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なんばりょうすけの仮住まいです

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2004-12-31

[][] 奈良幼児殺害事件について各社社説

朝日、産経、読売の31日付け社説に再犯防止策(ミーガン法という名前は出てこないがそれ系の話)を求める声が。毎日の社説にはこの件に関する記述なし。

朝日は性犯罪が再犯性の高い事を指摘し、イギリスの制度(住所登録と監視)を例示。

朝日 ■女児誘拐犯−−性犯罪から子供を守れ:

 子どもに対する性犯罪者が繰り返し犯行を重ねる傾向が強いことは、よく知られている。前歴があるからといってすべてが再び犯罪を重ねるわけではないが、だからといって再犯を簡単に許してしまう現状でいいはずはない。

 英国では、子どもを狙った性犯罪の前歴を持つ者は、地元の警察署に住所を登録するよう法律で義務づけている。再犯の恐れのある前歴者に無線標識をつけて監視する対策まで検討された。

 人権に絡む問題だけに慎重さは必要だが、子どもの人権もまた十分に擁護されなければならないのだ。

 子どもに対する性犯罪は、どこの国でも大きな悩みだ。途上国の子どもの買春やインターネットを通じた児童ポルノの広がりで、欧米の国々は90年代に子どもを守る法整備に取り組んだが、日本で禁止法ができたのは5年前だ。日本はいまなお児童ポルノの大供給国である。

産経は再犯防止についてイギリスとアメリカの制度(前歴者の情報の公開)を例示。また再犯だけでなく性的指向そのものにもフォーカス。

産経 ■【主張】奈良女児殺害 凶悪犯逮捕が最大の防犯 :

 しかし、逮捕された小林薫容疑者は以前にも、幼い女児ばかりを狙っていたずらを繰り返し、警察に逮捕されていた。女児に異常な興味を示す、このようなロリコン趣味者を今後、どのように取り締まっていくか、警察当局に突きつけられた課題であろう。

 同容疑者は中学生のころから、わいせつ雑誌やロリコンビデオなどを買いあさり、幼女への異常な性的興味を示していた。今回もこの延長線上で起こした残忍な犯行だった。

 昭和六十三年から翌年にかけ、東京都と埼玉県で発生した幼女連続誘拐殺人事件の宮崎勤被告(最高裁に上告中)の犯行と極めて酷似している。同被告も幼女に対する異様な性的興味が高じた末の犯行だった。

 幼女が下校途中に誘拐、殺害される事件は後を絶たない。その動機の大半が、「いたずら目的」である。また、小林容疑者のように再犯の可能性が極めて高いのも事実だ。

 米国や英国では、地域により再犯の恐れが強い性的異常者については、顔写真や住所を公表している所もある。わが国も犯罪防止の観点から、このような制度を取り入れるかどうか、その是非を真剣に論議したい。

読売も再犯率の高さを指摘。具体的な法制度は挙げず、地域の防犯ネットワークという曖昧な記述。

読売 [奈良誘拐犯逮捕]「子供をどう守るか、課題は重い」

 動機は、わいせつ目的だった。以前にも、やはりいたずらしようと女の子を狙って逮捕されたことがある。

 性犯罪は再犯率が高いとされる。再犯防止の措置を考える必要がある。

(中略)

 奈良事件の現場周辺では住民の不安が高まり、子供の遊ぶ姿も見られなくなった。このため、商店が不審者の早期発見に努める「安全モニター」になったり、子供の駆け込み場所に「110番の家」を設けたりする取り組みが広がった。

 実効を上げるには、学校や警察、地域社会の連携が欠かせない。子供を見守る大人のネットワークが必要だ。

 子供が犯罪に巻き込まれる事件は、いつでもどこでも、起こり得る。地域の身近な問題として、危機感を持った取り組みが求められている。

[] 『なぜ少女ばかりねらったのか』

ちょっと古い本(原書が1995年)ですがレイ・ワイア、ティム・テイト『なぜ少女ばかりねらったのか』(ASIN:4794208820)を再読中。イギリスの幼女連続強姦*1殺害事件の犯人へのインタビューなどをまとめた本。

[] 再犯率、加害者の人権

以前『犯罪白書』で調べた時は性犯罪の再犯率が特別に高いということはなかった(id:rna:20040608#p1)のですが、新聞やテレビでは既成事実化されています。テレビでは大澤孝征が「(アメリカでは)科学的にはっきりしている」というような事を言ってたし、テリー伊藤は40%という数字を挙げていました。そのうち新聞や雑誌なんかでも色々出てくるだろうけど信頼できる数字はどれなのか。性的な動機とされる猟奇殺人では何度も繰り返すタイプの犯罪者がいるのは事実だろうけど、これは性犯罪一般とは違うと思うのだけど。

ミーガン法のような制度は「加害者の人権より被害者の人権、さらには被害者になるかもしれない人たちの人権」という理屈で正当化されるのだけど、一度処罰された加害者は理屈の上では既に犯した罪を償った普通の人なわけで、加害者というよりは「まだ加害者ではない(が、今後加害者になるかもしれないと思われている)人」のはず。

そうじゃなきゃなんのための処罰なのかと思うが、今後は社会復帰後の監視も含めて一つの刑罰にしよう、刑務所を出ても刑は続行しようということなのか。要するに放し飼いの終身刑みたいなもの? 技術の進歩でそういうことが可能になった、死刑や終身刑よりは人道的でしょ、ってこと?

にわかに反論できない考え方だけど直観的にはすごく嫌なものを感じる。よく死刑より終身刑は残酷じゃないかって話があるけど、放し飼いの終身刑はもっと残酷かもしれない。

*1:訂正:強姦ではなく性器へ指を入れるなどの暴行。

miyadai_tvmiyadai_tv 2004/12/31 10:15 今回の事件は落ち目の「癒し産業」のエイベックス(浜崎あゆみ)と防犯産業(カギ屋さん)の仕組んだ事でこの手の事件が起きる→癒しグッツや防犯グッツが売れる→ウマー。が真相なのだ。小林薫容疑者ははめられただけであり犯罪当日にはアリバイがあり…と田中宇がもし書いたら俺は一生、宇をリスペクトするぞ!

macskamacska 2004/12/31 12:13 科学的にはっきりしているとか40%という人は、そのデータの出所を明らかにして欲しいですね。わたしが調べた中にも調査の舞台ややり方によって低い数値から高い数値までいろいろあるわけですが、以前紹介した13%というのが低い方の値で、高い方は25%とかそれくらいまでは見かけたことがありますが、40%だなんて報告は(調査としては)見たことすらありません。全くのデタラメです。

macskamacska 2004/12/31 12:52 再犯率について、「性犯罪」一般ではなく「子どもに対する性犯罪」に限って調査した報告があります。 Greenberg D, Bradford J, et al. (2000). ”Recidivism of child molesters: a study of victim relationship with the perpetrator.” Child Abuse And Neglect. 24(11):1485-94. この論文によると、子どもの性虐待で逮捕された加害者の再犯率は、最初の被害者が加害者自身の子どもであるかどうかに強い関係があり、自分の子どもに対する性虐待で逮捕された人の再犯率は5%前後、それ以外の子どもに対する性虐待で逮捕された人の再犯率は16%とされています。

kagamikagami 2004/12/31 17:49 FBIのプロファイラー、ロバート・K・レスラーは著書(FBI心理分析官1,2、快楽殺人の心理)の中で、兇悪な快楽殺人になるほど再犯率は激増し、今回のような幼児性愛性向と嗜虐殺人性の複合タイプにおける犯行の連続実行率は致命的な高さと述べておりますが…。その為に彼はこういった犯人は絶対に釈放されることのない無期刑か無期の精神病院への監禁を提案しています。私も彼の意見に賛成です。ミーガン法よりも、こういった犯人への極刑執行の確定(死刑・絶対無期刑)が最も重要になると考えますね…。ヘアの著書である診断名サイコパスなどから分かるように外科的措置をしない限り教育では絶対に矯正不可能な邪悪存在が一部において人間の形を取っていることが近代の研究ではっきりしてきたことを認識すべきではないでしょうか…。ちなみに今回の事件からは確実に快楽殺人であることが読み取れます。快楽殺人者が殺害において執着する最も高い嗜虐殺人犯行であるナイフ・絞殺・窒息死(溺死)を犯人は示しております。

rnarna 2004/12/31 19:04 エスパーおめ、って感じですか。まだやっていない犯罪の責任を先回りして背負わせるような理屈には同意しかねます。たとえ再犯の確率が高くとも、所詮確率ですから再犯しない人だっているわけです。そういう人を誤爆しても構わないとは思えない。少なくともkagamiさんレベルのいいかげんなプロファイリングを根拠にされたらたまりませんね。

nanasinanasi 2004/12/31 21:16 信頼できる再犯率データが出てくるまではお話しにならないぽ。
あと、結構前のCBSドキュメントで再犯率を大幅に低下させる「治療」について取り扱っているものがありましたね。勃起を感知すると鼻腔に伸びた管から悪臭を発生させる装置をつけ、ポルノを見せて云々という・・。笑っちゃうほど直接的なものですが再犯率は劇的に低下するそうで、その「治療」をパスすると刑期が大幅に短縮されると報じられてました(参加は自由意志)。性犯罪者全般だったのか未成年への性犯罪者限定だったのかちょっと記憶が曖昧ですが。

macskamacska 2005/01/01 05:05 特に凶悪な快楽殺人のケースでは確かに累犯が多いというのは知られていますが、釈放後の再犯が多いというデータは多分存在しないはず。なぜなら、その種の犯罪ではあまりに犯行が凶悪であることと、最初に逮捕されるまでの累犯が多いために、一度逮捕されたら死刑・終身刑や実質上一生出られない超長期の懲役刑になって、釈放されることが滅多にないからです。ミーガン法の対象となるのは、そこまで凶悪でない犯罪者だけですから、これは別の問題として扱うべきです。

rnarna 2005/01/01 05:11 時計仕掛けのオレンジおめ、って感じですね… アメリカでは他にも性欲を減退させる薬物を使うのもあったっけ。まあ一種の去勢ですか。じゃあ覗きは目潰し、泥棒は手を切り落とす、mp3を放流した奴は耳を潰すってことでひとつ…

macskamacska 2005/01/01 05:14 「パブロフの犬」系の治療プログラムについて、わたしもそういう事をやっている人の話を聞いたことがありますが、釈放後一定の時間が経ったあとの再犯率が本当にそれほど低下するのか疑問を持っています。似たような「治療」が昔は同性愛者に対しても行われていましたが長期的には効果がなかったというのが定説ですし、ネズミを使った心理学の実験でもしばらく電気ショックの電源を外せばまたレバーを押すようになります。もし効果があるとすると、それは釈放後もケースマネージャを付けてフォローアップするなど別の取り組みと組み合わせてはじめてうまくいくんじゃないでしょうか。また、「治療」への参加を理由に刑期を短縮させるのは、プログラムに参加する動機にはなっても、釈放後再犯しない動機にはならないので、あんまり良い施策ではないと思います。むしろ、「治療」参加者に特権を与えないことによって、単に「早く刑務所を出たい」という人たちの中から、本心から「更生したい、再犯したくない」と思っている受刑囚だけ選別し、そこにリソースを集中させるのが良いとわたしは思います。

rnarna 2005/01/01 05:17 >macskaさん 凶悪な快楽殺人犯が連続殺人に至る前に強制猥褻とかで捕まったり、犯行時に少年だったので釈放されたりというケースもあるので、そのへんの統計があるとわかるかも。
ところでこの手の快楽殺人犯の多くが幼少時に児童虐待の被害者だったっていうのは本当なんですかね。立証困難な気もするけど。

deadletterdeadletter 2005/01/02 10:23 今朝TBSの「関口宏のサンデーモーニング」でこの奈良の事件を取り上げる中で「再犯率41%(警察庁調べ)」という数字が出ていました。犯罪白書にはそのような数字は無いとの事ですが…誤報なんでしょうかね、やはり。

deadletterdeadletter 2005/01/02 11:00 えーと、今TBSに確認してきました。「約41%」という数字は警察庁のHPからとったもののようです。
http://www.npa.go.jp/toukei/keiji19/H15_04_6.pdf
ここの「43 業種別初犯者・再犯者別」という表の「公然わいせつ」の総数「1,456」に対して再犯者「611」が根拠だとのことでした。

rnarna 2005/01/02 12:01 情報感謝です。これって「再犯者の率」であって「再犯率」じゃないですよね…

通ほりすがり通ほりすがり 2005/01/02 12:38 はじめまして。
「再犯」を検索していてここに辿り着きました。

その「再犯者の率」、しかも性犯罪以外の前科も含めたものですから、数値が大きくなるのはある程度当然ではないでしょうか。


>「再犯者」とは、刑法犯、特別法犯(道路交通法違反を除>。)の別を問わず、前科又は前歴を有するものをいう。
(引用されたPDFから)

「44 罪種別前科数別数別検挙人員( 成人)」
で同一罪種の前科あり割合を調べると10%程度で、
多罪種にくらべて特に高いという訳ではありません。

おまけに何故「強制わいせつ」ではなく「公然わいせつ」のデータを使うのでしょうか?

実にいい加減な報道ですね。

rnarna 2005/01/02 13:02 問題にすべき「再犯率」は、同じ人間が一定期間内に(あるいは死ぬまでに)同じ罪種の犯罪を犯す割合、のはずです。犯罪白書だとそのものずばりはないです。「再犯者の割合」はこの意味での再犯率とは一致しません。
極端な話、毎年の「再犯者の割合」が50%でも再犯者の顔ぶれが常に同じなら期間を長くとれば再犯率は限りなくゼロに近づくし、逆に再犯者が全員前科一犯なら期間を長くとれば再犯率は限りなく100%に近付くはず。

rnarna 2005/01/02 13:07 もっとも再犯率の話は犯罪者のプロファイルを絞り込めば実際に高い値が出るかもしれないので、報道される再犯率の値がいいかげんだからと言って安心もできませんね…