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活字中毒者地獄のりす蔵 RSSフィード

2018-05-19

未来予測の技法/佐藤航陽

| 19:29

時代を先読みし、チャンスを生み出す 未来予測の技法 (リベラルアーツカレッジ)』を読んだよ。テクニックではないような…。

特段に未来予測に興味があるわけでもなく、何気なく手に取った本書。占いとかいうわけでもなく、単にビジネス書だったからかも。読んでいて分かったんだけど、最近本屋で山積みになっている『お金2.0』の筆者だったんだね。図書館では予約多数で、順番が回ってくるのがいつになるか分からないから、もう『お金2.0』は読まなくてもいいかな…なんて。あぁ、どうでもいいことを述べてしまった。

本書はビジネス的な観点から、如何に未来を予測するか、その手法というより考え方をまとめた本。冒頭で、手法をまとめたと書いているけど、結局は考え方になってしまっているのではないかな…と。

この変化の激しい時代に予測なんてしたって、意味がない。それよりも変化に素早く対応できるようにした方が得策という考え方があるけれども、筆者の考えはちと違う。

「予測を放棄し、変化にすかさず対応する」。一見理にかなったこの戦略は、もはや戦略として意味をなしません。変化を見抜くことが難しい時代だからこそ、未来を的確に予測し、先回りできた企業と個人が最終的には勝利を収めるのです。
と。やっぱり、予測は必要なのね。いや、確かに必要だと思う。何もなければ、対応が対処療法になってしまうからね。

では、その具体的な手法。筆者は、

変化には一定のパターンが存在します。一見ランダムに動いているような市場の変化も、一定のメカニズムに則っています。その意味において、現在は過去の焼き直しであることが多いのです。
と言う。そう、これはそう思う。過去に起こったことが形を変えて、また現れる。それを人類は繰り返しているんだよね。だから、現象だけを捉えるのではなく、その原理を捉えることが重要なんだと思う。手法的には一般化してみるとか。

その一つの例として登場するのが、「エントロピー」。

エントロピーの増大は多くの物事に当てはまるパターンであり、今後IoTがますます進んでいくというのもその具体例のひとつです。なかでも注目すべきは、センサーの拡散です。
ということ。一般化して物事を眺めると、いろいろなことが分かってくるよね。こういう考え方、楽しいなぁ〜。いいなぁ〜。

時代を先読みし、チャンスを生み出す 未来予測の技法 (リベラルアーツカレッジ)
時代を先読みし、チャンスを生み出す 未来予測の技法 (リベラルアーツカレッジ)佐藤 航陽

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2018-05-06

YouTube革命/ロバート・キンセル

| 07:50

YouTube革命 メディアを変える挑戦者たち』を読んだよ。これは革命か?

YouTube副社長が筆者。だから、完全にYouTube寄りの話が中心になるかとは思っていたんだけど、実はそうでもなく、メディアに対するより一般的な議論を展開していて、好感が持てる。事例のほとんどがYouTubeのことなのは、当然だということが前提条件になるけどね。

内容的には、ユーチューバーがいかにユーチューバーとなっていったかという話が中心。誰でもが動画を発信できるプラットフォームにおいて、そこに人が集まるチャンネルを作り、収入を得ていくか、そして、成功していくか…。これが「メディアを変える」という副題に繋がっていくわけで、人々の余暇の使い方が変わり、TVの視聴から動画の視聴へシフトしていく。それも、ミレニアム世代、Z世代と言われる若い世代からシフトしていっているので、我々のような老年世代は、その変革に気がつかないという現象も起きてくる。

では、ユーチューバーはどんな人たちなのだろうか。その根本的性格について本書では、

彼らはコミュニティを形成し、育てることに長けている。基本的に自分を偽らず、自らの人生について率直に、等身大の自分を語っている。彼らは世界中のファンとどうすればつながれるかを理解し、国境を越える魅力を持つ動画をつくる。彼らは自分たちの多様性と、独特の視点を活用する。そして、ニッチの魅力を理解し、無関心な大衆ではなく、熱い少数のファンにアピールしたほうがいいことに気づいている。
と言っているよ。そう、従来のメディアの考え方とは完全に逆行。でも、ニッチといえば、ロングテールの考え方に近いよね。まさに動画の世界でも通用するネットの世界の標準仕様ってことだろうね。

最後に目からウロコの話。YouTubeには広告が事前に流れることが多いけど、5秒見ればスキップできる。TrueViewと呼ばれる機能なんだけど、これの意味が凄い。5秒後にスキップされてしまうと広告主は一銭も払わなくても済むという仕組み。それは、

このフォーマットが初めて導入されたとき、広告主は激怒した。しかしまもなく、ユーザーはいつ自ら進んで広告を観るのか知ることの価値が明らかになった。私たちはスキップできない広告もYouTubeで流しているが、広告の大部分はTrueView広告で、人々の気持ちを瞬間的につかむ優れたCMを作成する制作する動機を広告主に与えている。
ということ。これも逆転の発想。今までのマスメディアでの発想ではないよね。インタラクティブ広告だからこそできる手法なんだろうね。いや、メディアはまだまだ変わる予感。Z世代はともかく、ミレニアム世代には付いて行きたいなぁ〜。

YouTube革命 メディアを変える挑戦者たち
YouTube革命 メディアを変える挑戦者たちロバート キンセル マーニー ペイヴァン Robert Kyncl

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2017-08-29

知らないと恥をかく世界の大問題8/池上彰

| 23:19

知らないと恥をかく世界の大問題8 自国ファーストの行き着く先 (角川新書)』を読んだよ。ファースト流行り。

このシリーズも第8弾。シリーズが進むに連れて、発刊の間隔が短くなってきているような気がするけど、それだけ世界の情勢の変化が激しいということなのか…。

今回の副題は「自国ファーストの行き着く先」。自分的には、何とかファーストという言葉は東京都知事選挙で初めて聞いて、それから流行り始めたように思えるけど、世界の潮流から見ると「都民ファースト」の方がその流れに乗っただけだったのかとも思えるほど。そして、それを本書では「反グローバル現象」と表現しているよ。要は揺り戻しってやつね。

で、その反グローバルの急先鋒がドナルド・トランプという人物。池上さんは彼を様々な言葉で表現しているよ。「トランプという人物の精神分析が必要」とか、「彼はイデオロギーなきビジネスマン」とか、しまいには「トランプに騙されたと気づく人たちが出てくるでしょう」とまで。いや、当たっているとは思うけど。

そして、毎度の中東問題。いつまでもぐずり続けるのは何故なのか?そもそもの原因を作ったのは欧米諸国+ソ連なんだろうけど、現地の人たちの歴史的な事実も民主化が進まない要因だとか。例としてアフガニスタン。

独裁政権を倒せば、人々は民主主義国家をつくると思っていたのです。実際には、そんなことにはなりませんでした。アフガニスタンに、そもそも民主主義の歴史はなく、民主主義がどんなものか、理解できる人は少なかったのです。
とか、
しかし、イラクには過去、国民が民主的な選挙で代表を選ぶという仕組みはありませんでした。
ということで、前の政権が倒れても何をしていいのか分からないとか。

そして、それと同じことが長い間軍事独裁政権だった韓国にも言えるとも。

そう、だから本書に通底するキーワードは“民主主義”。池上さん曰く、

私は、世界を見ていると「民主主義の国とは何か」と考えます。結論としては、選挙結果にみんなが従うことではないでしょうか。
と。確かに、選挙結果がヘンな国はたくさんありそうだよね。人類はまだまだ勉強不足ってことなのかなぁ〜。

知らないと恥をかく世界の大問題8 自国ファーストの行き着く先 (角川新書)
知らないと恥をかく世界の大問題8 自国ファーストの行き着く先 (角川新書)池上 彰

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2016-02-11

火の島/新田次郎

| 08:01

火の島』を読んだよ。公務員であり、観測者でもあり。

新田次郎の文庫は絶版になってしまったものがあるような気がしていたんだけど、その一つが本書。藤原センセーのお陰で、改版が出ているものもあるんだけど、これからどうなっていくか心配。だから、本書は電子書籍で購入したもの。絶版になるのは仕方がないとしても、電子では残して欲しいなぁ〜。

物語の舞台は日本の遥か南方に浮かぶ孤島、鳥島。時は昭和40年。鳥島で発生した頻発地震への対応を気象観測所の所員の行動を通して描いたもの。

まずは、所員の行動。基本は観測することが仕事なんだけれども、ヘンだと感じることもあるわけ。それがこの事件の前兆だったわけだけど。

現象を一応ヘンだと考えることは気象観測者の心構えのようなものであった。
と、これは観測者として真っ当なこと。ところがこれが事実か否かを確認するまでは報告しないわけ。科学者的と言えば、それまでなんだけど…。

そして、火山調査官。避難を希望する所員と気象庁上層部との板挟み。しかも、科学者としての立場もあるし。

もっと微妙なのが所長。どちらの立場に立っても、批難されるのは必然の立場。だから、歩き回って唸るだけになってしまう。

主人公的な扱いの房野八郎も微妙な葛藤。科学者としての観測員の立場もあれば、所長とは上司部下の関係。さらに火山調査官との関係もあるし。でも、そこをうまくやってのけるのが、主人公たる所以なんだけど。

物語的にはちょっとハラハラドキドキ感もあり、引き込まれるように読了して、達成感が味わえる本でした〜。

そうそう、本書は他に短編二話が載っているんだけれども、うち「毛髪湿度計」も面白かったことを付記します〜。

火の島
火の島新田次郎

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2016-01-17

ヤバイ経済学/スティーヴン・D・レヴィット,スティーヴン・J・ダブナー

| 06:31

ヤバい経済学 [増補改訂版]』を読んだよ。これが経済学なのだろうか。

『ヤバイ統計学』を読む前から注目していた本書。年末年始の休みに読破するにはちょうどいいかと重い腰を上げて選択。内容的には『ヤバイ統計学』風なんだけど、本書の方が本家本元なわけで、それだけにかなり濃い感じ。で、書かれている内容は、テーマ無しで筆者が興味を持ったものについて、ひたすらデータを集めて分析してみるということ。

あえて経済学の部分を探ろうとすれば、「インセンティブ」がキーワードになっている点か。もちろん、正のそれもあれば、負のそれもあり、それらが人々の行動の根拠となるということかな。序章では、

インセンティブは現代の日常の礎である。
と言っているし。

さらに言うと本書の立場というのも面白い。

通念はだいだい間違っている。
とか、
何をどうやって測るべきかを知っていれば混み入った世界はずっとわかりやすくなる。
とか。これらの立場から、筆者が面白いと思う課題を取り上げて、分析を試み、その結論を導き出す。

さて、その課題。どれを取り上げても、興味深いものばかり。

秀逸なのが「犯罪現象の原因は何か?」というもの。のちに賛否両論を生むものになるんだけど、あっと驚く原因。仮説を立てて、データを分析することで、こんなことが分かるのか…という感じ。

微妙なのは、因果関係なのか相関関係なのかという点。これもよくよく考えてみれば分かるんだけど、単なる相関関係が通念になったりしていると厄介だよね。

そう、エビデンスドベースの議論って、まさに本書に書いてあるようなことなんだろうね。

ヤバい経済学 [増補改訂版]
ヤバい経済学 [増補改訂版]スティーヴン・D・レヴィット/スティーヴン・J・ダブナー 望月衛

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