ツナグ/辻村深月

ツナグ (新潮文庫)』を読んだよ。使者と死者。

新潮文庫が出している『中学生に読んでほしい30冊 2014』という小冊子。不定期にここから1冊ずつ選んで読んでいくつもり。とは言え、不定期だから、本書でやっと2冊目。完読するのはいつになることやら。

筆者は辻村深月。本屋で見かけることが多くなっているような。自分的には初読。
さて、本書。
「使者」と書いて「ツナグ」と読む。そして、使者の仕事は死者と生者を引き合わせること。こう書くとちょっと怪奇風だけど、話の中身は至って日常的。
一生のうちに1回だけ死者に合うことができるという設定で、人々がツナグことを求めてくる。物語では、普通のOLがアイドルを呼び出したり、長男が母親を呼び出したり、女子高生が親友を呼び出したり、男子サラリーマンが婚約者を呼び出したり。シチュエーションは様々で、それぞれの人々の思いは複雑。会ってよかったと思う人もいれば、大どんでん返しで悲観にくれたり、一歩踏み出す力を貰ったり。

生者にとって死者とは何なのか。主人公は考える。

それは確かに、誰かの死を消費することと同義な、生者の自己欺瞞かもしれない。だけど、死者の視線に晒されることは、誰にだって本当は必要とされているのかもしれない。どこにいても何をしてもお天道様が見てると感じ、それが時として人の行動を決めるのと同じ。見たことのない神様を信じるよりも切実に、具体的な誰かの姿を常に身近に置く。
うん、これならば、死者と言えども生者と同じなのではないだろうかと思えてきた。影響を受け、与え合う存在なのかも。

さて、自分の場合。やっぱり、誰にも会わない方がいいように思えてきた。

ツナグ (新潮文庫)
ツナグ (新潮文庫)辻村 深月

新潮社 2012-08-27
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