HSPの本日の講義テーマは「地域主導の医療」だった。九大の信友浩一先生の講義は、医療経営のプロを目指す私にとって、大変興味深かった。
<信友浩一先生の講義メモ>
政策(方針)を作るには、政治(対立を定義してどうにかする)が必要。
○第三次の官業払い下げ
・明治政府が財政危機になった時、八幡製鉄所など第1次の官業払い下げが実施。
・土光行革を皮切りに、NTT、国鉄、国立大学、そして漸く郵政が民営化された。
・第三次官業払い下げ案件として、自治体病院が残っている。
→2007年11月13日のガイドラインで、原則、民営に移管で決定した。
○日本の医療制度の経緯と特徴
・1961年(昭和36年)の国民皆保険制度で原型が決まった。
・WHOは医療を3つのパラメーター(良質な医療、効率性、公平性)で評価が必要と
しているが、日本は公平性を優先し、良質性は捨てられている。
・「公平」とは機会が与えられている、「平等」とは結果が平等、「公正」とは
プロセスを同じにすること。
・米国は良質性、効率性の順で、頑張った金持ちは報われて当然という考え方。
・ちなみに、済生会は10%は貧乏人を入院させる代わりに税金を免除されている。
・1970年代に公平性の為に、医科大学を増やし、医師を増やした。
・1985年に医療法改正により、医療計画を導入し、医師ではなく病床を規制した。
当時から、医師は充足しているとしている。医師には往診義務があるにも
関わらず、受け入れなくても罰則はない。
・1997年の医療法改正で、総合病院の名称廃止により、施設完結型から地域
完結型に変わり、その結果、パプリックマインドが無くなり、プライベート
マインドの医師が多くなった。
・2006年に新医療計画により、これまでの事前行政(プランのみで、性善説に
立って許可し実績を問わない)から、事後行政(データの提供義務を持たせ、
チェックをし、2〜3年以内に見直す)に切り替わった。
もう1点は、患者視点の導入が特徴。医師は患者の事を分かっていないという
前提で患者主体。