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活字中毒者地獄のりす蔵 RSSフィード

2016-11-23

統計学が最強の学問である[ビジネス編]/西内啓

| 14:48

統計学が最強の学問である[ビジネス編]―――データを利益に変える知恵とデザイン』を読んだよ。実践編より実践的。

このシリーズも3作目。一時期の統計ブームは下火になったかと思ったけど、ビッグデータIoTなどの影響力が大きく、いまだにつづている感じ。そう、教育業界もエビデンスに基づく云々っていうのがなお叫ばれ続けている状況だから。

そんな状況で第3弾は[ビジネス編]。前回の[実践編]とどこが違うかというと微妙なんだけど、どちらかと言うと本書は統計学というよりも、ビジネスモデルの中で統計学をどう使うかという話。だから、ビジネスの話が主で、統計は後付けという感じ。使われる統計手法もほとんどが[実践編]で登場したものばかりだから。

では、どんなビジネスシーンで統計学を使うのか。まずは、「経営戦略」。どの産業のどの分野で戦うのか。どんな組織でどんな技術が必要かetc。そして、視点を社内に向け、「採用人事」。どんな経歴の人物を採用するのか。採用試験でその人材がどこまで分かるのかetc。3つ目は「マーケティング」。セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングと4つのP。最後は、「オペレーション」。ボトルネックは何か。生産性をどう向上させるかetc。

と、それぞれテーマは違うんだけど、統計学的にやることはどれも同じ。つぎの5つをそれぞれのテーマの場合で繰り返す。

  1. 分析対象の設定
  2. 説明変数のアイデア出し
  3. 必要なデータの収集
  4. 得られたデータの分析
  5. 分析結果の解釈

もちろん、それぞれのステップで使う手法はテーマによって違うんだけど、流れはこれでok。あえて言えば、一番重要だと感じたのは、「2.説明変数のアイデア出し」のような気がするよ。

最後に筆者のこんなセリフを紹介。

ビジネスマンがデータを分析しようという際には、研究者と違い必ずしも「人類がまだわかっていない重要なこと」を明らかにする必要はない。最低限「自社の多くの人間がまだわかっていない重要なこと」を発見しさえすればいい。
と。こう言われると多少気が楽になる気もするんだけど、やっぱり社内という世界の中では、それなりにプレッシャーのかかる仕事じゃないかなぁ〜。

統計学が最強の学問である[ビジネス編]―――データを利益に変える知恵とデザイン
統計学が最強の学問である[ビジネス編]―――データを利益に変える知恵とデザイン西内 啓

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2016-11-19

1974年のサマークリスマス/柳澤健

| 10:12

1974年のサマークリスマス 林美雄とパックインミュージックの時代 (集英社学芸単行本)』を読んだよ。我が青春のラジオ番組。

TBSのアナウンサーだった故林美雄氏の物語。本屋で目にした時には、まずは懐かしさで注目。そう、ちょうど、この物語の時代、自分は中学から高校に掛けての時代。毎晩のようにパックインミュージックを番組終了まで聞いていたっけ。もちろん、ながら勉強。

どうしてあんなに夢中になって聴けたんだろうか?今から思うと単に面白かったからにすぎないんだけど、ラジオを聞くと、何となく大人の世界が分かったような気になったからかもしれないね。中高生時代って、両親と学校の先生以外の大人の話を聞くことがない時期だから。

さて、林美雄の物語。パックを聴いている時から、ちょっとアナウンサーらしくないアナウンサーだなって感じ。もちろん、声は美声で聴きやすい。でも、考えていることがアナウンサーっぽくないわけ。それもそう、当時のパックインミュージックの第二部にはスポンサーが付かず、結果、比較的好きなことを番組の中でやれたのだと。それを象徴するのが、

当時は“おたく”という言葉はなかったけれど、林くんはおたく向けの放送をやっていた。ごく一部の人間だけが涙を流して喜ぶような放送です。
というディレクターの言葉。だからこそ、デビューしたての荒井由実を番組の中で紹介するなんていうことができたんだよね。

ところが、民間放送聴取率とスポンサーには勝てるわけはなく、金曜パック二部は終わる。そして、リスナーの集まりができ、そこから様々な活動が始まる。学生運動の余韻があった時代だったからね。

その後の、林美雄。水曜パックや夜はともだちのパーソナリティを経て、プロデューサー稼業の兼任も。そして、番組は商業化していき、林美雄の思う番組作りはできなくなってくる。

それにしても、一介のアナウンサーの物語が本になるとは。それは、あまりにも影響を及ぼした範囲が広かったからなのではないだろうか。そう、当時の若者たちだけではなく、歌手や俳優、映画監督まで。これだけ、人に影響を与えられる人生って何なんだろ。影響を受けた自分は誰かに影響を与えることができるのかなぁ〜。

1974年のサマークリスマス 林美雄とパックインミュージックの時代 (集英社学芸単行本)
1974年のサマークリスマス 林美雄とパックインミュージックの時代 (集英社学芸単行本)柳澤健

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2016-11-13

科学の発見/スティーヴン・ワインバーグ

| 06:11

科学の発見 (文春e-book)』を読んだよ。人間の飽くなき探究心。

突然だけど、科学史が好きだ。『宇宙創生』は分からない箇所がありながらも、ワクワクしながら読んだなぁ。だから、本屋の理系本コーナーで本書を見かけた時は、即チェック。単行本だし、分厚かったけど、いつかは読もうと心に留め、今回ようやく読了。

著者はノーベル物理学賞を受賞したスティーブン・ワインバーグ氏。本書はテキサス大学教養学部生向けの科学史の講義をもとに執筆され、現代の科学的方法論がいかに発見されたかを科学史をベースに書いたもの。

ただ、普通の科学史の本ではつまらない。だから、筆者は、

本書の中で私は、現代の基準で過去に裁定を下すという、現代の歴史家が最も注意深く避けてきた危険地帯に足を踏み入れるつもりでいる。本書は不遜な歴史書だ。
宣言する。つまりは、現代の視点から、過去の科学者たちをバッサリやってしまおうというわけ。普通は有り得ないよね。だって、過去の科学者たちはその時代の知識や技術しか持ち合わせていなかったわけで、その中で最大の知恵を振り絞っても、現代に叶うわけはないのだから。

で、どういう風にバッサリなのか。例えば、

現代科学のある重要な特徴が、これまで言及してきたタレスからプラトンに至る思想家にはほぼ完全に欠けている。彼らのうちの誰も、自分の理論を実際に確かめようとしていないのである。
と。確かに現代科学は仮説、実験(観察)、考察、結論で成り立っているからね。そう、古代ギリシャ科学者というより哲学者だったからね。

さらに時代は進み、ニュートンとかケプラーの時代。ここでは、

現代物理学の営みは物事の単なる記述ではなく、説明(「説明」という言葉の一般的な意味で)だと思うからである。「記述」と「説明」を明確に線引きすることはたしかに難しい。世界に関するある法則を「説明する」とは、それがさらに基本的な法則からどのように導き出せるかを示すことだと言えるだろう。
と言う。そして、ニュートン惑星の動きを記述したのではなく、「説明」したのだとも。微妙は違いだけど、分かるような気がするよね。

最後に、科学を超越した話。

つまり、世界はわれわれにとって、満足感を覚える瞬間という報酬を与えることで思考力の発達を促すティーチングマシンのような働きをしているのである。
と筆者。そう、これがなければ、科学の発見もなかったわけで、当然に人類の発展もなかったよね。与えたのは「神」ではなくて、「世界」だと言っていることも、本書を象徴しているなぁ〜。

科学の発見 (文春e-book)
科学の発見 (文春e-book)スティーヴン・ワインバーグ 赤根洋子

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