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2007-06-09 無断翻訳と著作権法

[][][][]無断翻訳と著作権13:39 無断翻訳と著作権法を含むブックマーク 無断翻訳と著作権法のブックマークコメント

アメリカ著作権法

アメリカ著作権法

<<本件エントリはOnline Translation - Dealing with Copyright and Plagiarism Issues Part II - A Legal View | ComiPress様とのコラボレーション企画です。こちらもぜひご覧下さい。>>

1.問題の背景事情

 海外のオタクは日本人と同様、いや、それ以上に日本のアニメ・漫画の最新情報を知りたがっている。比較的最近の例として、Rozen maidenの休載問題は海外サイトでも大々的に取り上げられた*1。ところが、涼宮ハルヒの憂鬱*2等の一部の全世界的展開を目論む作品以外は出版元等から英語のプレスリリース等が出ることはほとんどない。日本語という世界的に見れば少数言語による情報発信しかされていないのである。

 これは、日本の最新情報を欲しがる海外のオタクたちにとっては困った事態である。そこで、日本のサイトの情報を翻訳してこれを海外サイトに掲載するということが頻繁に行われている。

 COMIPress*3等の、一部のサイトにおいては、翻訳元の日本のサイトの著作権者から許諾を取って翻訳を掲載する。この場合には、何ら問題は存在しない。

 しかし、かなり多くのサイトにおいては、無断翻訳が行われている。要するに、出版社や、ファンらの作成した日本語サイトを無断で翻訳して海外サイトに掲載しているのである。もちろん、翻訳には1つのサイトを丸々翻訳するものもあれば、サイトの一部のみを翻訳するもの、翻訳だけのものもあれば、翻訳の後にコメントや論説がついているものもある。これらを「無断翻訳」と総称して、この著作権法的な問題について考察していきたい。

*お断り 本記述は法曹実務家が書いたものではなく、法学徒が書籍・雑誌を参考にしながらまとめたものですので、内容の信頼性は保障できかねます。個別具体的な問題については、弁護士等の専門家にご相談いただきますようお願い申し上げます。

2.どの国の法律が適用されるか

 (1) 設例

 例えば

 アメリカ在住のAさんが、アメリカ国内において日本のBが著作権を持っている記事を英語に翻訳し、この訳文をアメリカに存在するサーバーにアップし、これをアメリカ在住のCや、日本在住のDが読んだ。

 この事例について考えてみる。

 (2) 翻訳権侵害について

 この場合においては、まずは「アメリカ国内において日本のBが著作権を持っている記事を英語に翻訳」した行為が翻訳権(著作権法27条参照)の侵害にならないか問題となる。

 この場合の問題は少ない。アメリカ在住のAさんは、ベルヌ条約締結国であるアメリカ*4において、アメリカ著作権法により保護されている日本のBさんの持つ当該記事の翻訳権ないし翻案権の侵害の問題になる*5

 (3) 公衆送信権等の侵害について

 アメリカ国内にあるサーバーに情報を蓄積し、これにより送信が可能な状態になることから、複製権・公衆送信権(著作権法23条参照)の侵害にならないか問題になる。

 この場合には、大きな問題がある。この場合、送信地(この場合はAのいるアメリカ)の著作権法を適用すべきという考え方が送信地主義、受信地(この場合はCのいるアメリカやDのいる日本)の著作権法を適用すべきという考え方が受信地主義であり、この2つの考え方が鋭く対立している*6

長所短所
受信地主義リアルワールドの国際私法の解釈と整合的発信行為者にとって何が規制されるのかわからず萎縮効果が生じる
送信地主義発信行為者にとって何が規制され、何が規制されないかがよくわかるコピライト・ヘブン等からの送信行為の規制が困難
受信地主義(改)受信地主義送信地主義の問題を克服どこが「最も重大な結果が発生した地なのか」が不明

 受信地主義は、リアルワールドの国際私法解釈と整合的という利点がある。この点、一般の不法行為については原則として被害結果が発生地とするとされている(法の適用に関する通則法17条本文参照*7)。この現実世界の考えをサイバースペースについてもそのまま適用すれば、被害発生地、即ち送信地が不法行為地となる*8わけである。しかし、インターネットで受信地主義を取れば、どの国の人が受信するか分からないのだから、国によって著作権法が違う以上、発信行為者にとって何が規制されるのか分からず萎縮効果があるといった問題がある*9

 これに対し、送信地主義は、上記の規制範囲の問題はないものの、著作権の保護が緩い国、いわゆるコピライトヘブンからの送信による著作権侵害行為が規制不能になるといった問題もある*10

 ここで、「インターネットの法律問題」p43においては、上記の2つの問題を克服する方法として、基本的に受信地法をとりながら、すべての受信地国の法律の適用を認めるべきではなく、同時に複数国に損害が発生した場合には最も重大な結果が発生した地をもって結果発生地として、そこの著作権法を適用するという説を取っている。この説によると、例えば「他人が著作権を持つ日本語の作品をインターネット上でばらまいた」場合は、日本語のネイティヴスピーカーが日本1国に集中している以上、日本の著作権法が適用されることになる。私も、この説が最も妥当と考える。

 この説によれば、英語のコンテンツの場合においては、どの国のどれだけの人がそのサイトを見たかという点が1つのメルクマールになるだろう。サイトによって大きな差異があることは事実であるが、日本においてアメリカ以外の外国著作権法研究書がほとんど存在しないこと、及び当サイトの英語圏のアクセス元は2位以下をぶっちぎりに引き離してアメリカが多いこと*11等から、アメリカ著作権法を1つの例として以下では考察する

3.「フェアユース」等による正当化の可能性

 フェア・ユースは、米国著作権法などで認められた著作権侵害訴訟での抗弁の一つである。著作権の侵害と見られるような行為でも、これがフェア・ユースであると立証できれば、著作権者の許可や対価の使用なく、利用を継続できる*12。フェア・ユースが存在するのは対立する利害関係についての適正な調整である*13。ある作品はそれ以前の作品の持つ要素等をふまえて成立しているのであり、それ以前の作品と全く独立の作品は存在しないといってもよい(この理は107条の例示する「批評、解説、ニュース報道、教授」等においては特にあてはまるだろう。)。このような著作物著作権者の制限から離れて自由に利用したいという社会的な利益も存在するからこそ、別の人が著作権を持つ著作物の使用も「正当な範囲」では認められているのである。

第107条 排他的権利の制限:フェア・ユース

第106条および第106A条の規定にかかわらず(引用者注:著作権者の排他的権利について規定)、批評、解説、ニュース報道、教授(教室における使用のために複数のコピーを作成する行為を含む)、研究または調査等を目的とする著作権のある著作物のフェア・ユース(コピーまたはレコードへの複製その他第106条に定める手段による使用を含む)は、著作権の侵害とならない。著作物の使用がフェア・ユースとなるか否かを判断する場合に考慮すべき要素は、以下のものを含む。

(1) 使用の目的および性質(使用が商業性を有するかまたは非営利的教育目的かを含む)。

(2) 著作権のある著作物の性質。

(3) 著作権のある著作物全体との関連における使用された部分の量および実質性。

(4) 著作権のある著作物の潜在的市場または価値に対する使用の影響。

上記の全ての要素を考慮してフェア・ユースが認定された場合、著作物が未発行であるという事実自体は、かかる認定を妨げない。

http://www.cric.or.jp/gaikoku/america/america.html

 アメリカ著作権法107条は、フェア・ユースになるかどうかの考慮のポイントを4つ指摘しているので、これらの4つのポイントを順に検討していき、最後にこれらを総合して、無断翻訳サイトを作成する場合の注意点について検討する。

(1)使用の目的と性質

 使用方法が商業的性格(commercial character)の使用であるか、または非営利の教育的性格(non-profit educational character)の使用であるかは重要なメルクマールとなる*14。そこで、無断翻訳・公開をしたサイトが非営利目的であれば、フェア・ユースとなる場合が比較的多くなるだろう。もっとも、非営利目的だから常にフェア・ユースとなるわけではない*15

 批評、解説、ニュース報道、教授、研究または調査という列挙されている使用は、一般的に社会にとっても利益となると考えられ、少なくとも全くの営利目的の使用よりも公正であると考えられる*16

 インターネットにおいてよく見られる「ニュースサイト」は*17、世の中の情報を知りたいという人に対し、記事のリンク、翻訳、コメントという形で情報を提供し、適宜解説をするメディアであり、世の中のニーズに答えている。そこで、ニュース報道に準じてフェア・ユースを広く認めていくべきである。

 なお、一部営利目的サイトにおける無断翻訳があるが、非常に危険である。それは、そのような使用方法は著作権法の規定により不公正であると推定される*18からであり、フェア・ユースと全く認められる余地がないわけではないが、非営利目的ニュースサイトよりも格段に違法とされる可能性が高くなる。

(2)著作物の性質の要素

  非商業的目的でなされる使用のうちでも、情報伝達の性質(informational nature)を有する著作物の使用は、娯楽的な性質(entertaining nature)を有する著作物の使用よりもフェア・ユースと認定される場合が多い*19。限定配布の時事通信紙のように広く公衆に配布するものでない著作物は新聞のように大量に配布される著作物に比べフェア・ユースに基づく制限が狭い*20。これは大量にコピーされることで時事通信紙の需要が減るという点が考慮されている。すると、誰にでも公開されているニュースリリース等、逆に公衆に伝達することを目的としている記事については、無断翻訳・転載においてもフェア・ユースとする範囲を広くすべきであろう。

(3) 量と実質性の要素

 一般的規則はないが、著作物全部の使用については通常フェア・ユースの法理に基づく制限規定は適用されない*21。他方著作物が一部であれば、使用された部分の量と実質性を検討しなければいけない。実質性の検討においては、作品の重要な部分の使用や骨子の使用は相対的に使用量が少なくともフェア・ユースの認定を否定する大きなポイントになる*22

 そこで、原則として記事を丸々翻訳・転載する場合にはフェア・ユースによる正当化は不可能ということになるだろう。抜粋・要約であっても、それが「実質上全体」に当たる場合にはフェア・ユースにはならない*23

(4) 使用の影響

 現在の裁判所は、この使用の影響を最も重視している。使用方法が使用された著作物の潜在的市場と価値に対していかなる効果を有するかを問題としている*24。例えば、日本のライトノベルについてのネタバレを含む詳細なあらすじがインターネット上で英語で公開されることで、そのライトノベルの英語版を出した場合に売れなくなる可能性がある*25。このような潜在市場に対する効果が重要な考慮要素となるのである。

 この点は、公正とされた場合に公衆の得る利益と、不公正とされた場合の著作権者が得る個人的利益の調整の観点*26が重要になってくる。そして、ある著作物を使用することにより著作物にとって同じニーズを満たす著作物(前述のあらすじ事例参照)が作成されたとなれば、裁判所はその使用をフェア・ユースとは認定しない*27。これに対し、著作物の使用によりその著作物と競合しない別の著作物が作成され、その著作物の潜在的市場や使用された作品の評価に悪影響を与えない場合においては、フェア・ユースと認定される場合がある*28

(5) 無断翻訳がフェア・ユースとされるための指針

ア 非営利目的

 まず、無断翻訳をするのであれば、非営利目的でのサイト運営をすることがかなり重要になってくる。営利目的の運営の場合においては、「非営利で同じ事をすればフェア・ユース」の場合でも営利目的ならアウトということが少なくない。営利目的サイトの場合には、著作権者の許諾を得ることを強く推奨する。

イ 全体の翻訳は避ける

 次に、非営利を前提としても、著作物全体の翻訳を避けることも重要になってくる。仮に批評や評論が目的であっても、全体を翻訳しなければ、その批評・評論目的を達し得ない場合はほとんどないのであるから、全体の無断翻訳・転載はフェア・ユースにはほとんどならない。全体を翻訳したければ、著作権者の許諾を得ることを強く推奨する。

ウ 出所明示

 なお、出所明示は「これをすればフェア・ユースになる」というものではないが、1つの判断要素となる*29ものであり、出所は明示すべきである。

エ コメントすらない単純な翻訳転載サイト

 これを前提に類型化してみてみる。まず、コメントすらなく、単に翻訳・転載をするのみというサイトの場合には、「ニュース報道」に準じてフェア・ユースと言えるかが問題となる。もっとも、ニュース報道というのは「単に他の著作物を転載するだけ」ではなく、それに編集・要約・主張等の知的作業が入るからこそ、社会的価値が高まると言えるだろう。フェアユースとされた事例として、「ニュース報道において、演説を書面にしたものや、記事の要約を若干の引用も含めて作成すること*30」とされているが、この太字部分に鑑みると、単なる翻訳・転載はフェア・ユースになる余地はかなり乏しいだろう。

 更に、使用の影響を考えると、アクセス制限サイト、有料サイトの内容の翻訳・転載もフェア・ユースとなる余地はかなり乏しいだろう。

オ 翻訳転載と共にコメント評論等のあるサイト

 これに対し、翻訳・転載した部分に加えコメント、評論、解説、批判等が入っているものについては、前述の「編集・要約・主張」等の知的作業が含まれており、社会的価値は高く、フェア・ユースになる余地が大きい。特に、最も重要な考慮要素である使用の影響について考えるに、この情報を多くの人に無料で知ってもらいたいと思いながらも、コスト等の問題から日本語のみで情報提供をしているサイトにとっては、翻訳がされることで、英語圏の人に対し自分の作品を売る市場・利益が阻害されるなどということはない。むしろ、翻訳がされることで、自分の情報が多くの人に知ってもらえるというのは非常に大きな利益であり、無断でも、翻訳をしてもらってうれしいという場合すらある。

 卑近な例で申し訳ないが、私の書いた看板作品の休載と錯誤〜ローゼンメイデン休載問題についての法的考察 - アニメキャラが行列を作る法律相談所withアホヲタ元法学部生の日常404 Error - Not Foundという形でスペイン語で無断翻訳された。しかし、私としては、この記事を日本語が分からない人にも知ってもらえたということで、「著作権の侵害であり、訴えてやる!」とは全く思わなかった。むしろ、即日「どうもありがとうございました」とお礼すらした程であった。

 私の例は1つの例に過ぎないが、多くの無断翻訳がなされているのに、著作権者が著作権侵害として法的手段を講じた事例がほとんど見つからないのは、このような潜在的市場を阻害する恐れの低さという点が大きいと考えられる。そこで、「日本のアニメファンが無料で公開している記事」を「引用して翻訳した上で、解説・コメントを加える」という場合には、無断で翻訳した場合でもフェア・ユースになる場合が多いといえるだろう。これに対し、公式サイトの場合においては、誤訳がされて、謝った情報が「公式情報」として流れることを防ぐため、情報の正確性を記すために、無断で翻訳されない利益が非公式サイトに比して高い。そこで、コメントの量・質が低い場合には、フェア・ユースとならない可能性がある。しかし、「公式サイトであっても、多くの人に知ってもらうために、無料で公開するが、コスト等から日本語のみにする」という場合は少なくないのであり、コメントの量・質によっては無断翻訳も十分にフェア・ユースになりえると考える。

まとめ

 無断転載・引用サイトでの禁忌

?営利目的

?全文翻訳

?翻訳のみでコメントなし

?有料・制限サイトの内容の翻訳

?出典なし

の5点である。この5点を避けた場合に常にフェアユースとなる訳ではないが、特に非公式サイトではフェア・ユースとなる可能性は高く、公式サイトでもコメントの質・量と引用部分の質・量によっては十分フェア・ユースとなり得る。

4.推定的承諾論ー試論

*以下は、全くの私見である

 上記で考察したように、「1つの記事まるごとの無断翻訳」や「コメントなき翻訳」は通常フェア・ユースにならない例である。しかし、上記の私が「1つの記事をまるごと(しかもほとんどコメントなく)無断翻訳をされた(というより「してもらった」)際に、これを喜んだ」という事例を考えると、私はある類型の無断翻訳においては、著作権者による推定的承諾さえ認められるのではないかとすら思うのである。

 即ち、(1)日本語のみで情報を公開する(2)非公式のファンサイトで、かつ(3)著作権侵害を行っていないサイトで、かつ(4)無料で考察・レビュー・意見等を公開しているサイトにおいては、(5)出典が明示され、(6)翻訳内容が正確で、(7)無断翻訳であること及び著作権者の反対の意思表示を受ければ即刻撤回するとの意思表明の明記がある場合には、全体の翻訳やコメントがほとんどない、単なる翻訳・紹介だけといったフェア・ユースに当たらない場合でも推定的承諾を認めて一定の範囲の利用を正当化してよいのではないかというのである*31

 まず、(1)日本語のみで情報を公開するというのは、英語等でも情報を公開している場合には、市場の競合が起こる可能性があるために承諾が得られない恐れがあるために必要な要件である。

(2)非公式ファンサイトという限定は、公式サイトにおいては、「情報のコントロール」の要請が非常に強いことから必要な要件である。

(3)著作権侵害を行っていないサイトというのは、例えば「同人誌の公開サイト」といった場合においては、これが大々的に行われると、オオモトの著作権者に目をつけられる可能性があることから、たくさんの人に知られることを好まない可能性が高いために必要な要件である。

(4)無料での考察レビュー意見等の公開というのは、無料性により市場侵害性の低さが基礎付けられ、考察レビュー意見等は、内容の性質上「通常、多くの人に知ってもらいたい」と推認してよいものである。

(5)出典の明示は、勝手に自分のものが他人名義で公開されることを認容する人はほとんどいないであろうから必要とされる。

(6)翻訳の正確性は、誤訳による著作権者の不利益を避けるために必要な要件である。

(7)無断翻訳であること及び著作権者の反対の意思表示を受ければ即刻撤回するとの意思表明の明記は、誤訳等が仮にあった場合に著作権者が責任を負わないこと及び、著作権者の(最低限度の)情報コントロール確保のための要件である。

 かかる要件を満たす場合には、仮に上記のフェア・ユースの議論からは正当性が認められない全文翻訳や、コメントなき翻訳の場合であっても、推定的承諾が認められるとして、著作権者からの撤回要求を受けるまでの掲載」を正当化できる*32と解するとしても、さほど不当ではなく、むしろ無断翻訳が多発しており、これに対する著作権違反が大きな問題となっていない現状に照らしても妥当な結論を導くことになるのではないかと考える。

まとめ

 フェア・ユースの概念では正当化できない無断翻訳でも、

(1)日本語のみで情報を公開する

(2)非公式のファンサイト

(3)著作権侵害を行っていないサイト

(4)無料で考察・レビュー・意見等を公開しているサイト

の4要件を満たすサイトに対する

(5)出典が明示され

(6)翻訳内容が正確

(7)無断翻訳であること及び著作権者の反対の意思表示を受ければ即刻撤回するとの意思表明の明記

の3要件を満たす翻訳転載の場合には、推定的承諾ありとして「著作権者からの撤回要求を受けるまでの掲載」を正当化できると考えても、さほど不当ではないのではないだろうか。

*1http://comipress.com/news/2007/04/28/1894参照

*2ASOS Brigadeのホームページ参照

*3:少なくとも最近における

*4:デイヴィッド・A・ワインステイン「アメリカ著作権法」p356「アメリカは1988年10月31日においてベルヌ条約加盟に必要な法律改正を行い(Berne Convention Implemention Act of 1988),改正法は、1989年3月1日、ベルヌ条約正式加盟と同時に発効した。」

*5:岡村・近藤著「インターネットの法律実務(新版)」p134「ベルヌ条約は」「世界統一私法の形をとりましたので」「条約の締結国の間においては、条約が対象として国内法が制定されている事項については法の抵触が生ずることはなく、国際私法を通さないで、統一私法たる国内法(すなわち、著作権法)が直接適用されることになります」

*6:TMI総合法律事務所「著作権の法律相談」p199参照、なお同書の同頁は「無用のクレームを避けるためには現時点では受信地主義を選択せざるをえない」としている。これは弁護士が法的リスクを避けるために顧客にアドバイスするという観点では「正解」と言えるだろうが、「裁判の際にも受信地主義を取るべき」という主張ではないと読むべきだろう。

*7:小出邦夫編著「一問一答・新しい国際私法」p99以下

*8:道垣内正人「サイバースペースと国際法」ジュリスト1117号63頁参照

*9:作花文雄著「詳解著作権法」p667参照

*10:作花文雄著「詳解著作権法」p666参照

*11:当サイトのメインコンテンツが日本語のため、根拠としてはかなり薄弱です

*12:デイヴィッド・A・ワインステイン「アメリカ著作権法」p85以下

*13:前掲書p86

*14:前掲書p89

*15:前掲書p89は、教育目的目的で映画を大量に複製する場合が例示されている

*16:前掲書p90

*17:定義もばらばらであり、かつ実態も様々であるが、総括的には

*18:前掲書p91

*19:前掲書p94

*20:前掲書p94

*21:前掲書p96

*22:前掲書p96

*23:前掲書p96は「ある本の50パーセントが1語1句そのままにコピーされ、実質的にはその比率がコピーされた本の実質上全体に当たる場合は、フェア・ユースとはされません」とされていることに留意

*24:前掲書p96

*25:もちろん、どれだけ詳しいあらすじかによって影響は変わると思われますが

*26:前掲書p97

*27:前掲書p98

*28:前掲書p99

*29:前掲書p96

*30:前掲書p99

*31:典型は当サイトを翻訳する場合

*32:この点、フェア・ユースであれば、翻訳者は撤回要求があっても記事の公開を継続できる点で大きく異なる