三谷かなえ先輩 大好き

三谷かなえ。
先輩。
たまゆら
もあぐれっしぶ。
沢渡楓の。

三谷かなえは良い子だった。
沢渡楓とは違う意味で良い子だった。
どこが?

それはやはり、迷いながら一歩づつ成長していく女の子だったからではないか。
たまゆらのテーマにドンピシャの少女だったからではないだろうか。
「二期から出てきた」なんて、関係ない。

ましてや、「急造でこしらえた茅野をねじ込むためだけのキャラクター」なんて。
そんな物言い、あるわけない。
恥を知れ。

話を戻す。
迷いながら成長していく。
これは、万人のテーゼだと思う。
少なくとも、わたしは、そう信じている。

かなえが迷いながら成長していくことの証拠はなんだろうか。
10話。
かなえ達一行が麻音の宿屋に向かう話だ。

これはいわば、”小旅行エピソード”である。
いや、小旅行のレベルではない。あれは紛れもなく”旅”であった……。

麻音の宿屋への旅。
離れ島。
瀬戸内海の、小豆島なんかよりずっとずっと小さい――。

かなえは旅に行き、旅から帰って成長できたのだ。
たしかにかなえは、これまでの18年間、色々なことを考え生きて来たのだろう。
迷いもした。
悩みもした。
傷つきもした。
ただ、ここまでの過去18年の蓄積よりも、この旅、かなえが出会う旅の一瞬一瞬が重要なことだってある。
あるに、違いない。

キャラクターは、前に向かっていく存在でなければならない。
かなえだって……。
過去に遡行するのではない。
今を生き、未来に進んでいくのだ。

かなえはこれまでの18年、迷い、悩み、傷ついた過去を尊びつつ、それでも過去に背を向け、前に歩いていく。
少なくとも10話、この麻音の島への旅からは。
(まるでカレイドステージの若者のように……。)

女子高生は不意に成長することがある。
月経の周期に慣れていて、ブラジャーも百万遍とつけなれていて。
それでも、身体面と内面の成長は違う。違い過ぎる。
女子高生はときどき内面ががらりと変わる。
アニメで僕らは、それを、覗きこむ事が出来るんだ。

かおるも、のりえも、麻音も、楓も、ぐんぐん中身が成長して行っている。
それよりも尚更大事なのが、かなえの変化なのだ。
内面の急成長なのだ。

かなえは麻音の両親に諭される。
特に麻音の親父のセリフ……。
「来ます、潮は来ます、必ず、いつか」
焦る必要はない、果報は寝て待て。
果報は寝て待てと言っている。それはあんまりだろ、と画面に向かって突っ込む人もいる。
でも、果報は寝て待てって最高のエールなのだ、実は。
かなえは、もし潮が来ない(永遠に機会がやって来ない)としたら……と不安がる。
でも、必ず来ると、親父さんはかなえに言い切る。
そういうものなのだと思う。
果報は寝て待て。至言である。
ただただ、泰然自若としていればOKなのだから……。

親父さんの説得力ある発言でかなえは蘇る。
十八歳、まだ、つぼみ。
でも、まだ、つぼみは小さい。
かなえの慎ましやかな胸みたいに……。
けれども、三谷かなえの花のつぼみは、高校3年生の、お母さんとほとんど柔らかさの違わない乳房と違って、まだまだ大きくなっていく。