2011-12-27
刺し違えて返り血を浴びて来い!
玄さんのところに取材に入ったのが4年前ですから、すっかり忘れていたんですが、
私、あそこに入ってノンフィクションを書こうと決意したときに上記タイトルのような言葉を、さる師匠からいただきました。誰と刺し違えるかというと、もちろん玄さんです。その気概で書いて来いという意味ですね。いつもは穏やかで、ジョークなんか言ってのんびりお話される人なのに、意外な激しさを持っている人なんだな、と思ったのを覚えています。
彼は、多くの脚本家を育てたカリスマですが、今にしてみると、ものすごく正しいアドバイスだったと思います。それが、取材対象者に対する礼儀であり、結果的にいい作品につながるのだと学びました。もちろん私のような甘っちょろい女が、玄さんのような怪人物にたちうちできるわけもなく、返り血を浴びるどころかプレッシャーでリアルに血反吐を吐きました。玄さんにとっては、蚊に刺されたようなものでしょう。でも、こんな私でも相手をしてくださったこと、生涯忘れません。
今、また別のテーマに挑んでいて、あいかわらず描きあぐねています。
この間の人間ドッグでは最悪の健康状態。
何か所かの医者にすぐ行け、とか結果に書いてあって、余計プレッシャーなので未整理の書類棚に放り込んでしまいました。あと3カ月は元気でいないと。
2011-12-25
「駆け込み寺の玄さん」4年ごしのノンフィクションです
- 作者: 佐々涼子
- 出版社/メーカー: ロングセラーズ
- 発売日: 2011/12/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- クリック: 20回
- この商品を含むブログ (2件) を見る
最初に取材に入ってから4年。やっと本が出ましたのでご報告します。
「駆け込み寺の玄さん」KKロングセラーズからです。
この本を書いたいきさつは、4年前に出版プロデューサーの吉田浩さんに連れられて駆け込み寺に行ったのがはじまりです。仕事は1週間に1度出るメールマガジンのライターでした。
彼の人助けのスタイルは想像していたものとはまったく違いました。
ポンと知恵を授けて突き放すというスタイルだったのです。
彼の発言内容に衝撃を受けた私は、玄さんの過去を求めて、大阪西成、神戸、京都比叡山、赤坂、筑波まで取材をかけます。そして私なりに彼の本当の姿を見つけていきます。でも、それが果たして正解なのか、私には今でも答えが出ません。
人が救われる、とはいったいどういうことか。
人の持つ善と悪とは何か。
ついわかりやすい解答を求めてしまうのが人の世の常です。
でも、はたしてそうなのでしょうか。
単純な価値判断の軸を大きく揺るがせる彼の生きざまをぜひ知ってください。
4年間、ひたすら答えを探し続けた「ちえのわ」を私はたぶん墓場まで持っていくことになるでしょう。
あるいは、それこそが「人を描く」ことなのかもしれない、とも思っています。
ノンフィクションのライターという、私のキャリアの最初が彼の取材であったことは、私にとって最も幸運なできごとでした。
玄さんと駆け込み寺に、限りのない感謝を。
2011-12-02
いよいよ駆け込み寺がテレビに登場します。
4年間追い続けてルポを取ってきた駆け込み寺がいよいよテレビドラマになります。
主演は渡辺謙さん。感無量です。
12月17日テレビ朝日系で放映予定!
私が出入りしていた場所がどんなところか、ぜひ見てください。
それにあわせて、私の単行本も出ます。が、ただいま絶賛製作中!!!!
テレビ朝日|愛・命 〜新宿歌舞伎町駆け込み寺〜
2011-11-11
歌舞伎町のジャンヌダルクは不滅です。
日本一のクレーマー地帯で働く日本一の支配人―怒鳴られたら、やさしさを一つでも多く返すんです!―
- 作者: 三輪 康子
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2011/07/15
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- クリック: 41回
- この商品を含むブログ (11件) を見る
歌舞伎町のジャンヌ・ダルクがホテルの支配人をやめた。
会社の内部で、圧力がかかったらしい。
歌舞伎町をよく知る者は、ためいきまじりにこう言う。
「あの場所でホテルを守ることがいったいどれだけすごいことなのか、彼らにはよくわかってないよねぇ」
よほどの苦悩があったはずだが彼女は明るい。「くよくよしている暇はない。それどころか、逆境にあえばあうほど、ますます優しくならなければと思っちゃうのよね」という。
なにしろ辞めるにあたっての彼女の捨て台詞がめっぽうイカしてる。
「歌舞伎町のジャンヌ・ダルクは不滅です!」
どこまでもタフで劇画タッチ。私はそれを聞いて思わず泣き笑いしてしまった。
彼女は今、歌舞伎町駆け込み寺で困っている人の相談に乗りながら、「夢のホテル」を創るために奔走している。誰でも泊まってほっとできるホテルをこの歌舞伎町に創るのだそうだ。まだ何の形にもなっていないにもかかわらず、いつか彼女の元で働きたいと願う学生からは、「履歴書を出したい」という問い合わせがあるという。
「男は、優しくなければ生きていけない。タフでなければ生きている資格はない」と言ったのはフィリップ・マーローだったか。私は、彼女の話を聞くたびにあの言葉を思い出してしまう。そして心の中でつぶやいてしまうのだ。
「マーロウ、それは女もだよ」
2011-10-28
歌舞伎町駆け込み寺の玄さんがドラマに
駆け出しライターのころから数年間、取材に入っている歌舞伎町駆け込み寺(現在は日本駆け込み寺)の玄さんがテレビドラマ化されます。主演の渡辺謙さんが企画を持ち込んで実現したそうです。私は長らく駆け込み寺に長期取材に入っていましたが、永作さんのモデルは残念ながら私じゃないようです(フランス人にフラれてない)。ドラマの詳細はこちらへ→
テレビ朝日|愛・命 〜新宿歌舞伎町駆け込み寺〜
ただし私の取材したものをまとめた原稿はノンフィクションです。韓国で翻訳版が先行出版されています。
「玄秀盛りがゆく! 佐々涼子」
たぶん7,8年前までは貧困や家庭崩壊、暴力なんて他人ごとだった人が多かったと思います。そのことに、ずいぶん歯がゆい思いをしました。数年前に「自己責任」っていう言葉が流行りましたよね。自分だけは貧困に陥らない、自分だけは社会の世話になるはずがない、自分だけは失業するわけない、ひどい目にあっている人たちはその人たちが「そういう種類の人間だから」。そう大多数の人は考えていたはずです。つまり、自分は想像力が欠けています、と大きな声で宣言していたというわけです。
でも、あの3月以降、人々は知ってしまった。自分の生活はくじに当たったようなもの。単にラッキーなだけだったと。この年、この時、このタイミングで、渡辺謙さんが玄さんを通じて世に問うたのは決して偶然じゃありません。作品とは人間の作為で「生みだす」というよりは、むしろ「生まれる」と表現するのが正しいように思います。私の原稿も年末にはドラマにあわせて日本語版が出ます。ぜひご一読ください。
えっと、どこから語りましょうか。
こんばんは。いい夜です。気づくと10月も末なんですね、月日がたつのは早いです。
営業や宣伝のためもあってこのブログを開きましたが、なにしろ時間がありません。
私がひと文字、ひと文字書かなければ、仕事が1mmも動いていかないので、そちらに費やす力が大きくて、ほかのところまでエネルギーが回っていかないわけで。とても大切な人たちにも不義理をしています。ごめんなさい。大事なのと連絡できないのって、結構イコールなんですよ。大事だったら連絡すればいいのに、たぶんアウトプットまでの経路が歪んでるんだな。
一番最近のお仕事では、こちらをお手伝いしています。先生のインタビューと、江戸の町紹介を書いております。
磐音さんは素敵。先生もそれに負けないぐらい素敵な方でした。ノンフィクション畑の私には大先輩でもあります。
- 作者: 佐伯泰英
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2011/10/13
- メディア: 文庫
- クリック: 3回
- この商品を含むブログ (7件) を見る
3.11以後、ずいぶんこの小説世界のなかで励まされたり、慰められたりしました。さていよいよ次号、磐音が江戸に帰ってきます。どう帰ってくるのか。どこに住むのか。