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活字中毒者地獄のりす蔵 RSSフィード

2018-09-17

本よみの虫干し/関川夏央

| 17:00

本よみの虫干し―日本の近代文学再読 (岩波新書)』を読んだよ。やっぱりSNS

副題は「日本の近代文学再読」ということで、本書の内容はまさにこれ。作家の関川夏央氏が日本の近代文学(とは言え、海外文学もあるんだけど。)から選んだ本について考えたことを朝日新聞のコラムと雑誌「図書」に連載していたもの。朝日新聞に連載されていたらしきものは短くてサクッと読めて嬉しいよ。

では、筆者にとって、日本の近代文学はどのように映ったのか。まえがきでは、

文学には日本近現代そのときどきの最先端が表現されている。文学は個人的表現である。と同時に、時代精神の誠実な証言であり必死の記録である。つまり、史料である。そう考えたとき、作家たちは私の目にはじめて先達と映じた。
とズバリ。そう、文学は貴重な歴史証言者であり、その史料なんだよね。

では、これらの史料からどんなことが読み解けるのか?ひとつは、小説には類型があるということ。その例として『不如帰』。筆者は、

難病を結核から癌に、戦争と軍人と政商経済と会社員と会社に置き換えて、「開放された女の婚姻外恋愛」を足せば、これは現在のヒット恋愛小説となる。つまり、すべての要素の原型は『不如帰』に出揃っている。
と説明し、結論的には、
天の下に新しいものなど何ひとつなさそうである。
と言っているよ。そう、どの物語もフレームは同じなのかもしれないね。あるいは、人間の行動ってパターン化しているってことか?

さらに私小説について。

東西冷戦下の平和と正義が失われたいま、私小説が栄えないのは不思議だ。
と思っていたら、「ワイドショー」で他人の醜聞をのぞく趣味、インターネットに見られるだらだらした自己表白がそれだ、と気づいた。近代小説が、大衆化の果てに極限まで退化した姿が、そこにある。
と筆者。当時はブログ、今ならばツイッターとかフェイスブックなどのSNSに、私小説のフレームを見出したんだよね。う〜ん、そう考えると文学って何なんだろ…。

本よみの虫干し―日本の近代文学再読 (岩波新書)
本よみの虫干し―日本の近代文学再読 (岩波新書)関川 夏央

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2018-08-15

これからの世界をつくる仲間たちへ/落合陽一

| 18:00

これからの世界をつくる仲間たちへ』を読んだよ。何がどこまで変わるかは分からない。

前作『魔法の世紀』ではわけわからん状態だった落合陽一氏。それでも、読んでみたいという気にさせるのは、自分自身がまだまだ知りたいという欲求があるんだろうと思う。どうして、21世紀が魔法の世紀なのかということについて。

そういう欲求が強かったんだろうと思う。もっと分かりやすく、しかもこの21世紀を支えていく若い人たちに対してのメッセージを…という感覚で本書は書かれたのだろうと思う。『魔法の世紀』より、格段に分かりやすい論調だったから。

本書の内容をひと言で言ってしまうと、帯に書いてある「戦いのルールは、変わり始めている。」がテーマかな。コンピュータインターネットが世界を変えているのは事実だけど、人の営みまで変えるのは時間が掛かる。その営みが変わってきているのが21世紀なんだよね。

だからこそ、「魔法をかけられる側」ではなく、「魔法をかける側」で生きることが必要なのだと、筆者。それこそが、暗黙知を持つクリエイティブ・クラスという人たち。

暗黙知を持つクリエイティブ・クラスにとって人工知能環境は、自らの欠点や他人で代替可能なタスクを行ってくれる第二の頭脳であり、身体です。彼らには人工知能は自らの存在を脅かす敵ではなく、自分のことをよく知っている「親友」となるはずです。
ということ。そう、単なるホワイトカラーは、自らの存在を脅かされることになるからね。

そして、クリエイティブ・クラスは専門性には拘る。

何より「専門性」は重要です。小さなことでもいいから、「自分にしかできないこと」は、その人材を欲するに十分な理由だからです。専門性を高めていけば、「魔法を使う側」になることができるはずです。
と筆者。これも単なるホワイトカラーではダメな理由になるよね。ブルーカラーが「魔法を使う側」ということもできるはず。少しでもそこに近づいていきたいなぁ〜。

これからの世界をつくる仲間たちへ
これからの世界をつくる仲間たちへ落合 陽一

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2018-03-17

ブロックチェーン革命/野口悠紀雄

| 11:33

ブロックチェーン革命 分散自律型社会の出現』を読んだよ。IT革命の完成版。

今回も引き続き「Fintech」。筆者は野口悠紀雄先生だから、『仮想通貨革命』の続きっていう感じかな。だから、『FinTechが変える!』よりは、さらに社会的な観点からの「ブロックチェーン」を論述しているよ。

そして、論点は副題にある「分散自律型社会」ということ。要は、ブロックチェーン技術が分散自律型社会を出現させるということ。いや、Internetの出現により分散型社会になりつつあるんじゃないの?って思うかもしれないけど、金融的にはまったくそうなっていないということ。改めてそう言われると確かにそうかも。お金って未だに金融機関を通さなければ、何もできない状態だよね。でも、ブロックチェーンの技術は金融機関だけに留まらない。そこで、

世界はいま、ブロックチェーンという新しい技術の潜在力に気付いた。そしてそれが、未来のビジネスチャンスの宝庫であることに気付いた。それだけではなく、この技術が社会と経済を根底から変えてしまうことを認識したのだ。これはインターネットの黎明期と同じような状況だ。
と筆者。金融機関以外では、IoTやサプライチェーン、医療、教育などでも用いられるということ。ピンとこない分野もあるかもしれないけど、P2Pという概念が分かれば、同じことだと気づくんだよね。

もう一つ、信頼性をどう考えるかという問題。

ブロックチェーンの世界においては、人や組織を信頼する必要がない。改竄できないデータがブロックチェーンに埋め込まれているからだ。そして、数千台のコンピューターが働いてそれを維持している。これこそが信じるに値するものである。
そう、大企業だから、行政のやることだから信頼できるという世界からの脱却。だからこそ革命なのかもしれないけど、人々の心がここまで変えられるのか…。ましてや日本では難易度が高そうな気がするよね。

いや、いつの間にかそんな世界になっていた…っていうのが世界の変え方なのかなぁ〜。

ブロックチェーン革命 分散自律型社会の出現
ブロックチェーン革命 分散自律型社会の出現野口 悠紀雄

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2018-01-28

クラウド時代の思考術/ウィリアム・パウンドストーン

| 00:06

クラウド時代の思考術―Googleが教えてくれないただひとつのこと―』を読んだよ。タイトルに異議あり!

しかも、副題が「Googleが教えてくれないただひとつのこと」だから、なんとなく『〈インターネット〉の次に来るもの』を想像するのは必然。でも、本書の内容はちょっと違う。

テーマは「ダイニング=クルーガー効果」。それは、

知識や技術にもっとも欠けた者の特徴は、知識や技術の欠損をまったく理解できないことだ。
ということ。そう、Googleで検索すれば、知識は簡単に手に入る時代。だからこそ、知識を持つ必要はないのか?という疑問が起きる。だから、本書は、
事実を簡単に調べることのできる世界にいて、なお事実を知ることに価値があるのだろうか?この本はこうした単純な質問に答えを出す試みである。
ということに。

では、筆者は何をしたか。それは世論調査の手法を使い、知識と所得の相関関係を調査すること。本当にどうでもいいようなちょっとした知識を質問項目として上げてみる。そして、その人の所得との相関関係を分析するわけ。例えば、歴史の教科書によく出てくる人物の写真を提示し人名を答えさせるとか、ビックマックのカロリーはどのくらいか?とか。

この相関関係の話が延々と続く(400頁のうち300頁位上はその話)んだけど、知識は必要なのか?という冒頭の命題の結論はというと…。そう、やっぱり、知識は必要なんだと。その理由も長いんだけど、例えば、

広い知識の持ち主は、恐ろしくひどい決断をすることはまずなさそうだ。それは彼らが全体を見渡していて、自分が知らないことを、はっきり述べることができるからだ。
と。いや、これってイメージ的には理解していることだよね。まぁ、知識は必要なことには間違いない。なんでも検索できる時代でも、その文脈は知識がないと理解できないわけだからね。

それにしても、長かった…。

クラウド時代の思考術―Googleが教えてくれないただひとつのこと―
クラウド時代の思考術―Googleが教えてくれないただひとつのこと―ウィリアム・パウンドストーン 森夏樹

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2017-04-12

大前研一 IoT革命/大前研一

| 00:01

大前研一 IoT革命 ―ウェアラブル・家電・自動車・ロボット あらゆるものがインターネットとつながる時代の戦略発想 (「BBT×プレジデント」エグゼクティブセミナー選書)』を読んだよ。どこまで効率化を求めるのだろうか。

最近のIT業界のキーワードのひとつ、IoT。関連する書籍を読みたいとは思っていたんだけど、手に取った最初の一冊が本書。大前研一氏がお持ちの論を聞きたかったからというのもあるけど、ビジネス書の棚に本書以外にピンと来るものがなかったのも事実。

では、IoTによって何が起こるか。分かりやすいのが、

また、製造販売や保守点検で稼ぐ「契約モデル」から、インダストリアル・インターネットによってデータ解析で効率アップを約束し「利用分を売る」モデルへの転換を図っている。
というGEの事例。これって逆説的で面白い。Internet of Things、つまりモノに主眼を置いているのに、モノが売買の主体ではなくなるということだよね。

まとめてしまうと、

IoTビジネスの本質は、デバイスを通して収集したデータを分析、活用することで新たな価値を創造し、経済的な利益を得るというところにある。
ということ。つまり、モノは単なる情報収集の為の入力装置になるってことか…。あるいは出力装置にもなり得るか…。

もう一人の言葉をご紹介。

自動車部品のサプライヤーであるコンチネンタル社のヴェルナー・ケストラー氏曰く、

このようにモビリティをサービスとして提供するプレイヤーにとって車は、サービスを提供するためのツールにすぎません。つまり、携帯電話と同じように、車もコモディティ化していくのです。
と同様のお考え。そう、車を所持する時代ではなくなると。車を単なる移動手段と捉えれば、それは当然の帰結かもしれないね。

さて、IoTによって効率化される時代。IoTの次はあるのだろうか?と心配になってくるんだけど…。

大前研一 IoT革命 ―ウェアラブル・家電・自動車・ロボット あらゆるものがインターネットとつながる時代の戦略発想 (「BBT×プレジデント」エグゼクティブセミナー選書)
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