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頓智・日記 RSSフィード

2009-02-21 Battle of rooms is over !!

クラウド×クラウド

iPhoneで現実をタギングするという表現を最初に用いたのは、確か TechCrunch の Erick Schonfeld だと思いますが、この表現はシンプルでとてもいいと思います。しかもセカイカメラソーシャル属性を適切に言い表しています。

セカイカメラが拡張現実アプリだと評される事にはとても抵抗がありまして(※1しかもARバブルの心配までされている!)、そもそもアーギュメンテッドリアリティという概念を知ったのはずっと後になってからのことですし、ダグ・エンゲルバートが彼のコンピューティング思想を語った論文の名称は「Augmenting Human Intellect: A Conceptual Framework」です。

これはパーソナルコンピューティングが本来的に知性の拡張を志向していた事の明確な表明、証左だと思います。

そもそもリアルワールドのソーシャルタギング環境を、より厳格な意味でのAR技術にすべて収納してしまうことは不可能です(※2)。デジタルレイヤーで現実空間を拡張することは情報操作アプローチとしては非常に有効です。ただ、それをアンビエントとして(=社会活動の一環として)あまねく利用可能な状態に拡張しようとした場合、デバイス・オリエンテッドなフロントエンド技術だけで実現するのは困難です(センシングやインタラクションは手段であって目的ではない※3)。

それと同じ意味でロケーションウェアとしてセカイカメラを語ってしまうのにも抵抗があります。なぜなら人の社会行動には場所以外に時間や状況など、より多層的なコンテキスト存在するからです。

セカイカメラをオープンプラットフォームにしたいというのは上の様な考え方がベーシックにあります。フロントエンドとしてのセカイカメラばかり見ていては見えない部分、バックエンドのクラウド領域は重要です。

ユーザー社会的活動というクラウド(ソーシャルネットの束)と、インターネット側の多様なマッシュアップを実現するクラウドとの掛け合わせこそがセカイカメラの対象領域だと思います。

※1:プレスリリースに堂々と「拡張現実インターフェイス」と書かれていましたね。あれは「現実拡張インターフェイス( Reality Augmenting Interface )」にするべきだとずっと主張していたのですが、それでは分かりにくいと却下されたのでした。クリッカブルワールドとかクリッカブルアンビエントといった呼び方が広まると良いのですが。

※2:あちらこちらで画像認識の必要性に付いて触れられているのですが、実は昨年の6月時点では「特徴点認識を用いてカメラビューをポリゴンとして把握する」プロトタイプが手元にありました。

ただ、有視界内の対象物を一通り扱おうとした場合、フレームあたりの処理に数分かかりました。恐らくこういった問題はデバイスの処理速度とセンサーの能力、アルゴリズムの向上等で飛躍的に解消されていくと思っています。ただ、現状の iPhone+iPhone SDK の範疇では実用的なサービス提供は困難だと考えます。

※3:そもそもiPhone SDKではリアルビューにアクセスする事が認められていません。コンパス非搭載だけでなく、こういった面でもiPhoneはAndroidに対するディスアドバンテージがあります。徐々に改善されて行く事を期待しています。逆に言うとコンパス内蔵+画像へのアクセスで相当パワフルな環境に進化し得るということです。

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Clickable World

セカイカメラワールドプレビューの期間中ずっとプロジェクターで流していたジョエル・ド・ロネ氏のテキスト。これはモンパルナスからCITEに向かう彼のプリウス車中で交わした会話がベースになっています。取材メディアの方々からもお問い合わせが多かったので、和訳のみを改めてここに掲載しておきます。

何でもクリック可能な世界:仮想現実の空間

ジョエル・ド・ロネ



インターネットによって革命的変化が絶えずもたらされることに、我々は慣れてしまっている面もありますが、それにしても、それら変化があまりに大きいことに驚かされます。

ブラウザー革命のあとのサーチエンジン革命、そして今、カメラ付きモバイルフォンは、我々の世界の全てをクリッカブル(=クリック可能)にしようとしています。


これを実現するソフトウェアとデバイスの発明と開発は頓智・(トンチドット)社のファウンダーおよび代表の井口尊仁によって、つまり日本の技術によってもたらされました。


彼は「セカイカメラ」によって、最高のインターネットに於けるイノベーションを讃える NetExplorateur(2009年2月5日と6日に元老院で行われたコンテスト)にて第二位を獲得しました。



私はCarlo Revelliとの共著「The Revolt of Pronétariat」に於いて、"クリッカブル環境"という用語と概念を説明し、5年程度でそれが実現するであろうことを予想しました。そして嬉しいことに、早くもこの予想を見事実現しようとする井口氏に、今回NetExplorateurで賞を授与させて頂くことになったのです。

カムフォーン(モバイルフォンとデジタルカメラの合成語)はリアルな"マウス"となります。そしてそれは同時にリモコンとスキャナーにもなるのです。

それはスポットコードなどの新しい技術によって世界を“クリッカブル”にします。
人々はモバイルフォンを室内や街中で使い、スクリーンやポスター上のイメージから直接商品を(バーコードのように サーキュラーコードを用いることで)購入したり、あるいは"クリックフォト"を用いることで企業のウェブサイトに直接アクセスできるようになります。

また、問い合わせをすれば、企業からのショートメッセージですぐに回答を得たりすることができるのです。

頓智によって開発されたセカイカメラは、来る二〇年に渡り、ほぼ無限と言っても良いアプリケーション開発の可能性を開くことになるでしょう。たとえば観光分野、レジャー、イーコマース、都市の探訪、ミュージアム、図書館の蔵書へのアクセスなどが考えられます。

セカイカメラのソフトは、最初はiPhone向けに提供されますが、遠からずすべてのスマートフォンやPDA移植されるでしょう。

iPhoneのカメラという"目"は一般的には写真撮影に使われますが、セカイカメラではその"目"は常に開いていて、ユーザーの周囲の世界を"見る"のです。


iPhoneのスクリーンを動かすと、我々はその"環境"をそのまま移動した通りに見ることができます。

現実の世界を見ながら、iPhoneスクリーン上では、エアタグのデジタル情報はオーバーレイ表示され続けます。

それらのエアタグは、レストラン情報、展示会情報、あるいは知人の頭上に現れるエアタグ(バルーン)などとして、ユーザーが望むままに現れます。

井口が名付けた"エアタグ"というものは、GPSベースのモバイルフォンであれば非常に簡単に生成できます。iPhoneの場合、画面上のアイコンをそのエアタグを指定したい場所でクリックして追加するだけですし、もし望めばコメントを音声で録音保存できます。

エアタグはAmazonが提供するようなクラウドコンピュータに保存されます。

故に、たとえばFacebookのユーザーは世界中のどの街に出掛けたとしても、エアタグの指し示す友人を見つけることができます。

加えて、レストランやブティックのオーナーは彼ら自身のタグをグーグルマップやグーグルアースを用いて生成することができます。それによってユーザーは、料理メニューや流行のファッションなどのコメントを見る事ができるのです。



エアタグが作れるということは、物理的な現実世界にブックマークが生成されるということを意味します。それはちょうど我々がウェブサイトを訪問した時にブックマークをするのと同じ事です。人々はあらゆるモノ、書籍、史跡、そして風景にさえエアタグでブックマークできるのです。

他の例としてはiPhoneを通じてエアバルーンタグを見ることができます。

10,000人の大観衆のスタジアムの雑踏の中でさえ、頭上に浮かばせたバルーンによって友人を探す事もできるでしょう。
"エアメール"でスクリーンスナップショットを送信する事で、どこにいるのか?を共有する事もできます。

グーグルLatitudeやAka-Akiを使って人々が今どこにいるのかトラッキングする仕組みは存在しています。しかし、セカイカメラはもっと新しい機能を実現し、タグの足跡記憶するなど、行動をトラックすることも出来るでしょう。

セカイカメラの類稀な革新性は、現実世界と仮想世界との融合を押し進める点です。
現実と仮想との行き来・往来。クリッカブルワールドの特性はアミューズメントパーク、見本市、あるいはCITE(パリ郊外の巨大な科学技術博物館)のような都市の中の都市に於いても同様に適用できます。


例えばCITEでは数年以内には、セカイカメラの使用を通じて、来客が過去の来訪者が残したタグのレコメンデーションを見ながら展示の観賞が楽しめるような体験を提供できるでしょう。



この技術革新社会学的かつ哲学的な変革をもたらします。セカイカメラによって、ジャンコクトーが1950年代に提案した"ビハインド・ザ・ミラー(鏡を超えて)"をもたらすに違いありません。

つまり"鏡"とは、インターネットとの対話を可能にすること。つまりパーソナルコンピュータや携帯電話、あるいはスマートフォンなどのスクリーンを示します。その際のスクリーンは非常に小さく、二次元的であり、無限大の“世界”に向き合うには制約が多すぎます。

セカイカメラとは、クリックアブルな世界のコンピューターの役割を果たし得ます。その世界とのインターフェースとしては、壁に埋め込まれたRFID、モーションセンサー、音声あるいは表情の認識などの技術が活用されるでしょう。

そして、ちょうど私が"Revolt of Pronétariat"で予期した通り、先ず最初のステップとしては、モバイルフォンの機能がスキャナーやマウス、あるいはリモートコントローラーとしての役割を果たすのです。そしてそれ以降は、スマートフォンの普及に伴い、セカイカメラというツールが広がっていくでしょう。

例えば、SFRによってリリースされる新たなグーグルフォンと、その上で動くソフトウェア群が良い例です。グーグルフォンに提供されるソフトウェアの柔軟性は、実際に多くの開発者が非常に多様な現実世界のナビゲーションや、ユーザー生成タグを読む等のアプリケーションを生み出し得ます。

それらのアプリケーションによって、クリッカブルな世界は"現実の仮想世界"となるのです。私たちはユーザーによるエアタグの爆発的な増大を期待することができます。
特にこの夏以降、アップルのAppStoreにてセカイカメラが無償提供開始され、しかもそれがワールドワイドに配布されるとあれば。
しかし、インターネット利用者のトレーサビリティには注目するべきでしょう。プライバシー侵害を防止し協同的な規制を確保するようにして、市民にとってのクリッカブル環境に注意を払っておく必要があります。フリッカブル(警察的)な環境にしてしまってはいけません!



以上

10/02/2009

Translation Takahito Iguchi + Ken Inoue

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SekaiCamera for rooms 18 (セカイカメラワールドプレビュー)終わりました!

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