rosa8719の今日もご機嫌

59才で2回目の乳がんに。息子二人は独立し夫と二人暮らし。一日一日をご機嫌に。

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数日前、がん患者の就労支援についてニュース等で取り上げられていたのを見た。

がん患者の就労支援を考える

1月28日 20時26分


がん患者が仕事を続けるための支援の在り方について考えるシンポジウムが東京で開かれ、治療と両立できる環境を整える社会的な取り組みが必要だ、といった意見が出されました。


このシンポジウムは、がん患者の就労をテーマにしている厚生労働省の研究班が開いたもので、がん治療にあたる医師や企業に勤める産業医などが参加しました。


研究班のメンバーで、みずからもがんで闘病している鈴木信行さんが、がん患者やその家族を対象にしたアンケートの中間結果について報告しました。


この中で鈴木さんは、がんの治療中や治療のあとに退職や人事異動を経験した人は全体の37%に上り、このうち3分の1は会社の指示によるものだったことを明らかにしました。


これに対し参加した人たちからは、企業側の配慮があれば働ける患者が多いのに理解が進んでいないという指摘や、仕事と治療を両立できる環境を整える社会的な取り組みが必要だといった意見が出されていました。


研究班の代表を務める獨協医科大学の高橋都准教授は「がんになっても働くことができる人が多いことが十分に理解されていない。がんについての正しい情報を広めることが重要だ」と話していました。

NHK NEWS WEBより引用

「がん患者でも働きたい」そう思う人はきっと多いと思う。それなのに、現実的には40%近くの人が依願退職したり解雇されたりしているのだそうだ。

自分が乳がんだとわかった時、私は仕事を辞めようなどとはまったく思わなかった。まぁ、仕事とは言っても、1日5.5時間、月に20日勤務のパートである。正社員ほどの責任はないけれど。

当時、長男が大学一年生、次男が高校三年生。2人とも大学に進学予定だったので、一番お金が掛かる時期だった。職場の環境も良く、仕事も楽しかったので、辞めるという選択肢は私にはなかった。

入院の前後3週間仕事を休ませてもらって、放射線治療中の5週間は一時間早く帰らせてもらった。仕事帰りに治療に通い、買い物をして帰る日々。忙しかったが何とか乗り越えることが出来た。

その後、追加検査の結果、抗がん剤ハーセプチンの治療を受けることに決まり、この時はさすがに悩んだ。抗がん剤の副作用による脱毛の時期を乗り越えられるだろうか?と。

夫は京都に単身赴任中で月に1度帰宅出来るかどうか。お互いの実家も遠いので、頼れるのは自分だけ。まぁ、家事に手が回らなくても、次男と二人ならさぼっても大丈夫かな、なんて。

人間、必死になれば何とかなるものである。何とかなった(笑)。「働きたい」という思いの方が強くて必死だったのかも知れない。

抗がん剤の副作用でボーッとしていた時期もあり、その中で仕事をいつもどおりに続けることが、とても大変に感じられたこともあった。しかし、副作用で苦しいのは一週間程度なので、それを過ぎればほぼ平常通りの仕事はこなせるのだ。副作用については個人差が大きいので、あくまでも私の場合、である。

そして、抗がん剤は「投与してみなければ副作用の出方はわからない」と言われていたので、見切り発車というか、出たとこ勝負のような感じだった。

「仕事を続けながら治療を受けられてる患者さんも大勢いますよ。」と、治療前に看護師さんには言われていたが、いざ始めてみると、「仕事続けながら抗がん剤?ウッソー、信じられない!」「私は休職中よ。」「私は6年勤めていたパートを辞めたわ。」などという人の方が多かった。

でも、私は仕事を続けていて良かった、と思う。体力的に衰えなかったこと、気持ちが前向きに保てたこと、金銭面での不安がないこと。そして、周りの人たちに、「癌の治療を続けながらでも働けるんだ」というイメージを与えられたこと。

そして、それは周囲の援助があったからこそ出来たのだと思う。仕事面ではパート仲間が出来ない部分をカバーしてくれて、店長は解雇などせずに温かく見守ってくれた。心から感謝している。

店長の異動が決まり、その送別会の席で、「乳癌になった私を、辞めさせることもなくそのまま使っていただいて、本当にありがとうございました。」とお礼を言ったら、店長まで涙ぐんでいた。

今、日本のどこかで、抗がん剤治療のために仕事を辞めようかどうしようか、と悩んでいる人が居たらこう言ってあげたい。
「治療を受けながら仕事を続けてみたら?もしひどい副作用が出て、どうにもならないくらい辛くなったら、その時にまた悩めばいいよ。」と。

1人ひとりが治療を受けながら仕事を続けていく姿を見せる。「がんと一緒に働けるんだ。」というイメージを与える。勇気を持って一歩踏み出してもらいたいな、と思う。

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