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活字中毒者地獄のりす蔵 RSSフィード

2017-12-02

空港は誰が動かしているのか/轟木一博

| 19:18

空港は誰が動かしているのか (日経プレミアシリーズ)』を読んだよ。題名と内容の乖離

このところ、飛行機に乗る機会が続き、またもや乗り物好きの血が騒ぐ自分。また、乗りたいなと思うけど、その機会もお金もないので、手っ取り早く本を読むことで誤魔化すことにする。本書と同著者が書いた『航空機は誰が飛ばしているのか』は興味深く読めた記憶があるので、その続編という感覚で本書を手に取ったわけ。

で、本書の内容は、新関空会社経営統合問題。具体的には、関空伊丹の両空港を運営する民間会社設立までの経緯をまとめたもの。だから、自分は空港の運営について書かれた本だと思っていたので、その違いに愕然。しかも、後半になるにつれて、契約とかの話が増えてチンプンカンプン。そもそも用語が分からないから。

では、改革前の関空運営はどうだったのか。それは完全にお役所仕事

それなのに、何億円もの投資は採算性や必要性についてたいした議論もされずに通っていく。暴れるトラは放置して、ハエばかり追い回していては、職員が疲弊するだけである。
とか、
お役所組織は担当によって縦割りにするから、各担当部局は各自の業務だけを見て、投資・プロジェクトの全体像、会社全体の収益性を把握する意識が薄くなりがちだ。
とか。どこの組織でも有りがちな課題…。耳も痛いし。

それでも、自分的には面白いなと思った観点は、民間と公共の狭間でどう折り合いを付けていくかという点。空港という公共性が高い事業体で民間的な手法をどう活かしていくのかは、普通の経営書では得られない情報かも。この点に関して、筆者は、

そして、このプロジェクトを成功させるには、「民間のビジネスの知識」と「公共的な解決」の両方を掛け合わせた総合力が要求される。課題を数え上げればきりがないが、組織人として、すでに厳然と存在する課題をどうこう言ったところで課題がなくなるわけではないので、ミッションの実現というゲームを戦う上でのハンデに過ぎないとなる。
と言っているよ。ある意味、やりがいのある仕事だったということなんだろうね。

そう、期待していた内容と違っていたのは確かなんだけど、組織論という意味で幾つか参考になる本書でした〜。

空港は誰が動かしているのか (日経プレミアシリーズ)
空港は誰が動かしているのか (日経プレミアシリーズ)轟木 一博

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2017-10-28

伊藤元重が警告する日本の未来/伊藤元重

| 22:23

伊藤元重が警告する日本の未来』を読んだよ。世界の経済的潮流を知る。

自分的にはちょっとした伊藤元重先生ブーム。池上彰氏とはちょっと違った観点で世界の潮流を知ることができるのが、今のお気に入りの理由かな。経済的な視点て、自分の中で過去にあまりなかったし。

さて、ではどんな警告なのか。前半は技術革新の社会がどう変わるのかという点。後半はトランプ大統領を中心とした保護主義が世界の経済に与える影響について。でも、警告っていうのは大げさで、まさに潮流を詳しく解説し、伊藤氏の見解を披露するという感じ。

では、前半の技術革新について。IoTAIが社会を変えるというのは既に既成の事実となりつつあるけれども、日本は乗り遅れていないか?と懸念は大きいよね。でも、少子高齢化先進諸国の中で最も進んでいる日本は、その課題解決に技術革新によるソリューションを展開するには最適な環境なわけ。だからこそ、

企業が生き残るには、過去に見てきた世界のイメージを捨て、これから先の世界の変化に対してフォワード・ルッキングの姿勢を取ることが求められているのではないでしょうか。
と伊藤氏。破壊的イノベーションって、まさにこういうことなんだよね。日本の得意とする改良型イノベーションではダメなんだよなぁ〜。

後半は通商政策と経済問題。自国ファーストという保護主義政策が進む一方で、グローバル化といった流れもあり、単にアメリカに踊らされているだけのような気がしないわけではない日本の現状。それに対し、

もちろん私は、保護主義的な議論のすべてが悪いだとか、未熟だとかいうつもりはありません。正しい議論もたくさんあります。しかし、何か問題が起こればすぐにその原因をグローバル化市場経済に求める保護主義的な考え方は、物事単純化しすぎていると思います。またそれが単純でわかりやすいがゆえに、多くの人々の間にどんどん広まってそれが世の中全体のムードになってしまうことこそ、むしろ問題だと思います。
と筆者。あぁ、ここでもやっぱりわかりやすいことに流れてしまう思考停止という課題が…。自分の頭でしっかり考える事。それこそが、筆者の発する警告なんじゃないかなぁ〜。

伊藤元重が警告する日本の未来
伊藤元重が警告する日本の未来伊藤 元重

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2017-10-07

この日本で生きる君が知っておくべき「戦後史の学び方」/池上彰

| 19:38

この日本で生きる君が知っておくべき「戦後史の学び方」 池上彰教授の東工大講義 日本篇 (文春文庫)』を読んだよ。戦後史は知っておくべし。

東京工業大学教授という肩書を持つ池上彰氏。そこで、教員という立場で戦後史を語るというコンセプトで書かれたもの。だから、タイトルに「この日本で生きる君が知っておくべき」という形容詞句があるわけ。

戦後史というと、日本史の授業では端折られる定番ということになっているけれども、それに関して、池上氏は、

歴史を教える人にとって、戦後史は現代そのもの。自分が経験してきたことは「歴史」と感じません。ところが、自分が経験していない人にとっては、それは歴史なのです。この認識の落差が、戦後史を空白にしてきたのだと思います。
という見解。だからこそ、ここで池上氏が学生に戦後史を語る必要があるんだろうね。そして、もう一つの見解は、今の社会がこうなっている経緯を知ることにもなるからというもの。この意味合いは強いよね。経緯を知らずには理解は深まらないだろうし。

戦後史と言っても、内容は様々。国際問題は、アメリカとの関係が中心にはなるけれども、そこに中国、韓国、北朝鮮の話も絡んでくる。そして、アメリカとの関係から、防衛問題と憲法問題。それが政府の見解に繋がって、政治の話。政治と言っても、政治そのものではなく、政治体制の話が中心かな。

そんな中で、池上氏らしく、チクリとしたコメントを散りばめるよ。

全国学力テストの話では、今の制度では前年度との比較ができないことに対し、悉皆調査から抽出調査に変更することを提案し、その上で、

統計学的には、これで十分に意味のある調査ができることを、東工大の学生なら理解できますね。こうした当然のことが実現できないのですから、日本の教育関係者の「学力」が心配になります。
と、かなりグッサリ。でも、おっしゃる通りだよね。

もう一つは、日本国の財政赤字について。高度成長期は国民に「利益の配分」があったがという観点から、

利益の分配ではなく、「不利益の分配」になってしまっているのが現実です。現実を見据え、国民に不利益の分配を認めてもらう。そんな政治家の出現を期待したいのですが。
と。いまだに高度成長を夢見ている人たちが多過ぎるからね。あっ、バブルもそうか。

さて、日本はこれからどうなるのか。まずは、今度の選挙の行方を見守らないと…。

この日本で生きる君が知っておくべき「戦後史の学び方」 池上彰教授の東工大講義 日本篇 (文春文庫)
この日本で生きる君が知っておくべき「戦後史の学び方」 池上彰教授の東工大講義 日本篇 (文春文庫)池上 彰

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2017-08-13

百姓たちの江戸時代/渡辺尚志

| 06:57

百姓たちの江戸時代 (ちくまプリマー新書)』を読んだよ。現代とそれほど変わりはなく。

江戸時代の普通の人々の暮らしについて、事例を多く盛り込んで詳しく紹介する本。ここで、普通の人々とは具体的には百姓のこと。網野善彦先生によると、「百姓とは農民にあらず」ということだけど、本書を読むと確かにそれは言えるんだろうなぁ〜と思えてくる。勿論、農業が主たる収入源だったのは確かなんだけど、それ以外にも様々な活動を行っていたことが本書を読むと分かるよ。

さらに筆者の考える百姓と農民との違いを、

農民は原始・古代以来存在していましたが、十五世紀頃まではその経営は不安定で、安定した家産を継続的に維持することは難しく、したがって家も広範には成立しえなかったのです。江戸時代は、百姓が一般的に家を形成したという点で、日本史上画期的な時代だったといえます。
と表現しているよ。そう、家という観点から百姓と農民は違うんだよね。

そして、実際の人々の暮らし。衣食住や娯楽、病気、介護や所属する村や村民との付き合いなど、資料をベースに詳しく説明しているよ。これを見ると、その手段は違えども、今の我々の生活とそれほど変わりがないような…。

最後は百姓一揆について。江戸時代の後期になると訴状の用例集のようなものが流布し、それを元に一揆の訴状が作られるようになったとか。こういうものが読めたり書けたりするようになったのも、寺子屋による教育の成果なんだろうね。

百姓を侮るなかれと思うし、学ぶべき点が多くあるということを知ることも、歴史を学ぶ意味があるんだろうね。

百姓たちの江戸時代 (ちくまプリマー新書)
百姓たちの江戸時代 (ちくまプリマー新書)渡辺 尚志

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2017-01-23

ワーク・シフト/リンダ グラットン

| 14:58

ワーク・シフト ─孤独と貧困から自由になる働き方の未来図<2025>』を読んだよ。今、その萌芽はある。

ビジネス書が続く。社会の変化がビジネスに、未来の働き方にどのような変化を及ぼすのかを語る本。社会の変化と言えば、『〈インターネット〉の次に来るもの』に近いものがあって、本書は働き方という観点ではあるけれども、未来の予測としてはお互いに近いものがあるかも。

では、どのような社会の変化の要因は何だろうか。筆者は、

五つの要因とは、テクノロジーの進化、グローバル化の進展、人口構成の変化と長寿化、社会の変化、そしてエネルギー・環境問題の深刻化である。
と五つを上げているよ。そう、やっぱり、影響が大きいのはテクノロジーの変化かな。そして、これらの要因が、働き方の常識を根本的に覆すのだと…。

そして、その変化に押しつぶされないために、三つの〈シフト〉を行う必要があるのだと。その三つの〈シフト〉とは

第一は、広く浅い知識しかもたないゼネラリストから、高度な専門技能を備えたスペシャリストへの〈シフト〉。
第二は、孤独に競い合う生き方から、ほかの人と関わり協力し合う生き方への〈シフト〉。
第三は、大量消費を志向するライフスタイルから、意義と経験を重んじるバランスの取れたライフスタイルへの〈シフト〉。
ということ。これを幾つもの大量の事例を上げて、長々と解説しているよ。そう、しつこいくらいに長いし、それを繰り返す。もう分かった…と言いたいくらい。

それでも、この三つの〈シフト〉は覚悟がいる。多分、若い世代は覚悟など必要がなく、それが当たり前の社会になってくるのだろうけど。だから、

仕事と職場は、あなたが生きがいを見つけられる場である可能性が高い。その場を生かすか殺すかは、あなたの勇気と未来感覚次第だ。
と筆者。うん、自分的には若い世代に伝えていこうかと思うわ。

ワーク・シフト ─孤独と貧困から自由になる働き方の未来図<2025>
ワーク・シフト ─孤独と貧困から自由になる働き方の未来図<2025>リンダ グラットン .

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