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活字中毒者地獄のりす蔵 RSSフィード

2013-06-28

日本文化のゆくえ/河合隼雄

| 07:31

日本文化のゆくえ (岩波現代文庫)』を読んだよ。文化って、行動規範か?

本書は、河合隼雄先生の著作集から抜粋したもの。それでも、かなりのボリュームで読み応えがあるよ。

広範囲の内容ではあるけれども、一言で言い表すならば、河合先生の日本人論。専門の心理学心理療法の話に留まらず、社会論や宗教論、最後は哲学までを含む幅広い論を展開しているよ。そして、日本人論と言えども、世界の中の日本であるわけだから、比較文化論でもあるわけ。

特に、「個人」というものをキリスト教の教えに基づいて考える欧米諸国に対し、それとは異なる日本。「日本文化のゆくえ」を考えるにあたって、この点を抑えておくことが重要なのかも。本書に何度も出てくるのが、この「個人」の考え方の違いだから。

例えば、

西洋におけるこのような長い歴史のなかから生まれてきた「個人」ということを考えるとき、今頃急に日本人が「自分探し」を好きになっても、それはいったいどのような「私」を見出すことができるのか、と危惧の念を持たざるを得ないのも事実である。
と、筆者は「個人」の考え方から、最近流行りの日本人の「自分探し」に疑問を投げかけているよ。

そして、「自分探し」とは「自己実現」の手段のひとつだと思うけど、これについて、「異文化性」と結びつけて考える。

実現するべき「自己」は、現在の自分にとってはまったく思ってもみないような「異文化性」をもっている。「どうしてこんなことを」とか「なぜこんなことを」と言いたくなるような要素を体験しなくてはならぬところに、自己実現の本質がある、と思われる。
と、ここでもう一つの本書のキーワードである「異文化性」が出てくるよ。「内なる異文化」という言葉もキーワードかも。それが倫理性にも繋がってくるし。

本書が書かれたのが、20世紀末。それから10年以上経つけれども、日本文化のゆくえは未だ不透明な感じ。グローバル化の波にさらされ、ますます混沌を極めていくような…。そんな時に、原点に戻る為に読むべきものが本書なのかもしれません。

日本文化のゆくえ (岩波現代文庫)
日本文化のゆくえ (岩波現代文庫)河合 隼雄

岩波書店 2013-01-17
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