アニメキャラが行列を作る法律相談所withアホヲタ元法学部生の日常 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

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2005-12-11 レイニー止めと消費者法

[][]レイニー止め消費者17:22 レイニー止めと消費者法を含むブックマーク レイニー止めと消費者法のブックマークコメント

マリア様がみてる―レイニーブルー (コバルト文庫)

マリア様がみてる―レイニーブルー (コバルト文庫)

1.はじめに

 レイニー止めという言葉がある。

コバルト文庫の人気シリーズ『マリア様がみてる』の刊行中、『レイニーブルー』の巻において、祐巳と祥子との間がこじれたまま、鬱極まりない状態で次の巻へと話が持ち越された。その間、祥子と祐巳の仲を心配する多くの純真なマリみて読者たちは、苦痛と煩悶のさなかで長い間苦しむこととなった。

引用元:民明書房『男の子でも楽しめるドキドキ百合世界』

http://www.ne.jp/asahi/yu-show/sukisuki/200409a.htm#20040912

この結果、マリみてファン達は、カタルシスを求め、次の「パラソルをさして」を待ち焦がれた訳である。

 まあ、「パラソルをさして」で、読者は幸せになれるので、問題はなさそうに見える。しかし、レイニー止めにより、読者はどうしても「パラソルをさして」を買わざるをえない状況になっているとも言える。こういう方法は法的に問題がないのだろうか。

2.君望商法

君が望む永遠 通常版

君が望む永遠 通常版

このようなレイニー止めを、正面からプロモーションに利用したといわれるのが、「君が望む永遠」である。

ちょっと長いが、この「レイニー止め」手法の絶大なる効果を実感していただくため、フロンツ様(no title*1の作者の方)の体験版レビューの最後の部分を引用させていただきます。

(主人公は)待ち合わせ場所に向かいます。

今日のところは絵本で許してもらおうと思う孝之。

しかし、辿り着いた待ち合わせ場所の駅前には人だかりが出来ています。

野次馬が言うには、たった今、車が突っ込み人が轢かれたらしい、とのこと。

孝之は遙が被害に遭ったのではあるまいかと現場を見に行くのですが、

タッチの差で救急車のドアが閉まり、確認できません。

そのうち野次馬がハケて警察がやってきます。

孝之は遙を探すが見つからない。

一心不乱な孝之の耳に、無機質で事務的な警察官の無線連絡が聞こえてきます。

「被害者氏名、涼宮遙。涼しいに宮、遙か彼方の遙、はい・・・」


―――体験版はここまでです。



ええええええええええええ

え!!!!!??

嘘やん!!続きは!!?遙どないなってん!!!オイ!!!!!

イヤアアアアアアアア!!!!!

―――僕、放心状態。

頭ん中まっしろです。

なーんにも手につきません。

フラフラと外へ出て行き、煙草をふかしながら

「なんでやねん・・・どうなんねん・・・・・・・」と

呟きながら何処ともなく徘徊します。

人が見たら通報されても文句は言えない状態でしたが、

プレイ開始より6時間。時刻は夜中の2時です。人なんかいません。

とぼとぼと家に帰り、冷たいを通り越してカチカチになったチーズかつを温めます。

思えば朝食と昼食を兼用で摂ったため、16時間何も食べていません。

が、一口食べただけで箸を置きました。別のもので胸がいっぱいです。


次の日の朝、公式HPで通販を申し込むべく速達用の封筒を買いに行ったのは

人として当たり前の行為だったと僕は思います。思うの!

引用元:http://www6.ocn.ne.jp/~fronts/kiminozotaiken.html

このような、「途中で衝撃的な結末を生じさせ、そこで尻切れトンボにすることで、次作、ないし本編を買わせようとする広告手法」は、法的にいかに規制されるのか。

3.消費者契約法の解釈

 消費者契約法4条3項は

3 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次に掲げる行為をしたことにより困惑し、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。

 一 当該事業者に対し、当該消費者が、その住居又はその業務を行っている場所から退去すべき旨の意思を示したにもかかわらず、それらの場所から退去しないこと。

 二 当該事業者が当該消費者契約の締結について勧誘をしている場所から当該消費者が退去する旨の意思を示したにもかかわらず、その場所から当該消費者を退去させないこと。

このような規定を置く。要するに、契約締結に至るまでの事業者の行為により消費者が「困惑」した場合には、消費者は契約を取消せるというものである。

 この困惑については、このような指摘がなされる。

(困惑による取消という考え方は)誠実交渉義務の考え方によるものであると言える。(中略)

消費者の交渉力を損なう積極的な行為があったが強迫には至らないというもの(が「困惑」概念の内容として判例等から抽出される)

大村敦志消費者法」p113有斐閣

 民法においては96条1項で「強迫」により契約等をした場合には、取消得るということが定められている。しかし、「強迫」は相手に畏怖を生じさせる行為とされており、非常に強い行為しか強迫にならない。しかし、そこまでいかなくとも、消費者が事業者と対等な当事者として「あるものを買うべきか」を考え、それにより「買うか買わないかを合理的に決定する」、こういう意思決定のプロセスを損なう行為が事業者側によりなされた場合には、消費者を保護する必要があるだろう。

 そこで、このような消費者の交渉力を損なう行為により契約が結ばれた場合に、消費者がこの契約を取消せるとしたのが、4条3項である。

 この趣旨から考えれば、レイニー止め手法において確かに事業者は「住居から出ていかない(1号)」や「勧誘場所から立ち去らせない(2号)」訳ではない。しかし、上述のフロンツ様のレビューを見ればわかる通り、「レイニー止め手法により、完全に消費者の交渉力は損なわれ、「買いに行ったの」が「人として当たり前の行為」となってしまっている!」

 そこで、4条3項2号を拡張解釈ないし類推解釈をすべきである。レイニー止めにより消費者は「目的物のことが頭から離れないので、どうしても物を買ってしまう」のだが、これは「勧誘場所から消費者を立ち去らせないので、どうしても物を買ってしまう(2号)」というのと似ている。よって、レイニー止めのような、「途中で衝撃的な結末を生じさせ、そこで尻切れトンボにすることで、次作、ないし本編を買わせようとする広告手法」は、4条3項2号(類推)により、消費者はそのような手法で締結した売買契約は取消せると解すべきである。

まとめ

レイニー止めは、消費者契約法4条3項違反である。そこで、消費者は売買契約を取消すことができる!

でも、心あるマリみてファンであれば、契約取消なんて主張しませんよね*2??

[]紹介のお礼等 18:08 紹介のお礼等を含むブックマーク 紹介のお礼等のブックマークコメント

自衛隊違憲論者はツンデレ - アニメキャラが行列を作る法律相談所withアホヲタ元法学部生の日常

だら$だいありぃ?様、

404 Not Found | このページは存在しないか、すでに削除されています様、

-idolinglife-様、

楽天が運営するポータルサイト : 【インフォシーク】Infoseek様、

sancya.com様にとりあげていただきました。ありがとうございます。

また、

大学教授に気に入られる方法 - アニメキャラが行列を作る法律相談所withアホヲタ元法学部生の日常について

はてなダイアリー様にとりあげていただきました。

ゼミ形式の場合には、出席が大切ですね。ありがとうございます。

更に、

2005-12-10 - Oui, ça va bien.様に

スール契約の民法学的考察 - アニメキャラが行列を作る法律相談所withアホヲタ元法学部生の日常を取り上げていただきました。ありがとうございます。

現在レイニー止め真っ最中で、ついカッとなってこんな記事を書きましたが。マリみては大好きなので、平にご容赦下さい。

*1:非常に面白いネタばかりです。

*2:もちろん、私も主張する気はさらさらありません

madaucamadauca 2005/12/11 19:05 初めまして。ヤマグチストの不肖の後輩(内定)でございます。
レイニー止めに対しては消費者契約法による救済がなされるとして、新参の読者に「最初はとりあえず10冊目まで買うとイイよ」などと勧めた者はいかなる責任を負うのかが気になるところです。

ronnorronnor 2005/12/11 19:08 コメントありがとうございます。
あまりのショックでPTSDになれば刑法的には傷害ですが、その程度にならないと...。暴行概念を拡張し、「精神的暴行も暴行だ!」といえば、暴行罪になりますが。むしろ、立法論として「レイニー止め罪」でも作った方がいいかとw
これからもよろしくお願いします。

mmrmmr 2005/12/13 05:10 はじめまして〜。
「住居から出ていかない(1号)」や「勧誘場所から立ち去らせない(2号)」訳ではいので、法律要件に欠けていますし、
「完全に交渉力は損なわ」れ、「人として当たり前の行為」になる原因として「続きが気になる」と言うのはちょっとあまりに説得力に欠けるかと。
そのくらいで解除がポンポン出せるようになると、山場を次巻に持って行くことを作者が容易にできなくなって、表現が抑圧されますし。
それくらい取り消っていうのは強い法律効果ですからね。
よってレイニー止めに関して消費者契約法4条3項の適用はないかと。と、マジレスしてみました。

ronnorronnor 2005/12/13 05:50 コメントありがとうございます。立法の経緯を考えると、4条3項の解釈として無理があるのはわかっています。「困惑したら取消!」というのは余りに広いので、要件を立てて限定すると言うのが立法の経緯なので、実際の裁判で認められる可能性は低いと思われます。と、マジレスしてみました。

g-archivesg-archives 2005/12/13 22:49 お取り上げいただきありがとうございます。
学部での生活はあとわずかと思いますが、卒業までの一日一日を“教授”とともに大切に過ごせますことを期待しております。
しかしこういうことを考えるだけで、学生時代が懐かしくなってきますね・・・。
(以前、職場の上司も「学生時代に戻りたい」と愚痴っておりました)

ronnorronnor 2005/12/14 00:07 まあ、現在の「教授」には気に入られているかわかりませんが、今が人生で一番楽しい時らしいので、満喫させていただいております。確かに、好きな法律を好きなだけ勉強できて、好きな漫画・アニメを好きなだけ読める、見れるのは今だけですね。
ということで、今後もよろしくお願いします。