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活字中毒者地獄のりす蔵 RSSフィード

2012-05-27

夢をかなえるゾウ/水野敬也

| 06:36

夢をかなえるゾウ 文庫版』を読んだよ。明らかに自己啓発本ではなく…。

2007年8月に単行本が出て、当時は本屋の平台に山積みされていた記憶がある。多分、かなり売れたんだよね。で、気がついてみると、それからもう5年。ということで、文庫版が登場し、アッシ的には即予約。文庫本の方が満員電車でも読みやすいし。

さて、この物語。登場人物はたった二人。ガネーシャと僕。二人だからどちらも主人公と言えるけど、一応、「僕」が主人公と言っておく。で、その「僕」は普通の会社員で、インド旅行のお土産に買ってきた飾り物の神様がガネーシャ。そのガネーシャが突然喋り出し、「僕」の人生指南をするというわけ。

でも、物語になるくらいだから、普通の指南ではなく、奇想天外な指南を展開する。しかも、ガネーシャは何故か関西弁。その関西弁が物語のよいテンポを作り出している感じ。そう、二人の漫才を見ている感じと言っていいかも。

と、これ以上、話の内容を書くとネタバレになるから、ここまでに。

アッシの気に入ったセリフを紹介。

またはじまった、自分好きが。
と「僕」がガネーシャについて語る。でも、これって何となく分かる。自分好きじゃないと、自分について真剣に考えないんじゃないかなぁ〜って。

それにしても、ガネーシャの行動はハチャメチャ。これを我慢できた「僕」は、やっぱり若くて、自分の夢があったからかなぁ〜?アッシなら、即刻キレていたかもしれません〜。

夢をかなえるゾウ 文庫版
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2012-05-26

森に降る雨/関川夏央

| 06:03

森に降る雨 (文春文庫)』を読んだよ。中年男に共感する。

あとがきにあるように、『水のように笑う』の続編的な位置付けの本書。前作は青少年時代のノスタルジー的感覚が強かったけど、本書はもう少し大人の感覚。それでも、話の内容には少年時代の思い出が登場するんだけれども、単なる思い出話ではせずに、この本が書かれた時点での筆者の感覚が強く出ているように思えるよ。

で、前作『水のように笑う』と合わせて読んでみて、筆者の感覚は何だろうか?と考えていたんだけれども、ちょうどその感覚に合う言葉が本書の中に登場。

すなわち自意識過剰なのである。ここでまたふと考える。
そう、自意識過剰の感覚。これがアッシが捉える関川夏央氏の作品。自意識をこれだけ細かく分析して文章にできるって、まさに自意識過剰の世界なのではないかと…。

でも、逆にTVに出席することは自意識をこねくり回す必要がなくてスッキリするという筆者の気持ちもよく分かる。自意識は疲れるんだよね。

もう一つの本書の特徴は、文芸評論。作品の評論ではないけれど、森鴎外とか樋口一葉とか、明治の文豪たちを分析する。これも関川氏らしい分析なので、アッシ的にはグッと来る。

それにしても、関川夏央氏の作品は不思議な感覚。エッセイのようでそうでもなく、小説かと言えば違うような。でも、事実をベースに書いているんだろうけど、どうなんだろって感じ。だから、私小説とも違うような。不思議な後味が残る作品はでした〜。

森に降る雨 (文春文庫)
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2012-05-20

生物多様性のウソ/武田邦彦

| 06:46

生物多様性のウソ (小学館101新書)』を読んだよ。結局は環境問題

池田先生『環境問題のウソ』を読んで以来、環境問題は深く知りたいと思っているアッシ。だから、武田先生の著作もあちこち読み漁っているわけだけど、本書はまたちょっと毛色が違うかなと選択。図書館でも予約状態だったから、最近メディアにも登場する武田先生はある意味注目されているのかも。

と言うことで、生物多様性

結局は、生物の歴史は地球の歴史。地球の歴史は環境の変化。だから、生物を語ることは環境を語ること…ということで、環境問題に落ち着くわけ。

と、結論じみたことをここで言ってしまっては、元も子もないので、どんなストーリーかを少しだけ紹介。

まずは、生物の進化から。「トライアンドエラー」で色々な種を作り、失敗作もあり成功作もあるという試行錯誤の連続で、生物は進化してきたということはよく分かる。それはどのような意味を持つのか。

古生代からずっと生物はこのように進化し、古い生物が力尽きて絶滅し、新しく競争力の強い生物が繁殖してきました。人間がおらず、「絶滅危惧種を保護しよう」などという活動がなかったからこそ、少しずつ進化して形も生活もより合理的で寒さにも強い生物が増えてきたのです。
そう、絶滅危惧種を保護するという行動には疑問を呈す。というか、ハッキリ反対。うん、絶滅する種があったからこそ、生き延びる種が強くなったということも言えるのかも。さらに言うと、絶滅する種があったからこそ、人間という種が誕生できたのかもしれないよね。

さらには、国際問題。

つまりは、「生物多様性は、地球温暖化と並んで、アメリカヨーロッパが自国を優位にするために、環境という名の下で持ち出してきた国際戦略」ということもできます。
と。これは、新手の植民地支配とも。人間の欲望は底無し沼だ…。

最後は、CO2。

地球誕生直後の大気は90%がCO2だったけど、それが現在は0.04%。その間に、植物がせっせとCO2をO2に変えたり、地球環境に固定化されていった。このままCO2が無くなってしまうと、炭素を作る元が無くなり、生物は滅亡する。でも、地球温暖化対策はCO2削減を目指している。これは矛盾だわ。

その他として、日本的というか情緒的な話もあるけど、もうこれ以上は書かず。とにかく、地球環境なんて人間が制御できるものでもなく、人類はなすがまま。それでいいように思うんだけど…。

生物多様性のウソ (小学館101新書)
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2012-05-13

坂の上の坂/藤原和博

| 06:29

坂の上の坂』を読んだよ。人生を考える微妙な年齢。

本書のタイトルは司馬遼太郎の『坂の上の雲』に引っ掛けたものだけど、では、「雲」ではなくて「坂」とは何か?そう、人生という長い坂を上り詰めて、上り切ったと思ったら、さらにその先には坂があった…というお話。いや、これは単なる笑い話ではなく、これからの我々日本人がハッキリと直面する問題なのかも。

「雲」の時代はリタイアすればゆっくり余生。でも、それほど寿命が長い時代ではないから、そのまま雲に乗っていれば済んだけど、「坂」の時代では定年後がさらに第2の人生と言えるくらい長い。だから、坂の上のさらに坂があるわけ。

前説が長くなったけど、そんな時代に坂の上の坂をどう生きるかということを50歳代のうちによく考えておきましょうよ…というのが筆者の提案。さらに、筆者の経験を踏まえたその指南書が本書というわけ。

さて、ではどのようなことを言っているのか…。

ひとつのキーワードは、これからの日本が進むべき方向性としての「成熟社会」。高度経済成長に日本人全員が進んでいた時代はとっくの昔に終わっているのに、その幻想を追っていては、「坂」を登ることはできない。だからこそ、発想の転換が必要で、そのキーワードが「成熟社会」であると。筆者の説明では、

人が幸せになるためには、自分自身で「何が幸福なのか」を定義しなければならない。それが、成熟社会の姿なのです。結果として、いまだに正解っぽい「モデル」を追っている日本人の不安感は、ますます募っていきます。
と。そう、不安感はここから来るもの。でも、まだまだ続きそうな気配…。

中盤から後半に掛けては、筆者の事例を多く紹介。リクルート時代から、退職してフェローに。そして、和田中の校長から独立へ。結果論だけど、そのすべてが「坂の上の坂」を上るために意味があるものだったような。

そこでの、もう一つのポイントは「企業内自営業者」という概念。会社の敷かれた路線に乗って、単純に出世街道を進むのも人生だけど、それは「坂の上の坂」を上るためにはあまり役には立たないわけ。そこで筆者の考え方は、独立してしまいましょうよ。でも、会社を辞めるのはリスクがあるから、組織に居ながらの独立。これが「企業内自営業者」。自分のスキルを会社に売り込み、それを活かしてもらう生き方。そして、そのスキルが「坂」を上るためにも活かされていく。

その他、地域との関係とか、家族との関係とか、財産とか…。

50歳を過ぎたら、真剣に考えないとなぁ〜ということに気がつかされる一冊でした〜。

坂の上の坂
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2012-05-12

遺伝子はダメなあなたを愛してる/福岡伸一

| 07:12

遺伝子はダメなあなたを愛してる』を読んだよ。生物学的にも、自由であれ。

ご存知、生物学者・福岡先生の本。週刊AERAの連載コラムをまとめたもの。普段の生活で感じるささやかな疑問を福岡先生にぶつけてみたら…というコンセプトということで、その回答がいかにも生物学者らしく、逆にいうと期待通りで、アッシ的には嬉しい感じ。

編集のコンセプトは前述の通りなんだけど、執筆のコンセプトは福岡先生流。ドリトル先生を登場させ、フェアネス、偽善無しの視点で世界を考えたいと言う。そして、

ドリトル先生から学ぶべきことのひとつは、知的であることの最低条件は自己懐疑である、という事実です(ですから、おのれの無謬性を信奉する官僚たちは知的ではありません)。
とバチリと一発。では、その視点から、どんな回答があるのか。

生命の情報伝達物質は情報を伝えるとすぐに消えてしまうという話。なぜ、消えることが大切なのか?

それは生命にとってはその変化そのものが情報なのであり、変化の幅(差分)こそが、次の反応を引き起こす手がかりとなりうるものだからです。そう考えてみるとなぜ私たちが今日、いわゆる「情報」に振り回されてしまうのかがわかります。ネットやメールの言葉はいつまでも消えません。トゲとなってずっと残ります。
生命にとって、時間を逆流することがないんだよね。だから、情報を残す必要もないし、残しても意味がないんだよね。ここで登場する時間の概念も生物にとっては重要なもの。別の項では、
私たちに第一に必要なのは謙虚さと時間に対するリスペクトなのです。
とか、
時間にはロマンがあります。
とか。生命には38億年という悠久の時間があるからね。

もう一つは、地球外生命体の見解。

リンの代わりにヒ素を使った生命体が地球上で発見されたニュースを受けての話で、福岡先生の想像する宇宙人とは、地球生物の延長線上にあるのではなく、まったく異なって仕組みのものであるといい。

つまり、たとえ遭遇しても、すぐにはそれが生命体とは認識できない何者かとして私たちの前に立ち現われるのです。
と。これもひとつのロマン。そう、そこの鉛筆が地球外生命体だったりして…。

遺伝子はダメなあなたを愛してる
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2012-05-06

数学に魅せられた明治人の生涯/保阪正康

| 07:05

数学に魅せられた明治人の生涯 (ちくま文庫)』を読んだよ。一庶民の戦争の記録。

数学”という文字に反応して、すぐにメモ。図書館でも予約して借りたくらいだから、新刊はどんな本でも人気なのかも。“数学”というとそれほど借り手はいないと思っていたから、これは意外。

では、どんな内容か。

主人公は、茂木学介という人物。仮名となっていて、モデルになった人物は実在の人。本書の執筆に際し、筆者が実際にインタビューをしているよ。最晩年の頃だと思うけど。

タイトルには“明治人”となっているけど、これは主人公が明治生まれということ。だから、日清戦争日露戦争第二次世界大戦を経験している。このことは、この話のポイントになるよ。

そして、“数学”。数学好きの主人公が挑むのは、「フェルマーの最終定理」。戦争に明け暮れる時代は、それほど打ち込む時間は無かったけれども、戦後の晩年は、寝ても暮れても「フェルマーの最終定理」の証明にすべてを捧げる。

さて、実際にはどんな生涯だったのか。

前述の通り、明治に生まれ、二十歳そこそこで日清戦争に従軍。配属された部隊は、おとり作戦のおとり役に指示され、死を覚悟して突撃したが、敵側攻撃の失敗で死は免れる。そこで、中国人苦学生の死に遭遇。これが心に留め置かれることになる。

その後、日本に帰り、ひょんなことから中学の教員に。就職が決まった直後の浅草見物の際にも、中国からの留学生が日本人に囃し立てられている場面に遭遇し、日本人に注意するも無力…。

その後、再び日露戦争で、満州へ行くも、帰国後は教員を辞めて、故郷の村の村長に就任。ここでは、得意の数学を活かして、灌漑工事などを進めることになる。

しかし、また戦争。

村の収入役とその息子の事件があったりで、この戦争について深く考えるようになる主人公。そして、村長を退任した後は、「フェルマーの最終定理」に没頭するようになる。

しかし、その理由は何か?単に数学が好きだからとか、研究を続けていたからという理由ではない。自分の人生の中で、過ぎて行ったそれぞれの墓標に思いを募らせたから…。詳しい理由は本書に譲るけれども、何となく理系人間としては分かるような…。

そう、本書は数学の本というより、戦争の記録。しかも、日清戦争から第二次世界単線まで生きたのは、この時代の明治生まれの人たちだけだからね。主人公は長寿だったのは、「フェルマーの最終定理」という打ち込むものがあったからかもしれないね。あっ、ちなみに、主人公は最後はこの定理の証明を達成します〜。

数学に魅せられた明治人の生涯 (ちくま文庫)
数学に魅せられた明治人の生涯 (ちくま文庫)保阪 正康

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