日本労働研究雑誌633号

労働政策研究・研修機構様から、日本労働研究雑誌633号(2013年4月号)をお送りいただきました。ありがとうございます。
http://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2013/04/
例年4月号の特集はテーマに関する短いエッセイを集めていて楽しいものですが、今年のテーマは「テーマ別に見た労働統計」です。
短い中でも論者の個性はそれなりに出ていて、トップバッターの玄田有史先生が「失業・非労働力」のお題でいきなり話題をSNEPにまで引っ張ってきているのは玄田さんらしいというか。二番バッターの黒田祥子先生も「余暇」のお題で得意の?睡眠や深夜労働の話に持っていき、さらにSNEPにまで触れています。かと思うと、「賃金」では川口大司先生が既存統計について比較的客観的な比較・紹介を試みられています。
テーマがテーマなだけに経済学者を中心に経営学者、社会学者などが名を連ねる中、労働法学者の山川隆一先生が登場しておられるのも目をひきますが、内容をみると唯一表もグラフもない文章のみのエッセイになっているのもらしいというか。
ここ2年くらい研究者向けのテーマが設定されていたと思いますが、今回はビジネスマンにも面白いものになっています。

連合総研『「労働組合による異議申し立て行動の実態」についての調査報告書』

中村圭介先生から(だと思う)、21世紀の日本の労働組合活動に関する調査研究委員会III『「労働組合による異議申し立て行動の実態」についての調査報告書』をご恵投いただきました。ありがとうございます。
(まだ連合総研のウェブサイトには掲載されていまいようです)
ストライキ突入、あるいは突入寸前といった「実力行使」によって経営サイドに「異議申し立て」を行って成果をあげた10事例のヒヤリング調査をまとめたものです。どれにもドラマがありますが、なかでも注目は厚生労働省に研究会までできた東急観光のケースでしょう。労組はもちろんですが、買収した外資系ファンドの意をうけざるを得ない経営サイドの必死さが印象的です。
全体をとおして、やはり上部団体、とくにゼンセン同盟の存在感が目立ちます。あと、結局ここまで話がこじれるというのは経営サイドにも相当問題がある、まあ外資のいいなりは別格としても、乱脈経営や情実経営などの問題があるケースが大半のように思いました。やはりハナからなんでも戦うというのではなく、相手なりにやるというのが大切なのでしょう。あと、これはそれなりの成果をあげた事例をヒヤリングしているのですが、結局成果に結びつかぬままついえた活動というのも多々あるのだろうなあとも思いました。

木村貴弘『改正労働契約法早わかり』

経団連の鈴木重也さんから、経営法曹の弁護士木村貴弘先生のご著書『改正労働契約法早わかり』をお送りいただきました。ありがとうございます。

改正労働契約法早わかり

改正労働契約法早わかり

過去ご紹介した本と異なり、これは改正労働契約法の有期労働契約にフォーカスしたQ&A形式の解説書です。「労働者が同じ法人で働いていたことを秘匿していたため、通算契約期間が5年を超えると知らずに有期労働契約を更新した場合」「無期労働契約の申し込みをしない旨を撤回したいと言い出した場合」など、実務家にとっては気になるだろうなあという設問が設定されています。