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活字中毒者地獄のりす蔵 RSSフィード

2018-08-16

時刻表2万キロ/宮脇俊三

| 15:56

時刻表2万キロ (河出文庫)』を読んだよ。時刻表は楽しい!!

中学の時にハマった時刻表。専ら眺めるだけだったけど、関連本から知った東海島本線の大垣行き夜行鈍行にはよく乗ったっけ。今は「ムーンライトながら」だったっけかな?その流れでよく読んでいたのが、今回の宮脇俊三氏の著作群。だから、再読ってことになる。

で、本書は宮脇氏のデビュー作。作家専属になる前だから、某出版社の編集者の仕事の傍らで、全国国鉄を乗りまくり、全線完乗することになる記録の本。とは言え、当時の国鉄は約20,800kmも路線があったから、それを記録にするとなると膨大な分量になる。宮脇氏自身も全線に乗ろうなどと考えて乗っていたわけではなく、90%を乗ったあたりで、全線を意識し始める。そして、その目的のために乗り始めたのが昭和50年9月。そして、全線完乗したのが、昭和52年5月。その2年間の記録が本書っていうわけ。

その記録って簡単に言ってしまったけれども、それは闘いだと思う。実際に筆者は、

国鉄全線完乗はあなたが考えるほど簡単なことではないのである、あなたはよく大阪へ行かれるが尼崎港という国鉄の駅があることを知っているか、そこへの線には一日二本しか列車が走っていない、自分もまだ乗っていないが、などと説明や弁明をしていると、だんだん自己主張のごとくなってくる。
と周囲の人々への説明には苦慮している(理解してもらえないという諦めの境地もあるような…)し、
私だって東京や自分の家にいるのがいやで出歩いているわけではないし、日曜日ぐらいは家でゆっくりしたい。
という泣き言や、
そこまでゆくとあまりかけはなれて随いてゆけないけれど、趣味昂進の極限を垣間見る思いがして粛然とさせるものがある。私のやっていることも相当な阿呆と自覚しているけれど、上はあるものだ。
という趣味の世界の奥深さまで語る。

いや、いささか否定的なことを書いてしまったかもしれないけど、これが本になり、何十年も経っても、こうやって読まれ続けるということは、それだけの楽しみというか評価があってのことなんだよね。自分だって、お金と時間があれば、挑戦しているかもしれないからね。

時刻表2万キロ (河出文庫)
時刻表2万キロ (河出文庫)宮脇俊三

河出書房新社 1980-06-04
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2018-08-10

新幹線事故/柳田邦男

| 16:45

新幹線事故 (1977年) (中公新書)』を読んだよ。この歴史の上に、今の新幹線有り。

柳田邦男氏の交通機関の事故シリーズの1冊。柳田氏のこの手の本は航空機ものが多いけど、今回は鉄道。と言っても新幹線なので、そのシステムは航空機ほど複雑ではないけれども、大規模なシステムに運行が支えられているのは変わらないわけで、やはり事故の原因と背景を掴み、その根本的な対策を図ることは重要だよね。

本書で検証されるのは鳥飼車両基地品川車両基地、新大阪駅構内で発生した3件の新幹線による事故。その全てがATC絡み。これほど完全なシステムはないと当時の国鉄が自信を持っていただけに、これらの事故はかなりのショックだったみたい。でも、異常事態の発生は事実であり、それぞれにそれなりの原因があるわけ。

事故調査とは何かという観点では、

事故を調査し、安全を考えるということは、例えば落ちた橋を架け直せばよいというようなものではない。なぜ橋が落ちたのか、その原因となったいくつもの要因の、システム全体の中での位置づけを浮き彫りにし、なぜ「絶対安全」と考えられていたシステムの中に、事故の「落とし穴」があったのかを、普遍的な教訓として導き出さない限り、システム全体の安全への道を切り開くことはできない。
と筆者。そう、巨大システムには膨大なファクターがあり、あるファクターを改修しても、それにより別のファクターに影響を及ぼすことも多くあるよね。特にヒューマンファクターへの影響が大かな。

そして、そのヒューマンファクターについては、

安全にかかわる基本的な部分については、人間がいつでも取って代われるだけの対応力(知識判断力、処理技術)を保持するような教育訓練体系を整えることが、最低限必要な条件ではないか。機械と人間との間に境界線を引くのではなく、相互に重複させ、人間の主体的能力の退化を防ぐ道を考えることこそ、これからの技術に不可欠なのではないか。
と筆者。うん、多分、本書が上梓された時期には納得できる論調だったと思うけど、現代のAIの時代にこの論点はどう考えていけばいいんだろ。機械と人間との関わり方って、随分と変わってきているよね。そういう意味で、最新の新幹線ATCの仕組みを知りたいな…。

おっとその前に、ATSとATCの違いってなんだろ…とか、ATSも進化しているとか聞くし。交通系システムについて、知りたいことが多過ぎるわ…。

新幹線事故 (1977年) (中公新書)
新幹線事故 (1977年) (中公新書)柳田 邦男

中央公論社 1977-03
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2018-06-03

雁道/三遊亭円丈

| 17:39

雁道(がんみち)―名古屋禁断の書』を読んだよ。まだまだ知らない名古屋弁、多し。

『日本の異界 名古屋』の中で、名古屋人による名古屋の分析本の嚆矢として紹介されていた本書。そういえば、清水センセーも本書の著者である三遊亭円丈も若くして名古屋を脱出したクチ。だからこそ、外部の視点で名古屋を冷静に評価できるんだろうね。

では、本書は名古屋をどう評価しているか?まずは、名古屋人の特徴から。ケチだとか見栄っ張りだとか言われることが多いけど、東京大阪とのライバル意識も面白い。

近鉄に対する名古屋人の認識は、あくまでも近鉄は地元の鉄道ではなく人知れず大阪から伸び続けて鈴鹿山脈を越え遂に名古屋にやって来た侵入者であり、異邦人であり、他者である!!
うん、これは新しい視点。そう来たか〜と思わせるほど。確かに、近鉄は関西資本だし、愛知県は近畿じゃない!!っていう思いが強いかもしれないね。地元志向の強い名古屋人らしい発想とも言えるよね。

さらに名古屋の食文化。タモリの発言で有名になったエビフライだが、円丈自身は名古屋時代には一度も食べたことがなかったという。

名古屋時代エビフライの食べられなかったボクに言わせれば、タモリのあの言葉は名古屋人に対する絶賛に思えてくる。そう名古屋人は更に努力してタモリに名古屋人は、シャブシャブを食べてミャアミャア言っていると言わせるようにしなければいけないと思う。
これも郷土愛。でも、ミャアミャア言うことは変わりないのね…。

最後に名古屋弁を紹介。

鳴かんなら殺したろか、ホトトギス
鳴かんなら鳴いちょーヨ、ホトトギス
鳴けへんなら、待っとったるギャー、ホトトギス

いかがでしょうか?

ところで、名古屋弁と新潟弁、似ているところがあるんだけど…、気の所為?

雁道(がんみち)―名古屋禁断の書
雁道(がんみち)―名古屋禁断の書三遊亭 円丈

海越出版社 1987-09-26
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2018-06-02

蝶々殺人事件/横溝正史

| 19:07

蝶々殺人事件 「由利先生」シリーズ (角川文庫)』を読んだよ。時代背景にも興味が。

久しぶりに推理小説。しかも横溝正史ということだから、例の金田一耕助モノと思うかもしれないけど、本書は金田一耕助が登場する前の由利先生シリーズの第1弾。だから、横溝正史の著作としては初期のものだと思う。表題作の他に短編2編が収録されているけれども、この2編はどちらかと言うと、金田一耕助シリーズの萌芽を感じさせ、オドロオドロシイ作品になっているよ。

この由利先生シリーズは、由利先生と三津木という新聞記者がペアになって、事件を解決するというもの。内容的には怪奇性はなく、現代推理小説に近い感じかも。由利先生も金田一耕助とは違い、極々真っ当な人物っぽく書かれているし。

それでも、時代は昭和12年。舞台は東京大阪。その間に関係者の移動があるんだけど、当然に時間が掛かる。だから、現代ではこの話は全く成り立たなそうな感じ。まぁ、そこがこの物語を楽しめる要因でもあるんだけどね。その他には、ちょっとした暗号とか、芸術家の気質とか、男女の機微など、この物語を盛り上げている多くのアイテムがいいよね。

では、犯人はというと、それほど意外性もないというオチ。ポイントは、現場は東京なのか大阪なのかという点。文中でも筆者は読者に対し、「犯人が分かるかな?」と問いかけているから。

自分的に意外だったのは、由利先生の奥さん。いや、それはないだろう…というオチだったわ〜。

蝶々殺人事件 「由利先生」シリーズ (角川文庫)
蝶々殺人事件 「由利先生」シリーズ (角川文庫)横溝 正史

KADOKAWA / 角川書店 2002-03-08
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2013-09-08

池上彰の政治の学校/池上彰

| 08:29

増補 池上彰の政治の学校 (朝日新書)』を読んだよ。知ってみるとなかなか面白い。

初版の発行が2012年9月だから、ちょうど衆議院選挙で自民党が圧勝した後の頃。その時期をベースに今の日本の政治について解説し、日本はこれからどういう政治をすべきかを、池上彰氏が述べた本。アッシが読んだのは、その増補版ということで、2013年6月発行のもの。だから、夏の参議院選挙に向けて、安倍政権の評価を加えて、読者に考えてもらおうという意図なんだろうね。

で、本書の冒頭で、

日本の政治がうまくいかないのは、政治家が「票集め」に走り、国民は「幸せの青い鳥」を追い求めているからです。
といきなり結論。どうして、結論を先に言うかというと、この「票集め」と「幸せの青い鳥」が本書の二大キーワードだから。

さて、政治と言っても範囲は広い。最初は選挙の話。小選挙区制が「チルドレン現象」を産んだという話は興味深いよね。あと、橋下氏のチルドレンの場合はベイビーズと表現したりして…。池上氏、やるなぁ〜。

続いて政党の話。

言い換えれば、日本の国会議員は、必ずしも自分の信条と照らし合わせて所属する政党を決めているわけではないということです。選挙で勝てそうな政党に属している人が多いのです。
そう、結局は「票集め」。つまり、政党は単なる「腰掛け」。酷い…。

政治主導と官僚の話も面白いよ。つまりは「票集め」に関係しているから。詳しいことはここでは省略し、もっと「票集め」に関係するポピュリズムについて。その代表格は橋下大阪市長とか、一昔前だと小泉元総理。しかし、これにも当然注意が必要で、

しかし、恐ろしいのは、「とにかく今とは違った状況を作ってくれ」という要求を繰り返していても、世の中は改善されないだろうということです。
政策内容を理解せずに、人気だけが先行するパターンだよね。要はこれがポピュリズムの怖さなんだけど。そして、
青い鳥を追い求めてしまうのは、仕方がない。でも、青い鳥はどんなに探してもいないのです。結局、自分の身近なところにいる鳥を青い鳥にしなくてはいけない。橋下市長というのは、それに気がつかせてくれる存在のように思います。
と最後に「青い鳥」の話。そう、政治家は有権者が育てていくものということを、ここでも繰り返しても言っているんだよね。次の選挙はもう少し真剣に考えてみよ。

増補 池上彰の政治の学校 (朝日新書)
増補 池上彰の政治の学校 (朝日新書)池上 彰

朝日新聞出版 2013-06-13
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