『点と線』/松本清張


今年は松本清張を読み漁っていく所存。
で、最初がこの『点と線』。文庫本で250頁程度、さくっと読める。


九州博多付近の海岸で発見された、男女の遺体。当初、警察は青酸カリによる心中事件として捜査を進める。しかし「1名様」の食堂車の食券に疑問をもった福岡署の鳥飼刑事は、独自の調査を開始。一方、汚職事件を追う警視庁捜査二課の三原警部補も、この事件に殺人の匂いを嗅ぎつけていた。


アリバイ崩しのミステリとして名高い作品だが、現在では使い古されているため、新鮮味はない。むしろラストで明らかになる、真犯人の指摘こそが、この作品の白眉といえるだろう。社会派というよりも、孤独な人間心理を描いたという点で評価したい小説だ。近年、ドラマ化が続くのもうなずける。


点と線 (新潮文庫)

点と線 (新潮文庫)