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活字中毒者地獄のりす蔵 RSSフィード

2018-03-03

ネットの高校、はじめました。/崎谷実穂

| 19:05

ネットの高校、はじめました。 新設校「N高」の教育革命』を読んだよ。ネット時代の教育のあり方だ。

2016年4月に開校したN高等学校。メディアや業界では話題になり、去年に本書が本屋の店頭に並んだ時に、すごく気になったんだけど、なぜか読みたい本リストに入れていなかった。どうして今頃になってという感じなんだけど、きっかけは高大接続。高校を知らずして、大学を語るべからずというか。今や、初等中等教育の改革はどんどん進んでいるしね。

N高校とはなにか。ドワンゴKADOKAWA設立した通信制高校のこと。ネットとメディアがタッグを組み、それらのノウハウを活かした教育を行っていることが一つの特徴。でも、それだけではないっていうのがミソで、やっぱり教育内容(カリキュラムとか教育体制)がユニークなんだよね。そして目指すは生徒数12万人。これは凄い数字。これが実現すると教育の有り様が変わるかもしれないね。筆者曰く、

N高は、未来の“普通”をつくろうとしているのだ。
と。そう、N高校がスタンダードな高校の有り様になる日を目指しているってこと。目標は高いほうがいい。

で、授業の方法は基本はeラーニング。でも、ニコニコのノウハウや技術を使っているので、一般的なeラーニングとはちと違う。そのリアル感というか双方向性のレベルが違うんだよね。だから、分からないことはすぐに確認できるし、その場で他の生徒から教わることも可能になるっていうわけ。しかも、教育コンテンツが必要に応じて作ることもできるわけで、

むしろ、自主性があれば、通常の高校生以上に学べる環境を用意している、というところを売りにしている。
というネットを活かした展開も有り。N高校にしたら当然の帰結なんだろうけど。

最後に、N高校の野望。

そこで、N高はイデオロギーではなく、具体的な「結果」を重視することにしました。
と。その結果とは「仕事に就ける」と「大学合格」の2つ。分かりやすく、シンプル。これがいいよね。

さらには、

そもそも「こういう子に入ってほしい」というのではなく、入ってくれた子にどれだけ役立つ教育を僕らが提供できるか、という考え方をしています。
と、アドミッションポリシーを否定。いや、これも考え方の一つだよね。うん、悪くない。

N高校と普通の高校、両方あっていいと思う。それこそ、人の生き方の問題だからね。

ネットの高校、はじめました。 新設校「N高」の教育革命
ネットの高校、はじめました。 新設校「N高」の教育革命崎谷 実穂

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2014-01-12

学校って何だろう/苅谷剛彦

| 08:47

学校って何だろう―教育の社会学入門 (ちくま文庫)』を読んだよ。まじめに考えたことはないけれど。

本書の元々は、毎日中学生新聞に連載していたもの。だから、読者の対象を中学生に想定して、「学校って何だろう」を読者と一緒に考えていこうという本になっているよ。

とは言っても、やみくもに考えてみても発想が浮かばないと思うので、その基軸として登場するのが、社会との繋がり。だからは、副題が「教育の社会学入門」なんだろうね。

そう、学校って閉鎖的で社会との関係を意識しにくい組織のような感じがするんだけど、本来はそうではないはず。過去をみても、社会との関係で学校の仕組みや役割って変わってきているわけだし。それをストレートに中学生に言っても、ピンとはこないだろうからね。

で、改めて学校のことを考えてみると、凄いことが分かってくる。例えば、日本全国で幼稚園から大学までの学校は6万校以上、そこでは2000万人以上が毎日勉強しているってこと。これだけの仕組みがあって、個々はともかく、それが「あたりまえ」に活動しているってことが凄いこと。

この「あたりまえ」が本書のキーワード。どうして、こんなに凄いことが「あたりまえ」に出来ているのか。それを知ることが学校の秘密を探ることになると筆者。そして、それを中学生の読者と一緒に考えていこうという筆者の問い掛けもあるよ。

教室」という教育システムの発明の話から始まって、校則、教科書、カリキュラム、先生の仕事、生徒の世界を見ていき、最後はやっぱり社会との関わり。

毎年、26兆円投資される日本の学校。これだけの教育システムを持っている国はそれほど多くはない訳で、世界的に見たら「あたりまえ」ではないよね。恵まれていると言えるわけ。そんな環境において、筆者は

自分に何ができるのか。学校という世界をどのように利用して、自分にできることを増やしていくのか。それは、人から教えられることではなく、自分の目でしっかりと世界を見て、自分の頭で考えはじめたときにわかってくるはずです。
と言う。そう、自分の頭で考える。教育の基本ってここにあるんじゃないかなぁ〜。それを言いたいがために、身近な学校を題材にしたのかもしれないね。

学校って何だろう―教育の社会学入門 (ちくま文庫)
学校って何だろう―教育の社会学入門 (ちくま文庫)苅谷 剛彦

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2011-12-31

大学改革 その先を読む/寺崎昌男

| 06:30

大学改革 その先を読む―立教大学「大学教育開発・支援センター」連続セミナー講演記録』を読んだよ。やっぱり、歴史を知ることは重要だ。

研修での推奨図書。課題図書ではないので、無理して読むことはないのだけれど、今回の課題図書には、現代日本の大学改革について、具体的に書かれた本がなかったように思ったので、念の為に読むことに。

筆者の寺崎氏は、業界の本を探すと必ず名前が出てくる感じ。専門は教育学だからね。立教大学、東京大学、桜美林大学と歴任しており、本書は、筆者が立教大学に戻った後の2005年に、「大学問題連続セミナー」という講演会を開いた際の全記録を収録したもの。この講演は全五回に渡り、「大学改革」、「学士課程教育と大学院教育」、「教員と職員」、「カリキュラムと授業」、「私学の課題、立教の課題」と興味深い内容ばかりで、学外者も含めて、毎回100名以上が参加したとか。

さて、本書ではこの講演の内容をどう表現しているか。

第1講では、130年の大学の歴史をついて。そう、過去があるから今がある訳で、歴史を確認することは意義深い。

第2講では、戦後の大学改革が高度経済成長に如何に貢献したかについても言及しているよ。

第3講では、カリキュラムには二種類のカリキュラムがあると言っているよ。それは顕在的なカリキュラムと隠れたカリキュラム。具体的にはどういうものか。

時間割にも出てこない、正課外かといえばそれだけでもないという、私たちの目には見えない部分です。その大学の持っている校風や雰囲気、その大学で知らず知らずのうちに教え込まれる秩序の意識などを指します。
ということ。しかも、大学を支配しているのは、この隠れたカリキュラムなのではないかというアメリカの学者もいるとか。ただ、どちらも無くてはならないもので、重なり合って、大学教育が成り立っているような気がするのは確かだよね。

第4講では、教員と職員について。昔から両者は車の両輪であるという例えがあるけれども、では両輪を繋ぐ車軸は何か?その車軸を動かすエンジンのパワーはどうあったらいいかという議論が必要だと筆者。そう、それって大学とは何かっていう議論だよね。だからこそ、大学リテラシーという表現が出てくるんだよね。職員だけでなく、教員にも大学リテラシーが必要だし。

最後に、蘊蓄。慶応義塾大学の「義」にはどんな意味があるか。そう、まさに今の大学が置かれている立場を表現しているんだよね。しかも、私学なのに「義」を使う。私学でも求められていることなんだよね。

大学改革 その先を読む―立教大学「大学教育開発・支援センター」連続セミナー講演記録
大学改革 その先を読む―立教大学「大学教育開発・支援センター」連続セミナー講演記録寺崎 昌男

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2011-06-12

転換期日本の大学改革/江原武一

| 04:40

転換期日本の大学改革―アメリカとの比較』を読んだよ。課題図書…。

今年は業界団体の研修に参加することになり、いわゆる「課題図書」というものが出されていて、その第一弾。第一があるってことは、それ以降もあるということで、今年は12月まで四苦八苦の年になりそう…。

で、本書の著者は立命館大学の先生。本人曰く、専門は比較教育学だとか。何と何を比較するかというと、アメリカと日本で大学。その視点から、日本の大学の改革のあり方を述べているよ。

まずは、その背景から。

ポイントは、グローバル化、小さな政府による市場競争原理、IT革新の3つ。これらが、大学にも浸透してきているということ。

そして、大学改革の歴史について。

日本の場合、カリキュラム大綱化から始まっていることは、業界人ならご存知の通り。今でこそ、規制緩和なんて当たり前のことだけど、当時から大学業界でも規制緩和が始まっていたわけ。その代わり、大学や学部の設置も簡素化されたんだけど、逆に設置後の検証も義務化されてしまった。「検証も」の「も」がミソであって、結局は業界的には厳しくなったも同然。今までは、護送船団方式でお上の言うことを聞いていれば、取り敢えず問題は無かったのが、突然突き放されて、自助努力で何とかせい!!と言われたようなもの。

あと、教育と研究のバランスの問題。

卵が先か鶏が先かに近いような気がするけど、当該者にとっては大問題。日本の大学教員は「研究」という頭を残しつつも、「教育」に力を入れざるを得ない状況になってきているのは事実。それは大学評価にも繋がるわけだし。

以上が本の内容とアッシの思い。

研修では、課題図書を読んで、著者の講義を聞く。

本としては、冗長だったけど、中身が濃いことは確か。分かっているけど、身に着かない。研修では、頭で理解するのではなく、体で覚えるような感覚でいたいなぁ〜なんて、思いました〜。

転換期日本の大学改革―アメリカとの比較
転換期日本の大学改革―アメリカとの比較江原 武一

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2011-01-05

ウェブで学ぶ/梅田望夫,飯吉透

| 07:08

ウェブで学ぶ ――オープンエデュケーションと知の革命 (ちくま新書)』を読んだよ。世界の潮流に乗り遅れそう…。

「オープンエデュケーション」という世界で起こっている大学教育界の新たなムーブメントについて、梅田望夫氏と飯吉透氏が語る。

飯吉氏はオープンエデュケーションについて、何年もアメリカで体験してきた人物。梅田氏はご存知ウェブの可能性についての著書多数。つまりは、オープンエデュケーションがウェブの力を借りて、爆発的に進化している潮流が世界で起こっていることを二人が対談で紹介するよ。

まずはマサチューセッツ工科大学(MIT)のオープンコースウェア(OCW)を紹介して、オープンエデュケーションとは何かを説明しているよ。

cf. http://ocw.mit.edu/index.htm

まずは、このサイトを見てビックリ。工学系のあらゆる分野に渡って、その授業ビデオや教材が公開されているということ。しかも、MITって私立大学なんだよね。元はと言えば、これらの知的財産を売ることを考えていたらしいんだけど、まったく売れず。で、逆転の発想で、無料で公開ってことにしたらしいよ。

MITだけではないよ。カーネギーメロン大学の「オープン・ラーニング・イニシアチブ(OLI)」は単に教材を公開するだけではなく、誰にでも使いやすい教材を設計・開発して公開しているとか。公開することで教材の質も高まり、ユーザが増える。さらに集合知が発揮され、改良されていく。正のスパイラルが起きるわけ。

これだけ世界中にウェブ上に学習コンテンツが増えてくると、自前のカリキュラムや講義を用意しない大学も出てくるわけ。それが、「ウェスタン・ガバナーズ・ユニバーシティ(WGU)」。

同大学は、学生が十分な知識や技能を持ち合わせていることが試験やレポートで確認されれば、「学生が何を使ってどのように学んだかに関係なく、基準に従って単位を認定し、必要な単位数が揃えば学位を授与する」という、まさに学生がオープンエデュケーションをフルに活用できる仕組みを備えた新しいタイプの大学です。
さらに学費も安く、短期間で学位が取得できることもメリットだよ。はぁ〜、スゴイ世の中になったもんだ。

では、本当にオープンエデュケーションで真の教育はできるのか。前述のWGUできちんと単位を取れる人はやっぱり少ないだろうと。「学校」という教育を受ける強制力をもった枠組みが必要なのではないかという二人の意見は確かにそうだと思う。

さらに、キーワード的には、「教育のロングテール化」。いわゆる「多種少量」の教育が可能になるわけ。学びたいと思っても、身近にはそれを教えてくれる人がいなければ、あくまで独学で学ぶしかないわけ。ところが、オープンエデュケーションでは、世界中の誰かがその教材を作っていれば、そこから学ぶことは可能になるよね。まさに、ウェブの進化による賜物だよね。

さて、最後は、オープンエデュケーションとグローバル・プラットホームの関係。グーグルのようなグローバル・プラットホームに世界中のオープンエデュケーションが公開されるようになれば、これも相乗効果的に両者が進化していくことになるわけ。なんだか、すぐ先の未来のようにも思えるけど。

さて、我が身を振り返ると、なんとも悲しくなる。日本の大学もJOCW(http://www.jocw.jp/index_j.htm)なる組織を立ち上げてはいるけど、その内容はまだまだお粗末。というか、日本の大学関係者にオープンエデュケーションという概念すら頭に無いのではという印象。正月から、今年の日本の大学を憂えてしまったわ〜。

ウェブで学ぶ ――オープンエデュケーションと知の革命 (ちくま新書)
ウェブで学ぶ ――オープンエデュケーションと知の革命 (ちくま新書)梅田望夫 飯吉透

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