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活字中毒者地獄のりす蔵 RSSフィード

2018-05-26

不思議の国のアリス/ルイス・キャロル

| 10:38

不思議の国のアリス (角川文庫)』を読んだよ。アリス自身が不思議ちゃん

アマゾン選定「一生のうちに読むべき100冊」のうちの1冊。機会があれば、このリストの中から適当なものを拾い出して、読んでいるんだけど、今回は以前にKindle本を入手したので、読んでみる。

冒頭から不思議の世界に連れ込まれる。アリスの身体が大きくなったり小さくなったり。ついにはコントロールまで出来るようになる。いや、そのお陰で不思議の世界を体験できるんだけどね。

そして、文章そのものに特徴が。あちこちの解説を見ると、「言葉遊び」ということになっているけれども、オヤジギャグか?と思われるもの多数。例えば、

とうとうドードー鳥は、「これはドードーめぐりじゃからな、 みんな勝ったのじゃ、だからみんな賞品をもらわねばならん」と言いました。
とか、「洗濯」という授業があることを主張するために、
「いいかい、ぼくらの学校じゃあ、 授業料の明細書の最後に、『フランス語、音楽、センタク授業 ──特別料金』とあったんだ。」
と言ってみたり。そりゃ、「選択」だわ…。

不思議なのはこの「言葉遊び」をどうやって翻訳したのかということ。訳者あとがきでは、

不思議の国のアリス』には言葉遊びがあふれています。この翻訳では洒落のみならず、詩のライム(脚韻)に至るまで、その楽しさがわかるように訳出を試みました。それがこの翻訳の画期的なところだと自負しています。
と言っているけれども、前述の「選択」と「洗濯」のシャレなんて、原本ではどう表現されていたのか、まったく想像できないよね。

同じく訳者あとがきで、

一見低レベルな言葉遊び哲学的・論理的思考と結びつき、ばかばかしいのに高尚であり、笑えるのに深遠であるといった特徴が、シェイクスピアと同様、キャロルにもあるのです。
とも。分かる人には分かるということなのか…。シェイクスピアも同様って、そんなものなのかなぁ〜。

不思議の国のアリス (角川文庫)
不思議の国のアリス (角川文庫)ルイス・キャロル 河合 祥一郎

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2014-04-20

異端の数ゼロ/チャールズ・サイフェ

| 06:52

異端の数ゼロ――数学・物理学が恐れるもっとも危険な概念 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)』を読んだよ。ゼロで割る意味。

単行本が出た時点から気になっていた本書。ハヤカワ文庫の<数理を愉しむ>シリーズから本書が出て、手軽に読めるようになったのが嬉しいよね。ということで、いつもの数学本。

数学本でゼロと言えば『零の発見』が有名どころだけど、『零の発見』はゼロがインドで発見された経緯を中心に記述したもの。本書の場合、発見の経緯が書かれているけれども、それに加えてゼロという概念の恐ろしさというか、ややこしいところを中心に書かれているよ。

では、何がそんなに恐ろしかったり、ややこしかったりするのか?単純に言ってしまうと、割り算の分母をゼロにすること。小学校で教わる割り算では、ゼロで割ることを不能といって、避けるべきものと習ったけど、厳密にいうと、その究極は無限大の概念に繋がっていく。そう、この無限の概念がややこしいんだよね。

さらに、ゼロは哲学とも対立するよ。

ゼロは西洋世界の根本的な哲学的信念と衝突したのだ。ゼロのうちに、西洋世界の教義にとって有害な概念が二つ潜んでいたからだ。この二つの概念は、やがて、長らく君臨したアリストテレス哲学を崩壊させることになる。その危険な概念とは、無と無限である。
そう、やっぱり「無と無限」が問題。

そして、この問題は「極限」の概念に繋がる。それが、数学的には微積分の発見を生み出すわけ。ニュートン微積分は論理的には余り厳密ではなかった感じ。無限小の二乗を無視することで、ゼロで割るという行為を気にしないことにしたから。これを、

正しい答えが出るとはいえ、微積分を用いるのは、神の存在を信じると宣言するのにおとらず、信仰に基づく行為だった。
と筆者。あのニュートンですら、神の領域から微積分を考えていたのかもしれないね。

最後は宇宙論。ゼロで割るという行為を宇宙論として考える。

ブラックホールの無限大の密度は、ゼロで割った結果だ。ビッグバンによる無からの宇宙創造も、ゼロで割った結果である。真空の無限大のエネルギーも、ゼロで割った結果だ。だが、ゼロで割ることは、数学の基本構造と論理の枠組みを破壊する。そして、科学の土台そのものを掘り崩す恐れがある。
恐るべしゼロ。科学者たちがこれを乗り越えるのはいつになるのか。他人事ながら、興味津々です〜。

異端の数ゼロ――数学・物理学が恐れるもっとも危険な概念 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)
異端の数ゼロ――数学・物理学が恐れるもっとも危険な概念 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)チャールズ・サイフェ 林 大

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2013-05-11

これからの「正義」の話をしよう/マイケル サンデル

| 07:03

これからの「正義」の話をしよう (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)』を読んだよ。政治哲学という領域。

久しぶりの超大作。読み応えのあるというか、本と格闘したというか…。

マイケル・サンデル氏の本は気になりつつも、本の厚さに怖じけづいて、手を付けず仕舞いだったんだけど、大型連休で片付けられるかな?なんて甘い希望的観測で読み始める。結果は大型連休が終わった翌日に何とか読了。返却期限までに読み終えたから、結果オーライだけど。

で、どんな本だったのか。筆者の言葉を借りると、

道徳と政治をめぐる考察の旅をする本だ。
ということ。読み終わった今、この言葉の意味が凄くよく理解できる感じ。

うん、それだけ道徳と政治の関係は難しい訳で、本書を読めば読むほど、分からなくなると言ってもいいかも。それじゃ、本末転倒なのかもしれないけど。でも、小学校の時の「道徳」の授業を思い出せば、そのイメージが掴めると思う。正解がないことを考えるんだからね。

さて、正義をどのような切り口で考えているのだろうか?大きな流れとしては、功利主義と自由至上主義の二つ。でも、これらは実は正義に叶うものではなく、道徳という観点からも考える必要性を説く。

もう一つは哲学者の考え方からの切り口。登場人物は、カント、ロールズ、アリストテレスなど。それぞれの主義主張は理解できるけど、やっぱり正義に叶うものでもなく…。

本書の最後で、筆者の一応の結論のようなことを書いてはいるけど、それが正解かどうかはハッキリとしていない。サンデル教授を持ってしても、この問題は難しい。それを考えるための幾つもの事例は考えさせられるものばかりで、思いっきりアタマを使わせられる大書でした〜。

これからの「正義」の話をしよう (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
これからの「正義」の話をしよう (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)マイケル サンデル Michael J. Sandel

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2011-08-22

大学とは何か/吉見俊哉

| 18:10

大学とは何か (岩波新書)』を読んだよ。課題図書みたいだけど、そうではなく…。

すごくオーソドックスなタイトルなので、古い本かと思うかもしれないけど、意外と岩波新書の新刊。本屋で見つけて、すぐに図書館で予約。どうせすぐには読めないだろうと思っていたけど、なぜかすぐに貸出可能に。当方は夏休みで、タイミングが良すぎる…。

さて、本書。基本的には、「大学の歴史」。12世紀の中世ヨーロッパで生まれた大学の趨勢とその影響を受けながら生まれた日本の大学の歴史が書かれているよ。タイトルにある「何か」については、それらの歴史を受けて筆者がどう考えるかを最後にちょこっとまとめた感じ。だから、「何か」の答えを期待するのではなく、歴史を振り返って、読者がどう考えるかということなんだろうね。

では、その大学の歴史とはどんなものであったのか。

まずは、15世紀までにヨーロッパ各地に広がっていた大学。全欧で75校ほどあったらしいが、各分野での教授内容には地域差がほとんどなかったという。

中世の大学は、いずれもキリスト教の正統的信仰観念に基づき、イスラム経由で復興したアリストテレスを中核とする古代ギリシアの知を規範としていたから、画一化志向はそうした学問内容からも裏打ちされていた。
そう、教えてるものが決まっていたということ。しかも、すべて共通言語はラテン語。画一的かもしれないけど、それが正しい道だと考えていたんだろうね。さらには、どこの大学でも同じ内容の授業が受けられるというメリットもあるわけ。現代と同じように大学が「選ばれる」時代だったのかも。

その後、大学は第一の死を迎える。その要因の一つが、近代知のパラダイムの浮上。これにより、大学は近代知の主体ではなくなった。それどころが古臭い機関に成り下がっていた。で、その近代知のパラダイムとは何か。それは印刷技術の発達。

出版がメディアとして生み出す知のネットワークを支えていくのは、「団体」の論理ではなく「市場」の論理である。
ここから、筆者の大学はメディアであるという論理に繋がっていくよ。そう、大学はメディア。となると、現代知のパラダイム、インターネットと大学の関係はどうなるのだろう。インターネットの発達により、大学は第二の死を迎えるのだろうか。

後半は日本の大学について。その設立の経緯が詳細に記録されていて、ギョウカイ的には勉強になるよ。そして、読めば読むほど、大学と社会は密接な繋がりがあることがよく分かる。大学の自治なんて、社会があってこそのこと。第二の死を迎えないためにも、社会の動きを見据えていかなくてはダメだよね。

大学とは何か (岩波新書)
大学とは何か (岩波新書)吉見 俊哉

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2009-07-04

ホーキング、宇宙のすべてを語る

| 08:46

『ホーキング、宇宙のすべてを語る』を読んだよ。他の宇宙本と比べると…。う〜む。

いつかはホーキング本だと思っていたけど、こんなに早く手にするとは思っておらず。その前に、ホーキング本といえば『ホーキング、宇宙を語る』だと思っていたけど、『ホーキング、未来を語る』とこの『ホーキング、宇宙のすべてを語る』を3冊ほど出しているみたい。但し、内容的には3部作というわけではなく、独立した読み物。

それでも、この『ホーキング、宇宙のすべてを語る』は最初の『ホーキング、宇宙を語る』の改訂版という色合い。原題でも『A Briefer History Of Time』で、最初の『A Briefer History Of Time』とは2文字しか違わず。

どの宇宙本も大体お決まりのパターンというのがあって、本書もそれに従う感じ。で、まずは、アリストテレスを登場させ、コペルニクス、ケプラー、ガリレオ・ガリレイと続く。

そして、ニュートンの登場。何らかの力や衝撃がなければ物体は静止状態を取るはずだと信じていたアリストテレスと、その逆で、力が加わらなければ等速運動を続けると言ったニュートンニュートンのこれは、唯一の静止状態の基準などはないということ。このことについて、ホーキングは、

アリストテレスニュートンのどちらが正しいかは重要なのでしょうか?これは単に見解や哲学の違いなのでしょうか?それとも科学にとって重要な問題なのでしょうか?実際には、絶対的な静止状態の基準がないことは物理学において深い意味があります。異なる時間に生じた二つの事象が同じ空間の同じ場所で起きたかどうかを、明らかにすることができなくなるからです。
と語る。

続いて登場は予想通りアインシュタイン。特殊相対性理論の説明から一般相対性理論の解説が続く。即、引用。

空間と時間が、ここでは動的な量なのです。物体が動く、あるいは力が作用すると、それが空間と時間を湾曲させるのです。そして、今度は、時空の構造が物体の動きと力の作用に影響を与えるのです。空間と時間は宇宙で起こるすべての事象に影響を及ぼすだけではなく、宇宙で起こるすべての事象から影響を受けるのです。
と。そして、空間と時間は宇宙の枠と切り離すことが無意味になったのだとも。

さらに、膨張する宇宙、ビックバンへと話は展開するよ。

ここではアッシのいつもの疑問。ビックバン以前は何かという問いへの回答があったよ。

ビックバン以前に何か事象があったとしても、ビックバン後にはどんな影響も残せないので、科学的な宇宙モデルに含まれるべきではありません。したがってそれから宇宙モデルから切り捨てるべきもので、ビックバンこそが時間の始まりだとすべきなのです。
とホーキングは語る。その他の言い方として、「ビックバンのときに(ビックバン以前の)予測可能性が破綻してしまうからです。」とも言っているよ。つまりは、考えることは無駄だということかぁ〜。

ところが、量子論に話が展開していくと、宇宙には始まりも終わりもないという話になってくる。

もし時空に境界がなけれは、境界の性質を定めることも必要ありませんし、宇宙の初期条件について知る必要もありません。
と。話がややこしくなってきた…。

最後は、ひも理論。余剰次元という考え方が出てくるよ。これは面白い考え方。ひも理論では十次元、二十六次元の場合のみ、時空は成立するという。ところが人間には空間の三次元と時間の一次元にしか見えない。それ以外の次元(余剰次元)は折り畳まれているのだという。ふ〜む、そう言われても…と言うしかない…。

全体的に優しく書かれてはいるけれども、後半は理解が進まない感じ。ページ数の問題もあるかもしれないけど、『宇宙創成』の方が丁寧で分かりやすいかも。アッシにとっては、ひも理論は初登場で、これから注目の理論になりそうです〜。

ホーキング、宇宙のすべてを語る
ホーキング、宇宙のすべてを語る佐藤 勝彦

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starよくできた理論とは、観測によって誤りであることが原則的に証明されうる複数の予測を行うものだ (by カール・ポパー)
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