本日発行された官邸のメールマガジンで、雇用対策が取り上げられていましたので簡単にコメントしたいと思います。まず北朝鮮による砲撃事件の話があって、続けてこう書かれています。動画の書き起こしのようです。ちなみにブログはこちらです。
http://kanfullblog.kantei.go.jp/2010/11/20101124.html
ブログがたまっている都合もあり2回に分けます(笑)
―――こうして様々な発生事案に対応しつつも、同時に国民生活に関わる作
業は常に前へ進めねばなりません。そこで今回は、「補正予算審議は、予算
以外の話が多くて、肝心の雇用対策がどうなるのか、見えません」という声
にお応えします。北朝鮮による砲撃事件発生前の収録です。総理:雇用というものが、日本経済、特に今のデフレを脱却する上では、き
わめて大きなキーになるとこのようにまず基本的に考えております。ナレーション(以下、ナレ):今まさに大詰め段階の、今年度の補正予
算審議。ここから来年度の予算編成まで、菅総理が政策課題の筆
頭に掲げているのが、経済成長の為の雇用対策です。その思い入
れの原点は、現場でつかんだ実感でした。総理:1つは、派遣村。2年前は日比谷公園でした。そこに集まっておられ
る人がですね、本当に何も展望がないことを言われてですね、その話
をいろいろ聞きながら、本当に人間のつながりが非常に薄くなってい
るんだなということを改めて感じて、なんとかそういう事がフォロー
できる社会にしなくてはいけないと思ったのが1つです。ナレ:こうして生まれたのが、このスローガン。
総理:1に雇用、2に雇用、3に雇用!
「声」に「補正予算審議は、予算以外の話が多くて」と語らせているのが嫌味というか嘆き節というか、まあ本音ではあるでしょう。で、派遣村が「現場」なのかという点についてはにわかには賛同できない部分もありますが、あそこに集まった人たちをみて失業問題の大きさ、雇用対策の重要性を実感した、したがって「1に雇用、2に雇用、3に雇用!」と思った、という話はよくわかります。そこに「本当に人間のつながりが非常に薄くなっているんだなということを改めて感じて」というのが入り込んでいるので話の筋が妙になっているわけですね。どうしてこんなこと言うのかなあ。いやもちろんそれはそれで大切な話かもしれませんが、ここで言うのは変ではなかろうかと。
続いて政敵の非難に移ります。
総理:私が雇用、雇用と言うと、失業対策の公共事業みたいなのをやってで
すね、そういうのにお金がどんどんかかるんじゃないかと、そういう
イメージで受け止めた人もいるんですが、私のイメージは全く違うん
ですね。ナレ:公共事業などでお金をバラまいて雇用を作る、というイメージは、
もう古い。総理:もう日本はインフラが基本的に整った段階でも、例えば業者に流れる
こと自体を目的にして、公共事業にお金を沢山使ったと。確かにそれ
は、短期的にお金が流れている間は、雇用にもつながり収入にもなっ
たんですが、終わってしまうと、できた道路は、熊とイノシシしか歩
いてないということになったわけですね。それを私は第1の道と言っ
てナレ:熊やイノシシが歩く、第1の道。では、第2の道を歩んだのは?
総理:小泉さん、竹中さんの頃にやったのは、経済を強くするんだと、合理
化するんだと、やったことは何かというと、簡単に言えばリストラを
やったわけですね。そうすると、失業率は高まるし、格差は広がるし、
そうすると、収入の少ない人は結婚はできないし、あまり消費もしな
い。つまりは、1つの企業1つの企業にとってプラスのことが、国全
体で見ると、ものすごくマイナスになる。
過去にもたびたび書いてきましたが「失業率は高まるし」というのは小泉・竹中路線の帰結というよりは景気後退と経済成長鈍化によるものでしょうし、格差拡大についてもその相当部分は高齢化と世帯構成の変化で説明できるというのが経済学者の間ではほぼコンセンサスになっているのではないかと思いますが、まあ政治的にはこういう言い方になるのでしょうか。もちろん不況→リストラ→失業→生活困窮という図式も個別には存在していたわけですが、しかし全体でみれば当時リストラしていたから現状この程度ですんでいるのだという見方のほうが有力ではないでしょうか。
さてそれでは首相はなにをやろうとしているのかが続けて語られるわけですが、それは明日のエントリということで(笑)