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山岸諒子の“台詞に恋して”

2013-05-13

マインド




















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子どものころ、自分は大きくなったらどんな大人になると思っていただろう。


こういう大人になりたいと、こよなく憧れたロールモデルはいただろうか。




子供時代には万能感がある。


それは実際、お医者さんにも野球選手にも、スチュワーデスにもファッションモデルにも、

総理大臣宇宙飛行士だってなれる、

確かな可能性だったのだ。




けれど人は、いつの間にかその力を手放す。


手放せないと生きてはいけないから。


手放すことが、大人になることなのだと気づいたのは、30を過ぎてからだったろうか。

今の若い人は、もっと早くにこのことを悟っているのかもしれない。




「荒ぶる、荒ぶる気持ちを抑えて」




アンチエイジングという言葉を聞くようになって久しい。


男も女も、昔からずっと若さを欲しがっている。


けれどその理由(ワケ)は、以前と今では随分違ってきているような気がする。


大人だけれどオトナになりたくない大人たちが、

本当に大人にならずにいられる方法をみつけたような気がして、

自分の実際に、大手を振って抵抗することが出来るようになった、

そんな世の中が今なのではあるまいか。


もちろん、50にもなろうというのにこんな絵空ごとに血道を上げたままの役者風情は、

その最たるものなのだけれど。


今の子どもたちは、お父さんみたいな大人になりたい、なんて、

思うんだろうか。


今の世の中に、本当の大人なんて、いるんだろうか。




「荒ぶる、荒ぶる気持ちを抑えて」




この作品の初演は、1988年


巷では、「24時間、戦えますか」というキャッチコピーが大流行し、

軍歌のような CM ソングに煽られながら、

サラリーマンビジネスマンへと変貌したバブル絶頂期の中で生まれた。




イケイケドンドンの世の中から、しかしこの主人公、‘父’は、たぶんコボレていたのだ。


頑張れば頑張るほど、歯を食いしばって何かを封じてきた企業戦士だったのだ。




大人になるとは、我慢が出来ること。


我慢は戦士の最低最大のスキルなのだから。




「荒ぶる、荒ぶる気持ちを抑えて、私はただ、その場に立ち尽くすだけだった」




‘父’は4つに分裂していく。




それから四半世紀が過ぎて、

2013年の父は、母は、男は、女は、この物語に何を見るだろう。


大人になるって、どういうことなのか、

2013年のあなたの答えが、なつかしい磨りガラスの引き戸の向こうから、

覗いているかもしれない。






   劇団離風霊船 2013年5月公演 『マインド 2013』

   作・演出 大橋泰彦

   5月16日(木)〜22日(日) 下北沢 ザ・スズナリ

   

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