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2007-01-17 涼宮ハルヒの判決

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涼宮ハルヒの憂鬱 (角川スニーカー文庫)

涼宮ハルヒの憂鬱 (角川スニーカー文庫)

平成22年4月1日宣告 裁判所書記官 ○○○○

平成21年(わ)第9999号 恐喝*1被告事件

               判    決*2

本 籍 兵庫県西宮市○町○丁目○番地

住 居 同上

      学 生

                 涼 宮 ハ ル ヒ

                 平成6年○月○日*3

 上記の者に対する恐喝被告事件について,当裁判所は,検察官××××の出席の上審理し,次のとおり判決する。

               主    文

 被告人懲役6月に処する。

 この裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予する。

 訴訟費用は全部被告人の負担とする。

(罪となるべき事実)*4

被告人は現に20歳に満たない少年であるが*5,平成21年5月18日,兵庫県立北高等学校コンピュータ研究会からコンピュータを喝取しようと企て,同日午後4時40分ころ,兵庫県西宮苦楽園2番町16番××号*6所在の兵庫県立北高等学校文化部棟2階のコンピュータ研究会部室において,コンピュータ研究会の部長である氏名不詳者(当時16年)に対し,「パソコン一式いただきにきました。」「1台でいいからパソコンちょうだい。」「四の五の言わずに1台よこせ。」などと申し向けてコンピュータの提供を要求し,同人がこれを拒絶するや否や,同人の右腕をつかみ,同行させた朝比奈みくる(当時17年)の胸部をさわらせた上で,その様子を写真に撮影し,更に前記部長の後背部を蹴りつけ,前記朝比奈を押し倒せしめ,その様子を写真に撮影し,前記部長に対し,「あんたのセクハラ写真はばっちり撮らせてもらったわ。」「この写真を校内にばら撒かれたくなかったら,とっとと耳そろえてパソコンよこしなさい。」「部員全員がこの子を集団で輪姦したって言いふらしてやる。」と語気鋭く申し向け,もしこの要求に応じないときには,同人らの身体,名誉等にいかなる危害が及ぶかも知れないような気勢を示して同人を畏怖させ,よって,即時同所で同人から同高等学校所有*7コンピュータ1式(時価合計約30万円相当)の交付を受けてこれを喝取したものである。なお,被告人は,右犯行時に統合失調症のため心神耗弱の状態にあったものである。

(証拠の標目

*括弧内の甲乙の番号は証拠等関係カードにおける検察官請求証拠の番号を示す。

 一 被告人の公判供述

 一 被告人の検察官調書(乙4)及び警察官調書(乙1,2,3)

 一 コンピュータ研究会部長の警察官調書(甲2)及び同人作成の被害届(甲1)

 一 朝比奈みくるの警察官調書(甲3)

 一 実況見分調書(甲4)

 一 鑑定嘱託書*8(甲5,謄本)

 一 ××××の鑑定書

(法令の適用)

被告人の所為は刑法249条1項に該当するところ,被告人は,右犯行時に心神耗弱の状態にあったものであるから,同法39条2項により減軽をした刑期の範囲内で,少年法52条3項により,被告人懲役6月に処し,その刑を3年間猶予し,訴訟費用については刑事訴訟法181条1項本文により全部これを被告人に負担させることにする。

(弁護人の主張に対する判断*9

1.弁護人は,被告人は,本件犯行当時統合失調症に罹患していたため心神喪失の状態にあったから無罪である旨主張する。そして、鑑定人××作成の鑑定書によれば,「被告人は,(本件犯行)当時も統合失調症(妄想型)に罹患しており,幻覚や神人に関することを中心とした比較的系統だった妄想が存在していたと推定され,事理弁識能力に異常はなかったが,当該統合失調症のため,この弁識にしたがって行動する能力が著しく減退していた状態,すなわち心神耗弱の状態にあったものと考える。」というのである。

そこで,被告人の本件犯行当時の責任能力について検討する。

2.前記証拠によると次の各事情が認められる。

(1)被告人は,平成6年○月○日に出生し,小学6年生までは自分が特別な人間だと考えて,小学校生活を満喫していた。小学校6年時の平成17年○月○日に家族で野球場に行った際,自分の人生の平凡さを実感し,落ち込むようになった。被告人は,小学校卒業後,平成18年4月に西宮市立東中学校に入学したが,積極的に自分を世界に発信することで,面白い人生を送れるようになるのではないかと考え始め,東中学校の校庭にラインマーカーでミステリーサークルを描く,同中学の屋上にペンキで星型を描く,同中学の教室の机を全て廊下に出す,同中学校中にお札を貼る等の奇行を開始した。更に,被告人の男性関係も,告白された際にすべて受け入れるが,最短で5分,最長で1週間でその男性を振るという奇妙なものであった。

 平成21年4月,被告人兵庫県立北高等学校に入学すると,入学式の当日の自己紹介で「ただの人間には興味がありません。この中に宇宙人,未来人,異世界人,超能力者がいたらあたしのところにきなさい。以上。」と述べる等,その奇行はますます悪化した。被告人は,同年5月12日に自分でクラブを作ろうと突如思い立ち,文芸部室を無許可で占拠すると,同月13日には前記朝比奈を「ロリで巨乳萌えマスコット的キャラ」だからという理由で後にSOS団と名づけられることになる同クラブに強制的に加入させ,書道部をやめさせた。その後本件犯行に及んだものである。

(2)被告人は,「5月の終わりに寝ていたら,高校に飛ばされた。隣にキョンが寝ていた。キョンを起こして学校に入ると,透明な巨人があらわれ,学校を壊しだした。自分はこの新しい世界で日常を送ろうと思ったが,キョンが「元の世界ではここ最近お前を中心に世界が回っていた。」「自分はポニーテール萌えなんだ。」と言ってキスをしてきた。気づいたらベッドの上だった。」「3年前,私が中学校1年生の時に北高の制服を着た3年後のキョンに会った。キョンはジョン・スミスと名乗っていた。キョンが,「織姫と彦星にメッセージを送る奴が北高にもいる」と言ったから,北高に入学した。」等と幻覚知覚体験や,幻聴・妄想を捜査段階から一貫して供述している*10

(3)以上からすれば,被告人が本件犯行当時,統合失調症(妄想型)に罹患しており,幻覚や神人に関することを中心とした比較的系統だった妄想が存在していたという右鑑定人××の判断はこれを是認することができる。

3.もっとも,犯行自体及び動機原因に異常がなく,計画的・作為的・巧妙である。

 被告人は,犯行動機として,「この情報化社会にパソコンが1台もないのは許しがたい事態だったから。」と供述する。これを単独で見れば異常とも思えるが,その後前記SOS団ホームページを作成し,団員を募集したこと等から考え合わせれば,コンピュータを入手して,SOS団の団運営に役立てたいという動機といえ,この動機が異常とまではいえない。

 また,当初からコンピュータ研究会がコンピュータを素直に渡さないことを予定して,前記朝比奈らを連れ,用意した使い捨てカメラ「写ルンです デートFlash25」を携帯してコンピュータ研究会部室へ赴き,コンピュータを渡すことを拒まれると,すぐさま前記部長の手を前記朝比奈の胸部に押し当てて写真を取る等,計画的,作為的,巧妙である。

4.被告人統合失調症は重症ではなく,是非善悪の判断能力に異常はないが,その判断に従って行動する能力(抑止力)に問題があり,むしろ本件各犯行と統合失調症の直接の関連はない

 ××鑑定人は,「被告人の場合には,幻覚,妄想が主症状で,思考の分裂や感情意志領域の障害はそれほどでない。」「この型の統合失調症患者は,幻覚,妄想以外に異常が少ない」「被告人の場合は,幻覚,妄想などの思考障害が著名な上に,感情,意欲面の障害から特有な人格変化をきたしているが,著しい自発性欠如はなく,表面的には対人的接触は保たれており,感情の表出も保たれており,独善的考えのもとに社会常識を無視しながらも,狭い範囲の中で適応行動しており,精神荒廃に至った統合失調症とはやや異なる状況を呈している」としていることからは,狭い範囲ではあるが,ある程度社会性を保ち,人格を保っていることを認めているといえる。そして,××鑑定人は「被告人は不法性を認識するという点ではまったく異常はなく,その不法性を認識した上で,自分の行動をコントロールする能力,すなわち抑止力にのみ問題がある」としているところ,前記の通り被告人がある程度人格の維持と社会的適応性を有することから考慮すれば,その抑止力もまた,かなり劣っているが,全くないわけではないものといえる。

 被告人統合失調症と本件犯行との関連性について,××鑑定人は「被告人は犯行当時も現在と同様な幻覚や神人に関することを中心とした妄想が存在し,その枠組みの中でSOS団活動が存在していたと推定されるので,犯行そのものと幻覚,妄想の関連性を全く否定することはできない」とするものの,同時に「SOS団の活動すべてが妄想に基づくものとは言えず,本件犯行と妄想の関連性は薄いものと言える」としており,犯行と病症とが直接関連していると認めているものではない。

5.以上のとおり,被告人は犯行当時統合失調症に罹患しているも,是非善悪の判断能力に異常はなく,その判断に従って行動する能力(抑止力)に異常があるが,その症状は重度のものではなく,かなりの程度の社会的不関性,道徳感情の鈍磨を招来しながらも,狭い範囲内ではあるがある程度人格を保ち,社会的適応性もあること,本件犯行の動機も納得でき,犯行の手段,方法が計画的,作為的かつ巧妙であり,犯行が統合失調症による妄想,幻覚などに起因するものとも認められないことなどの事情を考慮すると,被告人は,本件犯行当時軽度の統合失調症に罹患していたところ,事物の理非善悪を弁識する能力に異常はなかったが,右病気のため,かなりな程度の社会的不関性や道徳感情の鈍磨を招来し,この弁識に従って行動する能力(抑止力)が著しく減退した状態,すなわち心神耗弱の状態にあったものと認めるのが相当である。従って,本件犯行当時,被告人統合失調症のため,是非善悪の弁別能力に障害を来たしていたとはいえ,その障害は未だかかる能力を喪失せしめる程度のものではなく心神耗弱の段階に止まったものと認められ,弁護人の心神喪失の主張は理由がないものと言うべきである。

(量刑の理由)

 本件は,被告人が,被害者からコンピュータを喝取しようと計画し,巧妙に被害者の羞恥心を利用してコンピュータを恐喝したが,その際被告人心神耗弱の状態にあったという恐喝の事案である。

 被告人は,「この情報化社会にパソコンが1台もないのは許しがたい事態だったから。」等と弁解するが,このような理由はパソコンを喝取を正当化する理由にはならないのであり,動機に酌量の余地は乏しい。

 また,犯行態様は,上記の通り計画的,作為的,巧妙であり,悪質性が強い。

 そして,被告人は本件犯行について未だ反省の念を示さないばかりか,これが正当な行為だと再三強調している。そして,被告人は公訴事実以外にも前記部長らにSOS団の使用する文芸部室までLANケーブルをつなげることを強要する、前記朝比奈みくるを脅迫し,バニーガール等の格好をさせ,ビラを配らせ,写真を撮影する,学校の備品の紙を窃取してSOS団のビラを印刷する,学校の隣の敷地から青竹1本を盗む等の犯行を繰り返している。このことから,被告人に更正・改善の可能性は少なく,再犯の恐れが極めて高いと言える。

 前記部長は,平成20年4月に北高に入学以来,前記コンピュータ研究会に入部し,同部先輩の作成したコンピュータゲーム「THE DAY OF SAGITTARIUS I」に幾多の改良を加える等,熱心に活動していたものであり,犯行当日も前記研究会でウエブページ「2チャンネル」を閲覧するという,平常どおりの活動をしていたところ,まさに通り魔的な被告人の犯行により最新型のコンピュータの占有を喪失するに至ったのであり,被害者には何らの落ち度もない。

 他方,被告人が犯行当時心神耗弱状態にあったこと,被告人が未だ15歳の少年であり,統合失調症も比較的経度であり,治療結果によっては更正・改善の余地がないとはいえないこと,被害品であるパソコンにつき,犯行後,前記部長が,処分権はないものの,自由意志により被告人が所有することを認めていること,逮捕後,少年審判・公判を通じて身柄を拘束され続けていること,中西貴子,財前舞,榎本美夕紀,岡島瑞樹が被告人の減刑を求める嘆願書を書いていること*11等,被告人のために酌むべき事情も認められる。

 これら一切の事情を総合考慮し,被告人を主文の刑に処するのが相当と判断する。

 

平成22年4月1日

 神戸地方裁判所刑事部

 裁判官 ○○○○(印)

まとめ

コンピュータ研究会からハルヒがパソコンを奪った「事件」が、もしも立件され,家裁から検察官に送られ、起訴されたらば、心神耗弱(いいこと,わるいことをきちんと判断し、これに従って行為をする能力が著しく低い状態)として刑法39条による減軽がなされるだろう。もっとも、被告人がいないと法廷は開けない(刑事訴訟法286条)ので、ハルヒはまた閉鎖空間に逃げ込めば処罰を免れられる。その方が,この世界に与えるダメージは大きそうだが...。

関連:検察は朝比奈さんをこう守る(「ハルヒの行動に強制わいせつ罪は成立しないの?」という問題についての補足エントリ)

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D.B.E三二型様にご紹介いただきました。

しばらく音沙汰なく、申し訳ございませんでした。今後も法律ネタを中心に幅広くニッチな世界に突っ込んでいきますので、よろしくお願いします。

no title様にご紹介いただきました。どうも、ありがとうございました。

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Transparency様にご紹介いただきました。どうも、ありがとうございました。ronnorの直訳は下手ですが、この本の訳はすばらしいですよ!

Nancle様にご紹介いただきました。どうも、ありがとうございました。

2007-01-17 - 血統の森+はてな様にご紹介いただきました。どうも、ありがとうございました。

*1キョンは「おっしゃる通りまさしく泥棒だ」と述べているが、被害者の瑕疵ある意思による交付が認められるので、窃盗ではなく、恐喝の構成要件に該当する。

*2少年審判でないのは,設定上,家庭裁判所によって検察官送致を受けたと考えてもらえるとありがたいです。

*3:以下,2009年説に従う。まあ、この説だと「1999年に一縷の望みをつなぐ」という辺りに不自然さが出る年代ですが...。

*4キョンと共謀の上〜というのは面倒くさいので公訴事実はアニメver.を採用しました。小説の共謀は現実にありそうな事前共謀として、リアリティがありますよね。

*5:1/18訂正

*6:1/20訂正

*7:生徒会予算+研究会員私費の場合の所有権は問題となりますが、公費が入っている以上法的には学校のものとして扱われていると解される。

*8:1/19訂正

*9:当該部分については東京地判昭和53年4月28日・判例時報894号125ページ,参照

*10:1/20訂正

*11:1/18訂正

bohshibohshi 2007/01/18 01:42 お久しぶりです&起案乙です。
本件コンピューター(もしくはその写真)とか朝比奈さん写真って証拠請求されなかったのかとか、心神喪失一本で戦わなきゃならないBの人は大変だなあとか、そんなどうでもいいことを思いながら笑わせていただきましたw

ronnorronnor 2007/01/18 19:14 某氏先輩、コメントありがとうございます。
本件は明らかな弁護困難事案でしょうから、幾多の解任の末、弁護士会の特別案件担当者が国選をやる事態となるか、『機関』が私選弁護人をつけてくれるかのどちらかだと思います。
弁護人としても、ENOZ嘆願書等を使って「情状弁護」をしたくとも、本人が反省しないのでそれができない、だからといって北高祭の件等もあるので、「心神喪失」が認められる可能性は低いというかなりの葛藤の中で弁護したものと思われます。被告人質問で「榎本さん達があなたの減刑のために嘆願書を書いてくれたのは知ってるよね。」と聞いて「誰も嘆願書書いてって頼んでなんかないんだから! どうでもいいでしょ、んなこと。」といった回答を引き出して、心神喪失の立証と同時に情状事実を出すといった苦労をしたんではないでしょうか。
本件コンピュータの写真はきっと実況見分調書に貼られていると思います。朝比奈さん写真はあくまでも「余罪」なので、通常は請求しないのではないですかね? まあ、ronnorが裁判官であれば職権で提出させますが(笑)
 コメントありがとうございました。今後もどうぞ、よろしくお願いいたします。