アニメキャラが行列を作る法律相談所withアホヲタ元法学部生の日常 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

当サイトは、法律ヲタ&アニヲタな元法学部生の日常を描くblogです。
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C81金曜東へ59bに出展し「見滝原で『労働』の話をしよう(ベータ版)」を頒布します!

弁護士法74条に基づく注記:「QB被害者対策弁護団」は、架空の都市、「見滝原町」において
活動する弁護団であり、現実の世界において法律相談その他法律事務を取り扱いません。

2013-06-02 刑訴ガール第1話〜病室での大激論〜司法試験平成24年設問1

[]刑訴ガール〜病室での大激論〜司法試験平成24年刑事訴訟法設問1 16:39 刑訴ガール〜病室での大激論〜司法試験平成24年刑事訴訟法設問1を含むブックマーク 刑訴ガール〜病室での大激論〜司法試験平成24年刑事訴訟法設問1のブックマークコメント

小説で読む刑事訴訟法―難解な刑事訴訟法を楽しく学ぶ入門書

小説で読む刑事訴訟法―難解な刑事訴訟法を楽しく学ぶ入門書



*謝辞 このエントリに対しては、公表後いろいろなところで取り上げていただきました。例えば朝ぷ様には

刑事訴訟法の判例集 : ASAP’s blog(基本書など)

という形で取り上げていただきました。また、野田隼人先生をはじめとする多くの方々から、大変重要なご指摘を頂き、そのご指摘を受けて改稿をさせて頂きました。本当にありがとうございました。しかし、まだまだ記述が不適切なところは残っていると思います。法科大学院生の方、学部生の方で、刑訴ガールを読んで判例や文献と照らして記述の適切性を確認して下さる方に対しては、お礼に(ご希望がある場合)新司の添削をさせて頂きますので、@ahowotaのツイッターアカウントまでリプ・DMを頂くか、もしくはronnor1あっとgmail.comまでメールを頂戴いただければと存じます(修習生、実務家の方に対しては、適切なお礼が思いつかず、言葉でお礼をすることしかできないのは大変申し訳ないですが、ご指摘をお待ちしております)。




憲法ガールの出版

憲法ガール

憲法ガール

に続く、ワクワクするニュースとして、新しく経済法ガールという企画が始まった。

経済法ガール

選択科目がなくなるという噂*1もあるものの、法学ガール好き&経済法クラスタの一員として、応援していきたい試みである。


さて、私も、商法ガールを、平成24年分まで公開することができたので、

三博士没後100周年記念企画「法学ガール」商法編目次 - アニメキャラが行列を作る法律相談所withアホヲタ元法学部生の日常


次のプロジェクトとして、昔から温かめて来た刑訴ガールの第一話を執筆してみた。*2ベーコンさんと約束した全科目網羅に向けて頑張って行くつもりである。


注:以下は、司法試験刑事訴訟法を題材に、架空の法科大学院を舞台としたフィクションです。法科大学院に行っても、刑訴ガールはいません。



プロローグ

うららかな春の午後。法科大学院の自習室にいた僕は、新緑の萌える外の景色に誘われ、眠気覚ましを兼ねてキャンパスを散歩することにした。法科大学院棟の建物を出た、そのタイミングで、何故か僕は、上を見上げていた。日差しが眩しかったからかもしれないし、無意識に何かを予感していたのかもしれない。


「パ、パンツ!?」


僕が見たのは、パンツ。しかも、クマさん柄の可愛いやつ。


次の瞬間、黒い靴、紺の靴下、スカートとセーラー服がチラリと見え、落ちて来たのが女の子であると分かる。なぜか、刑訴の授業で、ロビン先生が言った言葉が頭の中をよぎる。


『女の子が空から落ちて来た』なんていうことは現実にはあり得ません。そこで、その発言は『精神状態の供述』*3として、伝聞証拠にはあたりません」


そんなこと言っていたけど、やっぱり現実にあり得るじゃないか。



とか関係ないことを考えていたのが悪かったのだろう。重力は無情だ。その子を受け止める準備も何もできていないことなんて、何も配慮してくれない。上を見上げる体勢の僕と、落ちてくる彼女。



僕の顔に、ふわっとした何か柔らかいものが触れたと思った瞬間、僕は、そのまま後ろに倒れ、後頭部をしこたま打ち付けた。遠ざかる意識の中で、彼女が、


「顔で受け止める奴がどこにいるのよ! 不作為の強制わいせつ罪よ!」


と叫んだことだけを覚えている。


1.第1話 病室での大激論〜司法試験平成24年設問1

白い天井、白い壁、白いシーツに、白い布団、そして、白い床。


ここは、病院のベッドらしい。四方に壁が見えるから、これは一人部屋か。体に痛みはないが、手で頭を触ると、ごわごわしたネットと、その下の包帯の感触がする。そうか、女の子が空から落ちて来て、僕は...。


バシン!


大きな音を立ててドアが開き、中学生くらいのセーラー服の女の子が病室に走り込んで来た。その走り方が、ちょこまかとしていて、どことなく、リスに似ている。胸に、セーラー服に似合わない、金色のバッチが光っている。


僕の枕元にやってきた彼女は、ビシっという音を立てて、僕に向かって人差し指を突き出すと、


「あんたのせいで、あの後、警察に事情聴取されたり大変だったのよ。お詫びに、これから1年間、私の助手になりなさい!


そんな、突然言われても...。そもそも、助手って、何をするんですか?


天才女子高生弁護士、ひまわりちゃんの助手なんだから、刑事弁護の雑用ね。」


この子、ひまわりって言うのか。自称天才女子高生弁護士って、ちょっと頭の方が弱いのかもしれないなぁ。そもそも中学生にしか見えないし、特に胸が。


「人の気にしてることを指摘するなんて、侮辱罪よ! 私はれっきとした女子高生。今は予備試験*4があるから、女子高生でも弁護士になれるのよ。」


やっぱり気にしてたのね...。と思ったら、突然後ろに人影を感じた。


「本当にそうかしら? 侮辱罪は、公然性*5が要求されているから、不特定の人、または多数の人が認識できる状態で侮辱しなければ成立しないわよ。二人きりのところで侮辱したところで、侮辱罪は成立しないわ。」


同級生のリサさんがいつの間にか枕元にやってきていた。なぜか、白衣とナースキャップを被っているが、本業は、法科大学院生では...。にこにこと、天使のような微笑みを浮かべながら、口ではひまわりちゃんをあっさり論破していた。でも、リサさんがいたんだから、伝播性の理論により、侮辱罪が成立するのではないかなぁ


「そこのあなた、おだまりになって!」

「ちょっとそこ、だまりなさいよ!」


二人の声がハモる。


「まあいいわ。今時は、法科大学院生でも能力にバラツキがあるって言うじゃない。私が今担当してる案件を説明するから、 法律に照らして弁護方針を立てなさい。助手として相応しいか、確かめてあげるわ。」



弁護士が、依頼者の秘密を第三者にペラペラ話して、守秘義務に反しないのかなぁ。



「誰にでも公開している訳じゃないわ、あんただけに、特別に話してあげるだから、ありがたく思いなさいねっ!」



1 平成23年10月3日,覚せい剤取締法違反の検挙歴を有する者がH県警察I警察署を訪れ, 司法警察員Kに対し,「昨日(同月2日),H県I市J町にある人材派遣会社のT株式会社の社長室で,代表取締役社長甲から,覚せい剤様の白色粉末を示され,『シャブをやらないか。安くす るよ。』などと覚せい剤の購入を勧められた。自分は断ったけれども,甲は,裏で手広く覚せい 剤の密売を行っているといううわさがある。」旨の情報提供をした。そこで,司法警察員Kは, 部下に,T株式会社についての内偵捜査を命じた。同社は,H県I市J町○丁目△番地に平屋建 ての事務所建物を設けて人材派遣業を営んでおり,代表取締役社長の甲以外に数名の従業員が同 事務所で働いていることが判明した。また,司法警察員Kの部下が同事務所を見張っていたとこ ろ,かつて覚せい剤取締法違反で検挙したことのある者数名が同事務所に出入りしているのが確認できた。その後,司法警察員Kは,部下に,同事務所に出入りしている人物1名に対する職務質問を実施させたが,その者はこれに応じなかったため,司法警察員Kは,証拠隠滅を防ぐには, すぐにT株式会社に対する捜索差押えを実施する必要があると考えた。そこで,司法警察員Kは, 同月5日,H地方裁判所裁判官に,被疑者を「甲」,犯罪事実の要旨を「被疑者は,営利の目的で,みだりに,平成23年10月2日,H県I市J町○丁目△番地所在のT株式会社において, 覚せい剤若干量を所持した。」として捜索差押許可状の発付を請求した。これを受けて,H地方裁判所裁判官は,捜索すべき場所を「H県I市J町○丁目△番地T株式会社」,差し押さえるべき物を「本件に関連する覚せい剤,電子秤,ビニール袋,はさみ,注射器,手帳,メモ,ノート, 携帯電話」とする捜索差押許可状を発付した。



2 司法警察員Kらは,同月5日午後3時,T株式会社事務所に赴き,応対に出た同社従業員のW に対し,「警察だ。社長のところに案内してくれ。」と告げて同事務所に入り,Wの案内で社長室 に入ったところ,そこには,甲及び同社従業員の乙の2名がいた。司法警察員Kらは,甲に前記 捜索差押許可状を呈示した上で,捜索に着手し,同社長室内において,電子秤,チャック付きの小型ビニール袋100枚,注射器50本のほか甲の携帯電話を発見してこれらを差し押さえた。 捜索が継続中の同日午後3時16分,T株式会社事務所に宅配便荷物2個が届き,Wがこれを受領した。同宅配便荷物は,1個が甲宛て,もう1個は乙宛てであったが,いずれも差出人は「U株式会社」,内容物については「書籍」と記載されていた上,伝票の筆跡は酷似し,外箱も同じであった。Wは,これを社長室に届け,甲宛ての荷物を甲に,乙宛ての荷物を乙に渡し た。甲は,手に持った荷物に貼付されていた伝票を見た後,乙の顔を見て,「受け取ってしまったものは仕方がないよな。今更返せないよな。」などと言い,この荷物を自分の足下に置いた。 これに対し,乙も,甲の顔を見ながら,「そうですね。仕方ないですね。」などと言い,同じく, 受け取った荷物を自分の足下に置いた。このやり取りを不審に思った司法警察員Kは,甲及び乙に,「どういう意味か。」と聞いたが,甲及び乙は,いずれも,無言であった。 司法警察員Kは,差し押さえた甲の携帯電話の確認作業を行ったところ,丙なる人物から送信された「ブツを送る。いつものようにさばけ。10月5日午後3時過ぎには届くはずだ。二 つに分けて送る。お前宛てのは,お前1人でさばく分,乙宛てのは,お前と乙の2人でさばく分だ。10日間でさばき切れなかったら,取りあえず送り返せ。乙にも伝えておけ。」と記載されたメールを発見した。さらに,司法警察員Kは,甲から乙宛てに送信した「丙さんから連絡があった。10月5日午後3時過ぎには,新しいのが届く。2人でさばく分も来る。その日, 午後3時前には社長室に来い。ブツが届いたら2人で分ける。」と記載されたメールを発見するとともに,乙から送信された「分かりました。その頃に社長室に行きます。」と記載されたメールを発見した。この間,司法警察員Kが,伝票に記載されていた「U株式会社」の所在地等について部下に調べさせたところ,その地番は実在せず,また,電話番号も現在使用されていな いものであることが判明した。 このような経緯から,司法警察員Kは,これらの宅配便荷物2個には,いずれも,覚せい剤が入っていると判断し,甲及び乙に対し,それぞれの荷物の開封を求めた。しかし,甲及び乙 は,いずれも,「勘弁してください。」と言い,その要請を拒否した。その後も司法警察員Kは, 同様の説得を繰り返したが,甲及び乙は応じなかった。 そこで,司法警察員Kは,同日午後3時45分,乙宛ての荷物を開封した[捜査1]。その結果,荷物の中から大量の白色粉末が発見された。次いで,司法警察員Kは,甲宛ての荷物を開封したところ,こちらからも乙宛ての荷物の半分くらいの量の白色粉末が発見された。司法警察員Kは,これらの白色粉末は覚せい剤だと判断し,甲及び乙に,「これは覚せい剤だな。売るためのものだな。覚せい剤かどうか調べさせてもらうぞ。」と言った。これに対し,甲は,「ばれてしまったものは仕方がない。調べるなり何なり好きにしていい。」と言い,乙も,「仕方ないな。俺宛てのものも調べてもいい。」などと言った。そこで,司法警察員Kは,部下に命じて, 各荷物に入っていた白色粉末が覚せい剤か否か試薬を用いて調べさせたところ,いずれも覚せい剤である旨の結果が出たことから,同日午後3時55分,甲及び乙を,いずれも営利目的での覚せい剤所持の事実で現行犯逮捕し,それぞれに伴う差押えとして,各覚せい剤を差し押さ えた。


3 司法警察員Kは,甲及び乙による覚せい剤密売の全容を明らかにするためには,乙の携帯電話や手帳等を押収する必要があると考え,乙に対し,これらの所在場所を確認したものの,乙は無言であった。そこで,司法警察員Kは,甲にも確認したが,甲は,「さあ,どこにあるか知らない。隣の更衣室のロッカーにでも入っているんじゃないの。でも,更衣室もロッカーも,社長の俺が管理しているけど,中の荷物は乙のものだから,乙に聞いてくれ。」などと言った。これを受けて,司法警察員Kが,乙に対し,ロッカーの中を見せるよう求めたところ,乙は,「俺のものを勝手に荒らされたくない。」と述べて拒否した。 そこで,司法警察員Kは,乙に対する説得を諦め,部下を連れて社長室に隣接している更衣室に入った。乙と表示のあるロッカーは,施錠されていたことから,司法警察員Kは,乙に対し,鍵を開けるよう言ったが,乙は応じなかった。そのため,司法警察員Kは,同日午後4時20分,社長室の壁に掛かっていたマスターキーを使って同ロッカーを解錠し,捜索を実施した[捜査2]。同ロッカーには,乙の運転免許証が入った財布が入っており,乙のロッカーであることは確認できたものの,差し押さえるべき物は発見できず,司法警察員Kらは捜索を終了 した。

平成24年司法試験刑事系(http://www.moj.go.jp/content/000098337.pdf)より



「あらあら、大変そうな事案ね。あなたは誰の弁護人をやっているの?」


「甲よ*6。さあ、この間、甲は覚せい剤の営利目的所持で起訴されたばかりなんだけど、あなたなら、弁護人として、どう主張する?」


被告人

第1 営利の目的で,みだりに,平成23年10月5日,H県I市J町○丁目△番地T株式会社社長室において,覚せい剤である塩酸フェニルメチルアミノプロパンの粉末100グラムを所持し

第2 乙と共謀の上,営利の目的で,みだりに,同日,同所において,覚せい剤である塩酸フェニルメチルアミノプロパンの粉末200グラムを所持し

たものである。


基本的には、証拠は上がっていて、被告人自身も「ばれてしまったものは仕方がない。」と自白している以上、問題は情状なのだろう。300グラムは多いけど、甲は丙から携帯メールでの指示を受けている立場であって、従属的な関与に過ぎない。しかも、捜査に非協力的な乙と異なり、捜査にも協力しており、情状上有利に斟酌すべき、こう論じれば完璧だな。



「何馬鹿なこと言ってるの? 弁護人なんだから、被告人の有罪を前提に検討するんじゃなくて、まずは、被告人が無罪、ないしは、もっと軽い罪にならないかを検討するのがスジよ。」


そ、そんな眼を三角にして言わなくても。と思ったら、リサさんが加勢してくれた。


「あら、被告人の希望を聞くのが弁護人ではなくって?「新60期司法修習生考試における不可答案の概要*7」では、被告人が一貫して犯行を否認しているのに、アリバイ主張をしなかったり、被告人のアリバイ供述を信用できないとした答案が不可になっているわよね。 」


「無罪主張の被告人に対する有罪主張と有罪を自認する被告人に対する無罪主張は違う話よ。捜査手続を検証して、そこに違法があれば、徹底しそこに突きかかって依頼者の利益を守る、これが刑事弁護人の仕事よ。依頼者が認めていても、法律論で無罪を取る事も可能。戦略は被告人に十分説明して納得を得るべきだけど、被告人が事実を認めていても、無罪にならないかという方向の検討をすることが、むしろ弁護人に求められているわ。」



そっか、捜査の違法があれば、違法収集証拠として証拠排除を求められるのか。



「今気づいたの? 本当に馬鹿なんだから、しょうがないわね。例えば、うまく覚せい剤を違法捜査を理由に証拠から排除させれば、無罪も見えてくるわ*8。」



「あらあら、本気で無罪を取るつもりなのね。違法収集証拠の排除にはいろいろなハードルがあるけど、そもそも今回の捜査は、違法捜査なのかしら? まあ、お手並み拝見ということね。」


僕のお手並みを拝見するためのテストのはずが、いつの間にか、ひまわりちゃんのお手並みを拝見する話になっている、ような...。



「まずは、覚せい剤について考えてみなさい。令状はあるの?」



司法警察員Kらは、捜索差押許可状を取ってT株式会社の捜索をしている。令状は、罪名(219条1項)、差し押さえるべき物(219条1項)、「捜索すべき場所、身体若しくは物」(219条1項)が必要であるところ、罪名も記載されており*9、対象は特定されていて*10、「H県I市J町○丁目△番地T株式会社」と、差押え場所が明示されている*11。そして、有効期限内に、明示された差押え場所で、通常その場所で管理利用されることが想定される物*12について、明示された「覚せい剤」を捜索して差押さえているのだから、この捜査は適法ということになるだろう。


捜索差押許可状*13
被疑者の氏名甲 昭和某年某月某日生
被疑者に対する覚せい剤取締法違反被疑事件について、下記のとおり捜索及び差押えをすることを許可する。
捜索すべき場所、身体又は物H県I市J町○丁目△番地T株式会社
差し押さえるべきもの本件に関連する覚せい剤,電子秤,ビニール袋,はさみ,注射器,手帳,メモ,ノート, 携帯電話
有効期間平成23年10月9日まで
有効期間経過後は,この令状により捜索又は差押えに着手することができない。この場合には、これを当裁判所に返還しなければならない。有効期間内であっても、捜索又は差押えの必要がなくなったときは、直ちにこれを当裁判所に返還しなければならない。
平成23年10月2日
H地方裁判所 裁判官 某
請求者の官公職名司法警察員K


「あらあら、先が思いやられそうね。」



「全く、本当に無能なんだから。困ったわね。ここは、ひまわりちゃんが、大サービスしてヒントを出してあげるわ。捜査1には、甲宛ての覚せい剤にも、乙宛ての覚せい剤にも共通の問題が1つと、乙宛ての覚せい剤だけに特有の問題が2つあるわ。」


ひまわりちゃんって、口が悪いけど、実は優しいのね。もしかして、彼のことが好きとか? 」うふふっと、上品に笑うリサさん。


「そ、そんな訳ないでしょ! そんな、人聞き悪いこと言わないで頂戴!お嬢様系毒舌女のことは気にしちゃだめよ。さあ、問題点はどこ?」狼狽が顔に出ているひまわりちゃん。


めっさ気にしてるのは、ひまわりちゃんの方だと思うのだけど、まあいいや、甲の覚せい剤と乙の覚せい剤とで共通しているのは、どちらも、捜索開始後に宅配便で到着したものだ、ということかな。



「生の事実の指摘としてはそれでいいけど、法律家なんだから、それを法律的に評価しなさい。捜索開始後に宅配便で到着したことが、捜査の適法性との関係でどう問題になるの。」


令状は、被処分者に呈示する(222条、110条)必要があるところ、その趣旨は、何について捜索・差押えされるかを知らしめ、手続の公正を担保し、処分を受ける者の人権に配慮するところにあるところ*14呈示段階でT社社屋内に存在する覚せい剤等について捜索・差押されると告知した以上、その後にT社社屋内に運び込まれた覚せい剤を差押えるのは不意打ちであって、呈示を要求した法の趣旨に反するってことかな。


「あんたにしては、まあまあのできね。令状呈示は、憲法35条の要請という学者もいるくらいで、重要なものよ*15。じゃあ、この点について、どう考える。」


捜索開始後わずか16分のことだから、誤差の範囲ってことでいいような気もするのだが...。


「あらあら、実務家は、『判例をはしごにして論じる』って、憲法ガールにも書いてなかったかしら。」


「最判平成19年2月8日刑集61巻1号1頁を意識した論述ができなければ、実務家失格よ。実務家の卵の司法試験受験生すら、ほぼ全員が書けたらしいのだから*16。」



そうか、最高裁は捜索開始から50分ほど経過した後に宅配荷物が届いた件で、これを捜索する事を是認している。この趣旨は、捜索差押許可状の有効期間内にはいつでも捜索・差押えが可能なところ、わずかに捜索開始が早かったというだけで、捜索・差押えができなくなるのは不当であることであるところ、本件では、捜索開始後わずか16分であり、まさにその趣旨があてはまる、こう論じればいいのか。



「裁判官は、『正当な理由』つまり、被疑事実に関連する証拠等が対象空間に存在する蓋然性がある場合に令状を発付*17するんだったわね*18。捜索差押許可状の有効期間というのは、少なくとも、その期間内なら被疑事実に関連する証拠等が対象空間に存在する蓋然性があると裁判官が認めたという意味とも読めるわね。そうであれば、捜索差押許可状の有効期間内に運び込まれたものは令状の対象になっているという議論もできそうだわね*19。」



後は、乙の荷物特有の問題2つだったよね。まずは、甲が管理権を持つT社社屋内*20にあるといっても、乙宛ての荷物であって、乙の管理下にあるのだから、T社社屋を対象とする令状ではダメじゃないか、という問題はどうかな。



「それで、その点について、あなたはどう思うのよ。」


ここは難しいけれど、憲法35条は、重要な強制処分について、裁判官が強制処分の執行を行うだけの要件(「正当な理由」の有無)を予め判断した上で、なしうる処分の内容を明示した令状を発付し、この令状の枠内で捜査機関が強制処分を執り行うというシステムを採用している*21。そして、同条2項は「捜索又は押収」は、捜索すべき場所を特定・明示した「各別の令状」によって行う旨を定め(一般令状の禁止)、捜査機関の権限濫用を防いでいる*22。このような憲法35条2項の趣旨から*23は、少なくともその特定された場所が、空間的にみて単一であること、換言すれば、その場所の管理権が単一であることが必要である*24。そこで、この令状は、あくまでも、甲が管理するT社社屋についての捜索を認めたに過ぎないのだから、甲の管理が及んでいる部分しか捜索は許可されていないと解するべきだろう。そして、今回は、乙宛ての荷物で、乙の足下という乙の管理下にあるから、甲の管理が及んでいるというのは難しいのではないかなぁ*25



「あらあら。乙のものか甲のものかという大上段の議論に拘泥すると、『事案に迫る』ことにはならないわ。本件における甲と乙の関係を意識して検討してご覧なさい。」



乙宛てとはいえ、乙の家に届いたのではなく、甲の管理支配するT社社屋で受取っており、また、丙は「乙宛てのは,お前(注:甲)と乙の2人でさばく分だ」とメールしているところ、甲が、「ブツが届いたら2人で分ける」と乙にメールをし、それに対し、乙は「分かりました」と回答していることから、甲が乙宛ての荷物の管理・支配を委ねられているとうかがえる。このような事情からは、本件では、当該荷物が甲の管理下にあったと認定できる。



「弁護人としては、嫌な結論だけど、まあ、しょうがないわね。最後にもう1つ、弁護人らしい良い主張を考えなさい!


う〜ん。これ以外に主張が思いつかない。もう、これで捜索・差押えは適法でいいのではないだろうか。荷物の開披自体は、令状の効力といってもいいし、必要な処分(222条1項、111条)といっても良いだろうが、問題ないという結論自体は争いないだろうから。



「あんた、そんなのも分からずに、弁護士助手になれると思ってるの?司法試験なんて言わずに、事務職員能力認定試験からやりなおしなさい*26! そもそも、今回の被疑事実は何?」


覚せい剤取締役法違反


「それは、捜索差押許可状にそう書いているだけでしょ!」ひまわりちゃんの非難のトーンが一段上がる。


「あらあら、法科大学院生レベルだと、誤解している人も多いのよ。逮捕状と異なり捜索差押許可状に被疑事実の要旨を記載する必要がない*27のは、第三者に令状が呈示されることが少なくないから、被疑者の名誉やプライバシーを保護するために罪名だけでいいことになっているのであって、令状発付*28は具体的な被疑事実を基礎としなければいけないのよ*29。今回でいうと、被疑者(注:甲)は,営利の目的で,みだりに,平成23年10月2日,H県I市J町○丁目△番地所在のT株式会社において,覚せい剤若干量を所持した。 』ね。」


捜索差押検証許可請求書*30
平成23年10月2日
H地方裁判所 裁判官殿
I警察署 司法警察員K
下記被疑者に対する覚せい剤取締法違反被疑事件につき、捜索差押許可状の発付を請求する。
1.被疑者の氏名甲 某年某月某日生(某歳)
2.差し押さえるべき物本件に関連する覚せい剤,電子秤,ビニール袋,はさみ,注射器,手帳,メモ,ノート, 携帯電話
3.捜索し又は検証すべき場所、身体若しくは物H県I市J町○丁目△番地T株式会社
4.7日を超える有効期間を必要とするときは、その期間及び事由
5.日出前又は日没に行う必要があるときは、その旨及び事由
6.犯罪事実の要旨被疑者は,営利の目的で,みだりに,平成23年10月2日,H県I市J町○丁目△番地所在のT株式会社において,覚せい剤若干量を所持した。


リサさんも同じ法科大学院生だと思うのだが。いずれにせよ、リサさんのアドバイスに従うと、仮に管理権が同一でも、乙の荷物の中に甲の営利目的所持に関連する証拠が存在する蓋然性があるのかという問題が生じるなぁ*31


「そこよ。Kは、乙宛ての荷物を捜索しているけれども、乙宛であって、かつ、携帯メールの内容を前提としても、今日乙がはじめて所持するに至ったこの荷物の中に、甲の単独犯を内容とし、かつ、それが10月2日における所持という過去の被疑事実に関連性のある証拠が存在する蓋然性はない、ないしは極めて低いわ。そうすると、そもそも、Kは乙宛ての荷物を捜索すべきではなく、その中の覚せい剤の差押えもまた不適法。この違法は重大で、将来の違法捜査の抑制の必要性も高いから、は証拠排除すべき。これで、併合罪2つのうちの、より重い方の1つが飛ぶ*32。」


「あらあら、ひまわりさんは、被疑事実が営利目的所持だったことを忘れていらっしゃるのではないかしら。丙のメールと、荷物の到着時間、そして、発送者とされるU社の地番が存在せず、電話番号も使われていないことを総合すれば、乙の荷物は丙の発送した覚せい剤であり、これを甲と共同で所持している可能性が高いわね。所持する覚せい剤の分量が多いことは、営利の目的を強く示唆する事実であるところ、携帯の履歴や覚せい剤常習者らしい人の出入り、小分け販売用とおぼしき道具の存在等から被疑事実は甲と乙が共謀して行う常習的犯行の一環と疑われるのだから、被疑事実の日時後の乙との共同所持であっても、その量が多いことは、過去の所持の営利性を推認させる。そうすると、関連性があることは疑いようがないわ*33。」


「あなた、検察官のようなことを言うわね。」



「私は検察官ではないわ。検察官志望の一法科大学院生よ。」リサさんは、満面の笑みを浮かべた。


「もう、それならいいわ。他にもう1つ重大な違法があるから、こっちで逆転よ! さあ、指摘しなさい!」



う〜ん、乙のロッカーを無理矢理開けた(捜査2)けど、空だったから、そもそも関連性がなかった、とかかなあ。



「あらあら、捜索しても結果的に証拠が見つからなかったというだけで、捜索が違法になるのだったら、捜査なんてやってられないのではなくて。捜査は流動的で、事実関係が曖昧な段階に行われるのだから100%証拠があるといえなくても、関連性がある証拠の存在の蓋然性さえあれば捜索は可能なはずよ。」


そうすると、甲乙は(200グラムの所持だけではなく)被疑事実に関しても共謀していることが疑われるところ、乙の携帯電話や手帳等にも被疑事実に関する記載等がある蓋然性があるし、200グラムの覚せい剤の所持自体も被疑事実に関連するのは捜査1と同様。そして、甲が、乙の携帯電話や手帳等がどこにあるかという質問に対し、「隣の更衣室のロッカーにでも入っているんじゃないの。」と答えており、また、乙もかたくなに拒否しているところ、その態度は、覚せい剤入り荷物に対する態度と似ている。そこで、乙の携帯電話や手帳等の被疑事実と関連性のある証拠が存在する蓋然性はあった、こういうことか。



「まだ終わってないわよ。乙が大切に鍵をかけてるロッカーなんだから、管理権は違うわ。」


確かに、ロッカー自体は備え付けの机や戸棚と同様通常その場所で管理利用されることが想定される「物」ではある*34ものの、そのロッカーに乙が鍵をかけてしまっているのだから、管理権は乙にあって甲にはないという議論が可能だろう。


「あら、マスターキーが甲のところにあるというのは、甲の管理下という意味ではなくて?」


「労働事件で、関西電力事件(最判平成7年9月5日労判680号28頁)があるわ。会社側の人間が、従業員のロッカーを無断で開けて私物である「民青手帳」を写真に撮影したことを違法なプライバシー侵害としたわ。鍵付きロッカー内の私物のプライバシーについては、そのロッカーが存在する場所の管理権とは別異に解するのが相当よ。リサさんはマスターキーというけど、例えば、アパート・マンションの管理人が各部屋のマスターキーを持っていることは多いけど、一般にはマスターキーの有無を問わず部屋毎に管理権が成立すると解されていることからも、この結論を支持するわ。」


刑事事件で労働法の判例も使うんだ...。


「労働法でも、国際条約*35でも、使えるものはなんでも使うのが刑事弁護人よ。これで、違法は確定ね!」


「でも、これは、逮捕に伴う捜索差押(220条1項2号)として適法になるのではないかしら。」


そうか、乙は現行犯逮捕されており、丙から甲へのメールや、甲の乙宛てのメールからは、乙の携帯電話や手帳は200グラムの覚せい剤の所持自体に関連する証拠と言える。そして、先ほど述べた理由でそれがロッカー内に存在する蓋然性が高いところ、必要な処分(222条1項、111条)としてロッカーをマスターキーで開けて無令状「捜索」することは適法、となる。



「本当に『逮捕の現場』での捜索といえるのかしら? 逮捕された社長室ではなくて、更衣室で捜索が行われている。しかも、捜索の対象は、乙のロッカーであるところ、逮捕された場所は甲の管理権が及ぶ場所なのに対し、捜索の対象は乙の管理権が及ぶところよ。」敗色濃厚になったひまわりちゃんは、いつもに増してヒステリックに叫ぶ。


「あらあら、ひまわりさん、落ち着きなさって。東京高判昭和44年6月20日(高刑集22巻3号352頁)は、ホテルの待合室、つまり、ホテルの管理権下の場所で逮捕後、ホテルの宿泊部屋、つまり、被逮捕者の管理下の場所の無令状捜索をした事案において『時間的、場所的な距りがあるといつてもそれはさしたるものではない』ことや『検挙や困難で、罪質もよくない大麻取締法違反の事案であること』等、『逮捕の現場』を逮捕後諸事情や、逮捕後の時間の長短、罪質次第で変化する相対的な概念として捉えて*36これを適法としているわ。本件では、罪質が大麻取締法以上に組織的・密行的で検挙が困難な覚せい剤取締法違反であり、逮捕の25分後に、逮捕場所である社長室の隣で、乙の管理するロッカーの中を捜索するのは、なお『逮捕の現場』と言えるので、同様に適法といえそうね*37。」


「仮に逮捕に伴う無令状捜索差押えとして適法でも、捜査機関は、令状での捜索をしていたと解すべきだから、この捜索も、令状による捜索とみるべきよ。」


「あらあら。そもそも、捜査機関は必ず捜索・差押え調書を作っている*38から、調書の記載から逮捕による無令状捜索・差押えを根拠としているのか、令状による捜索・差押えを根拠にしているかは分かるはずよ。まさか、開示証拠になかったからといって、証拠開示を求めていないなんてことは、ないでしょうね*39。」


「これから、すぐ開示請求するもん!」ひまわりちゃん、すねた。


「もし、調書上、令状による捜索・差押えを根拠にしている場合でも違法収集証拠排除法則は働かないわ。逮捕による無令状捜索の形式を取っていれば適法だった以上、単に形式を間違えただけで、違法は重大じゃないし*40、何より、本丸の覚せい剤は差押え済みであって、その後の無関係なロッカーに関する手続の違法は、覚せい剤の違法に影響しない*41。第一、違法収集証拠排除法則は謙抑的に運用されるべきよね。本当に悪い事をした人が処罰を免れるのでは、刑事手続への国民の信頼はどうなのかしらね。」


「捜査機関に与えられた権限は巨大かつ濫用の虞れが極めて強いものよ。このことは、冤罪の歴史が語っているわ。これを抑制するために、違法収集証拠の排除は不可欠だし、冤罪の温床であり、かつそれ自体が人権侵害でもある違法捜査があっても、被告人を有罪にしていいという方が、むしろ国民の刑事手続への信頼を害するわ。」


僕のレベルではもう二人の議論についていけないが、熱血刑事弁護人のひまわりちゃんと、検察官志望のリサさん。二人の白熱した討論を聞く中で、刑事訴訟法が「生きている」ことを感じた


まとめ

法学ガール

数学ガールから、法学ガールへ〜「文系にとっての最強の萌え」は?! - アニメキャラが行列を作る法律相談所withアホヲタ元法学部生の日常

を平成23年に提唱*42してはや2年。その間に、憲法ガールや経済法ガール等、法学ガール」の輪がどんどん広がって行くことに感動しております。

刑訴ガールも、その1つとして、暖かく見守って頂けるとありがたいです。

*1:「法科大学院教育との連携や,司法試験受験者の負担軽減を考慮し,司法試験の論文式試験の選択科目を廃止する。」座長試案(http://www.moj.go.jp/content/000111349.pdf

*2:次は、民訴、刑法、民法、そして環境法、労働法、倒産法、国際私法、国際公法、租税法と

*3:この論点は、いわゆる「アンドロメダの帝王」で有名だが、心理状態(精神状態)の供述という説明ではなく、供述の存在自体を情況証拠として主要事実の推認に供する場合という類型の1つとする見解もある。リークエ350頁参照。(誤記、訂正させていただきました。ありがとうございました。)

*4:平成23年には1人高校在学中に予備試験短答を突破した人がいる。(http://www.moj.go.jp/content/000080863.pdf

*5:『刑法第231条  事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。』

*6:この結果、乙からの覚せい剤押収手続の違法については、甲は主張できないのではないか、という問題が生じる。この点、第三者の申立適格については、一定の要件の下で認めるのが通説だと思われる(最判平成7年2月22日参照)ものの、本件でもこの点は論点になり得るだろう。ご指摘を踏まえ、加筆させて頂きました。

*7http://www.moj.go.jp/content/000098337.pdf

*8:なお、薬物そのものが証拠とできない場合の捜査側の対応については神垣清水「実践捜査問答」参照参照。

*9:なお、覚せい剤取締法のような特別法については、罪名として法令名のみを記載するのが実務であるものの、覚せい剤営利目的所持等の犯罪の一般的名称または罰条の記載が必要という見解も有力である。例えばリークエ113〜114頁参照。

*10:これが「一切の文書及び物件」といった記載であれば、有名な最決昭和33年7月29日刑集12巻12号2776頁の問題が生じる。

*11:単一の管理権という話については、後述

*12:「ある場所に存在する物は、通常はその場所において管理・利用されるものと推定してよ(い)」リークエ120頁参照

*13:当初は池田・前田174頁に従っていたものの、こちらの記載例が一般的ではないというご指摘を受け、訂正いたしました。ありがとうございます。

*14:最決平成14年10月4日刑集56巻8号507頁

*15:ただし、否定する見解が比較的有力、リークエ115頁

*16:採点実感参照

*17:誤字、訂正させて頂きました。ありがとうございました。

*18:リークエ109頁参照

*19:捜索実施中に他の場所から捜索すべき場所に持ち込まれた物について捜索を行ったとしても通常は、新たな住居権・管理権の侵害を生じるものではなく新たな令状を必要とする理由はないと考えられるという議論もあるだろう。また、令状の呈示を根拠とする反対説に対しては、令状の呈示という行為自体に,呈示の時点に捜索場所に存在するものに許可状の効力を限定するという機能は存在しない。このことは,処分を受ける者が不在のときは,令状を示さずに執行に着手することができるとされていることからも明らかと思われるという反論ができるだろう。平成19年最判判タ匿名解説(判例タイムズ1250号85頁)参照。

*20:なお、財産権の保護といった趣旨からは、管理権をT社に認めるべきといった議論もあり得るところであり、甲とT社を同一視した議論を当然にとれるものではないことに留意が必要であろう。

*21:緑「刑事訴訟法入門」67頁

*22:リークエ43頁

*23:管理権の単一性を基準とすべきことが憲法35条2項の趣旨とした下級審裁判例として、佐賀地決昭和41年11月19日判タ200号186頁参照

*24:リークエ115頁。なお、このことを明示した裁判例として、盛岡地決昭和41年12月21日判時478号80頁

*25:ご指摘を受け、暫定的に改訂しました。より良い記述を模索中です。

*26http://www.nichibenren.or.jp/news/year/2013/130507.html参照。なお、事務職員能力認定試験は意外と難しいぞ。過去問を解いてみよう。

*27:219条と200条を対比してみよう!

*28:誤字、訂正させて頂きました。ありがとうございました。

*29:リークエ113頁

*30:ご指摘を受け、追加いたしました。

*31:ご指摘を受け、表現を訂正させていただきました。ありがとうございます。

*32:ここも記述の曖昧性をご指摘頂き、訂正させて頂きました。ありがとうございます。

*33:なお、関連性は実務上広く解されており、当該被疑事実の直接証拠・間接証拠はもちろん、情状に関する証拠や背景事情に関連する証拠も含めて緩やかに関連性が認められている。リークエ121頁、最判昭和51年11月18日判時837号104頁参照。この項目も、ご指摘を受け、訂正いたしました

*34:つまり、鍵がなければ、問題なく令状の効力として差し押さえられる可能性が高い。

*35

参照

*36:このような評価をするものとして緑大輔「刑事訴訟法入門」129頁〜131頁。なお、「最高裁が同じ判断枠組みを採用しているか否かは別論です」との指摘にも留意が必要。

*37:例えば、いわゆる相当説のうち、逮捕現場管理権が同一の範囲に限定する見解(リークエ131頁参照)を前提とすると、逮捕現場である社長室(甲の管理)と管理権が同一である「更衣室」の捜索一般は許されるが、乙のロッカーの管理権者は乙と解すると、乙のロッカーの捜索は許されないことになるだろう。答案では、この見解をそのまま書いても合格点がつくと思われる。これに対し、結論として無令状捜索を適法とする場合には、本文の記述のような昭和44年東京高判に乗った議論をすることが考えられるが、このような議論に対しては、昭和44年東京高判は救済判例の色が濃く、「学説では、緊急処分説・相当説のいずれの立場においてもこれを疑問視する見解が多い」(リークエ131頁)とされていること、及び昭和44年東京高判では被逮捕者が案内したという事情があり、本事案と同判決の事案が異なると見ることもできる等から、異論もあるところであろう。以上、ご指摘を受けて、補足させて頂きました。

*38:犯罪捜査規範149条1項、151条1項、110条2項

*39:この部分は、原記述が誤解に基づくものでした。ご教示頂き、ありがとうございました。

*40:なお、これは検察官が大好きな議論であって、弁護人は、この議論を反駁して戦っていかなければならない。

*41:なお、この問題に興味がある方は、最判平成15年2月14日刑集57巻2号121頁の事案において、捜査官が虚偽と思われる証言をしている等の捜査後の事情がどのように影響しているかを検討してみると面白いかもしれない。田口守一ほか「《座談会》排除法則の現状と展望」現代刑事法第5巻11号参照

*42:なおこの言葉を最初に使ったのは私ではなく、調べた限り2011年2月27日にこんなツイートをされた方もいらっしゃいますね。

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