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活字中毒者地獄のりす蔵 RSSフィード

2012-03-25

宮台教授の就活原論/宮台真司

| 06:55

宮台教授の就活原論』を読んだよ。就活っていかにも社会学的。

宮台先生の著書は難しい印象があったけど、テーマが就活だし、原論となれば本質は何かという議論も聞けるという期待もあり、つい予約。そう、予約が必要だったということにも、ある種の驚きがあり、就活って社会的にも関心が高いんだろうね。それとも、宮台教授の人気?

ということで、本書はタイトル通り、就活マニュアル本の様なテクニカルな話ではなく、まさに本質論。就活に入る前に読んでおいた方がいいかも。そう、ギャップタームに読むのがタイミング的に一番いいかも。あと、採用側の企業の人事担当者も読んでほしい感じ。

もう一つ、本書の特徴。読む終わって、改めて目次を見ると、そこに全てが書かれている感じ。普段、目次を確認しないアッシとしては、本書の目次はいい感じに思えるよ。

では、その本質とは何か。

まずは、「適応」と「適応力」。今までの企業は「適応」を求めていたけど、今の企業は「適応力」を求めているのだと。

言い換えれば、変わらない社風に「適応」することではなく、提供する製品やサービスに伴って変化し続けるかもしれない社風についてきてくれる「適応力」を求めざるを得ないのです。ここで大切なのは、「適応」と「適応力」が全く異なるものであることです。
そう、現代の企業は10年後には今と全く違う製品やサービスを提供しているかもしれないから。これもおしなべてグローバル化の波と言えるかも。そういう意味でも、仕事が「自己実現」だなんて、あり得ない。もっと言うと、自分にピッタリの仕事なんてないわけで。

そうなると当然無理が出てくるわけで、ストレスも溜まる。そのためにも、

だとすれば、働く人間たちは、自分の力で社会の中にホームベースを作っていくしかないと思います。
と宮台教授。会社がホームベースだった時代があったけど、目まぐるしく変化する社会において、それは無理な話だよね。

最後に、折角なので面接でのテクニック的な話。

「テクストから身を外し」て「コンテクストに耳を傾ける」ことが大切です。相手の言うことに文字通り反応する限り、呑まれてしまいます。
緊張状態は、文字通り真に受けてしまうんだよね。文脈を考える…就活に限らず、いつでも使えそうなテクニックだよね。アッシも交渉術として取り入れていこ。

宮台教授の就活原論
宮台教授の就活原論宮台真司 石黒正数

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2012-03-17

メッシュ/リサ・ガンスキー

| 07:24

メッシュ すべてのビジネスは〈シェア〉になる』を読んだよ。『シェア』とはちょっと違う。

特にシリーズ化されているわけではないけど、『フリー』『シェア』に引き続き『メッシュ』。本の装丁が似ているのでは、シリーズものだと勘違いするアッシのような人がいるかも。とは言え、副題が「すべてのビジネスは<シェア>になる」だから、全く違うものとは言えないけど。

初版が2011年2月だから、最新の事情も盛り込まれていて、現実的な話も多く、結局は『フリー』『シェア』の最新事情と言ってもいいかも。

世の中を見渡してみれば、シェアしているものって山ほどある。道路、公園、ホテル、鉄道、バス、教会、図書館、カフェだってそう。でも、メッシュとはどう違うのか。

すべてのメッシュ・ビジネスが基本としている前提がある。商品についての情報がシェアされれば、その商品の価値はビジネスにとっても、個人にとっても、コミュニティにとっても増す、ということだ。
ここのでキーワードは「情報のシェア」。モノだけのシェアではないわけだよね。

具体的にはどうだろうか?シェアするということはモノを所有しないという考え方。環境にもいいし、所有するコストも軽減することができる。

さらに、ビジネス的にも利用価値が高い。シェアすることで顧客とのトランザクションが1度に止まらず、何回も発生する。トランザクションの蓄積から新たなビジネスの提案ができるようにもなるし、顧客側もより良いサービスを受けられるようになる。

さらに、メッシュ・ビジネスにとっての条件整備が進んでいる。クラウド・コンピューティング・サービス、SNS物流網の整備などのインフラがメッシュ・ビジネスへの参入障壁を低くしている。SNSの登場が『シェア』から一歩進んでいるよね。

もうひとつ、「透明性」というキーワード

私が今わかっているのは、とくにパートナーとのコミュニティで構成されるメッシュの生態系においては、情報やアイデアをシェアすることに多大な利点がある、ということだ。インターネットそのものが最高の例だ。
そう、そもそもシェアするためには、オープンでなくてはならず、透明性が高ければ高いほど、信頼を得ることにもなる。

蓄積と透明性。それがセレンディピティをもたらすことに繋がるのとも言っているよ。アウトプットはインプットの量に比例する訳で、これからは有効な情報の蓄積が必須なんだよね。

メッシュ すべてのビジネスは〈シェア〉になる
メッシュ すべてのビジネスは〈シェア〉になるリサ・ ガンスキー 実川 元子

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2012-03-10

山に生きる人びと/宮本常一

| 07:55

山に生きる人びと (河出文庫)』を読んだよ。土地土地に相応しい生き方があり。

『忘れられた日本人』に引き続き、宮本常一氏。氏の著作を知ったのは、実は本書の方が先。たまたま文庫版が本屋に並んでいたから。で、本書を探していて、図書館で見つけたのが『忘れられた日本人』だったわけ。たまたま『忘れられた日本人』を先に読むことになったんだけど。

『忘れられた日本人』との違いは、生きる人びとの生活環境を山中に限定したこと、歴史的には縄文時代まで遡って、人びとの生活を考察していること。そういう生活をしていることには、過去の経緯があるからね。

では、山に生きる人びととはどのような人たちなのだろうか。

本書では、狩人、サンカマタギ、杣人、木地屋、鉄山師、炭焼き、その他に職業ではないけど、落人とか。こう列挙してみると、山に生きる人びとにも、いろいろな生活があるんだよね。そして、平野の人には想像もつかないような生活が…。

例えば、こんな記述が。

狩猟をおこない木地を挽くような仲間は川下から川上にさかのぼるだけでなく、山をこえてやってくることもすくなくない。だから山をこえてやってきて定住したという村は十分に注意してよいのである。そういう村は山中にいくつも見かける。
と。実際に赤石山脈の茶臼岳(3000m級の山々)を越えて、住み着いた村もある。筆者の考察では、狩猟をしながら辿り着き、そのまま住み着いたパターンではないかと…。これらの人びとは、住み着いても水田を作らず(土地の条件で難しさ面もあったが)、焼畑や炭焼きなどで生計を立てていたのであろうとも、言っているよ。

逆に、戦さに敗れて逃亡した落人たちは、もともと水田を知っているので、山中に逃れたとしても、水を引いて稲作をしたとか。逆にいうと、山中で水田がある場所は、落人の村と予想することができるかもね。

最後は、筆者の試論

古い縄文期の民族的な文化が焼畑あるいは定畑などを中心とした農耕社会にうけつがれ、一方水田稲作を中心にした農耕文化が天皇制国家を形成して来る。そしてこの二つのものはずっと後々まで併行して存在しかつ対立の形をとったのではなかろうか。もとより武家社会も中世以来は水田稲作と結びついて来るが、戦闘的できわめて勇敢であった武士団が多く山間や山麓台地に発生している事実は見のがすことができないと思う。
稲作、畑作と簡単に区別してしまうけれども、そこには途方もない歴史があり、アッシには想像もつかないような歴史の流れがあるんだろうね。しかも、日本独自ものが。現代に生きるということはその積み重ねの上に成り立っていることを忘れたくないよね。

山に生きる人びと (河出文庫)
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