アニメキャラが行列を作る法律相談所withアホヲタ元法学部生の日常 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

当サイトは、法律ヲタ&アニヲタな元法学部生の日常を描くblogです。
QB被害者対策弁護団として、「アニメキャラが行列を作る法律相談所」を総合科学出版様から刊行させていただきました
「QB被害者対策弁護団」として魔法少女まどか☆マギカ同人誌
「これからの『契約』の話をしよう」「ミタキハラ白熱教室」を刊行しました!

C81金曜東へ59bに出展し「見滝原で『労働』の話をしよう(ベータ版)」を頒布します!

弁護士法74条に基づく注記:「QB被害者対策弁護団」は、架空の都市、「見滝原町」において
活動する弁護団であり、現実の世界において法律相談その他法律事務を取り扱いません。

2007-03-04 あゆあゆの「鯛焼問題」に関する法的考察

[][][][]あゆあゆの「鯛焼問題」に関する法的考察〜Kanon法学の形成と展開I 22:24 あゆあゆの「鯛焼問題」に関する法的考察〜Kanon法学の形成と展開Iを含むブックマーク あゆあゆの「鯛焼問題」に関する法的考察〜Kanon法学の形成と展開Iのブックマークコメント

Kanon 全年齢対象版

Kanon 全年齢対象版

 一部の法学部生のヲタクの間で有名な問題に、通称「鯛焼問題」と呼ばれる問題がある。

 あゆが鯛焼き屋につぶあん入りの鯛焼きを注文したところ、鯛焼き屋はこれを聞き入れて鯛焼きを製作し、あゆに引き渡した。この事案について、以下の各問いに答えよ。なお、各問いは独立した問いである。


 1 あゆは代金を支払い、引き渡された鯛焼きを一口食べてみたところ、その鯛焼きの具材はつぶあんではなくカスタードクリームであることが判明した。あゆは、こうした意に沿わない具材を入れられた鯛焼きは食べるに値しないと考え、直ちにその旨を鯛焼き屋に告げて、つぶあん入りとの交換を求めた。しかし、鯛焼き屋は「一口食べてしまった鯛焼きを返されては困る。」として、応じようとしない。このとき、あゆは鯛焼き屋に対して、法律上どのような請求が可能か。


 2 あゆは代金を支払おうとしたところ、懐中無一文であったが、何としてもつぶあん入りの鯛焼きを食べたいと思い立ち、引き渡された鯛焼きを持ったまま、鯛焼き屋の隙を突いてその場から逃走した。追跡を振り切ったと見て、あゆが鯛焼きを一口食べてみたところ、その具材はつぶあんではなくカスタードクリームであることが判明した。あゆは、こうした意に沿わない具材を入れられた鯛焼きは食べるに値しないと考えたが、ちょうどその時鯛焼き屋があゆを発見し、あゆに代金の支払いを求めた。しかし、あゆは「カスタードクリームみたいな邪道な鯛焼きに払う金なんてないよっ。」として、応じようとしない。このとき、鯛焼き屋はあゆに対して、法律上どのような請求が可能か

http://d.hatena.ne.jp/Raz/20070304/1173005296より引用

この問題について、ronnor的な回答は以下の通りである。

一.小問1について

1.あゆ(以下、「あゆあゆ」と略す。)と鯛焼屋の間においては「つぶあん」入りの鯛焼きという不特定物の売買契約*1が成立している(民法555条)。そこで、「カスタードクリーム入り」の鯛焼きの引渡しは、債務の本旨に従った弁済(日常語で言えば、「約束を守った」)とは言えない。

2.不特定物売買契約においては、債務者(この場合の鯛焼き屋)は無限の調達責任を負う。すなわち、瑕疵のない目的物を債権者(この場合のあゆあゆ)に引き渡す義務を負い、そのために、今つぶあんがなくても、問屋からつぶあんを調達する等してきちんと、債務の本旨に従った弁済として、つぶあん入りの鯛焼きを引き渡さなければならない。そこで、あゆあゆは、鯛焼屋に対し、つぶあん入り鯛焼きの引渡しを請求できる

3.ここで、遅くとも鯛焼き引渡し時まで特定(401条2項)が生じており、もはやあゆあゆは別の鯛焼の引渡しを請求できないとも思える。

しかし、特定は、債務者(この場合は鯛焼き屋)がなすべきことをなした時に公平の観点から調達義務を免除する制度であり、なすべきことをなしていない債務者を救済する制度ではない。

そこで、なおあゆあゆは鯛焼きの引渡しを請求できる。

4.あゆあゆは鯛焼き屋に対し、一定期間以内につぶあん入りの鯛焼きを渡せ、わたさなければ契約を解除すると催告し、その間までに鯛焼き屋が鯛焼きを渡さない場合には債務不履行を理由に売買契約を解除できる(541条)。この場合、損害賠償として代金と法定利息(404条)を請求できる(415条)

 ここで、原状回復義務(545条1項)として、あゆあゆはカスタード入り鯛焼きを鯛焼き屋に対し返還しなければならないとも思われるが、返還は不要と解する。それは、あゆあゆファンが多数おり「あゆあゆが1口かじった鯛焼き」をヤフオクで売れば、万単位のお金が鯛焼き屋に舞い込むため、鯛焼き屋に不当な利得を生じさせ、ひいては鯛焼き屋がこの利得をねらってわざと間違った鯛焼きを渡すという不法行為を誘発させかねないことから、返還を不要と解するのが公平だからである。

5.よって、あゆあゆは鯛焼き屋に対しつぶあん入り鯛焼の履行を請求する、ないし、催告した上で解除することもでき、その場合においてはカスタード入り鯛焼きを返還する必要はないと解する。

二.小問2について

1.鯛焼き屋は、あゆあゆに対し、売買契約に基づき、代金の支払いを求めることが考えられるが、前述のように、カスタード入りの鯛焼きの引渡しは債務の本旨に従った履行とはならず、こしあん入りの鯛焼きを引き渡さない限り、代金請求はできない。

2.そこで、鯛焼き屋は、あゆあゆに対し、詐欺(96条)を理由に契約を取消(121条)し、カスタード入りの鯛焼きの返還を求めることができるか。

 ここで、あゆあゆの年齢が20歳(4条)未満と思われるところ、未成年者(5条)という制限能力者(121条但書)であるあゆあゆは「その行為によって現に利益を受けている限度」において返還の義務を負うに過ぎない。

 そこで、あゆあゆに対し「かじりかけ」の鯛焼きの引渡しを請求できるに過ぎない

3.なお、この場合においては、小問1と異なり、鯛焼き屋は「かじりかけ」の鯛焼きの引渡しを受けることができると解する。

 それは、小問1においては、鯛焼き屋の帰責性により発生した「具材の誤り」の結果、鯛焼き屋が利得することが不公平であったが、本問においては、「具材の誤り」という鯛焼き屋の帰責性をはるかに上回る「詐欺」をあゆあゆが行っている以上、鯛焼き屋に利得させても不公平ではないからである。

4.(1)そして、鯛焼き屋は、あゆあゆ自身及びあゆあゆの法定代理人*2に対し、不法行為(709条)責任として、損害の賠償を求めることができるか。

(2)まず、あゆあゆは18歳以上*3であり、責任能力*4は認められるため、不法行為責任を追求できることには問題がない。

(3)そして、責任能力を有している場合であっても,その不法行為による損害とその監督義務者の監督義務違反とに因果関係が認められる場合は,監督義務者について709条の不法行為が成立すると解する(判例同旨)。ここで、714条が「責任無能力者がその責任を負わない場合」における監督義務者の不法行為責任を規定するが、被害者保護という不法行為責任法の趣旨からは、この規定を反対解釈するべきではなく、監督義務者の監督義務違反とに因果関係が認められる以上は不法行為責任を負わせることが、未成年に現実に資力がない場合が多いことに鑑みても公平だからである。

(4)そこで、あゆあゆ自身及びあゆあゆの法定代理人に対し損害賠償(709条)を求めることができるが、その要件は「損害」であるから、あゆあゆのかじった鯛焼きを売ることで損害が填補されれば、損害賠償を求めることはできない。

5.以上より、鯛焼き屋はあゆあゆに対し、契約を取り消してかじりかけの鯛焼きの返還を請求でき、損害が填補されなければ、あゆあゆ及びその法定代理人に対し、不法行為に基づく損害賠償を請求できる

                             以上

多少法的な問題点があるので、これを簡単に解説する。

一.小問1について

1.あゆ(以下、「あゆあゆ」と略す。)と鯛焼屋の間においては「つぶあん」入りの鯛焼きという不特定物の売買契約*5が成立している(民法555条)。そこで、「カスタードクリーム入り」の鯛焼きの引渡しは、債務の本旨に従った弁済(日常語で言えば、「約束を守った」)とは言えない。

 ここは、少し難しい話になるので解説しておくと、ある物を引き渡す債務は、その物が「特定物」すなわちその物の個性に着目している場合(中古のもの、不動産等)と、「不特定物」すなわち、その物の個性に着目していない、その結果数量と種類さえあっていれば別のものでもいい場合(大量生産品等)がある。まあ、「おじさんが今焼いたこの鯛焼きがいいんだ!」といった例外的場合を除けば、鯛焼きは、「この」鯛焼きでも、その脇で焼いた鯛焼きでもいい、単に味(つぶあん入り)と数(1個)だけがあっていればOKな売買なので、不特定物売買となる。

2.不特定物売買契約においては、債務者(この場合の鯛焼き屋)は無限の調達責任を負う。すなわち、瑕疵のない目的物を債権者(この場合のあゆあゆ)に引き渡す義務を負い、そのために、今つぶあんがなくても、問屋からつぶあんを調達する等してきちんと、債務の本旨に従った弁済として、つぶあん入りの鯛焼きを引き渡さなければならない。そこで、あゆあゆは、鯛焼屋に対し、つぶあん入り鯛焼きの引渡しを請求できる。

 これは、特定物売買、例えば、ある建物の売買と比較すると分かりやすいでしょう。特定物売買においては、「その建物」が大事であり、「その建物」は世界に1つしかない。そこで、買主(引渡し義務の債権者)は、引き渡してもらうまで、「その建物」をきちんと維持してもらいたいわけです。そこで、売主(引渡し義務の債務者)は、「善良な管理者(400条)」として、しっかり管理する義務を負うのである。

 これに対し、不特定物であれば、「この鯛焼き」でなくともかまわない。そこで、鯛焼き屋さんは特定物売買で売主が負うような重い注意義務は免除される。しかし、その反面、履行期には、きちんと「つぶあん入り鯛焼き1個」を引き渡す義務を負うわけで、そのために、仮につぶあんが切れたならば、問屋さん等を回ってつぶあん等をきちんと調達しないといけないという重い「調達義務」を負っている

 ちょっと分かりにくいかもしれませんが、

特定物=「その物」をきちんと維持=売主の重い注意義務

不特定物=種類と数さえあっていればいい=注意義務は免除=売主は種類と数をきちんとそろえるため「調達義務」を負う 

 と考えていただくとわかりやすいだろう。

3.ここで、遅くとも鯛焼き引渡し時まで特定(401条2項)が生じており、もはやあゆあゆは別の鯛焼の引渡しを請求できないとも思える。

しかし、特定は、債務者(この場合は鯛焼き屋)がなすべきことをなした時に公平の観点から調達義務を免除する制度であり、なすべきことをなしていない債務者を救済する制度ではない。

そこで、なおあゆあゆは鯛焼きの引渡しを請求できる。

 ここで、分かりにくい制度である「特定」が出てきます。

上で述べましたが、不特定物債務の債務者(鯛焼き屋)は調達義務を負っています。そのため、地の果てまであんこ問屋を追いかけていってつぶあんを調達しなければいけない。この重い調達義務を「頑張った債務者」については免除してあげようというのが特定の制度である。例えば、

30分後に鯛焼き屋で渡すという約束で鯛焼き屋がたいやきを完成させ、鯛焼きをパックに入れ「あゆあゆ様」と書き、あゆあゆに連絡をした。しかし、30分経ってもあゆあゆは来ない。ここで地震が起こって鯛焼きがなくなった。

こんな場合にも「調達義務があるからもう一回鯛焼きをつくれ。あんこがないなら、調達してこい!」と鯛焼き屋さんに言うのはかわいそうである。そこで、鯛焼き屋(不特定債務の債務者)がなすべきことをなしている場合には、もう調達をしなくていいよということで、調達義務が免除される、これが特定なのだ。

 さて、本問において鯛焼き屋さんは「やるべきことやっている」といえるか? つぶあん入りの鯛焼きを作る約束なのに、カスタード入りを作ったのですから、「やるべきことをやっていない」。そこで、特定の恩恵を享受させる必要はないのです。そこで、やっぱりつぶあん入りたい焼きを渡さなければならない。

4.あゆあゆは鯛焼き屋に対し、一定期間以内につぶあん入りの鯛焼きを渡せ、わたさなければ契約を解除すると催告し、その間までに鯛焼き屋が鯛焼きを渡さない場合には債務不履行を理由に売買契約を解除できる(541条)。この場合、損害賠償として代金と法定利息(404条)を請求できる(415条)。

 ここで、原状回復義務(545条1項)として、あゆあゆはカスタード入り鯛焼きを鯛焼き屋に対し返還しなければならないとも思われるが、返還は不要と解する。それは、あゆあゆファンが多数おり「あゆあゆが1口かじった鯛焼き」をヤフオクで売れば、万単位のお金が鯛焼き屋に舞い込むため、鯛焼き屋に不当な利得を生じさせ、ひいては鯛焼き屋がこの利得をねらってわざと間違った鯛焼きを渡すという不法行為を誘発させかねないことから、返還を不要と解するのが公平だからである。

 代替物の履行が可能な場合は、一足飛びに契約を解除できない。契約を解除するためには、「30分以内につぶあん入りのたいやきを完成させなければ解除する」といった催告をしなければならない(541条)。

二.小問2について

1.鯛焼き屋は、あゆあゆに対し、売買契約に基づき、代金の支払いを求めることが考えられるが、前述のように、カスタード入りの鯛焼きは債務の本旨に従った履行とはならず、こしあん入りの鯛焼きを引き渡さない限り、代金請求はできない。

2.そこで、鯛焼き屋は、あゆあゆに対し、詐欺(96条)を理由に契約を取消(121条)し、カスタード入りの鯛焼きの返還を求めることができるか。

 ここで、あゆあゆの年齢が20歳(4条)未満と思われるところ、未成年者(5条)という制限能力者(121条但書)であるあゆあゆは「その行為によって現に利益を受けている限度」において返還の義務を負うに過ぎない。

 そこで、あゆあゆに対し「かじりかけ」の鯛焼きの引渡しを請求できるに過ぎない。

 未成年等の制限能力者については、その保護のため、取消の際、「その行為によって現に利益を受けている限度」において返還義務を負うに過ぎない。そこで、「食べた」とか「使った」という場合は*6残りを返せばいいことになる。

3.なお、この場合においては、小問1と異なり、鯛焼き屋は「かじりかけ」の鯛焼きの引渡しを受けることができると解する。

 それは、小問1においては、鯛焼き屋の帰責性により発生した「具材の誤り」の結果、鯛焼き屋が利得することが不公平であったが、本問においては、「具材の誤り」という鯛焼き屋の帰責性をはるかに上回る「詐欺」をあゆあゆが行っている以上、鯛焼き屋に利得させても不公平ではないからである。

4.(1)そして、鯛焼き屋は、あゆあゆ自身及びあゆあゆの法定代理人*7に対し、不法行為(709条)責任として、損害の賠償を求めることができるか。

(2)まず、あゆあゆは18歳以上*8であり、責任能力は認められるため、不法行為責任を追求できることには問題がない。

(3)そして、責任能力を有している場合であっても,その不法行為による損害とその法定代理人等の監督義務者の監督義務違反とに因果関係が認められる場合は,監督義務者について709条の不法行為が成立すると解する(判例同旨)。ここで、714条が「責任無能力者がその責任を負わない場合」における監督義務者の不法行為責任を規定するが、被害者保護という不法行為責任法の趣旨からは、この規定を反対解釈するべきではなく、監督義務者の監督義務違反とに因果関係が認められる以上は不法行為責任を負わせることが、未成年に現実に資力がない場合が多いことに鑑みても公平だからである。

(4)そこで、あゆあゆ自身及びあゆあゆの法定代理人に対し損害賠償(709条)を求めることができるが、その要件は「損害」であるから、あゆあゆのかじった鯛焼きを売ることで損害が填補されれば、損害賠償を求めることはできない。

 ここは、ちょっとわかりにくいが、詐欺という「不法行為」をあゆあゆが行っている以上、損害があれば損害賠償請求ができる(709条)。もっとも、あゆあゆは無一文*9であり、父親等の法定代理人に請求したい。

ここで、嫌な条文がある。

第714条 前2条の規定により責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。

要するに、5歳の子どものような、自分のやったことに責任が持てない人(責任能力)が不法行為をした場合には、その子を監督すべき人が損害を賠償せよという規定である。

 すると、逆に言えば、未成年が「その責任を負う」場合には、監督者は責任を負わないのではないかという問題が生まれてしまう*10

 しかし、判例は、未成年者を監督する法定代理人等がきちんと管理していないために損害が起こったんだという場合には、その未成年者が責任能力を有していてもなお、不法行為責任を負わせる*11。これは、事実上未成年は金がないということが考慮に入れられていると思われるが、被害者保護という不法行為法の趣旨からは妥当な結論だろう。

まとめ

 「鯛焼問題」については、小問1はあゆあゆの全面的勝利、小問2については鯛焼き屋の大方勝利という結果になった。

 民法は日常生活に密接に関わっており、*12刑法以上に「結論の妥当性」が重要な学問であり、この結論は肯首できよう。

補足:本日のネタは、Raz様(http://d.hatena.ne.jp/Raz/)のダイアリに影響されたものである。ここで謝意を表する。

追記:第2問につき、コメント欄にある通り、私の回答には、かなりの問題がある。この問題解決への試案を、「名無しだよもん」様が寄稿下さった。これが、特別寄稿〜あゆあゆの「鯛焼問題」についての新たな考察 - アニメキャラが行列を作る法律相談所withアホヲタ元法学部生の日常であり、非常に興味深い。名無しだよもん様に深く感謝する。

*1:現行司法試験レベルの解答。なお、新司法試験レベルであれば、これが「製作物供給契約」という非典型契約であることを示した上で、調達義務・担保責任等において、売買の規定を類推すべきか、それとも請負の規定を類推すべきかという問題を論じるべきであろう。新司法試験おそろしや...。

*2:母親が死亡(?)しているので父親か未成年後見人

*3:設定上

*4:未成年者が他人に損害を加えた場合,「加害行為の法律上の責任を弁識するに足るべき知能(責任能力)」があれば,未成年であることを理由として,不法行為の損害賠償責任を免れることはできない(712条,大判大正6年4月30日)

*5:現行司法試験レベルの解答。なお、新司法試験レベルであれば、これが「製作物供給契約」という非典型契約であることを示した上で、調達義務・担保責任等において、売買の規定を類推すべきか、それとも請負の規定を類推すべきかという問題を論じるべきであろう。

*6:生活費等の例外を除いて

*7:母親が死亡(?)しているので父親か未成年後見人

*8:設定上

*9:母親の遺産があるとかの突っ込みはなし。

*10:反対解釈

*11:最判昭和49年3月22日

*12罪刑法定主義が重要な

名無しさんだよもん名無しさんだよもん 2007/03/06 19:47  葉鍵板から流れ着いてきた者です。今回のご高論『あゆあゆの「鯛焼問題」に関する法的考察』を読ませていただき、秀逸なご卓説にいたく感動しました。
 愚問かも知れないのですが、小問2において、特に議論なくあゆに詐欺が成立するとされています。しかし、詐欺の要件として「相手方を欺罔して錯誤に陥らせようとする故意」があります。本事案では、あゆが鯛焼き屋に注文をして鯛焼き屋が聞き入れた時点で売買契約が成立し、この時にあゆには代金を支払う意思があるのですから、「相手方を欺罔して錯誤に陥らせようとする故意」が欠け、詐欺に当たらないのではないでしょうか?
 売買契約成立後にあゆが鯛焼きを持ったまま逃走したのは単純な債務逃れであり、鯛焼き屋がなすべきは詐欺取消ではなく、自ら履行の提供をして(注文通りにつぶあん入りを作って)その上で反対債務の履行を催告し、それでもなおあゆが履行を拒んだときに初めて債務不履行解除と損害賠償請求と考えますが、いかがでしょうか? ご教示ください。

ronnorronnor 2007/03/06 21:34 >名無しさんだよもん様
なかなか鋭い突っ込みに、参ってしまいます。「懐中無一文であったが、」の記載は、申し込み時に故意なし、代金支払い時になって初めて気づくという読み方が素直といえば素直ですね。私の読み方は素直ではないかもしれません。
問題は、無一文のあゆあゆのために、わざわざこしあん入りの鯛焼きを作らせる必要があるかでしょう。なんとか鯛焼き屋を助けようという考えによれば、錯誤無効(相手の資力という法律行為の要素について錯誤があり、重過失なし)辺りを使うのでしょうかね。重要な突っ込みをありがとうございました。

名無しさんだよもん名無しさんだよもん 2007/03/06 22:19  実際のゲーム中での事案が「契約時には金を払おうと思っていたが支払の段階で財布を持ってないことに気づいて逃げた」というものであり、そのシーンが無意識に頭にあったのでてっきり本問でもそうだと思ってました。問題文をよく読むと、確かに支払いの段階で欺罔の故意を認める読み方もできそうです。そうだとすれば詐欺取消で一発ですね。
 錯誤無効は全く思いつきませんでした。弁済が望めそうにないあゆのために鯛焼き屋は弁済提供せよ、という帰結は妥当でないと私も感じますので、非常に筋の通った行き方のように思います。ご教示ありがとうございます。
 書いてから思いついたのですが、仮に欺罔の故意がないとしても、そもそもあゆが鯛焼きを持って逃げること自体が非常識(財布の無いのに気づいた時点で商品を返すのが筋)なので、「鯛焼き屋の隙を突いてその場から逃走」という行為を不法行為で攻められないかとも思いました。

ronnorronnor 2007/03/07 01:22 >名無しさんだよもん様
 言い訳はしません。今で思えば「出題者意思解釈」ができていなかったと反省しております。
 不法行為は答案にも書いていますが、これは詐欺の成否を問わず使えると思いますので、錯誤&不法行為が妥当だと考えます。非常に有意義なご意見をありがとうございました。

オズマオズマ 2007/03/07 08:32 ともあれ「実際にやってみる」のがよろしいかと。

名無しさんだよもん名無しさんだよもん 2007/03/07 16:20 何度もすみません。あゆに詐欺の故意がない場合を想定し、錯誤無効と不法行為で鯛焼き屋を勝たせる筋書きを考えようと思ったのですが、考えれば考えるほどあゆの術中に嵌っていく気がします。

 〈鯛焼き屋側の主張〉
  1 鯛焼き屋はあゆが代金を持っていると信じていたのに、実はあゆは懐中無一文であった。このような相手方の無資力が分かっていれば、鯛焼き屋は本件売買契約を締結するつもりはなかったし、また一般通常人も同様である。これは相手方の資力という法律行為の要素についての錯誤に該当し、本件売買契約は錯誤無効である。
  2 本件売買契約が錯誤無効である以上、本件鯛焼きの所有権は当然に鯛焼き屋に帰属し、あゆが本件鯛焼きを持ち去る根拠はない。よって、あゆの持ち去りは本件鯛焼きに対する鯛焼き屋の所有権を侵害する不法行為を構成する。

 〈あゆ側の主張〉
  1ア 鯛焼き屋の主張するような客の資力に対する鯛焼き屋の考えが、契約時にあゆに対して表示されていないのであるから、鯛焼き屋の錯誤は単に動機の錯誤であるにすぎず、錯誤無効は認められない。
  1イ そもそもあゆは財布をたまたま忘れてきたにすぎないのであって、財布さえ持ってくれば代金を支払う能力はあるのだから(劇中描写では最終的に金を払って和解するので)、あゆを無資力であるとする鯛焼き屋の主張自体失当である。
  2 本件売買契約が有効である以上、その効力として本件鯛焼きの所有権は当然にあゆに移転する。さらに、あゆは鯛焼き屋から契約に基づいて本件鯛焼きの現実の引渡を受けている以上、鯛焼き屋の意に反して本件鯛焼きの占有を侵害したとはいえない。よって、あゆの持ち去りは鯛焼き屋の権利又は法的利益を何ら害するものでないから、不法行為にあたらない。

鯛焼き屋が履行提供してあゆを遅滞に陥らせれば構成は楽なのですが、明らかな不正を働いたあゆのために鯛焼きを作らせるのはおかしい、ということに異存ありません。なんとか鯛焼きを作り直さずして鯛焼き屋が勝てるような、良いお知恵を貸してください。

ronnorronnor 2007/03/07 19:09 >名無しさんだよもん様
 なかなか、深い考察をありがとうございます。
 私の考える、鯛焼き屋を勝たせる筋は、あゆあゆが「食い逃げの常習犯」というところを利用する筋です。
 あゆあゆが常習犯である以上は、事実認定として、特段の事由ない限り、未必的詐欺の故意(少なくとも、「お金があればお金を払うが、なかったら食い逃げしてそれででかまわない」という意思)が認められる(事実上の推定)とした上で、「本問においては、あゆあゆが最初からお金をもっていないことを知って注文したか、お金がないことに気づかず注文したかのいずれであるか不明であり、少なくとも、詐欺の未必の故意を否定すべき特段の事由が認められない」として、詐欺を肯定する。
 これが一番楽ですかね。錯誤&不法行為よりずっとすっきりする気がします。
 非常に面白い視点での問題検討をありがとうございました。今後もよろしくお願いいたします。

ronnorronnor 2007/03/07 19:10 >オズマ様
 この文脈だと「実際やってみる」というのは、錯誤&不法行為で書くという意味でしょうか。確かに、錯誤&不法行為は実際にやってみると破綻の可能性が高いルートですね。鋭い突込みをありがとうございました。

名無しさんだよもん名無しさんだよもん 2007/03/13 21:22 未必的な詐欺の故意を認めるのは大変スッキリした行き方と思います。しかし残念なのは、そうすると原作の1月7日の事件(あゆがこの世に出てきて初めて鯛焼きを持ち逃げした事例。まだ常習犯ではない)ではあゆを勝たせざるを得なくなり、それはそれで正義感覚に反するのではないかなあと思う次第です。

というわけで、「契約は守られるべし」というローマ法の伝統にのっとり、無効や取消を使わずに、“あくまで売買契約の効果として”あゆに支払を迫れないかと思い、下のような筋書きを考えてみました。


 1 あゆと鯛焼き屋の間にはつぶあん入り鯛焼きを目的物とした売買契約(555条)が有効に成立しているといえる。そこで、鯛焼き屋があゆに対して’簀齋戚鵑亡陲鼎い涜絛盧通海陵行請求が可能か、及び、不当利得に基づいてカスタード入り鯛焼きの返還請求が可能かが問題となる。
 2 鯛焼き屋は、あゆに対して、売買契約に基づいて代金債務の履行請求が可能か。
 (1) ここで、売買契約が有効に成立している以上、あゆには代金債務が発生しており、鯛焼き屋屋台という業務の態様に鑑みれば、その履行期は契約成立の直後であると解しうる。よって、鯛焼き屋はあゆに対し、既に履行期の到来した代金債務の履行を請求できる。
 (2) ただし、契約の目的物はつぶあん入り鯛焼きであるのに、鯛焼き屋は誤ってカスタード入り鯛焼きを引渡しており、これは債務の本旨に従った履行とはいえないから、鯛焼き屋もまた履行遅滞に陥っているといえる。
 そこで、あゆは同時履行の抗弁権(533条)に基づき、「鯛焼き屋から目的物の引渡の提供を受けるまでは、代金の弁済を提供しない」と主張することが考えられる。
 (3) しかし、鯛焼き屋は顧客の注文に応じてもっぱら自己の用意した材料を用いて鯛焼きを製作しなければならない一方で、仮にここで鯛焼きを完成させてあゆに引渡しても、あゆが懐中無一文である以上、鯛焼き屋が代金を回収できないおそれがある。
 そこで、鯛焼き屋はあゆに対し不安の抗弁権を主張できるか。
 思うに、不安の抗弁権とは、同一の双務契約から生じた債権債務に牽連性がある場合において、相手方の信用状態の悪化等、客観的に見て債務の履行を危殆化する不安が生じたときに、たとえ自己の債務の履行期が到来したとしても、かかる不安を取り除く保証を相手方が与えるまでは、信義則上自己の債務の履行を拒絶できる権利と解する。
 これを本問について見ると、あゆの代金債務と鯛焼き屋の引渡債務は、同一の双務契約から生じており牽連性があるといえ、鯛焼き屋が支払を免脱するため逃亡を図ったという事情から、債務の履行を危殆化する不安も生じていると認められる。
 よって、鯛焼き屋はあゆに対し、不安の抗弁権に基づき「代金の弁済を提供した後でなければ、目的物を引渡さない」と主張することができる。
 (4) 以上より、鯛焼き屋はあゆに対して売買契約に基づいて代金債務の履行請求が可能であり、その際には不安の抗弁権に基づいて、あゆの代金の提供があるまではつぶあん入り鯛焼きの引渡の提供を拒否できる。
 なお、あゆが支払に応ずる場合は、通常の代金に加えて損害賠償として法定利息を請求でき(404条、419条)、あゆが支払に応じない場合は、相当の期間を定めて催告をした上で、債務不履行に基づく売買契約の解除が可能である(541条)。
 3 鯛焼き屋は、あゆに対して、不当利得に基づいてカスタード入り鯛焼きの返還請求が可能か。
 (1) ここで、売買契約の目的物は「つぶあん入り鯛焼き」であるから、当然に、「カスタード入り鯛焼き」は売買契約の目的物でない。
 よって、鯛焼き屋があゆに引き渡したカスタード入り鯛焼きは売買契約という法律上の原因なく受けた物であり、鯛焼き屋はカスタード入り鯛焼きの分を損失したといえるから、あゆは鯛焼き屋に対し、カスタード入り鯛焼きを不当利得として返還する義務を負う(703条)。
 (2) ただし、あゆは鯛焼き屋がつぶあんとカスタードを取り違えたという事情を知らずに、カスタード入り鯛焼きを「売買契約に基づいて自己に移転されたつぶあん入り鯛焼き」であると信じてかじったのであるから、あゆは704条にいう悪意の受益者にあたらないといえる。
 よって、あゆは「その利益の存する限度において」カスタード入り鯛焼きを返還する義務を負うから(703条)、かじりかけの鯛焼きのみを返還すれば足りる。
 (3) 以上より、鯛焼き屋はあゆに対して、不当利得に基づいて「かじりかけのカスタード鯛焼き」のみの引渡を請求できる。
 4 まとめると、鯛焼き屋はあゆに対して、’簀齋戚鵑亡陲鼎い涜絛發了拱Г寮禅瓩可能であり、その際には損害賠償として法定利息を加えた額を請求でき、さらに不当利得に基づいて「かじりかけのカスタード鯛焼き」の返還請求が可能である。
                            以上

ronnorronnor 2007/03/14 23:30 >名無しさんだよもん様
 読ませていただきました。非常に理論的に一貫し手織り、感動しました。よろしければ、「特別寄稿」という形で、記事にさせていただきたいです。
 内容面では、不安の抗弁の議論により、1月7日の事件において妥当な解決を導き、私の議論の弱点がカバーされている点は、素晴らしいと思いました。不当利得も、この内容が読んでいて骨太で分かりやすいとは思います。ただ、仮に私があゆあゆの代理人であれば、「事務管理により法律上の原因がある」と言うのではないでしょうか。「傘の取り違え」のように、事実上同一の原因から発生した債務でも事務管理が認められ得ますから、この点について配慮した方が「丁寧」かとは思います。この点の反論を切るとすれば、「原因が不法行為だからだめ」か「牽連性なし」のどちらかだと思います。とはいえ、この点を論じると、答案の「流れ」が悪くなりかねませんから、流れの良い答案という意味では、名無しさんだよもん様の答案が非常によいと思いました。どうもありがとうござました。今後もよろしくお願いいたします。

名無しさんだよもん名無しさんだよもん 2007/03/15 00:13 お褒めにあずかり光栄です。「特別寄稿」にまでしていただけるとは願ってもない幸運ですので、ぜひどうぞ使ってやってください。

私は法律の勉強はまだ始めたばかりで、まだまだ分からないことばかりです。他のいろいろな記事も大変に面白い(個人的には「はにはにと法律用語」が大ウケでした)ので、大いに読ませていただきます。これからも頑張ってください。

ronnorronnor 2007/03/15 01:06 >名無しさんだよもん様
許可をありがとうございました。さっそく3/15のエントリとさせていただきました。「はにはに」記事を楽しんでくださり、どうもありがとうございました。今後も、「ニッチ」で「ディープ」な法律&アニメネタを書いていくつもりですので、よろしくお願いいたします。

ronnorronnor 2007/03/16 20:36 なお、2007/3/14 23:30のコメントの「事務管理」は「留置権」の間違いです。お詫びして訂正いたします。