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活字中毒者地獄のりす蔵 RSSフィード

2018-05-06

YouTube革命/ロバート・キンセル

| 07:50

YouTube革命 メディアを変える挑戦者たち』を読んだよ。これは革命か?

YouTube副社長が筆者。だから、完全にYouTube寄りの話が中心になるかとは思っていたんだけど、実はそうでもなく、メディアに対するより一般的な議論を展開していて、好感が持てる。事例のほとんどがYouTubeのことなのは、当然だということが前提条件になるけどね。

内容的には、ユーチューバーがいかにユーチューバーとなっていったかという話が中心。誰でもが動画を発信できるプラットフォームにおいて、そこに人が集まるチャンネルを作り、収入を得ていくか、そして、成功していくか…。これが「メディアを変える」という副題に繋がっていくわけで、人々の余暇の使い方が変わり、TVの視聴から動画の視聴へシフトしていく。それも、ミレニアム世代、Z世代と言われる若い世代からシフトしていっているので、我々のような老年世代は、その変革に気がつかないという現象も起きてくる。

では、ユーチューバーはどんな人たちなのだろうか。その根本的性格について本書では、

彼らはコミュニティを形成し、育てることに長けている。基本的に自分を偽らず、自らの人生について率直に、等身大の自分を語っている。彼らは世界中のファンとどうすればつながれるかを理解し、国境を越える魅力を持つ動画をつくる。彼らは自分たちの多様性と、独特の視点を活用する。そして、ニッチの魅力を理解し、無関心な大衆ではなく、熱い少数のファンにアピールしたほうがいいことに気づいている。
と言っているよ。そう、従来のメディアの考え方とは完全に逆行。でも、ニッチといえば、ロングテールの考え方に近いよね。まさに動画の世界でも通用するネットの世界の標準仕様ってことだろうね。

最後に目からウロコの話。YouTubeには広告が事前に流れることが多いけど、5秒見ればスキップできる。TrueViewと呼ばれる機能なんだけど、これの意味が凄い。5秒後にスキップされてしまうと広告主は一銭も払わなくても済むという仕組み。それは、

このフォーマットが初めて導入されたとき、広告主は激怒した。しかしまもなく、ユーザーはいつ自ら進んで広告を観るのか知ることの価値が明らかになった。私たちはスキップできない広告もYouTubeで流しているが、広告の大部分はTrueView広告で、人々の気持ちを瞬間的につかむ優れたCMを作成する制作する動機を広告主に与えている。
ということ。これも逆転の発想。今までのマスメディアでの発想ではないよね。インタラクティブ広告だからこそできる手法なんだろうね。いや、メディアはまだまだ変わる予感。Z世代はともかく、ミレニアム世代には付いて行きたいなぁ〜。

YouTube革命 メディアを変える挑戦者たち
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2018-04-14

日本の山を殺すな!/石川徹也

| 18:11

日本の山を殺すな!―破壊されゆく山岳環境 (宝島社新書)』を読んだよ。その後を知りたい。

題名に惹かれて手に取った本書。読んでみて気がついたことは、情報が古かったということ。副題にある通り、「破壊されゆく山岳環境」について、日本各地の状況を詳細にルポしたものだが、その時期が、1997年から1999年にかけて。つまり、20年以上も前。環境省も当時は環境庁だったし、20年も経てば法律も変わっていたりするだろうし。

とは言え、当日の状況を知ることが今の有り様を理解することに繋がるので、本書を今読むことに意義がないわけではない。そして、20年前はそういう状況で、今はどうなのかをみることは、日本の山が殺されているのか生かされているのか、判断する材料になるよね。

本書に登場する事例は、山小屋のトイレ問題、高山植物の盗掘、山岳道路の建設、オーバーユース、砂防ダムの影響etc。その他に、世界自然遺産に登録された白神山地屋久島での現状は注目に値するよ。

例えば、世界遺産の意義について。

世界遺産とは、なんだったのか、と問われれば、こう答えるしかなさそうである―。開発頓挫で白神山地の主導権を失った林野庁や、自然保護運動にほとんど力にならなかった環境庁が、白神山地自然保護行政の主導権を握るための“道具”であった―と。
と筆者。穿った見方なのかもしれないけど、日本の行政のあり方を考えるとそれもあり得るかな…と。誰がどこで何を考えているのかということがよく分からないうちに決まってしまうってことがよくあるし。

あと、自分的には、林野庁って何をやっているんだろ…って、今回初めて気付かされた感じ。林野庁環境省の関係とかも。

もう一つ。

この国を代表する山岳資源が世界自然遺産に登録されてから五年が経った。しかし現在、白神山地屋久島も「世界に誇れる」と胸を張れるだろうか。このままでは世界遺産地域さえ守ればいいといった、大雑把かつ視野の矮小な自然保護行政だけが、大手を振って歩き始めるだろう。
と。そう、世界遺産というコトバに注目され独り歩きし、その中身はどうなっているのか。それを語る人がどれだけ理解しているのか。本書の事例のその後が気になるところではある。

日本の山を殺すな!―破壊されゆく山岳環境 (宝島社新書)
日本の山を殺すな!―破壊されゆく山岳環境 (宝島社新書)石川 徹也

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2017-08-22

なんの変哲もない取り立てて魅力もない地方都市 それがポートランドだった/畢滔滔

| 16:00

なんの変哲もない取り立てて魅力もない地方都市 それがポートランドだった: 「みんなが住みたい町」をつくった市民の選択』を読んだよ。本当に成功だったのか?

知人の紹介で知った本書。凄く面白そうと思い、珍しく図書館に購入リクエスト。だから、配架の前に入手。こういうのも何となく気分がいいよね。

内容的には、米国の地方都市であるオレゴン州ポートランド市の都市再生の事例集。「事例集」であり「物語」と書かなかったのは、一般書ではなく、どちらかというと研究書風だったから。

では、その都市再生とは…なんだけど、要は政治家がリーダーシップを発揮してゴリゴリと推し進める(つまりは、業者丸投げの再開発)のではなく、都市にどんな価値を求めているのかという戦略思考による再生ということ。筆者曰く、

1970年代、ポートランド市ダウンタウンの再生をもたらしたものは、新しい世代の政治家と専門家達の戦略思考であったと筆者は考える。ここで言う戦略思考とは、都市・中心市街地が「誰に」、「どのような価値を」、「どうやって」提供するのかを検討し、郊外との違いを作り出すためにどのような打ち手が必要であるかを考えることである。
ということ。ひとつのビジネスモデルの構築というか、ドラッカー思考というか。そう、丸投げは思考停止ってことだからね。

ただ、読後感は何となく腑に落ちない感じ。その要因は、市民の声が全く掲載されていないことなのかも。確かにデータではそうなったのかもしれないけど、ポートランドに住む人々の思いが伝わってこないなぁ〜というのがちと残念でした〜。

なんの変哲もない取り立てて魅力もない地方都市 それがポートランドだった: 「みんなが住みたい町」をつくった市民の選択
なんの変哲もない取り立てて魅力もない地方都市 それがポートランドだった: 「みんなが住みたい町」をつくった市民の選択畢 滔滔

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2017-06-11

モッタイナイで地球は緑になる/ワンガリ・マータイ

| 06:50

モッタイナイで地球は緑になる』を読んだよ。アフリカの様子を再認識。

2004年にアフリカ系女性として初のノーベル平和賞を受賞したワンガリ・マータイさん。本書は彼女の著作『THE GREEN BELT MOVEMENT』を福岡ハカセが翻訳したもの。タイトルを直訳すると「グリーンベルト運動(GBM)」だよね。

でも、どうしてGBMが平和賞なんだろうという点がミソで、本書を読めばその意味が分かってくるよ。

そして、もう一つのミソが「女性」ということ。

ここで、そのようなグループのメンバーの大半が女性であることに気がづくのは重要だ。そうすれば、開発グループが女性グループと呼ばれるわけが納得できるだろうから。
と言うように女性の活躍がグループの中心になっているわけ。さらには、
女性グループが社会に明らかな影響を及ぼしているのを見て、大勢の男性が女性を敬い、高く評価するようになった。また、自らGBMのグループに加わり、環境保護運動の一翼を担うことを誇りに思う男性も現れてきた。
という展開までも。だから、平和賞受賞の一つは女性の社会への貢献の拡大という側面もあるのだろうね。

もう一つの側面は、貧困、格差、腐敗、欺瞞などの社会的問題。マータイさんは、

アフリカをダメにした犯人が高学歴のアフリカ人エリートであることはまぎれもない事実である。彼らは、現代的なライフスタイルや価値観の影響ばかり受け、従う人々に誠実に向き合って説明責任を取るという文化をなおざりにした。こんな人間は、リーダーシップのお手本にはならない。
と糾弾する。これは政治的な問題でもあるよね。だから、マータイさんは政治の世界にも進出する。内部からの改革を目指して。

最後に、タイトルにある「モッタイナイ」という言葉。マータイさんがえらく気に入った日本語だったよう。アジアの国々にはごく普通にある言葉らしいけど、英語にだけは訳し難いとか。無理に訳すと“経済的でない”といった何とも意味深くない言葉になってしまうとか…。

まだまだ、世界には政治的にも社会的にも安定しない国がたくさんあるんだよね。アフリカは遠い国だったと思っていたけど、少しはアフリカのこと、世界のことが分かったかな。

モッタイナイで地球は緑になる
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2017-04-12

大前研一 IoT革命/大前研一

| 00:01

大前研一 IoT革命 ―ウェアラブル・家電・自動車・ロボット あらゆるものがインターネットとつながる時代の戦略発想 (「BBT×プレジデント」エグゼクティブセミナー選書)』を読んだよ。どこまで効率化を求めるのだろうか。

最近のIT業界のキーワードのひとつ、IoT。関連する書籍を読みたいとは思っていたんだけど、手に取った最初の一冊が本書。大前研一氏がお持ちの論を聞きたかったからというのもあるけど、ビジネス書の棚に本書以外にピンと来るものがなかったのも事実。

では、IoTによって何が起こるか。分かりやすいのが、

また、製造販売や保守点検で稼ぐ「契約モデル」から、インダストリアル・インターネットによってデータ解析で効率アップを約束し「利用分を売る」モデルへの転換を図っている。
というGEの事例。これって逆説的で面白い。Internet of Things、つまりモノに主眼を置いているのに、モノが売買の主体ではなくなるということだよね。

まとめてしまうと、

IoTビジネスの本質は、デバイスを通して収集したデータを分析、活用することで新たな価値を創造し、経済的な利益を得るというところにある。
ということ。つまり、モノは単なる情報収集の為の入力装置になるってことか…。あるいは出力装置にもなり得るか…。

もう一人の言葉をご紹介。

自動車部品のサプライヤーであるコンチネンタル社のヴェルナー・ケストラー氏曰く、

このようにモビリティをサービスとして提供するプレイヤーにとって車は、サービスを提供するためのツールにすぎません。つまり、携帯電話と同じように、車もコモディティ化していくのです。
と同様のお考え。そう、車を所持する時代ではなくなると。車を単なる移動手段と捉えれば、それは当然の帰結かもしれないね。

さて、IoTによって効率化される時代。IoTの次はあるのだろうか?と心配になってくるんだけど…。

大前研一 IoT革命 ―ウェアラブル・家電・自動車・ロボット あらゆるものがインターネットとつながる時代の戦略発想 (「BBT×プレジデント」エグゼクティブセミナー選書)
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