 岩波書店

  • 新潮社

説経集  新潮日本古典集成 第8回

説経集 新潮日本古典集成 第8回

なお2017年に新装版が出ている。
掲載されているのは「かるかや」「さんせう太夫」「しんとく丸」「をぐり」「あいごの若」「まつら長者」。
室木弥太郎/校注 『新潮日本古典集成〈新装版〉説経集』|新潮社
新潮日本古典集成〈新装版〉 説経集

新潮日本古典集成〈新装版〉 説経集

  • 発売日: 2017/01/31
  • メディア: 単行本

また現代語訳では「池澤夏樹個人編集 日本文学全集」にも。こちらも翻訳はやはり伊藤比呂美。掲載されているのは「かるかや」だけかな*3
能・狂言/説経節/曾根崎心中/女殺油地獄/菅原伝授手習鑑/義経千本桜/仮名手本忠臣蔵 :岡田 利規,伊藤 比呂美,いとう せいこう,桜庭 一樹,三浦 しをん,いしい しんじ,松井 今朝子|河出書房新社

*1:老眼…

*2:なお伊藤比呂美訳の良さを評価する記事を見掛けたので貼っておきます→ 11 現代語訳を軽視するなかれ | 最後の読書 | 津野海太郎 | 連載 | 考える人 | 新潮社

*3:どうやらそのようだ→ https://note.com/fujicho_no_yomo/n/nf211796a5dd2