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活字中毒者地獄のりす蔵 RSSフィード

2017-12-16

日本のいちばん長い日/半藤一利

| 19:17

日本のいちばん長い日(決定版) 運命の八月十五日』を読んだよ。終えるのは難しい。

本書のKindle版を購入して、しばらくは積読状態。こういう時に電子書籍はいいような悪いような。場所は取らないけど、ポチったことを失念するから。

気を取り直して本書。2度ほど映画になっているから、知っている人も多いと思う。そう、終戦記念日とその前日の物語。登場人物は、政府内閣)、宮内庁陸軍NHK、ちょっとだけ海軍、そして昭和天皇

そして、本書の最初の刊行が昭和40年7月。つまりは、終戦から20年。これだけ書けたのは、やはり20年の年月が経ち、それぞれの登場人物が冷静に当時のことを見つめることができるようになったからか。いや、当時の記憶を呼び出すには20年という歳月が限界だったということか。

そして、たった2日間の物語だけど、その内容は濃厚。だから、筆者曰く、

したがって、本書は単に「終戦の日」の思い出ばなしを羅列したものではない。いままで埋もれていた資料をもとに、日本人の精神構造を主題にして構成した、二十四幕の?長篇ドラマ?なのである。
と。そう、1時間に一幕。そして、それぞれに一人のキーマンが登場する。それぞれがそれぞれの思いを胸にしているし、それを行動として起こそうとしている。真剣な思いで。

そして、敗戦か抗戦か。結論は分かっているんだけど、周囲の思いを忖度する人々。だから、

そうした混乱と絶望と苦闘の閣議とくらべれば、この日の、いわば帝国しめくくりの閣議は、葬儀に似てしめっぽいものであったが、ある意味では心安らぐものでもあったことに間違いない。
とか、
これらの部下たちを絶望的な混乱から救い、身をもって正しい決断にみちびくために、陸相は必死の努力を傾けている。なにより彼らに?栄光ある敗北?をあたえてやらなければならない!
という気持ちになるんだろうね。

戦後70年、日本と日本人はあっという間に変わってしまった感があるよね。日本国を思う気持ちは変わっていないといいんだけど。

日本のいちばん長い日(決定版) 運命の八月十五日
日本のいちばん長い日(決定版) 運命の八月十五日半藤 一利

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2017-11-25

イザベラ・バードの日本紀行/イザベラ・バード

| 19:15

イザベラ・バードの日本紀行 合本版 (講談社学術文庫)』を読んだよ。日本の評価は良いのか悪いのか…。

どういう経緯からか、既に記憶にはないのだけれども、読みたい本リストの古くからの常連が本書。講談社学術文庫で上下巻900頁ほどの厚みなので、尻込みをしていたのも事実だけど、Kindleから合本版がセールで出ていたのでget。しばらく積読状態だったけど。

時は明治初期。一人のイギリス人女性イザベラ・バード横浜港に降り立つ。当時47歳だったとか。そして、20代の男性通訳をお供に、東京から東北地方を巡り、北海道南部を旅する。その様子をイギリスの妹に手紙で綴ったものをまとめたのが本書。

では、イザベラ・バードは当時の日本をどう記述しているのか。

上陸してつぎにわたしが感心したのは、浮浪者がひとりもいないこと、そして通りで見かける小柄で、醜くて、親切そうで、しなびていて、がに股で、猫背で、胸のへこんだ貧相な人々には、全員それぞれ気にかけるべきなんらかの自分の仕事というものがあったことです。
これって、どう捉えたらいいのか。良いも悪いも一緒くたの書きぶり。よく捉えれば、正直と言えるのだろうか。そう、そもそも妹の当てた手紙なので、素直な感想をそのまま綴ったんだろうね。

そして、キリスト教文明と日本人の宗教観の違い。ちょっと長いけど引用。

破綻した宗教虚構に基づいて創建された天皇の玉座、ばかにする人々から見せかけの敬意を受けている国教、知識階級のあいだで猛威をふるう無神論下層階級にいばり散らす無知な聖職者、頂点にはみごとな独裁支配を、底辺には裸の労働者を持つ帝国、最も崇高な信条は露骨な物質主義であり、その目的は物質的な幸福です。キリスト教文明の成果を改善し、破壊し、建設し、横取りしています。しかしその果実を生んだ樹木はいらないと拒む──このような対比と矛盾がどこへ行ってもあるのです!
ここも結局何を言いたいのか分かり難いんだけど、無神論神社と仏閣、キリスト教がごちゃ混ぜの日本人の感覚には相当な違和感があったんだろうね。

それでも、北海道の旅はかなりの好印象だったような。

ひと言で言えば、本州ではできないことがすべてできるのである。また調査と観察に関したことから離れても、この人の少ない地には魅力がある。苫小牧襟裳岬間の太平洋があげる長く悲しげな音、内浦湾付近の荘厳なわびしさ、蝦夷の暮らしの軽やかさと自由。わたしが心を奪われたこういったものは、わたしの蝦夷の思い出をある面で日本で得た最も楽しい思い出にしてくれているのである。
それでも、未開人とか汚いとかいう単語があちこちに出てくるんだけど…。

いや、かなりな辛辣なセリフもあるけど、それこそ外国人からみた素直な表現なのだろうと捉えることにして、その意味で当時の日本人の様子がストレートに伝わってくる紀行文なのでした〜。

イザベラ・バードの日本紀行 合本版 (講談社学術文庫)
イザベラ・バードの日本紀行 合本版 (講談社学術文庫)イザベラ・バード 時岡敬子

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2017-10-07

この日本で生きる君が知っておくべき「戦後史の学び方」/池上彰

| 19:38

この日本で生きる君が知っておくべき「戦後史の学び方」 池上彰教授の東工大講義 日本篇 (文春文庫)』を読んだよ。戦後史は知っておくべし。

東京工業大学教授という肩書を持つ池上彰氏。そこで、教員という立場で戦後史を語るというコンセプトで書かれたもの。だから、タイトルに「この日本で生きる君が知っておくべき」という形容詞句があるわけ。

戦後史というと、日本史の授業では端折られる定番ということになっているけれども、それに関して、池上氏は、

歴史を教える人にとって、戦後史は現代そのもの。自分が経験してきたことは「歴史」と感じません。ところが、自分が経験していない人にとっては、それは歴史なのです。この認識の落差が、戦後史を空白にしてきたのだと思います。
という見解。だからこそ、ここで池上氏が学生に戦後史を語る必要があるんだろうね。そして、もう一つの見解は、今の社会がこうなっている経緯を知ることにもなるからというもの。この意味合いは強いよね。経緯を知らずには理解は深まらないだろうし。

戦後史と言っても、内容は様々。国際問題は、アメリカとの関係が中心にはなるけれども、そこに中国、韓国、北朝鮮の話も絡んでくる。そして、アメリカとの関係から、防衛問題と憲法問題。それが政府の見解に繋がって、政治の話。政治と言っても、政治そのものではなく、政治体制の話が中心かな。

そんな中で、池上氏らしく、チクリとしたコメントを散りばめるよ。

全国学力テストの話では、今の制度では前年度との比較ができないことに対し、悉皆調査から抽出調査に変更することを提案し、その上で、

統計学的には、これで十分に意味のある調査ができることを、東工大の学生なら理解できますね。こうした当然のことが実現できないのですから、日本の教育関係者の「学力」が心配になります。
と、かなりグッサリ。でも、おっしゃる通りだよね。

もう一つは、日本国の財政赤字について。高度成長期は国民に「利益の配分」があったがという観点から、

利益の分配ではなく、「不利益の分配」になってしまっているのが現実です。現実を見据え、国民に不利益の分配を認めてもらう。そんな政治家の出現を期待したいのですが。
と。いまだに高度成長を夢見ている人たちが多過ぎるからね。あっ、バブルもそうか。

さて、日本はこれからどうなるのか。まずは、今度の選挙の行方を見守らないと…。

この日本で生きる君が知っておくべき「戦後史の学び方」 池上彰教授の東工大講義 日本篇 (文春文庫)
この日本で生きる君が知っておくべき「戦後史の学び方」 池上彰教授の東工大講義 日本篇 (文春文庫)池上 彰

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2017-08-13

百姓たちの江戸時代/渡辺尚志

| 06:57

百姓たちの江戸時代 (ちくまプリマー新書)』を読んだよ。現代とそれほど変わりはなく。

江戸時代の普通の人々の暮らしについて、事例を多く盛り込んで詳しく紹介する本。ここで、普通の人々とは具体的には百姓のこと。網野善彦先生によると、「百姓とは農民にあらず」ということだけど、本書を読むと確かにそれは言えるんだろうなぁ〜と思えてくる。勿論、農業が主たる収入源だったのは確かなんだけど、それ以外にも様々な活動を行っていたことが本書を読むと分かるよ。

さらに筆者の考える百姓と農民との違いを、

農民は原始・古代以来存在していましたが、十五世紀頃まではその経営は不安定で、安定した家産を継続的に維持することは難しく、したがって家も広範には成立しえなかったのです。江戸時代は、百姓が一般的に家を形成したという点で、日本史上画期的な時代だったといえます。
と表現しているよ。そう、家という観点から百姓と農民は違うんだよね。

そして、実際の人々の暮らし。衣食住や娯楽、病気、介護や所属する村や村民との付き合いなど、資料をベースに詳しく説明しているよ。これを見ると、その手段は違えども、今の我々の生活とそれほど変わりがないような…。

最後は百姓一揆について。江戸時代の後期になると訴状の用例集のようなものが流布し、それを元に一揆の訴状が作られるようになったとか。こういうものが読めたり書けたりするようになったのも、寺子屋による教育の成果なんだろうね。

百姓を侮るなかれと思うし、学ぶべき点が多くあるということを知ることも、歴史を学ぶ意味があるんだろうね。

百姓たちの江戸時代 (ちくまプリマー新書)
百姓たちの江戸時代 (ちくまプリマー新書)渡辺 尚志

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2017-06-24

仕事。/川村元気

| 11:29

仕事。』を読んだよ。単なる「仕事」ではなく。

心から「仕事がしたいです」と叫びたいほどの仕事。それを筆者は、

そんな仕事を僕は「仕事」ではなく「仕事。」と呼びたい。
と言う。そして、その「仕事。」を見つけるために、日本の12人の巨匠たちにインタビューした記録が本書。ちょっと、芸能系に偏っているのが、???なんだけど。筆者は川村元気氏。やっぱり芸能系の人だから、こういう人選になるんだろうね。

いろいろな人がいろいろなことを言っていて、それぞれがまたウンウンと頷けるような言葉なんだけど、これだけの言葉があると、どれを自分の中に取り込んでいったらいいかという点で食傷気味になるのは致し方なしか。

とは言え、何人かの言葉を以下に紹介。

まずは、山田洋次監督。「男はつらいよ」の企画を通した時の話。松竹の城戸会長は「男はつらいよ」の企画を買っていたわけではなかったのに、映画化が決まったことについて、

僕がやりたがっていることが大事だと思ったんじゃないかな。
と山田監督。川村氏も「誰かが強烈にやりたい企画であることが大事。」とコメントしているよ。そう、やっぱり企画ではなくて、熱意ってことだよね。

続いて、作家の沢木耕太郎氏。彼は編集者にわがままや無理を言ったり、経費の精算もきっちりやることの理由について、

でも、それは自分の自由度を増すための作戦でもあるわけ。そういうことで借りをつくって不自由さを引き受けたくないし、どうやって自由に生きるかってことがずっと大事だったから。
と説明しているよ。おっ、自分的にはこの思想が好き。しがらみにがんじがらめって最悪だよね。

最後は写真家の篠山紀信氏。この人の言葉は、

でもさ、仕事なんて昔話を聞くより、一緒にやっちゃったほうが、よっぽどずっと学べるよ(笑)。
とズバリ。さすが、世界の巨匠は単純明快だよなぁ〜。

さて、どの言葉が腑に落ちたか。いや、そんなことより、自分の「仕事。」を見つけないと…。

仕事。
仕事。川村 元気

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