どうするつもりなんでしょう

ちょっと古いですが、与党PTが日雇派遣を禁止しようとしている件に関して、業者や利用者が困っているという記事がありました。

 労働者派遣制度の見直しは、人材派遣業や派遣社員を利用している業種に大きな影響を及ぼすのは必至で、産業界からは不満の声も出ている。
 日雇い派遣が原則禁止されると、フルキャストなど軽作業を主力としてきた派遣会社は苦境に陥る。すでに大手のグッドウィル(東京・港)は七月末をめどに日雇い派遣から撤退する計画を公表しており、今後淘汰の流れが加速しそうだ。
 引っ越し、イベント管理、家電量販店など繁閑の差が大きい業界は、日雇い派遣を多数利用している。原則禁止されれば、自らアルバイトやパートを集めなければならない。すでに一部の企業からは「厳しい競争下で、そんな手間をかけられない」との悲鳴すら上がる。特に自力での求人が難しい中小企業は事業縮小を迫られる可能性もある。
(平成20年7月9日付日本経済新聞朝刊から)

実際、困るでしょう。どうするつもりなんでしょうか?
まあ、日雇派遣業者はすべて日雇有料職業紹介業者に衣替えする、というのが一つの方法かもしれません。派遣登録を求職に切り替えて、顧客からオーダーがあったら紹介し、直接雇用で働いてもらうわけです。これなら、働く人にとっては表面的にはほとんど変わらないということになります。
また、派遣だと派遣労働者が派遣業者にマージンを取られている、「搾取されている」という印象があるのに対し、有料職業紹介の手数料を払うのは企業なので、形の上では労働者からの中間搾取はなくなりますから、政治的にはイメージがいいかもしれません。まあ、実際には手数料は当然賃金に反映されて、その分賃金水準が下がるわけですが、100%反映されないかもしれませんが…。
就労先企業もそれほど変わりませんが、派遣なら全員の分を一ヶ月間まとめて派遣業者に料金を支払えばよかったわけですが、なにせ日雇なので直接雇用だと毎日現金を準備して賃金を渡さなければならないという手間がかかります。これは無視できないコストかもしれません。で、やはり当然ながらこのコストも結局は賃金水準で調整されます。
ということで、手数料分と賃金支払などの事務コスト分、これが反映された日雇直接雇用の賃金と、従来派遣会社から受け取っていた日雇派遣の賃金、これを比較したときにどちらが高くなるのか、これはなかなか微妙なところかもしれません。もし、派遣のときのほうが高ければ、日雇派遣のほうがマッチングのシステムとして効率が高かった、ということになるわけです。
まあ、これはどちらになるかわかりません。ケースによっても異なるでしょう。いずれにしてもこうした対応がとられる可能性はありそうですから、行政には派遣業者に対して有料職業紹介の許可を円滑に出す、といった配慮をお願いしたいものです。