rosa8719の今日もご機嫌

59才で2回目の乳がんに。息子二人は独立し夫と二人暮らし。一日一日をご機嫌に。

「食品の裏側」を読んだ

食品添加物の専門商社に勤めていて、添加物を売りあるくセールスマンだった、安部司さんの「食品の裏側」を読んだ。

暗い土色の原料タラコが添加物の液に一晩漬けるだけで、ピンクのプリプリのタラコに変貌する。ベージュ色のシワシワ干し大根も一晩添加物に漬けると、きれいな真っ黄色のポリポリたくあんになる。

大学で化学を専攻した安部さんはトップセールスマンとなり、「歩く添加物辞典」「食品添加物の神様」と呼ばれるまでになり、加工業者や職人さんたちから、相談事がどんどん持ち込まれるようになった。

人生のターニングポイントになったのは、長女三歳のお誕生日に食卓に出されたミートボール。それは安部さんが開発した商品だった。

安く大量に仕入れた端肉(牛の骨から削り取る肉ともいえない部分)はドロドロで形もなく水っぽく、味もなくてとても食べられるシロモノではなかった。廃鶏のミンチ物を加え、さらに組織状大豆タンパク(人造肉ともいわれる)を加え、ビーフエキス、化学調味料を大量に使用し、ラードや加工でんぷん、結着剤、乳化剤も入れ(大量生産時に作業性を良くするため)、さらに着色料、保存料、PH調整剤、酸化防止剤を加えて本体が完成。さらにソースやケチャップも、各種添加物から作られたもどき品なのだという。

添加物のかたまり。産業廃棄物となるべくクズ肉を添加物を大量に投入して食品に仕上げただけ。それがミートボールだった。

「これは食べちゃダメ。食べたらいかん!」

この日の経験がきっかけになり会社をやめた安部さんは、現在は添加物の現状を告発する「生き証人」として活動を続けているのだそうだ。食品業界はまだまだ情報公開が遅れている、とのこと。

面白くて一気に読んだ。

調味料のこともいろいろ載っていて、たとえば本物の醤油は「大豆、小麦、塩」だけで作られるものなのに、いろいろな添加物が入った醤油風調味料がたくさん出回っている、とのこと。みりん、塩、砂糖、酢、酒。本物の調味料は手間暇かけて作られるので、価格も高価なものが多い。

そういえば、以前Amazonの書評で「がんで余命ゼロと言われた私の死なない食事」という本をみつけたことがある。著者の神尾哲男さんはフランス料理のシェフ。余命宣告されてから、調味料をすべて本物のものに変えて、和食中心の食事に切り替えて、14年も生きたのだそうだ。

(そうかー、調味料か!)と思ったが、その時は実行までには至らなかった。

「年老いた両親に、初めての子供の離乳食に、自信を持って食べさせることができる、まごころの料理を」と安部さん。食の大切さを考えさせられる本だった。