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活字中毒者地獄のりす蔵 RSSフィード

2018-06-09

時をかける少女/筒井康隆

| 19:26

時をかける少女 (角川文庫)』を読んだよ。原田知世の歌はヤバイ。

原田知世が主演した映画『時をかける少女』が1983年ということだから、もうかれこれ30年以上前の話。TVの歌番組で盛んに流れていたっけ。YouTubeで探してみると夜のヒットスタジオにも出ていたんだね。完全に口パクだったけど。

そんなにヒットしていたのに、その原作本を読んでいなかったのに、読んでみて初めて気がついた。ストーリーを全く知らなかったことが分かったから。やっぱり、原田知世の歌の方が強烈にインプットされて、映画や本はオーバーフローを起こしていたのかもしれないね。

では、そのストーリーはというと、時間と空間の自由な移動とほろ苦系の恋愛もの。おや、これって『小説 君の名は。』のコンセプトと同じでは?という感じ。もともと、中高生向けの雑誌(月刊誌?)に掲載されていたものだから、科学的な知識の習得も意図するところではあったのかもしれないね。

本書は、表題作の他に、短編が2編収録されているよ。そのどれもが主人公が中学生女子。それぞれの名前が、和子、昌子、暢子。これを見るだけで昭和を感じてしまうのは、やっぱり自分が昭和の人間だからかなぁ〜。

時をかける少女 (角川文庫)
時をかける少女 (角川文庫)筒井 康隆 貞本 義行

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2018-06-05

ポケットに名言を/寺山修司

| 01:48

ポケットに名言を (角川文庫)』を読んだよ。名言は無数にある。

読書の端境期には軽めのものを選んで、ツナギにしているんだけど、本書はそのストックのうちの1冊。とは言っても、相手は寺山修司。手強いイメージがあるので、どうなるかとは思ったけれども、結論的には、寺山修司の選んだ名言集。古今東西書物から俚諺まで、多種多様といった感じ。

名言と言っても、切り取られた言葉なので、話の前後も背景も全く分からない状況で掲載されているので、ちょっと解釈に困るものも多数。だから、日本の小説から切り取られた名言は比較的納得しやすいよね。だから、自分的には、太宰治とか三島由紀夫の小説からの名言についつい首肯してしまうわけ。

例えば、三島由紀夫金閣寺」から、

記者が走っているあいだ、乗客は止っておる。記者が止ると、乗客はそこから歩き出さねばならん。走るものも途絶え、休息も途絶える。死は最後の急速じゃそうだが、それだとて、いつまで続くか知れたものではない。
とか。

太宰治「女生徒」から、

ぽかんと花を眺めながら、人間も、本当によいところがある、と思った。花の美しさを見つけたのは人間だし、花を愛するのも人間だもの。
とか。

もう少し名言っぽいものといえば、小林秀雄

歴史意識とは――しまった、とんでもないことをしてしまった、どうしようという悶えだ。
かな…。

では、最後に寺山修司自身の言葉を紹介。

そして、「名言」などは、所詮、シャツでも着るように軽く着こなしては脱ぎ捨ててゆく、といった態のものだということを知るべきだろう。
うん、これならば、自分自身の名言集でも作ってみようかななんて気になる。これだけでも、本書を読んだ意味があったかな…。

ポケットに名言を (角川文庫)
ポケットに名言を (角川文庫)寺山 修司

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2018-06-02

蝶々殺人事件/横溝正史

| 19:07

蝶々殺人事件 「由利先生」シリーズ (角川文庫)』を読んだよ。時代背景にも興味が。

久しぶりに推理小説。しかも横溝正史ということだから、例の金田一耕助モノと思うかもしれないけど、本書は金田一耕助が登場する前の由利先生シリーズの第1弾。だから、横溝正史著作としては初期のものだと思う。表題作の他に短編2編が収録されているけれども、この2編はどちらかと言うと、金田一耕助シリーズの萌芽を感じさせ、オドロオドロシイ作品になっているよ。

この由利先生シリーズは、由利先生と三津木という新聞記者がペアになって、事件を解決するというもの。内容的には怪奇性はなく、現代推理小説に近い感じかも。由利先生も金田一耕助とは違い、極々真っ当な人物っぽく書かれているし。

それでも、時代は昭和12年。舞台は東京大阪。その間に関係者の移動があるんだけど、当然に時間が掛かる。だから、現代ではこの話は全く成り立たなそうな感じ。まぁ、そこがこの物語を楽しめる要因でもあるんだけどね。その他には、ちょっとした暗号とか、芸術家気質とか、男女の機微など、この物語を盛り上げている多くのアイテムがいいよね。

では、犯人はというと、それほど意外性もないというオチ。ポイントは、現場は東京なのか大阪なのかという点。文中でも筆者は読者に対し、「犯人が分かるかな?」と問いかけているから。

自分的に意外だったのは、由利先生の奥さん。いや、それはないだろう…というオチだったわ〜。

蝶々殺人事件 「由利先生」シリーズ (角川文庫)
蝶々殺人事件 「由利先生」シリーズ (角川文庫)横溝 正史

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2018-05-26

不思議の国のアリス/ルイス・キャロル

| 10:38

不思議の国のアリス (角川文庫)』を読んだよ。アリス自身が不思議ちゃん。

米アマゾン選定「一生のうちに読むべき100冊」のうちの1冊。機会があれば、このリストの中から適当なものを拾い出して、読んでいるんだけど、今回は以前にKindle本を入手したので、読んでみる。

冒頭から不思議の世界に連れ込まれる。アリスの身体が大きくなったり小さくなったり。ついにはコントロールまで出来るようになる。いや、そのお陰で不思議の世界を体験できるんだけどね。

そして、文章そのものに特徴が。あちこちの解説を見ると、「言葉遊び」ということになっているけれども、オヤジギャグか?と思われるもの多数。例えば、

とうとうドードー鳥は、「これはドードーめぐりじゃからな、 みんな勝ったのじゃ、だからみんな賞品をもらわねばならん」と言いました。
とか、「洗濯」という授業があることを主張するために、
「いいかい、ぼくらの学校じゃあ、 授業料の明細書の最後に、『フランス語、音楽、センタク授業 ──特別料金』とあったんだ。」
と言ってみたり。そりゃ、「選択」だわ…。

不思議なのはこの「言葉遊び」をどうやって翻訳したのかということ。訳者あとがきでは、

『不思議の国のアリス』には言葉遊びがあふれています。この翻訳では洒落のみならず、詩のライム(脚韻)に至るまで、その楽しさがわかるように訳出を試みました。それがこの翻訳の画期的なところだと自負しています。
と言っているけれども、前述の「選択」と「洗濯」のシャレなんて、原本ではどう表現されていたのか、まったく想像できないよね。

同じく訳者あとがきで、

一見低レベルな言葉遊びが哲学的・論理的思考と結びつき、ばかばかしいのに高尚であり、笑えるのに深遠であるといった特徴が、シェイクスピアと同様、キャロルにもあるのです。
とも。分かる人には分かるということなのか…。シェイクスピアも同様って、そんなものなのかなぁ〜。

不思議の国のアリス (角川文庫)
不思議の国のアリス (角川文庫)ルイス・キャロル 河合 祥一郎

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2018-05-20

小説 君の名は。/新海誠

| 06:27

小説 君の名は。 (角川文庫)』を読んだよ。時間も空間も飛び越える。

去年の夏にアニメ映画として話題になっていたこの作品。だから、あえて「小説」というタイトルが付くみたい。あらすじはあちこちに書かれているので、もうここでは書かないことにする。よくある中高生向けの恋愛ものかと思うけど、その要素を加味したもっと広大な世界を描いているんだよね。

では、この物語の読みどころ(見どころ?)は何か?

まずは、空間を飛び越えるということ。東京という都会と、岐阜県の地方の間を交互に登場人物が飛び越えていく。ここまではよくある物語だと思うけど、さらに時間も飛び越える。これは予想外の展開だったかな。そして、この時空を超えて、ある場所で二人が会おうとする。このシチュエーションが分かったような分からないような状況で展開していく。うん、この微妙な状態が最後まで続くんだよね。

そして、都会と地方の対比として、匂いを持ってくることに目からウロコ。

今になって、東京は様々な匂いに満ちていることに私は気づく。コンビニ、ファミレス、すれ違う人、公園脇、工事現場、夜の駅、電車の中、ほとんど十歩ごとに匂いが変わった。
と表現しているよ。

さらには朝日が昇る情景描写が秀逸。

山の端から朝日が昇る。湖の町を、太陽の光が順番に洗っていく。朝の鳥、昼の静寂、夕の虫の音、夜空の瞬き。
とか、
ビルの間から朝日が昇る。無数の窓を、太陽が順番に光らせていく。朝の人波、昼のざわめき、カタワレ時の生活の匂い、夜の街の煌めき。
と。朝の描写でもこれだけ違うのかと、改めて納得。

題名のつけ方もマーケティング的に考えているのかな、なんて思う。自分以上の世代でも「君の名は」に反応する人は多いだろうからね。

小説 君の名は。 (角川文庫)小説 君の名は。 (角川文庫)
新海 誠

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