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THE BLUE HEARTS 「TRAIN-TRAIN」

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2005-01-09

[][] 「再犯率」より「再犯者率」が重要になる場合

以下まだ直しが入る可能性があるので引用はなるべく避けて下さい

ここ数日「再犯率」「再犯者率」の違いに拘ってきましたが、単純に混同するのが間違いというのは別にして、なぜ「再犯率」に拘るのかを確認。

というのは、条件次第では「再犯率」はどうでもよくて「再犯者率」の高い罪種をターゲットにして再犯防止策を打つのが犯罪を減らすのに効果的、ということがあり得るからです。

再犯率」が関係ない場合

今ここに犯罪者個人に対して何かするという類の再犯防止策があり、これが罪種によらず一定の率で再犯率を低下させる(この率を以下では再犯抑止効果と呼びます)と仮定します。この防止策にはそれなりのコストがかかり、全ての犯罪者に適用するのは無理なので、適用対象を絞り込まなければならないとします。

絞り込む方法は色々あり得ますが、何かの事情があって、社会に対する危険度が同じくらいの何種類かの罪種の中から一つを選ばなければいけないとします。この場合「再犯者率」が一番高い罪種を選ぶのが一番効果的な(コストパフォーマンスが良い)選択になります。「再犯率」はここでは全く関係してきません。

この条件では犯罪減少率は再犯率と関係なく再犯者率に比例します(はずです…補遺参照)。例えば100%確実な再犯抑止効果がある(再犯率が 0 になる)なら再犯者数はゼロになり、犯罪を「再犯者率」の分だけ減少させます(初犯者数は毎年一定で再犯防止策の影響を受けないと仮定)。「再犯者率」50% なら対策後は犯罪が半減することになります。

(macska さんのコメントを受けて追記) 犯罪白書などで再犯の問題をなぜか再犯者率を見て検討している(平成14年版の特集など)ことがあるのは何故だろうと思って考えてみたのがこれです。この話はことさらミーガン法を支持する材料にはならないというのは同意します。再犯者率についても性犯罪が特別高いということはなさそうですし、ミーガン法の一般告知という再犯防止策自体の効果が怪しいので。もっとも、「凶悪犯罪(殺人、強盗、強姦、傷害)」の中では強姦は再犯者率が高い(傷害の方が多いけど、程度の重い傷害致死は低い)というのはあります。9% 程度で絶対値は低いけど。今問題になっている強制わいせつ→強姦みたいなコンボをカウントしたらもっと上がりそうではありますが。

ではなぜ「再犯率」が大事なのか

上の考察は色々仮定があるので現実的にどうかは微妙なのですが、効果的に犯罪を減少させることだけ考えればよいという立場に立つなら「再犯者率」だけ見ればよいということは有り得る、ということは言えそうです。

ではなぜミーガン法の議論において「再犯率」が出てくるのかというと、ミーガン法の場合は再犯防止策そのものに問題があるからです。ある犯罪の「再犯率」が高いということは、その犯罪の前歴のある人は犯罪を犯す危険性が高い、要注意人物ということです(そういう考え方自体問題はあるけどそれはひとまずおく)。「再犯率」が低ければそういう疑いは不当であり、何かと弊害も多い一般告知の対象にすることは正当化できません。疑うに足る十分な根拠として「再犯率」の高さが問題にされるわけです。

犯罪を減らすというだけならコストパフォーマンスに関わるのは「再犯者率」だけということがあり得ますが、その場合でも前歴の一般告知という再犯防止策に伴う社会的コストを計算に入れると「再犯率」を考慮する必要がある、ということです。

逆に言えば市民の安全こそが第一で加害者の人権を軽く見る立場に立てば「再犯率」はあまり関係なくて「再犯者率」こそが重要ということになるのかも。うーん。。。

今後マスコミが(両者の混同はまず解消するとして)どちらを使って議論するのか気になります。

補遺: 再犯者率と犯罪減少率の関係

素人計算なのでいまいち自信なし。変なところがあったらご指摘下さい。アイデアの一部はある方から頂いたメールを参考にしました。感謝。

未犯者が一定期間に犯罪を犯す確率(初犯率): v
既犯者が一定期間に犯罪を犯す確率(再犯率): w

全人口: P
全人口のうち既犯者の占める比率: p

犯罪数: P(1-p)v + Ppw
再犯者率: x = Ppw / (P(1-p)v + Ppw)
初犯者率: 1 - x = P(1-p)v / (P(1-p)v + Ppw)

上の条件で再犯防止対策をとる場合を考える。

再犯抑止効果: e (対策によって w が we になるとする)

対策時の再犯数: Ppwe
対策時の犯罪数: P(1-p)v + Ppwe

犯罪減少率 = (対策前の犯罪数 - 対策後の犯罪数) / 対策前の犯罪数
           = 1 - 対策後の犯罪数 / 対策前の犯罪数
           = 1 - (P(1-p)v + Ppwe) / (P(1-p)v + Ppw)
	   = 1 - ((1 - x) + xe)
           = 1 - 1 + x - xe
	   = (1 - e)x

よって犯罪減少率は再犯率と関係なく再犯者率に比例する

[][] 疲れた

風邪の後遺症が酷くて息が絶え絶え。深く息をすると胸が痛くなって痰がからみだしてせき込む。そのせいでちょっと遠くまで歩いたりすると呼吸困難になって立ち止まって途中でどこかによりかかって休まないと先に進めなくなる。あと、胸を張っているとその傾向が強いので背中を丸めてないと息が苦しい。寝るときもまっすぐ寝ると苦しいので枕を高くして状態を少し起こさないと辛い。明日もこんな感じだったら病院行った方がいいかな。。。

という体調のこともあるけど、それより「再犯率」問題、色々見たり考えなおしたりしたら、なんかぐだぐだになってることに気付いて疲れた。

  • そもそも「再犯者率」を間違って「再犯率」と言っている(再犯率41%とか)
  • その「再犯者率」自体も同一罪種の再犯以外を含んだ大きすぎる数字(強制わいせつの再犯者率は41%だが、同一罪種の再犯に限ると11.5%)
  • しかし同一罪種の再犯に限ってしまうと今度は複数ある性犯罪をまたがった形の再犯がカウントされなくなる(強制わいせつ→強姦のコンボとか)のでまた数字が違ってくる。
  • 他の罪種のそれと比較せずに数字の大きさの印象だけで議論している。

と、四つ間違いがある、のではなくて、この四つが組み合わせになって間違ってるので無茶苦茶なことになっている。どれか一つでも間違っていると、本来議論すべき「性犯罪に限った」「再犯率」の評価及び「他の罪種との比較」というものにかすりもしない数字ばかり議論することになる。報道も酷いけど、梅太郎さんや macska さんや僕のブログを見た人のブログにしても、どこかに間違いが残った形の数字を出してしまっていて、(数字に関しては)正しい議論ができていないものが散見される。正しい数字は(たぶん)誰も知らない、よって数字をベースにした議論は実は誰にもできない、ということをまず確認したい。

macska さんや僕が使った保護観察期間中の再処分率は数字の性質としては「再犯率」に近いもののはずだけど、母集団が特殊なのであくまで参考程度。それにこれも再犯を同一罪種(あるいは性犯罪)に限ってないのでこれの比較もあまりあてにならない*1

「報道から受ける印象のような明らかな傾向を示すデータはない」とは言えるが、そういう傾向が「ない」とは言えない状況。命題を肯定する根拠として挙げられたものは否定できるけど、命題そのものを否定する根拠があるわけではない。要するに(数字に関しては)議論は振り出しに戻している(世論ということで言えばまだ戻そうとしている段階)だけで、実はほとんど前に進んでいない。違う道に連れて行かれるのを逃れただけだ。疲れる。

ちゃんとした数字が出てくれば(戻るプロセスもすっとばして)一気に前に進むはずなんだから、ここは黙って待つべきなのだろう。でもそれが理解されず待ってくれない人たちが勝手に話を進めてしまってぐだぐだになりそうで怖い。ていうか僕も結果的にぐだぐだに荷担してしまってるので気が重い。まあ僕が黙っていても誰も待ってくれないしやっぱりぐだぐだになるだろうけど。。。

*1:macska さんは「性犯罪の再犯率が他の犯罪に飛び抜けて高いかどうかを判断する程度は可能であると思われる」としているけど絶対ではない。「高いことを示唆するものはない」程度かと。

macskamacska 2005/01/09 15:54 前提にいろいろ無理がありそうですが(複数の罪種の社会に対する危険度が同じという事がありえるのか、本当にコストは一定なのか、再犯抑止効果は一定なのか、など)、頭の体操としては面白いです。いずれにせよ、ミーガン法はまだ再犯抑止効果が証明されてないし、性犯罪の再犯罪者率が高いという事実もないので、仮に上記の前提を全部許し、さらに加害者の事件も無視するとしても、ミーガン法推進の論理には使えそうにないですが。

rnarna 2005/01/09 18:22 ちょっとだけ書き直しました。

macskamacska 2005/01/10 00:24 http://macska.org/meg/ 更新履歴をご覧ください。

youkiyouki 2005/01/10 01:47 風邪お大事に!

rnarna 2005/01/10 02:09 >macska さん 了解です。
>youki さん お気遣い感謝です。

umetarouumetarou 2005/01/10 03:40 山咲梅太郎です。現在、知り合いに保護統計年報のデータから、仮出獄者と保護観察付き執行猶予者の、保護観察中の主要罪名別の同一罪種の再犯率のデータ(強姦と強制わいせつはコンボのデータ)を作成してもらっていますです。保護観察期間が統一されていない可能性もありますし、サンプルが少ないのであくまでも参考と言う感じではありますが。データの検証を済ませたら公開するとの事なので、しばらくお待ち下さい。

匿名匿名 2005/01/10 17:23 いつも興味深く読ませていただいています。
私は、なんばさんとは少し異なる理由によって、再犯者率はミーガン法の正当化についての指標となると考えています。長文になりますが、その理由を説明させていただいて、ご意見を伺えればと思います。

まず、ミーガン法の正当化について直接一番重要なのは、「他の犯罪と比較して、再犯率が高いか」でもなく、「他の犯罪と比較して、再犯者率が高いか」でもなく、「同一犯罪について、初犯率(v)と比較して、再犯率(w)が高いか」である、と私は考えています。

というのは、例えある犯罪の再犯率がずば抜けて高く 60% であるとしても、初犯率がやはり 60% であるならば、既犯者をとりたてて監視する理由にならないからです。また、反対に再犯率が 5% に満たないとしても、初犯率がさらに低く 0.1% 未満であるようなら、犯罪抑止の見地からは、やはり未犯者と既犯者を区別する理由はあることになると思われます。

さて、そこで次のように式を立てます(なんばさんの変数と互換のはずですが、便宜のため、私独自の変数を使います)。

未犯者の数:A
既犯者の数:B

未犯者が、一定期間で、ある特定の犯罪を犯した数:a
既犯者が、一定期間で、ある特定の犯罪を犯した数:b

未犯者が一定期間に犯罪を犯す確率(初犯率)(v): a/A
既犯者が一定期間に犯罪を犯す確率(再犯率)(w): b/B

全人口(P): A+B
全人口のうち既犯者の占める比率:(既犯者率) B / (A+B)

犯罪数: a+b
再犯者率(x): b / (a+b)

私は、「同一犯罪について、初犯率(v)と比較して、再犯率(w)が高いか」が重要であると述べていますが、これは「a/A < b/B」という不等式で表すことができます。この不等式は、「B/(A+B) < b/(a+b)」という不等式に変形できます。そして、これは「同一犯罪について、既犯者率と比較して、再犯者率が高いか」という問題です。

この考え方ですと、ある犯罪(ここでは性犯罪)について、既犯者率が分からなくては正確な議論はできません。しかし、再犯者率が 8.9% や 11.5% であるならば、既犯者率はそれよりは十分低いだろうと考えるのは合理的であるように思えます。したがって、 8.9% や 11.5% という再犯者率が出ているのならば、ミーガン法で成果が期待できるという根拠になりうると考えます(十分かどうかはともかく)。

以下、補足です。
なお、ご指摘のように、期間を長く取りすぎると、同じ人が何度も何度も繰り返すということになるため、もっと計算は複雑になるものと思いますが、その点は捨象しています。私としては、やはり、「同一犯罪について、初犯率と比較して、再犯率が高いか」を直接検討するほうが望ましいとは思っています。

また、やはりご指摘のように、いろいろな意味において既犯者の取り扱いが公平であるか否かを考えるという点では、「他の犯罪と比較した、再犯率の高低」は重要だという点には、全く賛同いたします。

rnarna 2005/01/10 22:54 >umetarouさん 了解です。でも近そうな値を探し歩くよりは今はとにかく世の中間違ってる!てなことを愚直に訴え続ける方がよいのかも…いろんな数字については個人的に興味はあるんですけどね。
>匿名さん 長っ! ちょっとばたばたしてるのでお返事はまた後ほど。

umetarouumetarou 2005/01/16 22:58 仮出獄者と保護観察付き執行猶予者の再犯率のデータをウプしますた。
http://umetarou.sakura.ne.jp/diary/?date=20050116
参考までに。

rnarna 2005/01/17 18:23 umetarouさんお疲れさまです。やっぱり明らかな再犯性って出てこないんですね。