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活字中毒者地獄のりす蔵 RSSフィード

2018-06-03

雁道/三遊亭円丈

| 17:39

雁道(がんみち)―名古屋禁断の書』を読んだよ。まだまだ知らない名古屋弁、多し。

『日本の異界 名古屋』の中で、名古屋人による名古屋の分析本の嚆矢として紹介されていた本書。そういえば、清水センセーも本書の著者である三遊亭円丈も若くして名古屋を脱出したクチ。だからこそ、外部の視点で名古屋を冷静に評価できるんだろうね。

では、本書は名古屋をどう評価しているか?まずは、名古屋人の特徴から。ケチだとか見栄っ張りだとか言われることが多いけど、東京大阪とのライバル意識も面白い。

近鉄に対する名古屋人の認識は、あくまでも近鉄は地元の鉄道ではなく人知れず大阪から伸び続けて鈴鹿山脈を越え遂に名古屋にやって来た侵入者であり、異邦人であり、他者である!!
うん、これは新しい視点。そう来たか〜と思わせるほど。確かに、近鉄は関西資本だし、愛知県近畿じゃない!!っていう思いが強いかもしれないね。地元志向の強い名古屋人らしい発想とも言えるよね。

さらに名古屋の食文化。タモリの発言で有名になったエビフライだが、円丈自身は名古屋時代には一度も食べたことがなかったという。

名古屋時代エビフライの食べられなかったボクに言わせれば、タモリのあの言葉は名古屋人に対する絶賛に思えてくる。そう名古屋人は更に努力してタモリ名古屋人は、シャブシャブを食べてミャアミャア言っていると言わせるようにしなければいけないと思う。
これも郷土愛。でも、ミャアミャア言うことは変わりないのね…。

最後に名古屋弁を紹介。

鳴かんなら殺したろか、ホトトギス
鳴かんなら鳴いちょーヨ、ホトトギス
鳴けへんなら、待っとったるギャー、ホトトギス

いかがでしょうか?

ところで、名古屋弁新潟弁、似ているところがあるんだけど…、気の所為?

雁道(がんみち)―名古屋禁断の書
雁道(がんみち)―名古屋禁断の書三遊亭 円丈

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2018-06-02

蝶々殺人事件/横溝正史

| 19:07

蝶々殺人事件 「由利先生」シリーズ (角川文庫)』を読んだよ。時代背景にも興味が。

久しぶりに推理小説。しかも横溝正史ということだから、例の金田一耕助モノと思うかもしれないけど、本書は金田一耕助が登場する前の由利先生シリーズの第1弾。だから、横溝正史著作としては初期のものだと思う。表題作の他に短編2編が収録されているけれども、この2編はどちらかと言うと、金田一耕助シリーズの萌芽を感じさせ、オドロオドロシイ作品になっているよ。

この由利先生シリーズは、由利先生と三津木という新聞記者がペアになって、事件を解決するというもの。内容的には怪奇性はなく、現代推理小説に近い感じかも。由利先生も金田一耕助とは違い、極々真っ当な人物っぽく書かれているし。

それでも、時代は昭和12年。舞台は東京大阪。その間に関係者の移動があるんだけど、当然に時間が掛かる。だから、現代ではこの話は全く成り立たなそうな感じ。まぁ、そこがこの物語を楽しめる要因でもあるんだけどね。その他には、ちょっとした暗号とか、芸術家気質とか、男女の機微など、この物語を盛り上げている多くのアイテムがいいよね。

では、犯人はというと、それほど意外性もないというオチ。ポイントは、現場は東京なのか大阪なのかという点。文中でも筆者は読者に対し、「犯人が分かるかな?」と問いかけているから。

自分的に意外だったのは、由利先生の奥さん。いや、それはないだろう…というオチだったわ〜。

蝶々殺人事件 「由利先生」シリーズ (角川文庫)
蝶々殺人事件 「由利先生」シリーズ (角川文庫)横溝 正史

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2018-05-20

小説 君の名は。/新海誠

| 06:27

小説 君の名は。 (角川文庫)』を読んだよ。時間も空間も飛び越える。

去年の夏にアニメ映画として話題になっていたこの作品。だから、あえて「小説」というタイトルが付くみたい。あらすじはあちこちに書かれているので、もうここでは書かないことにする。よくある中高生向けの恋愛ものかと思うけど、その要素を加味したもっと広大な世界を描いているんだよね。

では、この物語の読みどころ(見どころ?)は何か?

まずは、空間を飛び越えるということ。東京という都会と、岐阜県の地方の間を交互に登場人物が飛び越えていく。ここまではよくある物語だと思うけど、さらに時間も飛び越える。これは予想外の展開だったかな。そして、この時空を超えて、ある場所で二人が会おうとする。このシチュエーションが分かったような分からないような状況で展開していく。うん、この微妙な状態が最後まで続くんだよね。

そして、都会と地方の対比として、匂いを持ってくることに目からウロコ。

今になって、東京は様々な匂いに満ちていることに私は気づく。コンビニ、ファミレス、すれ違う人、公園脇、工事現場、夜の駅、電車の中、ほとんど十歩ごとに匂いが変わった。
と表現しているよ。

さらには朝日が昇る情景描写が秀逸。

山の端から朝日が昇る。湖の町を、太陽の光が順番に洗っていく。朝の鳥、昼の静寂、夕の虫の音、夜空の瞬き。
とか、
ビルの間から朝日が昇る。無数の窓を、太陽が順番に光らせていく。朝の人波、昼のざわめき、カタワレ時の生活の匂い、夜の街の煌めき。
と。朝の描写でもこれだけ違うのかと、改めて納得。

題名のつけ方もマーケティング的に考えているのかな、なんて思う。自分以上の世代でも「君の名は」に反応する人は多いだろうからね。

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2018-05-18

アンダーグラウンド/村上春樹

| 23:03

アンダーグラウンド (講談社文庫)』を読んだよ。日常の中の暴力。

作家の村上春樹っていうとほとんど小説の人というイメージだと思うけど、本書は数少ないノンフィクション作品の一つ。そして、その題材は、地下鉄サリン事件。村上春樹とこの事件が自分的にはどうしても結びつかないんだけど、どうしてこれを書こうとしたかは、本書の中で、

もっと具体的に述べるなら、「そのときに地下鉄の列車の中に居合わせた人々は、そこで何を見て、どのような行動をとり、何を感じ、考えたのか?」、そういうことだ。私はそのことが知りたかった。
と筆者本人が述べている。それでも、自分としてはよく分からなかったんだけど。作家魂に火が点いたってことなのか…。

内容的には、事件の被害者(遺族を含む)に筆者独自にインタビューし、それをまとめたもの。インタビューを受けた人たち(インタビューイ)は総勢62名というから、相当のボリュームだよね。だから、文庫にすると700頁以上。勿論、軽症の人もいるし、残念ながら未だに後遺症に悩まされる人も。

取材の時期が事件後1年以上は経過しているので、インタビューイの語る言葉は淡々としているという印象。そして、誰もが状況が把握てきておらず、自分が被害にあっているという感覚を持っていない。だから、多少身体の具合が悪くても、会社に行こうとする人たちが多数。

もう一つは現場の状況で印象的だったこと。

私がいた小伝馬町の駅前、その一角はたしかに異常事態なんです。でもそのまわりの世界はいつもどおりの普通の生活を続けているんです。道路には普通に車が走っているんです。あれは今思い返しても不思議なものでしたよね。そのコントラストが、ものすごく不思議だった。
という証言。異常事態(非日常)のすぐ隣に日常が流れているってこと。東京都心という場所だからこそのコントラストなんだろうね。ちょっと怖い気もするけど、前述の「それでも会社に行こうとした。」ということが普通に起こり得るんだよね。

最後に筆者の言葉。

私たちはこの巨大な事件を通過して、いったいどこに向かって行こうとしているのだろうか? それを知らない限り、この地下鉄サリン事件という「目じるしのない悪夢」から、私たちは本当には逃れることができないのではないだろうか。
この事件から自分は何を考えたのか。それすらも曖昧な状況のような…。あまりにも巨大な事件の為、整理しきれないというのが正直なところかな。

アンダーグラウンド (講談社文庫)
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2018-02-04

縮小ニッポンの衝撃/NHKスペシャル取材班

| 07:46

縮小ニッポンの衝撃 (講談社現代新書)』を読んだよ。予想されていたことだけど。

本書は、2016年9月25日に放送されたNHKスペシャル「縮小ニッポンの衝撃」の内容を書籍化したもの。基本は少子高齢化と過疎化の問題が掛け算となって日本を襲ってくるという話。そう、その事象がすでに日本の各地で発生し始めている。その事例を紹介し、問題提起するという感じかな。

冒頭の事例は東京都豊島区。消滅都市として名前が上がった時は、その理由が???だったけど、その理由に納得。要は単身者の増加という要因が掛け算の項として加わったということなんだろうね。

そして、2006年に財政破綻した北海道夕張市。その後の徹底した合理化は報道の通りだけど、大きな課題は公共インフラの維持。つまりは、

結論ははっきりしている。現状の公共インフラをそのまま維持し続けるのは到底不可能だということだ。人口の増加に合わせて拡大してきたインフラを今後、大幅に縮小していかなければほとんどの自治体は財政がもたないのである。
ということ。人口は自然減にプラスして、社会減という要因も大きいからね。夕張市の場合は特に。

もう一つの事例は島根県。ここでは、「地域運営組織」という住民組織に一定自治を委譲する制度を立ち上げた。その背景には、

市長自ら「これからは国・県・市町村が何をしてくれるかではなく、住民自らが地域をどうするかという時代です」と市政懇談会で住民に檄を飛ばすほど、行政単位での地域運営は厳しい状況を迎えていた。
というようなことが。今までの行政におんぶに抱っこが良かったのか悪かったのか…。

そして、これらは東京を中心とした首都圏と地方の互助関係の崩壊に繋がっていくわけ。

地方の豊富な労働力を支えに、繁栄を享受してきた東京。そこで生み出した富を地方に再配分することで、日本は急成長を続けてきた。しかし、地方の人口減少が限界に近づき、消滅の危機と格闘している間に、東京への労働力の供給が断たれ、富を生み出すことも、地方に再配分することも叶わなくなっていく。
そう、共倒れ。この問題、根が深いうえに、絡まり過ぎ…。縮小ニッポンはどこに行く。

縮小ニッポンの衝撃 (講談社現代新書)
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