ホーキング、宇宙のすべてを語る
『ホーキング、宇宙のすべてを語る』を読んだよ。他の宇宙本と比べると…。う〜む。
いつかはホーキング本だと思っていたけど、こんなに早く手にするとは思っておらず。その前に、ホーキング本といえば『ホーキング、宇宙を語る』だと思っていたけど、『ホーキング、未来を語る』とこの『ホーキング、宇宙のすべてを語る』を3冊ほど出しているみたい。但し、内容的には3部作というわけではなく、独立した読み物。
それでも、この『ホーキング、宇宙のすべてを語る』は最初の『ホーキング、宇宙を語る』の改訂版という色合い。原題でも『A Briefer History Of Time』で、最初の『A Briefer History Of Time』とは2文字しか違わず。
どの宇宙本も大体お決まりのパターンというのがあって、本書もそれに従う感じ。で、まずは、アリストテレスを登場させ、コペルニクス、ケプラー、ガリレオ・ガリレイと続く。
そして、ニュートンの登場。何らかの力や衝撃がなければ物体は静止状態を取るはずだと信じていたアリストテレスと、その逆で、力が加わらなければ等速運動を続けると言ったニュートン。ニュートンのこれは、唯一の静止状態の基準などはないということ。このことについて、ホーキングは、
アリストテレスとニュートンのどちらが正しいかは重要なのでしょうか?これは単に見解や哲学の違いなのでしょうか?それとも科学にとって重要な問題なのでしょうか?実際には、絶対的な静止状態の基準がないことは物理学において深い意味があります。異なる時間に生じた二つの事象が同じ空間の同じ場所で起きたかどうかを、明らかにすることができなくなるからです。と語る。
続いて登場は予想通りアインシュタイン。特殊相対性理論の説明から一般相対性理論の解説が続く。即、引用。
空間と時間が、ここでは動的な量なのです。物体が動く、あるいは力が作用すると、それが空間と時間を湾曲させるのです。そして、今度は、時空の構造が物体の動きと力の作用に影響を与えるのです。空間と時間は宇宙で起こるすべての事象に影響を及ぼすだけではなく、宇宙で起こるすべての事象から影響を受けるのです。と。そして、空間と時間は宇宙の枠と切り離すことが無意味になったのだとも。
さらに、膨張する宇宙、ビックバンへと話は展開するよ。
ここではアッシのいつもの疑問。ビックバン以前は何かという問いへの回答があったよ。
ビックバン以前に何か事象があったとしても、ビックバン後にはどんな影響も残せないので、科学的な宇宙モデルに含まれるべきではありません。したがってそれから宇宙モデルから切り捨てるべきもので、ビックバンこそが時間の始まりだとすべきなのです。とホーキングは語る。その他の言い方として、「ビックバンのときに(ビックバン以前の)予測可能性が破綻してしまうからです。」とも言っているよ。つまりは、考えることは無駄だということかぁ〜。
ところが、量子論に話が展開していくと、宇宙には始まりも終わりもないという話になってくる。
もし時空に境界がなけれは、境界の性質を定めることも必要ありませんし、宇宙の初期条件について知る必要もありません。と。話がややこしくなってきた…。
最後は、ひも理論。余剰次元という考え方が出てくるよ。これは面白い考え方。ひも理論では十次元、二十六次元の場合のみ、時空は成立するという。ところが人間には空間の三次元と時間の一次元にしか見えない。それ以外の次元(余剰次元)は折り畳まれているのだという。ふ〜む、そう言われても…と言うしかない…。
全体的に優しく書かれてはいるけれども、後半は理解が進まない感じ。ページ数の問題もあるかもしれないけど、『宇宙創成』の方が丁寧で分かりやすいかも。アッシにとっては、ひも理論は初登場で、これから注目の理論になりそうです〜。
ホーキング、宇宙のすべてを語る | |
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