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この世界は私の生きていたい世界ではない

2016-12-29

2016年11月に観た舞台

劇団チョコレートケーキ『治天ノ君』観劇。大正天皇の物語。非常に人間らしく、好奇心旺盛で、自由だった大正天皇。しかし幼少から体が弱く、父・明治天皇ほどの才覚がなかったことから、「天皇としてふさわしくない」とプレッシャーをかけられる。それでも天皇としての責務を果たそうとする。天皇として生まれた者は、天皇にならなければならない。己にその器がないとわかっていた大正天皇は、気さくに周りの人の声を聞いたりしながら、父とは違う自分なりの天皇となろうとし、新しい世の中を作った。富国強兵を推し進めた明治時代とは違う、「大正ロマン」が花開く時代に。しかし、そうした大正天皇の功績も、脳病を発症したことで忘れ去られてしまう。それどころか今では「暗君」として語られている。実はそこには陰謀があったのに──。私も小学校で「大正天皇は頭が弱かった」と教えられた。100年後、200年後も「暗君」と語られてしまう悲しさ。天皇とはなにか、国家とはなにか、を考えさせられた。大正天皇の病状を公表して帝位を退かせようとした者たちが悪者というわけではない。皆、国家のため、皇室のためを思ってのことであり、それぞれ自分の確固たる信念を持っていた。それに従って心を鬼にして決断した。しかし、戦争というものも「国家のため」を思ってするものだとしたら恐ろしい。戦争中は国民も「お国のため」に喜んで(そのふりをして)その身を犠牲にした。今の我々から見ると異様だが、当時は戦争に負けるなんて考えてなかっただろうし、お国のために尽くすのが正義だったのだ。なにが正しいのかなんて、そのときは誰にもわからない。皆、上が言うことを信じ、周りの空気に同調し、「これが正しい」と突き進んでしまう。だからこそ怖いのだ。「進め一億火の玉だ」とか、普通に怖いけど、戦時中はそれを「怖い」と感じられなくなり、感覚が麻痺してしまうのだ。戦争に勝利し、富国強兵を推し進め、国民をぐいぐい前へ前へ進めることで日本を世界の大国にした明治天皇。そのせいで疲弊した国を休ませ、明治時代とは違う自由な日本を作ろうとした大正天皇。一方で、明治天皇こそがあるべき天皇の姿と信じ、そのときの皇室を取り戻そうとした昭和天皇。そして、はじめて「日本国象徴」としての天皇となった今上天皇天皇ってなんだ、象徴としての天皇ってどういうことだ、ということを一番考えておられるのは今上天皇だ。天皇である、ということがどういうことなのか、正直、想像ができない。舞台セットは玉座のみで、照明も終始暗い会話劇。それで2時間半も飽きずに見せる演出はすごい。私は照明が暗い芝居ってだいたい寝るのだけど、これは寝なかった(そこで量るのもなんだけど)。見かけは地味だけど、すごいドラマティックだった。この流れでのラストの君が代にはやられた。普段はまったく意識してないけど、自分のなかの「日本人」の部分、天皇を畏れ敬う気持ち、を感じた。昭和天皇崩御したとき、すごい喪失感を覚えたことを思い出した。いろんな意味で、自分が日本人であることを意識させられた作品。

『x/groove space』鑑賞。まったく前情報がなく、ドイツのダンス作品だと思って観に行ったら、客席のない暗い空間に放り出され(もちろんスタンディング)なにが起こるかわからないという状態に。観客のなかにパフォーマーが紛れていて、パフォーマンスが始まった。大量の紙吹雪を渡されて散らせたり掃除したりなど一部参加型ではあったが、基本的にはそこで起こっていることを目撃させる、というスタイルか。最後にロビーで、上演中に録画された映像が流され、モップで掃除する動きなども演出だったことがわかり面白かった。しかし、前情報なく普通の舞台作品を観るつもりで行ったのに、受付で「体験型の作品なので、荷物を預けてください」と言われた時、一瞬「面倒くさいな」と思ってしまい、年を感じた……。

てがみ座『燦々』観劇。葛飾北斎の娘、お栄の物語。北斎の娘として生まれ、才能はあったが、女だったから北斎絵師として大切にされたわけでもなく、父に振り回される人生。お栄が父から独立し、絵師としての将来を開拓していく前のところでこの芝居は終わってしまうので、ちょっと不完全燃焼な気が。お栄が絵師として成長することを描くため、叶わない恋や吉原花魁との交流が出てくる。吉原花魁のシーンがすごくよかった。あとで当日パンフを見て、花魁役が善次郎(お栄が恋する相手)を演じた人と同一人物だとわかり、衝撃を受けた。霧里、美しかった。お姉さんとの関係も。

『B.E.D.(Episode 5)』観劇。「参加型パフォーマンス」と銘打っているが別になにかさせられるわけではなく、単に場所を移動しながら観る、ということ。マットレスを使って遊んでいるかのような役者たち。それを見届ける観客……。あまり意図がわからず、退屈だった。

パルコ人ステキロックオペラ『サンバイザー兄弟』観劇。主演は瑛太と、ロックバンド「怒髪天」のボーカル増子直純。まさに「ロックオペラ」。生演奏、ダンス、ラップ、ギャグ……すべてある。ストーリーはどうでもいい感じなので、ただショーとして楽しむ感じかも。増子の歌がとても良かった。役者でよかったのは、三宅弘城皆川猿時。三宅さんのボケには大笑い。そして次のシーンではかっこよすぎるロックバンドのドラマーになっちゃうんだから、胸キュン。皆川猿時はいつもながらのおデブキャラ。汚さも含めここまで突っ切っていると潔い。彼のラップがよかった。

11月の観劇本数は5本。
ベストワンは劇団チョコレートケーキ『治天ノ君』。

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