rompercicci::diary

東京中野にあるコーヒーお酒ジャズのお店ロンパーチッチ

小冊子2冊のご紹介、ならびに今週の新入荷レコード

本日も貴重なご来店まことにありがとうございました。午後から夕方にかけてのもっとも喫茶店らしい時間が見事に過疎化しまして、そのダメージが抜けきらないうちに1日が終わりました。初夏の陽射しの中おいでくださったお客さまに感謝致します。ありがとうございます。
みなさまによいことがありますように。

ステキな小冊子ふたつがお店にやってきました。

[:W500]

左:『喫茶ふしぎ探訪』
数週間前からSNS界隈で評判になっていた小冊子。興味津々で機会があれば購入しようと思っていた矢先に著者の方がご来店、厚かましくも1部ご恵贈頂いてしまいました。
東京近郊の昭和感あふれる喫茶店を個性的なイラストを交えて丁寧に紹介してくれる本書、何よりもまず造本のセンスのよさに心打たれます。濃いブルーの本文に朱色が効果的なアクセントに使われたおしゃレトロな2色印刷。表紙に至ってはエンボス加工という手の込みよう。気合入ってます。
中身に目を向けると「喫茶店のある街そぞろ歩き」という企画ページがすばらしい。仲間3人が向島にある喫茶店《カド》を目的地にその周辺を散策する、という内容なのですが、「喫茶店を目的地にする」という感覚にいきなりグッときます。世間一般だったら喫茶店なんて「周辺」そのものですよね。「美術館に行くついでに喫茶店に寄る」みたいな。でもこの本の3人はちがう。美術館のような大物を介在させなくても、喫茶店そのものが目的になりうる散策。そういえば「ジャズ喫茶」は古来から目的地になりうる稀有な場所でありました。そうそう、この企画ページの色使いは本当に秀逸、お見事です。
1冊まるごと丹精込めて作られた端正な本。アマチュアが作る小冊子だからこそ実現可能なかたちなのかもしれません。本棚に置いておきます。ご興味おありの方はお手にとって御覧ください。

右:『縄文ZINE 03』
去年の夏にお客さまがこのフリーペーパーの第1号をお持ちになったとき、とても面白く読ませて頂いたものの、まさかこれだけちゃんと続いて、しかもここまで大化けするとは思ってもみませんでした。第2号で(個人的な感想ですが)一気にクオリティアップして、今回の第3号は完全に商業誌レベルに達しています。しかも内容は縄文。おそろしいことになんの違和感もなく普通に面白い雑誌として読めてしまうのですが、やっぱりこれって相当な狂気なのではないでしょうか。
(前号で周到な伏線が張られていた)藤岡みなみさんのグラビア登場・インタビュー実現という展開もそれだけで面白いのですが、やはり本当に感心するのはそこでのふたりのやりとり。

 
――縄文時代の中では特にどの時代が好きですか?
中期の前半です。土器の文様に一番勢いがあって好きです。無駄な感じがいいですよね。
――中期は火焔型土器や八ヶ岳周辺の中部高地の立体的でカッコイイ土器が多いですもんね。俺たちはこれでやるんだっていう姿勢がいいですよね。
そう、そうなんです。かっこいいですよね。使いやすいとかそういう話じゃないですもんね。
――シンプルな土器にたいして、「食べ物作るんだからちゃんとした土器で作んなきゃだめじゃないか。そんなのっぺりした土器で作って、それでも食べ物のつもりかね?」とか言ってそうですよね。
そう! ファーストフードかよっ! とか言ってそう。
(26頁 太字は引用者)
 

ここでちゃんと受け答えできている藤岡みなみさんに戦慄しつつ、やっぱりいちばんすごいのは太字の発言ができてしまうインタビュアーさんの感性なんじゃないかな、と。唐突に言ってしまえば『縄文ZINE』の面白さは「タモリ倶楽部」のそれと近いのかもしれません。
こちらはフリーペーパー。レジ前に置いておきますので、ご自由にお取りください。数量限定ですので、ご興味おありの方はお早めに。

…夜も更けきってまいりました。最後に今週の新入荷レコードを。
写真だけで失礼しますが、『パリ北駅着、印象』を入手できたことだけは声を大にしてご報告したいと思います。これのアナログ、結構見当たらないんですよ。

[:W500]

それでは、日曜日もよろしくお願い致します!