著者の「わおっ!」に耳を澄ます


 普通の仕事をほんの少し超える「何か」が、川田さんにとっての「レベル11」。例えば宿泊客である著者の依頼で、ズボンプレッサーを部屋に持参した帝国ホテル大阪のポーターが、ドア前で自身の靴を脱いで部屋に入ってきたことが、一例として紹介されている。


 しかし何よりも、多種多様な職場で「レベル11」を見つける度に、「わおっ!」と心を躍らせている著者の笑顔が行間から立ち上がってくる。それが読み手の口角まで引き上げてもくれる。50代になられてもそんな心を育まれていることに、改めて驚かされる。「仕事の最終的な目標は人間的成長」と信じる営業職の生き方が凝縮されている。一案として、巻末の『「おわりに」にかえて』から読まれることをおすすめしたい。