ちろうのレイブル日記

本当によい教育を考えるためのブログです

「第一回ゆび祭り」について、たった一つの伝えたいこと

皆さんこんばんは、ちろうです。2017年6月17日、第9回AKB48シングル選抜総選挙が行われ、HKT48指原莉乃ちゃんが前人未踏の3連覇を達成した。それを受けて、あの伝説のイベント「ゆび祭り」の開催がにわかに現実味を帯びている。

そこで、僕が約4年前に作った同人誌「指原莉乃に会いに行く」に収録された、第一回ゆび祭りに関する文章「「第一回ゆび祭り」について、たった一つの伝えたいこと」をここに大公開いたします。もう4年も前に書いた文章ですが、この激動のアイドルシーンを振り返る意味でも、ぜひこのタイミングで読んでいただけると幸いです。そして第二回ゆび祭りに向けて、モチベを高めていきましょう!!!


「第一回ゆび祭り」について、たった一つの伝えたいこと



■その日、日本武道館は世界の中心となった

2012年6月25日。指原莉乃がAKB48の第4回シングル選抜総選挙で4位に入選し、週刊誌のスキャンダル記事を受けてHKT48への移籍が決まった直後に開催された、アイドル史的にもエンタテインメント業界においてもメルクマールとなりうる「指原莉乃プロデュース『第一回ゆび祭り〜アイドル臨時総会〜』」というイベントがあった。僕は今、これについて語られる言説が世にあまりにも少ないと感じている。前回の同人誌「指原莉乃2・0」の中では、アイドルヲタの戦友でありクソDDでもあるアンチッチ氏によるレポートを収録したが、それは僕にはまだこれについて語るほどの言葉が自分の中で確立していなかったことや、また僕自身がライブレポートというものがあまり得意ではなかったからお願いしたのだ。AKBグループだけでなく、同イベントに参加していた他のアイドルグループにも精通しているアンチッチ氏だけに、とても完成度の高いレポートとなっている。

しかしあれから一年の時を経て、今のアイドルシーンや指原莉乃の活躍を見ていると、とんでもなく大きなことを成し遂げてしまったという思いを日増しに強くしている。2012年の末には、そのライブの模様と舞台裏を記録したDVD・ブルーレイも発売された。今となってはあまり語られることのなくなってしまった、そして第二回は果たしていつ行われるのだろうか?という期待をせずにはいられない「第一回ゆび祭り」というイベントについて、この機会に改めて語っていきたいと思う。


■「ゆび祭り」とは何だったのか

このゆび祭りというイベントは、指原莉乃の呼びかけによって集まった全10組のアイドルグループが出演するライブイベントで、日本武道館で行われた。その出演アイドルは、私立恵比寿中学乃木坂46PASSPO☆渡り廊下走り隊7ももいろクローバーZ東京女子流、SUPER☆GiRLS、Buono!アイドリング!!!指原莉乃である(出演順)。

これらのアイドルは、2012年時点での日本アイドル界を牽引しているトップ集団と言っていい。アイドルを一堂に集めたフェスと言えば、TOKYO IDOL FESTIVAL(TIF)があり、これは東京で2日間(注:現在は3日間)にわたって行われる大きなイベントでアイドルの出演組数で言えば日本最大級ということができる。しかしTIFはデビューして間もない地方のグループがその存在を全国のアイドルヲタに知らしめるものであったり、アイドル活動を始めた者がまずはその舞台を踏むことを目標とするようなイベントという側面がある。ところがこのゆび祭りの出演者は、すでに第一線で活動しており、アイドル本人からも憧れられているようなグループばかりであり、それらのグループが一堂に集結した、まさに現時点での最高峰といえるイベントである。

その出演者のバラエティは、筆舌に尽くしがたいほどの豪華さだ。現時点でアイドル界のみならずバラエティ番組、オリコン等も席巻してしまっているAKBグループから渡り廊下走り隊7。AKB48の公式ライバルでもある乃木坂46。かつて隆盛を極めたハロプロのさらに実力者ばかりから厳選されたモンスターユニット、Buono!。後に紅白歌合戦にも出場し、現時点でサブカル・アイドル界の雄として君臨するももいろクローバーZ。その妹分の私立恵比寿中学PASSPO☆東京女子流、SUPER☆GiRLSは中野サンプラザZeppクラスでは満員にするほどの集客力があり、後半2組は後に日本武道館での単独公演も成功させている(女子流が2012年12月、スパガが2013年6月)。バラエティタレントとしても名高い菊地亜美を擁し、AKB48よりも長い活動歴を持つアイドリング!!!

そしてこれを束ねるのがこのイベントの発案者でありプロデューサーでもある指原莉乃なのである。およそこの21世紀のあいだに、これ以上にファンタスティックでエキサイティングでソフィスティケイトされたイベントを、私たちは想像することができない。ずいぶんと大仰な言葉を連ねてしまったが、一言で表すならば「すごいイベント」だった。


■大人の事情を乗り越えて

このイベントのオープニングで、指原莉乃「これだけのグループが集まった時点で成功」という趣旨の発言をした。これはもちろんその通りである。活動歴も違えば活動方針も違う。もちろん所属事務所もレコード会社も違う。そんな中、大人の事情を乗り越えてアイドルたちが一つになった。そしてそれぞれのファンたちも一つになった。アイドルという方法論で、世界が一つになり得ることを証明したのだ。そしてその核となったのが他でもない指原莉乃なのである。

それぞれのグループについていくらでも語ることがあるが、その中でもいくつかのグループについて、指原莉乃との関連について考えていきたいと思う。まずは渡り廊下走り隊7。このメンツを見ていると因縁がありすぎる。もちろん同じAKBのメンバーで、かつ元々チームBで同じだったメンバーが多いから仲良しではあるが、シングル選抜総選挙で戦うことを考えればライバルと捉えることもできるのだ。AKB全体のエースでもある渡辺麻友。はるごんからはるかへと進化を遂げ、今ではインドネシアで奮闘している仲川遥香。長らく仲の良い後輩として可愛がってきた小森美果。指原のチームB昇格時には最年長として独特な存在感を放っていた浦野一美。そして指原昇格の直前に男性とのプリクラが流出してAKBから脱退し、後に7期研究生としてカムバックしてきた菊地あやか。後に同じHKT48のメンバーとして活動してくことになる多田愛佳。歌唱力に定評が有り、後に演歌歌手としてソロデビューする岩佐美咲。これらのメンバーが、AKB陣営として同じステージに立った。

ももクロは元々はAKB48の後を追って出てきたグループだが、今では独自の進化を遂げ、AKBに劣らないほどの圧倒的な存在感を放っている。AKBのヲタとももクロのヲタは、しばしば対立する。これだけお互いに大きな存在になってしまうと、それぞれの熱狂的なヲタからするとそれは致し方のないことだろう。だからこそ、もはやAKBとももクロは共演することができないだろうと思っていた。しかしその壁を、指原莉乃はいとも簡単に乗り越えてみせた。お互いにいがみ合って何の意味があるのだろうか?アイドルたちがこれだけ楽しそうに共演しているのだ。手と手を取り合った先に、何倍もの幸せがある。そんなことを教えてくれている。そしてまた最大瞬間風速という意味では、ももクロの声援が最も勢いがあったというのは否定できないところであろう。ももクロのヲタはアツいのだ。だからこそ、ここにももクロが参加している意味はとてつもなく大きい。

そして極めつけはハロプロから唯一の参加、Buono!である。嗣永桃子鈴木愛理夏焼雅というメンバーは、元々ハロヲタでもなかった僕ですらその活躍と実力を知るとてつもない存在である。活動歴という点でも群を抜いて長い。ましてやガチのハロプロヲタであった指原莉乃にとってどんな思いがあるかは想像に余りある。しかし今、そんな憧れの存在と日本武道館で共演してしまっている。これもまた指原莉乃の呼びかけによって!ハロプロはAKB、ももクロの勢いに押されかつてほどの存在感を失っているかのように見える。しかしここでのBuono!のパフォーマンスは、その実力はひとつも衰えていないということを証明してみせた。圧倒的な歌唱力と表現力を見せつけたのである。このときのBuono!については、長くハロプロを見てきたアイドルヲタクの友人たちも口を揃えて大絶賛している。僕を含めて、ここ数年でアイドルヲタという趣味に目覚めさせられた者にとってノーマークだったハロプロの実力を、改めて知らしめる結果となった。

PASSPO☆東京女子流、SUPER☆GiRLSも負けず劣らず素晴らしいパフォーマンスを見せた。それぞれのグループのヲタが一同に集まっているから、元々の自分たちのヲタのみならず、他のグループのヲタにアピールする場としても最高の舞台である。彼女たちからすれば、胸を借りる思いだっただろう。だから10分間という一発勝負にかける気迫が違うのだ。おかげでどのグループのことも好きな僕たちDDにとっては、最高に贅沢な時間を過ごすことができた。元々は無名のところからスタートし、僕のようなカスヲタに手紙の返事まで送ってくれたPASSPO☆のみおみおとさこてぃ、どれだけ催促しても最後まで手紙の返事をくれなかったまこっちゃんが今、指原と共演しているという現実がとても感慨深い。

東京女子流は実力派ガールズロックユニットとして圧巻のパフォーマンスを見せた。皆さんにとって「メイちゃん」という名前を聞いたとき、誰を一番に想像するだろうか?ジブリ映画「となりのトトロ」のメイちゃんだろうか、あるいはNゼロの長谷川めいちょりん芽依ちゃんだろうか?この日の東京女子流のパフォーマンスを見た今、我々は「メイちゃん」と言う言葉を聞いて真っ先に東京女子流庄司芽生ちゃんを想起することになるだろう。SUPER☆GiRLSは華やかさと可愛さを全面に押し出した衣装・セットリストで魅了し、さらにはアイドル界の至宝でもある溝手るかちゃんの歌唱力をも存分に見せつけた。これも非常に素晴らしかった。


■見逃した君たちへ

2012年6月25日、僕は幸運にもこの歴史的なイベントを現地で目撃することができた。このイベントを目撃できた者も出来なかった者もいるだろう。このイベントを目撃できなかった者は、ただ「かつてそんな伝説のイベントがあったのだ」と黙って諦めるしかないのだろうか。断じてそんなことはない。何故なら、我々にはライブDVDといういわば天からの贈り物が与えられているからだ。

僕はこれまで何度も周りの人間に「ゆび祭りのDVD(及びブルーレイ)」を入手することを勧めてきた。すると大体こんな答えが返ってきた。「現地で見たからいい」あるいは「NHKで放送してたからいい」。確かに生で目撃することができたイベントの模様を、改めてDVDで見返す必要はないのかもしれない。あるいは、NHKでそのライブの模様を放送していたのは事実だ。もしかしたら録画もしていることだろう。しかしそのNHKでの放送は、各グループ1曲だけに短縮された簡略版だった。それだけではおよそこの「ゆび祭り」というイベントの全貌を把握したことにはならない。否!否否否否イナ稲いな伊奈INA!!!問題はそんなことではない!パフォーマンス時間が短いとか、MCがカットされているとか、そんな次元ではない、もっと重大な意味がそこにはある。


■メイキング映像で切り取られる「夢の世界」

それはつまり、DVDには実に一時間以上にも及ぶ「メイキング映像」が収録されているからだ!この「メイキング映像」こそ、全てのアイドルの、そしてアイドルヲタクの夢・希望・未来であり、この世界の真実である。これを見ることによって「ゆび祭り」というイベントの全ては完結する。逆に言えば、これを見なければ「ゆび祭り」を見たことにならないのだ。それだけ重大な作品なのである。そしてまた、僕がこのイベント直後にこれについて語ることができなかった理由でもある。そう、このDVDが世に出なければ「ゆび祭り」は完結していなかったのだ。

このメイキング映像では、リハーサルの様子や出番直前・直後の舞台袖での様子を収録しているのだが、最も重要なのは楽屋でのアイドル同士の絡みである。今をときめくアイドルたちは、その多くはアイドルヲタでもあるのだ。であれば、これだけのアイドルグループが集結する現場は夢の世界である。お互いがお互いの推しメンを告白し合い、記念撮影をする様子はまさに「夢の世界」という言葉以外の表現が思いつかない。その中でもやはりBuono!のメンバーが圧倒的な貫禄を示していることや、司会進行に奔走している指原莉乃がその場にいないことは見逃せない点だ。もし指原が一出演者に過ぎなければ、彼女たちに混じって撮影会に興じたかっただろう。しかし主催者であるから進行に徹するというプロ意識を感じることができる。このように、我々アイドルヲタクは一生参加することもなければ覗き見ることも許されない夢の世界を、このゆび祭りDVDは映像として提供している。だからこれは奇跡の作品なのだ。そしてまた、それを実現させたのも元をたどれば指原莉乃である。

改めてこのメイキング映像を見ると、指原の奔走ぶりもまた伺い知ることができる。各グループがパフォーマンスを終えるとMCとして舞台に上がり、トークをこなした後は次のグループを迎え入れる。そのグループがパフォーマンスを行っている間は、ずっと舞台袖から見ているのだ。そしてそれが終わるとまた舞台に戻りMCをする。楽屋に戻ってゆっくりしたり、打ち合わせをする時間はない。そのまま自分の出番を迎えて3曲を歌いきると、すぐにアンコールでYeah!めっちゃホリデーを披露。そのまま全員でのヘビーローテーションへとなだれ込む。およそ2時間の間、まさに出突っ張りだったのだということが、舞台裏映像を通して改めて思い知らされるのだ。

なんというタフネス!そしてなんという度胸!この映像を見て、改めて我々は指原莉乃というパフォーマーへの信仰を深めることになる。こんなことを滞りなくこなすことができる能力を持ったメンバーが、AKBグループ、あるいは広くアイドル界の中に指原を除いて他にいただろうか。どこにもいないのだ。自分自身がアイドル大好きで、これだけのグループアイドルを一堂に集めてまるで自分の欲望のままに企画をしておきながら、それを見に来たおよそ八千の観衆をも楽しませてしまう。そんな奇跡のようなライブを、指原莉乃は実現しているのである。このことはもっと広く認知されてもおかしくはないだろう。


■中心にはいつも指原がいた

このイベントのラストは、出演者全員による「ヘビーローテーション」で締め括られた。これはAKB48が世に出した、不朽の名作と言っても過言ではない楽曲である。オリジナルでは大島優子が務めるセンターポジションには渡辺麻友がつき、指原莉乃はそのサイドをそっと支える。このようにセンターを譲るところも指原らしさと言えるのではないだろうか。ステージ全体に広がるグループの枠を超えたアイドルの共演は、一言で表せばまるで「世界平和」だった。争いの絶えないこの世界も、いつか一つにできるのではないか。このゆび祭りというイベントは、そんな夢さえも見させてくれる最高のステージだったのだ。その中心には、やはり指原莉乃がいたのである。

だから僕は何度でも、世界が続く限りこのように主張し続けなければならない。
おまいら、今すぐゆび祭りのDVDを入手せよ!(ブルーレイでも良いよ〜)」と。

(チロウショウジ「指原莉乃に会いに行く」所収。2013年8月)